GOOD LUCK 7

直帰でも良かったが
結局は自分の執務室が一番落ち着くからと

18時頃、もう少し仕事をしようと
社に戻って来てエレベーターから降りれば
薄暗い廊下の先に秘書課から僅かな光が漏れていた。


『GOOD LUCK』   第7話


「暗ぇな…」
たとえ無人だったとしてもいつもなら
こうして明かりが落とされている事は珍しい。

そんなオレの斜め後ろで
「おそらく牧野さんがまだ残っておられるのかと。
 彼女は必要のない所の明かりをよく消しますから」
そんな声にSPを下がらせて足を進める。

秘書課のオフィスでさえ、半分明かりが落とされていて
弱々しい明かりの下でデスクの明かりを点けて
牧野が書類を読んでいて、集中してんのかオレには気づかねぇ。

あまりに真剣な様子に邪魔しちゃ悪ぃかと
あいつが帰る時は声をかけろとだけ西田に告げて
執務室へ戻ると自分の仕事をする。


…が。
あいつが帰るようだと報告を受けると同時に
タイミング悪くNY本社から電話が入って出遅れた。

オレがあいつの元へと向かった時には
すでにエレベーターに乗ろうとしていて
慌てて閉まりかけた扉を手で押さえて何とかセーフ。

…だと思ったんだけどよ。


「……す、すみませんでした」
オレを不審者か何かと勘違いしたのか
鞄を振り回してきたこいつは
気まずそうにエレベーターの隅で小さくなってやがる。

「…別に怒ってねぇよ。
 驚かせるつもりじゃなかったが…まぁ、なんだ。悪かったな」
こいつはフロアには誰もいないと思ってたみてぇだし
明るいエレベーターの中からじゃ暗い廊下にいる
オレの姿はおそらく見えてなかったはずで…。

そりゃいきなりエレベーター止めたりすればパニックにもなるか、と
ただでさえビビリのこいつの性格を考えれば納得はしてる。


足元に落ちたままになっていた
こいつのケータイが目に入って拾い上げると
画面に指が触れたせいか、ぱっと画面が明るくなった。

「……」
…なんだよ、この浮かれたヤローどもは。

画面を凝視して固まったオレに気付いたこいつは
「あっ…!すみませんっ」
と慌ててオレからケータイを取り返そうとしたが
無意識に腕を上げてその手を避けた。

「……知り合いか?」
その中に好きな奴がいるとか、まさか彼氏だとか
そういうのは考えたくなくて出来るだけ遠い存在で聞いてみる。

「え?あぁ、違います。
 そのぉ…今日の合コンの相手だったみたいで」
と気まずそうに答えるこいつ。

「…合コン?」
思わず低い声が出た。
「さく…三条さんに誘われたんですけど…」
そう言ったこいつは小さくため息をつく。

「残業じゃなかったら行きたかったのか?」
「へっ…あぁ、いや。ああいう所ってちょっと苦手で…」
残業で助かったとばかりに話すこいつにホッと息をついた。

ったく!
三条の奴、オレが牧野に惚れてるって知ってながら
合コンになんか連れて行こうとしやがって何考えてやがるっ!

牧野のケータイの画面をもう一度見てから
クルッと牧野の方に画面を向けて

「この中なら、お前は誰がカッコいいと思うんだ?」
と聞いてみる。
「へっ!?…う~ん。じゃあこの人、ですかねぇ?」
そう言って牧野が指差したのは右から2番目に写っていた男だ。

「…ふぅん?お前見る目ねぇな」
そうわざとらしくため息をつけば
「えっ…。あれっ?ダ、ダメですか…?」
ビクッと肩を揺らして視線を泳がせて
独り言なのか じゃあ、こっち?とかブツブツ言いながら悩みだす。

「この中なら、断トツでオレだろうが」
自信満々に言いきってやると
「……へ?」
と間抜け面でオレを見上げる。

「だろ?」
とニヤリと笑ってやれば
しばらくポカンと口を開けて固まっていたが


「……プッ。
 ほんとだ。気付きませんでした」
とクスクスと笑いだした。





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No title

あ、なんか和やかなムードですね😃
恐い怖い専務だったのが、笑い声上げられるようになったなんて、スンゴイ進歩😁
ご飯まだでしょ?ディナーなんてどうですか?(笑)

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スリー★★★★★様

夜のエレベーターに乗って
手が出てきたら私も腰抜かすと思います(笑)

でもお化けだと思ったらちゃんと人間で?
ホッとしたおかげで司君とも話せました♪

桜子は協力するとは言ってませんからね。
物件としては司君も推しなんでしょうけど
もっといい物件があればそっちに乗り換える気満々です(笑)

せっかくの2人きりを
生かせるかどうかは…司君しだい(*^^*)?

 

JUJU様

お化けよりはマシだって事で
つくしちゃんも肩の力抜いてくれました(笑)

ね。
これでバイバイしちゃうなんて
もったいないですよねぇ( *´艸`)

坊っちゃんももちろん
そう思っておりますよ~♡

 

ka★★★様

邪魔をしてるのか協力してるのか
イマイチ立場をはっきりさせない桜子ですが
それをどう利用するかも司君次第ですね(*^^*)

少し前まで顔見ただけで逃げられてたので
司くんもこれ以上嫌われないように慎重です( *´艸`)

ぷぷっ!
合コンに類君みたいなのがいたら大変でしたね~(笑)
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