DEAR… 10

オレは大学に入ると同時に
将来に向けて少しずつ仕事を始めるようになって
大学へ顔を出せない日も少しずつ増えていた。

そしてあの日。
定例会議に出席してから
大学へ向かおうとした時に後ろから声をかけられた。


『DEAR…』   第10話


「道明寺さん」
聞き覚えのあるその声に振り向いてみれば
そこに立っていたのは牧野の親父さんだった。

親父さんと顔を合わすのは別に珍しい事じゃない。
デートの送り迎えの時に会う事もしばしばあったし
つい1週間前くらいにも牧野の家で飯を一緒に食ったばかりだ。

「親父さん…こんな所でどうしたんですか?」
そう言うオレの心臓が嫌な音を立てていたのは
親父さんがいつもの朗らかな顔じゃなく
何かを思いつめたような顔をしていたから。
そしてこういう時の予感は大体当たるもので…

「…つくしと、別れてやってくれませんか?」
突然そんな事を言いだす親父さん。

まるであいつが言ったのかと錯覚するほど
よく似た瞳でまっすぐオレを見据えて言うその顔は
いつもの親父さんからは考えられねぇ。

それに…別れろってなんだよ。

「親父さんっ!急に何を…っ」
この瞳がこうと決めたら譲らないと
あいつから嫌というほどに思い知らされてきたオレは
動揺を隠すことができずに思わず親父さんの肩を掴む。

そんなオレを見かねた西田が
「こちらでは何ですので…」
とオレと親父さんを近くの料亭の個室へ連れて行く。



西田が席を外して部屋の中には
テーブルを挟んでオレと親父さんの2人。

その間もオレの心臓はずっと嫌な音を立て続けていた。

「…親父さん。どういう事か説明してください。
 オレは牧野と…つくしさんと別れるつもりはありません。
 そりゃ育った環境は全然違うし、喧嘩だってします。
 だけどあいつを幸せにする自信はあります。
 …いや。あいつを幸せにできるのはオレだけだと思ってます」
姿勢を正して自分の気持ちを告げる。

そんなオレをじっと見つめた親父さんは
「つくしは…本当に道明寺さんといて幸せなんでしょうか?」
そんな事を言う。

「…あいつが何か言ってたんですか?」
オレの問いに静かに首を振る親父さん。
「だったらどうして、そんな事…」
そう言いかけたオレに

「……赤札」
そうポツリとこぼした単語に小さく肩が揺れた。

「そういう物が
 高校の時につくしに貼られたのは本当ですか?
 それを貼ったのが道明寺さんだったというのも?」
怒るでもなく悲しそうな顔で言われた言葉に
頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

__赤札。

それはこいつと出会うまでのオレがやってたバカな遊び。

それが牧野と出会うきっかけだった。

「……本当です」
まっすぐオレを見る視線が痛くて
少し視線落としながら答える。

そんなオレに小さく息をつくと
「いつの頃だったか、定かではないのですが
 学校からボロボロになって帰ってきたり、
 制服じゃなく体育着で帰ってきたりする事があって
 理由を聞いても答えず部屋に籠って泣いてる日もありました…」
そう静かに話す親父さんは
何も答えられないオレに続ける。

「…それがいつしかなくなってよく笑うようにもなった。
 その頃から道明寺さんの話をするようにもなったので
 私はてっきり道明寺さんがつくしを
 守ってくれたんだとそう信じて疑わなかったんです」

全校生徒から追いかけまわされ苛めにあったあいつ。
それは紛れもなくオレが原因だ。

好きだって自覚するまでは
それを笑って見てたあまりに馬鹿すぎた自分。

「赤札の事は…弁解はしません。
 あいつが酷い目に遭ったのは全部オレの責任です」

「…残念です」
困ったような顔で無理に笑う親父さんも辛そうだった。

その表情に
今までのオレへの信頼が
足元から脆く崩れ去っていくのを感じずにいられなかった。

「でも…っ!あいつを想う気持ちに嘘はないんです。
 あいつと出会ってなければどうしようもない人間だった。
 オレにはあいつがどうしても必要なんですっ!だからっ…」
焦りからテーブルに手をついて前のめりになって
言おうとした言葉の続きは

「…そのためにはどんな手段も厭わないと?
 果たしてつくしは道明寺さんといて本当に幸せなのでしょうか?
 心の傷っていうのは目に見えない分、思ってるより深かったりもします。
 つくしは道明寺さんと別れる事で
 また自分や周りに何かされるのではないかと
 怯えているだけのような気がして仕方ないんです…」

牧野を想って辛そうな表情を浮かべる親父さんに
今は何を言っても届かない気がして
オレはそれ以上何も言えなくなってしまった。





いつも応援ありがとうございます♡

第6話の牧野家エピの部分、
  実はパパの言動にすごく気を使ってました(・∀・)テヘッ★
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悠★様

そうなんですけどねぇ。

これもパパなりの親心で
素敵な人だと信じていただけに
まさかの苛めの首謀者という事実に
パパもショックだったんだと思います(ノД`;)

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No title

そう、壁を造ったのは、つくしパパなんだ~
でも、相変わらず、玉の輿を夢見てるママもだけど、自分の娘がどうしてるのか?何を考えてるのか?全然見えてない両親だよね~
あんな狭い部屋に固まって住んでるくせに!
つくしちゃんは、パパの行動を知らない訳だから、JUJUは、今のところ、司君より悪いとも、思わないけど……
まぁ、両親の前で、司君と別れて、辛い(≧ω≦)って、顔をしないところが、つくしちゃんらしくてねぇ~
それだけ、親にも弱音を見せないって、つくしちゃんの両親には、ホントガッカリ!
しょうがない、司君どうするつもりなのか、とにかく、頑張れ~

No title

こんにちわ
二次小説で現実逃避して また活力もらっています
今回のお話 なかなか先がみえなかったけれど なんとなく見えてきた~❗
またまた 続きが楽しみです🎵

じゅ★★様

そうなんです。
司君の壁はつくしパパでした(^^;)

つくしちゃんの気持ちも
ある理由によって勘違いしてるんですよね、実は。
まぁその辺りはいずれつくしちゃんに
ぶっ飛ばしてもらうとしますので
その時を潜水しながらお待ちください(^^)

ka★★★様

そうなんです。
つくしパパだったんです(^^;)

信頼ってほんと築き上げるのは大変でも
崩れるのは一瞬ですよねぇ。

これを知ったつくしはきっと激怒ですね。
つくしパパは原作よりドラマの方のイメージで
書いてる事が多いです(^^)
そしてちょっと男気プラス…(笑)?

つくしちゃんも事情を知れば
けっこうあっさり解決しちゃうんですけどねぇ。
それはもうちょっと先になります。

JUJU様

そうですね。
ほんとどうしようもない両親です(^^;)
でもこんな両親だからこそつくしが
あんな感じで育つんですよねぇ~。

たしかに辛い、悲しいって顔に出してたら
パパの考えもきっとすぐに改まってたかもしれませんね(--;)
司君、応援してあげてください(^^)

takako様

とりあえず司君の壁がつくしパパだってわかったので
モヤっとした所はなくなりましたかね?

続きも楽しんで頂けると嬉しいです(^^)
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