GOOD LUCK 6

専務に逃げる事を禁止されて一週間。

逃げられないあたしに
専務はわざとかと思うほど
やたらと話しかけてくるようになった。


『GOOD LUCK』   第6話


朝、挨拶をすれば、
今までは「おぅ」とかだけだったのに
桜子がやってくれたヘアアレンジを褒めてくれたり

会食の同席用にワンピースを着れば
「お前に合わせてオレもネクタイ変えるかな」
なんて言ってその後仮眠室へ
行ったかと思うと本当に着替えてきて
「似合うか?」なんて嬉しそうに聞いてきたりする。

…だけど。

おかげで少し…
ほんの少しだけ慣れてきた…ような気もする。

…専務が美形なのは知ってたつもりだったけど
改めて見るとホントに日本人離れしてるよね。


そんなある日の夕方。

「先輩。本当に行かないんですか?」
桜子が秘書課のあたしのデスクの隣で頬を膨らませている。
「うん。ちょっとまとめておきたい資料もあるしさ」

「今日は選りすぐりのイケメンばかりなんですよ?
 こんなおいしい合コンなんてそうそう行けませんよ?」
「…残念だねぇ~」
資料に目を通したまま答えれば

「全然そうは見えませんけど!?」
「あぁ~。残念だなぁ。イケメンと合コンしたかったなぁ~」
「もうっ!そんな事してたら
 あっという間に女として終わっちゃいますよ!」
そう言った桜子に手元の資料を取り上げられて、
あっと小さく声をあげる。

「…それともどなたか気になる男性でもいらっしゃるんですか?」
「へ?そんなのいないよ。
 ほんとに今日は資料まとめておきたいの。
 それよりあんたこそ、専務はどうしたのよ?」
そう言いながら資料を取り返すと

「それはそれです。
 第一、彼氏でもない男性のために
 出会いのチャンスを無駄にするなんて馬鹿げてます。
 だから先輩も早く終わったら
 途中からでもいいから連絡してくださいね?」
「はーい。ありがと」
そんなあたしの気のない返事に
諦めたように小さく息をついて鞄を手に取った。

「あ。そうだ、今日残ってるの
 あたし1人みたいだし電気もったいないから消しておいてね」
「普通、女性1人なら
 怖いから電気つけておいてって言いません?」
「無駄な経費は削減しなきゃでしょ」
「もうっ!お化けが出ても知りませんからねっ」
なんてべーっと舌を出すと桜子は部屋を出て行った。

「…お化けって」
珍しくカワイイ事を言うなぁ、なんて
ついクスッと笑ってから資料に視線を戻した。


専務は怖いけど仕事は出来るし
上司としては尊敬できると思う。

大学の頃から何度か顔は合わせていたけれど
どうしたって怖いって気持ちが先行しちゃって
今まで専務という人をよく見てこなかった。
だから専務の事がさっぱりわからない。

その点、第一秘書の西田さんはスゴすぎる。

言われる前に先読みして動いてるしフォローも完璧。
時々先読みしてるんじゃなくて
実は西田さんの方がこっそり裏で
専務を操ってるんじゃないかって錯覚しそうになるほど。

…とまぁ、そこまではなれなくても
あたしだって一応第二秘書なわけだから
せめて聞かれた事にすぐに答えられるくらいにはなっておかないと。

そんな決意の元に
資料をまとめながら頭に叩き込んでいくあたしの隣で
ケータイが桜子からのLINEを告げた音に反応して開いてみれば

「ありゃ。ほんとにイケメンだ」
思わずそう呟いてしまうほど爽やかな好青年といった感じの
男性が数人写った画像が送られてきていた。

時計を見てみれば20時を回った所で
そろそろ帰ろうと片付けを始める。

鞄を持ってオフィスの消灯確認をして
ダウンライトだけの薄暗い廊下に出ると
エレベーターホールへと足を向けながら
桜子が送ってきた画像をもう一度見てみる。

ほどなくして開いた扉の中へと進み1階のボタンを押して
「桜子なら…うん。この人だろうな」
なんて勝手な予想をしながらクスっと笑うと同時に
エレベーターの扉が静かに閉……ったと思ったその瞬間。

ガシァンッッ!!

数センチの扉の隙間からいきなり出てきた大きな手。
そしてその手は扉をググッと押し広げようとしている。


__お化けが出ても知りませんからね?


ふと頭に桜子の言葉が浮かんで
「ぎゃあああっ!!出たぁぁっ!!」
とケータイも足元に落として
パニック状態で鞄を振り回す。

「って!バカッッ!落着け!!」
「………へっ?」
聞き覚えのあるその声に動きを止めて見てみれば

「…よぉ。今帰りかよ?」
と額に青筋を何本も浮かべた専務が
完全に開いた扉がまた閉じるのを防ぐように寄りかかって立っていた。




いつも応援ありがとうございます♡
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

逃げれなくなったつくしちゃん、じっくり司君を観察してみれば、仕事は出来るし、つくしちゃんには優しいし(でしょ?)、絶世のハンサムだし(つくしちゃんだって、ゲスよりハンサムが好きよね?)
評価が良くなったであろう所で、エレベータ二人きり😀
どんな会話が……😎
楽しみです😆

 

JUJU様

今までだって司君は優しい言葉の1つや2つ
かけたかったと思うんですけどね。
逃げられるので言えなかっただけです、はい(^^;)

さぁ…このエレベーター2人きりのシチュ。
どう調理しようかなぁ♡♡
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
komaの呟き。
最近ふとした
きっかけで
落書きにどハマり中♡
 
おかげで執筆が
進みません…(笑)
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる