私を嫌いになって 6

あれからもどんなに手をつくしても、
つくしの行方を割り出す物は出てこなかった…。

徹底的に隠してやがる…
だがこのまま引き下がると思うなよ…?


『私を嫌いになって』   第6話


「うん。血液検査の結果も申し分ないね。
 この調子が続けば春には退院できるかもしれないよ」
つくしの主治医はカルテからつくしに視線を移して微笑んだ。

別にあたしだって死ぬ覚悟を決めてたワケじゃない。
意地でも生き抜いてやるつもりではいたけど、
お義母様からあいつの話を聞いて気合いが入った。
私を好きだと言うアイツを置いては逝けない…。
これだけは私の中でどうしてもゆずれない。
アイツが諦めない限り、私は死ぬわけにはいかない。

それは嘘をついてひどい言葉を投げつけて
傷つけたアイツに対してのせめてもの懺悔でもあると思うと
以前よりもっと前向きに治療に専念できていた。

そして季節は進み秋から冬に差し掛かろうとして、
綺麗だった紅葉も落葉し始めていた。

「あの木の葉っぱが全部なくなったら私の命も尽きる…なんちゃって」
窓から外を覗いてお気に入りの木を指さしながらクスクス笑う。
その時ザァっと吹いた風が葉っぱを数枚舞い散らせた。

「ありゃ…。縁起悪いなぁ…葉っぱなくなっちゃうじゃん」
今度は少し頬を膨らませて窓を指でつんつんと突ついてみせた。

「だったらあの木の葉っぱ、全部接着剤でくっつけるか?」
そう後ろから聞こえた声と同時に大きな温もりに包み込まれたあたし…。

声が…出ない…。
だって……間違うはずがない。
この声…この香り…この温もり…。

「やっと見つけたぞ……」
そう言ってぎゅう~っと力を込めて抱きしめるアイツ…。

「……ど、…して」
絞り出すように吐き出した声は震えていたと思う。

「オレ様を誰だと思ってんだ。
 お前1人を見つけられねぇワケがねぇんだよ。」

まるであたしがここにいるのを確かめるように
何度も何度も髪にキスを落としてくるアイツ。

「まぁそう言いながらも今回は随分手こずったけどな。
 さすがはババァと言ったところか?
 お前の行方はどう調べても割り出せなかったから
 別の角度からお前を探すことにしたんだ。」

「別の角度…?」
呆然としたままアイツの言葉をそのままくり返す私。

「あぁ。お前の行方がわからねぇならお前と接触する奴を探ればいいんだ。
 つまりはババァだ。それに気づいてからは早かったぜ?
 基本日本でもNYでも本社かでかい支社しか行かねぇくせに
 こんな田舎の方にわざわざ泊まりで出張に何度も来てるじゃねぇか。
 それでこの間の出張の時に尾行させたたら
 この病院に寄ったっていうんだから、ビンゴだろ?」
得意気に話してくるアイツ…。

「ただ病院って言うから、どっか悪りぃのか心配だった。
 さっきお前の主治医に話聞いて来た。
 ババァにも電話した。全部話してくれた。
 オレの事を思ってくれてるっつーのは嬉しいけどよ、
 いくらなんでもこれはねぇだろうが…。
 オレが知らねぇ所でお前が1人で苦しんでて
 下手すりゃ死んでたかもしれねぇなんて冗談じゃねぇよ。
 お前がぐだぐだ考えると本当ロクな事になんねぇ…」

そこまで話すと、ふぅーっと息を吐いて
アイツはあたしの体をくるっと回転させて向かい合う形にして
はじめてアイツの顔をしっかりと見れた。

あぁ…司だ。
本物の司だ。
そう思うともう溢れてくる涙を止められなかった。

その涙を親指でグイッと拭いながら
「いいか?忘れるんじゃねぇぞ。
 お前が何を言ったって何をしたって
 オレがお前を嫌いになるなんて事は絶対にねぇ。
 …無駄な努力してんじゃねぇよっ」
そう力強い眼差しでしっかりと視線を合わせながら言ってくれた司。

「つ…か…さ。つかさ…。司ぁっ!」

「ごめんね」でも「愛してる」でも
本当に言いたい言葉はたくさんあったはずなのに
どうやって口を開いても名前しか出てきそうにない。

「会いたかった…。会いたくて気が狂いそうだった…」
そう言ってアイツは唇を近づけてきた…。


どれくらいの時間抱き合っていただろう…
司がフッと笑いながら言った。
「それにたとえ死んだって大丈夫だろ」
へ?と顔を上げると
「地獄にだって追いかけてくって言ったろ?
お前が1人で逝こうとしたって力ずくで連れ戻してやるし
 どうしてもダメなら一緒に逝ってやるから安心しろ」
そう言ってニヤリと笑う司。

わがままで単純でバカだけど、絶対にブレない…。
あいつらしい言葉に安心してあたしは気づいたら笑ってた。

「バカね。私は死んだら天国に行くんだから。
間違っても地獄になんか落ちないわよ。
 でもあんたは無理そうだからまだ死なないでいてあげる」



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