TAKE2 19

牧野はその日
やっぱり邸には戻ってこなかった。

お前がいない…たったそれだけなのに
邸がやたら広くて寒く感じた…。


『TAKE2』   第19話


あたしだってこのままあいつと一緒にいたいって気持ちはある。
だけど記憶が戻った以上いつまでもお世話になってもいられない。


今日登校する時に、思い切って道明寺に言ってみた。

『あたし、今日自分の家に帰るね…。
 いつまでもお世話になってるのも悪いしさ。
 意識不明になったり記憶喪失になったりで
 さんざん心配かけたんだけど、昨日寝てる間に
 全部思い出したんだよね。忘れてたりして…ごめんね?
 あんただってあたしの記憶がないから心配だったんでしょ?
 ならもうあそこにいる理由もないしいいよね?』

予想外にあいつは何も言ってこなかった。
てっきり「ダメだ!」とか言うと思ってたのに…。
それに記憶の事だってスルーかい。
アイツ変なとこ鋭いしとっくに気付いてたのかな?

予想外に大人しいから
ちょっと寂しいとか思っちゃったじゃん。

ま、あいつも記憶戻ったなら
何言ったって無駄だと思ったってとこかな?



放課後あたしはなんとなくまっすぐ帰る気にならなくて
非常階段で本を読んでいた。
そこにやってきた花沢類。

「あれ?今日は司と帰らないの?」
「あ~…うん。いい加減自分の家に帰ろうと思ってさ」
「へぇ…。よく司が受け入れたね?」
「やっぱり花沢類もそう思う?あたしも言い合いになる覚悟して
 言ったんだけどさ、何にも言わないから拍子抜け。
 あいつ、いつからあんなに聞き分け良くなったんだろうね」
そう言ってクスクス笑う。

そんなあたしをじーっと見る花沢類。
「へ…?な、何?」

「……あんたもしかして記憶戻ってる?」
花沢類に言われて、F3にはまだ言ってなかった事に気付く。
「あ、そう言えば昼にみんなにも言おうと思って忘れてた!
 うん。ご心配おかけしましたが牧野つくし復活しました!」
そう言って敬礼をするあたし。

「忘れないうちに滋さんと桜子にもメールしとこうっと…」
そう言ってケータイを取り出してみると…
あたしのケータイは電源が落ちててうんともすんとも言わない。

そうだ…あたし昨日昼からずっと寝てたんだっけ…とガックリしていると
「いいよ。オレから総二郎たちにも伝えとくから。
 一応聞くけど…司は当然知ってるんだよね?」
「うん。家に帰るって話と一緒にしたよ。
 あいつも記憶戻って安心したから帰るのも許してくれたんだろうね」




翌日。カフェテリアに行ってみるとF3がいた…けど道明寺はいない。

「あれ?道明寺いないの?」
あたしが声をかけると
「よぉ。牧野。記憶戻ったんだってな」と西門さん
「今、ちょうどお前の復活祝いオレん家でするかって話してたんだぜ」
と美作さん。その横で寝ていた花沢類も起き上がって
「そういや司、朝から見てないかも…寝てるんじゃない?」
とあくびをしながら言っている。

「類じゃあるまいし…って言いたいとこだけど
 牧野が起こしてやらねーから寝坊してんじゃねーの?」
と西門さんがあたしの肩に腕を回しながらニヤニヤしている。
「寝坊って言ったって寝過ぎでしょうが」なんて
ツッコミを入れて笑っていたけど
その日道明寺は学園に顔を出さなかった。

気になって電話をかけてみたけど呼び出し音が響くだけで繋がらない。
そう言えば、昨日もなんか大人しかったけど
体調でも悪かったんだろうか…?

「…気になって来たはいいけど…どうしよう」
昨日の朝までお世話になってたものの、
いざ1人で入ろうとするとやっぱり尻込みしてしまう道明寺邸。

門の前でウロウロしつつ、やっぱり帰ろうかと思った時、
「おや…やっぱりつくしじゃないか」
そう言って中から声をかけてきたのは先輩だった。
「せ、先輩!良かったぁ。もう帰ろうかと思ってたんです」
「とりあえず中に入りさね。お茶でも付き合っとくれ」
そう言って開けてくれた先輩について行く。

「あぁ~…やっぱり先輩の部屋は落ち着くなぁ」
入れてもらった緑茶を飲みながら和むあたしに
「あんた…さっきからあたしの事先輩って呼んでるけど
 もしかして思い出したのかい?」と先輩。

「へ?あいつから聞いてませんか?
 おととい死んだように眠ってた間に全部思い出しました!
 先輩にもたくさん心配かけちゃって…って!
 そうそう!またあいつ起こす係にするなんてヒドいですよ!」
そう言って抗議をしているあたしを訝しげに見ている先輩。

「…な…なんですか?何かついてます?」
「あんた、それ坊ちゃんに言ってるんだろうね?」
「え…。ちゃんと誰より最初に言いましたよ!
 それに言う前に気付いてたっぽかったですよ?あいつ」
そう自信満々に答えるあたし。

「じゃあその後早速喧嘩でもしたのかい?」
「ま…まさかっ!
 いくらなんでもそんな事しませんっ」
首をブンブン振って否定する。

「じゃあ坊っちゃんは昨日から何をあんなに荒れてるんだろうね…。
 昨日帰ってくるなり、久々に大暴れさ。
 あんたも帰って来ないし
 あたしゃてっきりあんたと何かあったと思ってたんだけどねぇ?」

「え…えぇ~~!?」





★明日でラスト★
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