still love you 24

あれから一週間が経った頃。

タマさんに叱られる前に、と
あたしは久々に道明寺邸を訪れた。


『still love you』   第24話


タマさんの和室で2人でコタツに入りながらお茶を飲む。

「はぁぁ…。またここでこうやって
 タマさんと話せるなんて思ってなかったです」
「何言ってんだい。坊っちゃんとどうなろうと、
 ここにはいつでも来たらいいって言ったのに
 全然顔を出さなかったのはあんたじゃないか…」
そうジト目で睨まれてははは…と乾いた笑いを返す。

約束の4年を過ぎてレッスンを辞めた時
あたしはもうここには来ないと決めていた。

それはいつかあいつの奥さんになる人が現れたら
いくら本人に会いに来てないとは言え
元カノなんかが出入りしてたら
その人に不安を与えてしまうとか
そうなったらタマさんにだって気を使わせちゃうとか
言い訳はいろいろあったけれど

実際はあいつを忘れてない自分に気付きたくなかったからだ。

未練がましくこの邸で待ってるみたいなのが嫌で
その未練を丸ごとネックレスとケータイと一緒に置いて行った。

そう言えば、あれどうしたのかな…。

前に返した時はその場で川に投げたよね。
あいつの事だから捨てちゃったかな、やっぱり。


「……くし。…つ……っ!こら!聞いてんのかいっ!?」
「へっ!?あ!はいぃっ!!」
ついつい考え込んじゃってぼーっとしてたら
タマさんの話を聞いてなかったらしい。

「だから坊っちゃんが今日は出来るだけ早く帰るから
 帰さずに待たせてろって言ってたって話をしてんだよ」
「えぇ~…今日は早く帰るつもりだったのになぁ…。
 今日お肉が安い日なのになぁ…
 気づいたらこっそり帰ってたって事でダメですか?」
そう聞いたあたしに
「あんたを帰したら叱られるのはあたし達なんだからね。
 使用人に迷惑かけたくなかったら、大人しく待ってるんだね」
「…タマさん。それズルいです……」


そんなワケでタマさんとまったり過ごした後は
あいつの私室で帰りを待つ事にして
コートをソファにかけようとした時に
袖口のボタンが取れかかってる事に気が付いた。

付け直しておこうとソーイングセットを探したけれど
会社用の鞄に入れたままになっていて入ってなかった。

「…仕方ない。糸だけ切っとこ」
そう思ってハサミを探そうとあいつのデスクの引き出しを開けてみた。

「あ。あったあった…ちょっと借りるよー……」
そう伸ばしかけた手がピタッと止まる。

引き出しの奥にあたしが置いていったケータイがあったから。
「まだ持ってたんだ…」
ハサミに伸びていた手でケータイを取る。

「……うそ。なんで?」
思わずそう呟いてしまったのは
ダメ元でやってみたのに電源が入ったから。

電話帳を開いてみれば
相変わらず「オレ」が1件だけ。

「……あれ?オレだっけ?オレ様じゃなかった?」
首をかしげていると

「壊れてたから直させたんだよ」
そんな声と同時に後ろからふわりと抱きしめられた。

「…おかえり。
 わざわざ直したんだ…」

でもどうして?とあたしが聞く前に
あたしの手からパッとケータイを取り上げた道明寺は
ピッピッ…と操作するとメールボックスを開いてあたしに見せた。

そこには未読のままのメールがたくさん届いていた。
それを1つ1つ開いてみると

悪かった、とか
すげー後悔してる、とか
会いたい、とか
愛してる、とか

そんな言葉の合間に

あの男お前の何だよ、とか
ローストビーフ美味かったかよ、とか
あいつの次は類かよ、とか

意味のわからないメッセージもあって
不思議に思って日付を見て驚いた。

未読のメール。
てっきり日本に戻ってくる前に送ってたのかと思ったのに
それは全部つい最近送られたもので。

「……自分の手元にあるケータイにメールしてたの?」
腕の中で体を反転させて道明寺を見上げようとすると
それを拒否するみたいにぎゅっと強く抱きしめてくる。

「お前が誰とどうなろうが
 今さらオレに文句言う権利も
 お前から愛される権利もねぇってわかってても
 どっかに吐き出さねぇと気が狂いそうだった…」

「……また泣いてる?」
そう聞いたあたしに
「泣いてねー」
とムッとした声が返ってくる。

「ね。それ、あたし持っててもいい?」
「あ?別にいいけどお前ケータイ持ってんじゃねぇか」
訝しげな顔をしている道明寺の横で
あたしはケータイを操作して
電話帳の名前を「オレ」から「へたれ」に書き換えた。

「へたれ専用ケータイにするから」
クスッと笑いながら言ったあたしに
「…てめぇ」
と青筋を浮かべるこいつ。

「…だから。
 今度から不安になったら隠してないでちゃんと吐き出して。
 あんたが守ってくれようとしてた気持ちは嬉しいけど
 守られるだけの女なんてごめんだって言ったでしょ?
 そりゃあんたが抱えてる物全部は
 あたしには理解できないかもしれないけどさ。
 2人で持てばちょっとは軽くなるでしょ?」

だから、2度といなくならないで。

そう続けようとした言葉
唇をこいつに塞がれて言えなかった。





いつも応援ありがとうございます♡

★ちょこっとお知らせ★

わざわざ私が言わなくてもご存知の方も多かとは思うのですが
『With a Happy Ending』のHappyending様が
komaもつまみ食いさせて頂いた
曼荼羅華』のまま様の「第三医務室の牧野先生」のお話を
今日と明日、前後編でアップされる予定です♪
まま様のブロともさんじゃない方もきっと楽しめます(^^)
ぜひぜひ皆様もGOGOですよ~☆

勝手におかわりまで企んでるkomaとしましては
つまみ食い仲間ができてウハウハ♪

いやぁ。いい週末になりそうです(*^^*)

ではでは取り急ぎお知らせでした♪


koma
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悠★様

つくしちゃんの元に戻れたので
屍は回避できましたかね(^^;)
根性叩き直すのはつくしちゃんの
得意技なのであとはおまかせしておきます(笑)

チビ★★★マ様

お休みは本当にあっ!という間ですよね~。
まだ頭が正月ボケしてます(笑)

今回はどうしようもない司ですが
そこがまた可愛く見えてくれたら
komaはガッツポーズです(^皿^)

ラストにむけて
もう少しだけ続きますので
最後までお付き合い頂けると嬉しいです♪

No title

ホントに、つくしちゃんって、男前~
でも、守られてるだけなんて、嫌!って、つくしちゃんは、前から言ってたし、お互い守り護られて、幸せになって欲しいな(^-^)

JUJU様

今回は司君がへたれな分、
つくしちゃんがカッコいいですね(^^)

ラストも近づいてきたので
2人が心から笑い合いえるまであと少しです♪
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