TAKE2 20

気がついたらアイツが昨日まで使ってた部屋に来ていた。
当然だが牧野はいねぇ。

だけど部屋の隅にはアイツの荷物がまだ少し残っていた…。


『TAKE2』   第20話


どうしてオレたちはこうなんだ…。
あと少しの所でいつもアイツの手が掴めねぇ…。

「はぁぁ…」
重たいため息をつくと、ソファに身を預けて目を閉じる。

あの頃のオレならともかく、
今のオレなら選んでくれるような気がしてたのに
結局オレは類には敵わねぇって事なのか…?

それでも。

それでもオレはあいつを諦められねぇ。
あいつが今誰を好きだったとしても
オレに振り向かせるしかないんだよな…。


「あんた、こんなとこで何してんの?」


聞こえた声に目を開けると牧野の姿。
帰って来たのか?…んなわけねぇか。
荷物引き取りに来たっつーとこか。


「あんた今日学校来てなかったけど体調でも悪いの?」
そう言いながらオレの額に手を当てて、反対側の手を自分の額に当てるこいつ。
「ん~…?熱はないよねぇ?」
オレはこいつの腕を掴んで引き寄せる。

急に引っ張られてバランスを崩した牧野は素直にオレの胸に落ちてきた。

「ちょ…っ!ちょっと!!」
慌ててじたばたして逃れようとする牧野。逃がすかよ。

あの頃のように嫉妬に狂ってこいつを傷つけたりはしねぇが、
だからってどうすればこいつが振り向いてくれるのかはわかんねぇ…。

「牧野…好きだ。むちゃくちゃ惚れてる」
こいつの耳に口を寄せて言えば、大人しくなった。

「な…何よ、急に」
「何って好きな女口説いてんだろ。
 どうやったらお前はオレのもんになるんだよ…」
これ以上ない程ストレートに言ってんのに
わかんねぇとかどんだけ鈍感なんだよ。

そしてこの鈍感女はオレの甘い雰囲気も全部無視して
どうでもいい話をふってくる。
「ねぇ…先輩が言ってたけど、あんた昨日暴れたんだって?」
…チッ。タマのやつ。チクってんじゃねーよ。

「別に物壊したりはしてねーよ…。
 失恋したんだからちょっとくらい荒れたってしょうがねぇだろ」
荒らした本人が言ってんじゃねーよ、という言葉は飲み込む。

「……誰が失恋したの?」
牧野の言葉にオレは頭痛を覚える。
こいつ…マジか。

「オレに決まってんだろ」
「…なんでそうなるの?」
「あぁ?お前は結局類が好きなんだろ?
 …オレに言わせてんじゃねぇよ。ったく。残酷な女だな、お前は」
「だから!なんでそうなるの?先輩に言われて
 まさかとは思ったんだけど…本当に昨日話聞いてなかったって事?
 だからあんた反対も何もしなかっただけなの?」
そう言った牧野は眉間にシワが寄ってる…。

反対って…反対したってお前は出て行くつもりだったんだろ?
…つーか、何か怒ってねぇか?こいつ。

「な…なんだよ。話って…」
何が飛び出すのかと思わず構えるオレにこいつは
「あたし…記憶戻ったよって昨日言ったよね…?」
ムスッとしたままの表情で言う。


アタシキオクモドッタヨッテキノウイッタヨネ…


キオクモドッタ…って“記憶戻った”か!?


「はぁぁ!?ふざけんなよ、お前!そんな大事な事はちゃんと言えよ!」
あまりの衝撃にオレはつい立ち上がって怒鳴っちまう。
つられて牧野も立ち上がる。
「だからちゃんと言ったでしょう!あんたこそ
 あんな静かな車の中で話しててどうして聞こえてないのよ。
 人の話を聞いてないのが悪いんでしょ!?」

う…。確かにそれは一理あるかもしれねぇ。
でもそれはお前が急に出ていくとか言うからで…

「やっぱり10分手繋いだくらいじゃ許せねーんだと思ってたんだよ…
 だからオレに愛想つかして出て行くのか…って」
「はぁ?女に二言はないわよ。許すって言ったら許すっつーの。バカ!」
そう言いながら蹴りを入れてくるこいつ。

「じ…じゃあなんで昨日類と2人で非常階段にいたんだよ…」
「本読んでたら花沢類が来て、記憶戻ったって話してただけでしょ!
 見てたんならあんたも来ればよかったじゃないっ」
今度は舌をべーっと出してきた。

コロコロ変わるコイツの表情。
まっすぐオレを見据えるでっかい瞳。
オレに対して一切遠慮なんてねぇ言動。

それはオレが知ってる、
オレが好きなコイツそのもので。

「マジで記憶戻ってんのか?」
そう聞くとコクンと頷いて、
「…じゃあオレのこと好きか?」
その質問には顔を赤くして
「…バカ」とだけ答える牧野。

…マジかよ。

昨日からどんだけ落ち込んだと思ってんだ…。
そう思うとなんだか力が抜けてきて、またソファに沈み込んだ。

牧野もそんなオレの横にちょこんと座って
「本当に聞いてなかったの?じゃあもう1回言うね。
全部思い出したよ。忘れててごめんね?」
「マジでありえねー女…」
目を閉じたままため息をつくオレ。

「怒ってる?許さない?」牧野が聞く。
「あぁ、許さねぇ」
即答してやる。お前もちょっとはドギマギしやがれ。
「…どうしても?」

ほんとはもう怒ってねぇ。
そもそもこいつはオレのせいで刺されたんだ。怒れるわけねぇだろ。
それにオレは結局お前さえいればそれでいいんだからよ。

「ねぇ、どうしても許さないの?」
何も言わないオレに牧野の声は少し小さくなった。

もうそろそろいいか?

「許してほしいのか?」
「…うん」
「じゃあ10分…いや20分だな。手繋いでろ」
そう言ってオレは手を出す。

すると牧野はクスっと笑って
「特別に30分繋いでてあげる」
そう言ってオレの手に自分の手を重ねてきた。



~fin~




★あとがきはコチラ~★
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非公開コメント

涙が出ちゃいました。

司とつくしの愛が痛い程伝わって来て、泣いてしまいました。素敵なストーリーをありがとうございます!

おはぎ様

こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございます。

私のような拙い文章のお話で泣いていただけるなんて
こちらが嬉しくて泣きそうです(;;)

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