TAKE2  15

気にしちゃダメだって思ってても
もしあの夢が現実にあった事だったら…

そう思うと
道明寺の瞳を見るのが怖くなった…。


『TAKE2』   第15話


ここ最近は昼休みになると
カフェテリアに行っていたあたし。

だけど今日は行く気になれなくて非常階段に来ていた。



すごく冷たくて昏い瞳をしていた…。

少なくとも今のあたしはあんな道明寺を知らない。
あ、でももともと気に入らないと暴力で片づけてたよね…。
じゃああれが道明寺の本性って事なのかな…。

でも…。

「やっぱりここだった」
後ろから声をかけてきたのは花沢類だった。

「なんでここが…?」
ここはあたしだけの秘密の場所だったはず。

「俺もここでよく昼寝してたんだよ。
 あんたの絶叫でよく起こされたんだけど…」
そう言うとツボに入ったようにケラケラ笑いだした。
…ってかあたし、ここでロクな事叫んでなかった気がするんだけど…。

「司、ヘコんでたよ?」
そう言いながら、漸く笑いやんだ花沢類があたしの横に座った。

「……うん」傷つけた自覚があるだけに何も言えない。
「何か思い出した?」
思い出した…と言うのだろうか。そもそもあれが事実かどうかもわからない。

かと言ってあんな事…
いくらなんでも聞けるような内容じゃないよね。

「う~ん…」あたしが言葉に詰まっていると、
「別に話したくない事は話さなくてもいいよ。
 あんたが何か困ってるなら助けてあげたいって思っただけ」

そう言えば…。花沢類だって前に思ってた印象とは全然違う。
あたしが思ってたイメージなら
花沢類は何事にも無関心そうで、少なくともこうやって
あたしなんかと肩を並べて相談に乗ってくれるような人じゃなかった。

「あんたが変えてくれたんだよ」
「へ?」あたしが顔を上げると
「また声に出してるよ。」と花沢類がクスッと笑う。

「牧野に出会う前の俺なら、あんたのイメージ通りだろうね。
 別に他人がどうなったって興味がなかった。
 でもあんたと出会って関わるようになって変わったんだよ。
 牧野が俺ら全員に喝を入れて変えちゃったんだから。」

なんだかスゴイ事を言われているような気がするんだけど…。

「気になる事があるなら遠慮してないで本人に聞いてみたら?
 たとえ自分にとって都合の悪い内容だったとしても
 司はごまかしたり逃げたりしないと思うよ?」
そう言うとあたしの頭をポンポンと撫でて、花沢類は行ってしまった。




その日の夕方。
校門を出たいつもの所で、道明寺の家の車が停まっていて
その車の横を行ったり来たりと道明寺がウロウロしていた。

「……何してんの?」あたしが声をかけると、ビクッとして
「べ…別に!う、運動だよ運動!」と顔を赤くしている。
明らかに様子が変だ…なんなのよ。

「……乗ってく、だろ?どうせ一緒の家に帰るんだしよ…」
いつもならとっとと乗れだの、早くしろだの、偉そうなくせに…
どうして今日は聞いてくるのよ。
だから、
「…いいの?」とつい聞き返してしまった。
すると
「いいに決まってんだろ。ほら…」
とあたしの手を取ろうとしたあいつがピタッと空中で手を止めた。

『司、ヘコんでたよ?』

あぁ、そうか。
こいつ朝の事をまだ気にしてるんだ…。

「帰ろうっ」

出来るだけ明るく振るまってそう言ってあたしは
あいつの空中に浮いたままのあいつの手を取って車に乗り込んだ。
あたし達が乗ったのを確認した運転手さんがドアを閉め走り出す。

「……」
「……」

「……あの、さ。手…離しても…いい?」
車に乗る時にでもさっと離せばよかったんだろうけど、
なんとなくタイミングがわからなくてそのままで、道明寺も離そうとしない。

「……かと思った」道明寺が何かを呟いた。
「え?ごめん、何?」あたしはそのあまりに小さな声を聞きとれなかった。

するとあいつは繋いだままの手に力を入れて
「今日は…朝から何か変だったし、昼も来ねぇし…。
 ……勝手に1人で帰っちまうかと思った」

そう言うあいつはあたしを見ようとはしなかったけど、
赤くなった顔をごまかすように繋いでいない方の手で頭を掻いていた。

そんなこいつを見ているとなんだかおかしくなってきて
今朝はあんなに怖く感じた道明寺が可愛く思えた。

あの夢が現実なのかはまだわからない。
いつの事かもわからない。

だけど、今のこいつがあたしに向けてくれる気持ちは
決して嘘なんかじゃないんだと思う。

「ごめんね。うん、あれはもういいの…」
あたしの言葉に漸くチラッとこっちを見て
「……そうかよ」ちょっとムスっとしたあいつ。

「怒ってるの?」と聞いてみたら
「…別に」とため息をつかれた。

ふと下に落とした視線に
ますます離すタイミングが
わらかなくなってしまった2人の手が映る。

「邸に着くまでこのまま手繋いでたら許してくれる…?」
冗談半分で聞いてみたあたしに

「……部屋までだ!」
そう言ってあいつは所謂恋人繋ぎというやつに手を組み替えた。
その手は暖かくて、熱いくらいだった。

うん、信じよう。
あたしは今、目の前いる道明寺を信じる…。



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