サンライズ 12

あれから牧野は何も言わねぇ。

オレも一応意識不明って事になってんなら
ここからどうすりゃいいんだよ。


『サンライズ』   第12話



こうやって見てると
ただ寝てるのとそんなに変わらないように見えるんだけどな。

あんたが事故に遭ったって聞いた時は
ほんとに地面が崩れたのかと思ったんだから。

とりあえず大きな怪我はしてなさそうでよかった。


やっぱり道明寺が記憶を取り戻したのは
あたしを試すためで
起きたらまた記憶失ってて元通り…とか?

そしたらまた他人同士になって
今までみたいに会う事もなくなっちゃうのかな。

あんたが無事で幸せならそれでいいって思ってるし
最初から誰かと婚約とかしたら身を引くつもりだったんだから

未練なんて残さないためにも
近づきすぎないように気を付けてたんだけどな。

やっぱりズルズルと3年も続けたのはマズかったのかも。
何もなかったみたいに過ごしていくには
道明寺の温もりも優しさもこの体は知りすぎた。


いつかはこんな日がくるってわかってたのに…
いざあんたがいなくなったらどうしたらいいかわかんないや。



「…うっ。………ふぇっ…」
ちょっと想像してみただけだったのに
あんたのいない世界は冷たくて暗くて寂しくてたまらなくて
気がついたらあたしは泣いていた。

一度こぼれ落ちた気持ちは涙と一緒にどんどん溢れる。


神様は意地悪だ。

こんな事なら
あたしの記憶も一緒に消してくれたらいいのに。

道明寺に出会う前のあたしに戻してくれたらいいのに。

そうすれば、あの頃のあたしが望んでいたように
どこかの誰かと平凡な毎日を幸せに送っていけるのに。

それでもやっぱりこの気持ちを忘れる方が不幸だって
思わせるほど好きにさせておいて
あと少しの所でいつもその手を掴ませてはくれない。


すると目を擦っていたあたしの手を大きな手が掴んだ。

「…簡単に掴めんじゃねぇか、ほら」
ため息交じりの声に顔を上げてみれば
いつのまに目が覚めたのか道明寺が
ベッドに腰掛けた状態で呆れたような顔で小さく笑っていた。

「何が神様だよ。
 んなのいるかいねぇかわかんねぇ上に
 意地悪だっつーなら信じる価値もねぇだろうが。
 そんなモンより、いい加減目の前のオレを信じろよ…」
そう言うと掴んだままのあたしの手を引き寄せて
胸の中にすっぽりとおさめてしまった。

「……あたしの事わかるの?」
「当たり前だろ」

「意識不明の重体じゃなかったの?」
「…お前の本音が聞きたくてつい…な?
 …いてっ。バカ殴んなっ!悪かったって」

「手、伸ばしてもいいのかな…
 欲張りだって怒られないのかな…」
「いいに決まってんだろ。
 お前の腕が短くて足りなくても
 オレのが長ぇから心配すん…っ。だから殴んなって」

「……もういなくならない?」
「あ?いなくなろうとしてたのはお前だろうが」

「遠くに行ったりしない?」
「お前がどんなに嫌だってわめこうが
 地獄にまでだって道連れにしてやっから心配すんな」

そんな悪魔みたいな事を言う道明寺を見上げてみれば
オレ様な顔でニヤリと笑っていて

「結婚すんぞ」
ってまるで決定事項みたいに
あたしの返事も聞かないままキスを落としてきた。






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