嘘のようなホントの話 10

「オレはお前が好きだ」

唐突すぎる道明寺の告白。
とても信じられなくて冗談なのかと思う一方で
この力強い瞳を知ってるようなそんな不思議な感覚がした。


『嘘のようなホントの話』   第10話


まだ言うつもりはなかったのに
オレから離れようとするこいつに焦って
つい告っちまった。

案の定、こいつはポカンと口を開けたまま固まっている。

「お前が忘れた記憶にオレが関係してるのは認める。
 でも別に思い出してほしくてお前の近くにいるわけじゃねぇ。
 オレはお前といたいからいるんだ。
 だからよ…オレを拒絶しないでくれねーか?」

オレも記憶を失った時はお前を拒絶しちまったし
記憶にねぇ奴が近くにいて
自分を知ってると言われる気持ち悪さもわかるつもりだ。

だけど…。
それでもオレはお前だけは手放せねぇ。

記憶なんてなくてもかまわねぇ。
今はまだオレの事なんて好きじゃなくてもかまわねぇ。

記憶も気持ちも
そんなモンはこれからいくらでも作れる。

今はただ…
オレの存在を認めてくれればそれでいいんだ…。


「拒絶だなんて…そんなつもりは…」
牧野は申し訳なさそうに俯く。

「…いきなり悪かった。
 お前を追い詰めるつもりはなかった」
オレの言葉に小さく首を振る。

「それと勢いで告っちまったが
 これはオレの問題だからお前は気にすんな」
ポンとこいつの頭を叩くと
そっと顔を上げたこいつは
「気にすんなって…気にするでしょ」
そう言って困った顔をする。

「お前は知らねぇだろうけどな。
 オレはお前を追いかけるのは得意だ。
 今はオレの事が好きじゃなくても絶対捕まえる。
 お前が他の男によそ見するなら
 そいつをぶっ殺してでも取り戻す。
 だからお前が気にしてようがどうしようが結果は同じだ」
自信満々に言ってやると
「…何それ。超オレ様」
プッと吹き出して笑う。

「あぁ。実際オレ様だからな。
 告ったからにはこれからは遠慮なんてしねぇ。
 だからお前もオレに妙な遠慮するんじゃねぇぞ?」
「…う、うん。
 でもホントに迷惑じゃない?
 自分の事忘れたあたしなんて……嫌いじゃない?」
「…お前は話のどこを聞いてたんだ?
 オレはお前が好きだって言ってんだろうが。
 お前がお前なら、記憶なんてどうでもいいんだよ」
頬を軽く抓りながら言えば
「いひゃい、いひゃい」
とオレの胸を叩いて抗議してくるこいつ。

そりゃ記憶が戻るならそれに越した事はねーが…。

「オレも記憶喪失になった事があるからな…
 こればっかりは誰が悪いわけでもねぇし。
 どうしようもねぇのも嫌ってほどわかってんだよ」
「…え?道明寺も記憶喪失になった事があるの?」
オレの言葉に牧野は驚いてやがる。

「あぁ…。
 そういう意味じゃお前の一番の理解者か?
 わかんねー事があれば何でも教えてやんぞ?」
そう言ってニッと笑ってやれば

「…その記憶って取り戻せたの?」
と心配そうに聞く。
「あぁ。全部思い出した」
「へぇ…。それって何がきっかけで思い出したの?」
と今度は興味深そうに聞いてくる。

「ある人物に硬球思いきりを頭にぶつけられて気ぃ失った
 しかもそいつはわざとオレめがけて投げたんだ。信じられるか?」
オレがそう言えば
「えぇっ!? ひどいッ」
と牧野は驚きながらも同意してくる。
「オレもそいつは相当イカれてると思ったな」
まさかそのイカれた奴が
自分とは思いもしないだろうこいつにククッと笑う。

それからしばらく散歩をしてから
こいつをマンションまで送っていった別れ際。

「道明寺は思い出せてよかった?」
そう聞いてくるこいつ。

「そうだな。オレがオレでいるためには
 絶対不可欠な記憶だったから思い出せてなかったら
 今のオレはいなかったんじゃねぇか?」

あのボールやネックレスを返しに来たのは
牧野なりの別れの意思だった。
あの時点でお前が気になり始めていたのは確かだが、
あの一撃で思い出せてなかったら
お前はもうオレを受け入れはしなかっただろう。

「へぇ…。そんな大事な事忘れちゃったの?」
「あぁ。あんなに単純で当たり前な事を
 忘れるなんて今でも自分でバカだと思うな」

「あたしも思い出せるかな?」
「…さぁな。
 まぁ焦ってどうにかなる事でもねぇし?気長にやろうぜ」
「…うん。ありがと、道明寺」
そう言って牧野はニコッと笑った。





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ka★★★様

ここまではいつになく大人ですよね~(^^)
自分も経験したからこそ
つくしの気持ちもわかる坊っちゃん。

ただ…好きだって伝えて、
遠慮しないって言いましたからね……(○´艸`)クスクス♪

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悠★様

ふふふっ( *´艸`)
暴走がいつ始まるかって?

明日から早速暴走は始まりますよん(笑)

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