第三医務室の牧野先生 3

牧野の医務室がオレの執務室の隣に来てから1週間。

「牧野…腹が痛ぇ。死ぬかも」
「えぇ?そんなに痛むの?
 ちょっと診るからジャケット脱いで横になって」


『第三医務室の牧野先生 3』



牧野の医務室がオレの執務室の隣に移してから
あいつの顔を見るためにこの医務室を訪れる。

毎日のように頭が痛ぇだの、なんだのと
やや大げさに症状を訴えるオレに
訝しげな表情を浮かべながらも
「まぁ、面倒がって診察を受けないよりはマシね」
とため息をつきながら診てくれる。


「症状はいつから?」
なんて聞きながら横になるオレの腹をシャツの上から触ったり
聴診器を裾からすべり込ませて真剣な顔で音を聞く
こいつの顔がすげぇ近い。

「んー。脈は少し早いけど
 他は特に気になる所はないわね…。
 昨日の晩と今日の朝、何食べたの?」
聴診器を外して聞いてくるこいつ。

「昨日は遅くなったから
 寝酒に酒は少し飲んだが食ってねぇ。
 朝は…珈琲は飲んだか」
オレが答えると

「……は?
 あたし何飲んだかじゃなくて
 何食べたか聞いたんだけど?
 まさか昨日からお酒と珈琲しか口にしてないって言うの?」
眉間にしわを寄せながら険しい顔つきになる。

「……サプリは飲んでるぞ」
「それも食事じゃないでしょ!
 ったく。あんたの腹痛の原因は空腹ね。
 そんなデカイ図体しててどうしてそれで平気なのよ」
ブツブツと文句を言いながら栄養補給用のゼリーを渡してくる。

「しょうがねぇだろ。そんな時間あんなら
 他にやる事が山ほどあんだよ。
 それに別に1食、2食抜いたって平気なんだよ」

「平気じゃないから体に不調が出てんでしょうがっ!
 それにサプリはあくまでも食事で不足した分を補う物であって
 しっかり噛んで咀嚼する事にだってちゃんと意味があんのよっ
 今からそんな生活してたら早死にしちゃうんだからっ」
とビシッと指をさしながら怒ってくる。
 
……。

それってもしかして
オレに長生きしてほしいって言ってんのか?
オレがいねぇと生きてけねぇって?

なんだよ。
そういう事なら回りくどい言い方してねぇで
ずっと一緒にいてって言えばいいじゃねぇかよ。

牧野からの思わぬ告白に
緩む口元を隠すように少し俯いて手で覆う。

「…え?何、どうしたの?
 今度は空腹すぎて吐き気でも出てきた?」
なんてオレの顔を覗き込むようにしてくるこいつ。

「いや。なんでもねぇ。
 まぁ、食事も出来るだけ摂るようにするからよ…
 そんな心配すんな。じゃ、そろそろ会議だし行くわ」
「ん。西田さんにも食事の時間を作ってもらうように言っとくから
 今日のお昼はちゃんとした物食べてよ?」


その日の昼。

メープルの視察に出るついでに
ちゃんと食えっつーならランチに誘うのもありなんじゃねぇの?と
執務室を覗いてみれば
あいつは自分で作って来てんだろう、弁当を広げていた。

なんだよ、先に食ってんじゃねぇよ…。
これじゃランチに誘う前に断られたも同然だ。

オレと後ろにいる西田に気付いた牧野は
箸を置いて立ち上がると駆け寄ってきた。

「あ。西田さん。
 ちょうど良かったです。
 もう少しちゃんとした物を食べるように監視しててください。
 採血してないですが、貧血もやや疑わしいですから…それと…」
そう西田にオレの食生活についての指示を出して
西田もそれをメモに取りながら頷いている。

そんな2人のやりとりを横目に
オレは医務室の中に入ってあいつの弁当を覗き込む。

「……美味そうだな」
相変わらず何て呼べばいい料理なのかわかんねぇモンばっかだったが
高校ん時に何度か食った覚えがあるモンが目について
意図せずそんな事をポツリと呟いた。


結局、牧野をランチに誘いそびれたオレは
メープルに着くと、視察のついでだと言う西田に
予定になかったレストランの新メニューのコースを食わされた。


翌日。
オレは今日も牧野の医務室に行くために
今日はどんな症状で行くかと、口実を考えていた。

と、そこにノックの音が響いて返事をすると
ドアの向こうからひょこっと牧野が顔を出す。

「まっ…牧野!?どうしたんだ?」
慌ててドアまで駆け寄って牧野を招き入れる。

「朝ごはん、何食べたの?」
そう聞かれて
「……珈琲だな」
と気まずく答える。

「もうっ!そんな事だと思ったっ。
 ちゃんと食べなきゃダメだって言ったでしょ!?」
頬を膨らませて睨んでくるこいつ。
それでもオレを心配してる姿が可愛くて仕方ねー。
「…わりぃ。気ぃ付けるからそんな怒んな、な?」
素直に謝ると

「…はい、コレ」
と手に持っていた小さな鞄を渡してくる。
「…?」
何かわからなくて首をかしげたオレに

「お弁当。昨日美味しそうって言ってたでしょ?
 高級料理じゃないけど栄養のバランスは考えてるから。
 あんたの場合、食欲をそそるのも重要だしね。
 それ食べて今日もバリバリ頑張りなさいっ」
なんて叱るような口調で言いながらも
頬を少し赤いのは気のせいか?

「お、おぉ…サンキュ」
思わずニヤけたオレに
「味の保障はしないんだからねっ!」
とだけ言うとタタッと逃げるように医務室へと走って行く。

「おっ…おいっ!明日からもコレ作ってくれんのかよ!?」
慌ててそう聞いてみれば
「…気が向いたらねっ」
べーっと舌を出して言うとパタンと扉を閉めた。

その日からオレは昼は牧野の医務室に押しかけ
「お前と一緒に食うと食欲そそられる」
と強引にこじつけて
あいつと一緒におそろいの弁当を食うようになった。



~ fin ~


★あとがき★

前記事の「独り言」にたくさんの
あたたかいメッセージをありがとうございました(*^^*)

書くのに疲れたワケでは決してなく、
ただ、このままズルズルやめちゃわないかな~って
勝手に不安がってただけですのでどうかご心配なく♪

でもあんまり遅かったら
「短編でもいいから出せよ」って
どなたかカツアゲしてやってください(笑)

さてさて牧野先生ですが、

ありがたい事にリクエストを頂いた事もあって
またまたおかわりを勝手にさせて頂きました(*^^*)

そう。勝手にやってるんです。
ハッキリ言ってただの暴走です(笑)

やっぱりこの2人は書いてて楽しいです♡
なんちゅーか、テンション上がるんですよね。

このシリーズはまま様から
「いい加減にしろ」って怒られるまでは書きますよ(笑)

まま様、ほぼ事後報告になっておりますが(^^;)
いつもいつも本当にありがとうございます(人´∀`o)
またいつかぜひぜひおかわりさせてくださいませ~!(←懲りない。笑)



koma




いつも応援ありがとうございます♡

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非公開コメント

おもしろいです\(^-^)/

…「んなわけねーだろ」って西門さんに
蹴られていたのが道明寺(笑)

お馬鹿さんなのに、堂々と威張ってる
道明寺が実は大好き(笑)
つくしもさっぱりしてて温かみもあってgood❤

Komaさま。
面白かったです(^-^)ゝ゛

No title

朝飯も、夕飯も、お前が居ると食欲わくんだよ(by司君)
できれば、ご一緒願います(by西田さん)
この作戦で、会社では、執務室の隣、住まいは、道明寺邸にしては?(笑)

え~、そんなこと言うと、JUJUカツアゲ魔になりそう(≧∇≦)

道明寺&牧野大好き 様

そうなんですよね~。
道明寺語録とか連発しながら
堂々と威張ってる坊っちゃんって可愛いんですよね~♡

つくしちゃんはこのお話ではまだ
坊っちゃんへの気持ちは「??」状態ながら
期待はもてそうな雰囲気です(^^)

お付き合い頂きありがとうございます♪

JUJU様

あ~っ。
その手があったか(>_<)!!

この様子じゃ
どんどん道明寺包囲網に囚われていきますね~( *´艸`)
そうはさせるかと次は類君でも出すか(笑)?

うふふっ。
JUJU様にカツアゲされたらきっと断れませんね~(笑)
いつカツアゲされるかドキドキしながら待ってます♡(ドM??)

**拍手コメのH★様**

いつもコメントありがとうございます(*^^*)

私もGWはほとんどいつもと変わらない感じですね~(^^;)
そちらではまだ見れるんですね~!羨ましい~。
こっちはもう青々としてますよ~。

うふふ。
思いがけずたくさんの方からお声をかけて頂いて
もうね、早くアップしたくて仕方ない感じなので
皆さまよりkomaの方が寂しくなって帰って来るかもしれません(笑)
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