I miss… 12

牧野の目が覚めてからオレが卒業するまでは
出会ってからずっと嵐のようだったらのが嘘のように

普通に会ったり、喧嘩したり。
短い期間ながらもあいつとの時間を噛みしめながら過ごし
この幸せを永遠にするためにNYへと旅立った。


『I miss…』   第12話


高校卒業から4年後。


突然、ババァのオフィスに呼び出されたオレ。

「来月よりあなたに日本支社の専務として動いてもらいます」
そう言って渡してきた辞令とそれに関わる書類。

オレがNYに来た時、ババァと約束を交わした。
それは「社長としてオレを認められるまでは日本に戻すな」というもの。

この約束はもしかしたら
牧野との約束を果たせなくなる可能性も十分含んでいた。

だけど。
中途半端なままで戻っても意味はねぇ。
あいつを迎えるための力をしっかり身につけねぇとダメなんだ。

『我を通したいなら、それだけの力をつけろ』
そう言ったババァの言葉に納得したオレがいたから。

お前との約束を期限までに果たすために
努力と準備を今日までそれこそ寝る間も惜しんで必死にやってきた。

ババァが辞令を出すと言う事はそれを認めたっつー事だ。

「ありがとうございます」
書類を受け取り、踵を返したオレに

「話はまだ終わっていませんよ、司」
と声をかけてくる。

司、と呼ばれるのは久しぶりだった。
ババァは仕事の時は必ずさん付けで呼ぶから。
そう呼ぶって事はプライベートな話があると言う事だろう。

「…なんだよ?」
この4年で仕事の上でのババァの凄さは嫌と言うほど理解した。
だが、母親としてはまだわだかまりは残ったままで
構えずにはいられない。

「牧野さんとはうまく行っているのかしら?」
とこの4年、一度も名前を出す事もなかったあいつの名前を口にする。
「当然だろ。何のためにここまで頑張ってきたと思ってんだ」
「そう…」
軽く息をついて答えた姿に思わず眉間にしわを寄せる。

「……今さら認めねぇだの何だの言っても聞かねぇぞ」
そう睨みつけて言った言葉にもふぅっと呆れたように息をつくと
「誰もそんな事は言っていません。
 話は最後までちゃんと聞きなさい。…コレを、あなたに預けるわ」
そう言ってデスクの引き出しから取り出したのは1枚の紙。

「時期は2人で決めなさい」
そんなババァの言葉を聞きながら
2つ折りにされていた紙を広げたそれは

証人の欄に
ババァと牧野の父ちゃんの名前がが入った婚姻届。

驚いて何も言えずにいると
「それはあくまでも私達の意思を表したもの。
 牧野さんはまだ学生です。司の感情だけで事を進めないように」
と帰国したらすぐにでも出そうと思っていたオレを見透かすように
釘を刺してくるババァ。



1ヶ月後。
あいつを驚かせてやろうと
オレの日本支社赴任が正式に発表される前に
プライベートジェットで極秘帰国したオレは
逆に驚かされる事になる。

やたらとニヤニヤしたタマに促されるままに
邸の一室を覗いたオレ。

そこには講師だと思われる奴と牧野の姿。
「な、に…やってんだ、お前…」
思わず声をかけたオレにあいつが振り向く。

「えっ!?道明寺?…うそ!本物!?」
座ってた机から立ち上がるが
後ろの講師に怒られて
「…あと30分待ってて?それともすぐに会社かどっか行くの?」
「いや…今日は邸にいるつもりだけどよ…」
「じゃあ、またあとで!」
それだけ言うと牧野はまた机に座って授業を続けた。

仕方なく部屋を出ると
「…この4年。あの子はあの子なりに頑張ってたんですよ」
とタマ。

タマが話してくれたのはオレがNYに行ってすぐの話。
牧野はババァが日本に戻ってきた時に自分からアポを取り、
邸の使用人として働く代わりに教養を身につけたいと
頼んでいたらしい。

それに対してのババァの答えは…

「牧野さん…。それは本気で言ってるのかしら?」
「え…。はいっ!図々しいお願いだとはわかってますが本気です!」
「本気ならあなたはご自分を随分と過信してらっしゃるのね…。
 学校から帰り、邸で使用人として働いて残ったわずかな時間で
 司が戻るまでにあなたを一人前にできる講師などいません。
 やるなら学業以外の時間を全て費やす覚悟くらいなさい」

そう言ってすぐに牧野用のカリキュラムを組んだババァは
移動の時間すらもったいないと言いだし
最初は抵抗していた牧野もババァには逆らえず、邸で暮らしてるらしい。

「それこそ毎日寝る間も惜しんで勉強してるよ。
 もともと頭もいいし、努力家だからね。
 奥様もこの吸収力には驚いてんじゃないのかい
 今じゃすっかりどこに出しても恥ずかしくないお嬢様だよ」
まぁ、中身は変わらないけどね、と続けてケラケラと笑った。





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No title

お~、あっという間に4年を経過して、再会の二人…
お互い頑張った4年…
婚姻届も任されちゃって、後は二人のこれでよしの共通認識だけ?
坊ちゃんは、今すぐだろうけど、つくしちゃんは、どうかな?
でも、ラスボスが、オッケー出してるんだから、後は…
次の更新楽しみに待ってます(^O^)

悠★様

根拠と言われると、実はまったくありません(^^;)
難しい事は考えない主義なんで。

でも頭はよかったのでは…と。
特待生とか頭がいいとお得じゃないですか(笑)

JUJU様

実はあと2話でラストだったりするこのお話。
かけ足でラストまで行きます(^^;)

婚姻届すぐに使わせてあげたいんですけどねぇ。
つくしちゃんはやっぱり…?
最後までお付き合い頂けると嬉しいです(*^^*)
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