ツンデレ彼氏 6
「何にする?」
そう爽やかな笑顔で聞いてくる田中君。
「…好き嫌いないし、何でも」
とあたしは小さく笑って返すの精一杯。
『ツンデレ彼氏』 第6話
あの日。
道明寺が何も言わずに立ち去った事がショックで
黙り込んでしまったのを
返事に迷ってると勘違いした田中君は
「すぐに返事しなくてもいいから。
とりあえず1回くらい食事に付き合って?
ゆっくり考えてから答えを出してほしいんだ」
なんて言ってたらしく…。
上の空だったあたしはその言葉に頷いた…らしい。
そして今日。
こうして田中君と食事に来るハメになったわけで。
少しいつもよりお洒落した自分。
彼が予約してくれたレストランでエスコートされて
楽しい話で笑わせてくれるような甘い時間。
憧れてたシチュエーションなのに
どうしてだろう…全然ときめかない。
「ごめん。ちょっと化粧室行ってくるね」
こんなに良くしてくれてるのに、
そんな事を考える自分が申し訳なくなってきて席を立つ。
「今日の帰り…ちゃんと断ろう」
そう決意して化粧室から出ると
「…楽しそうだな?」
と後ろから聞こえた声に振り返ると
そこには壁にもたれて腕組みをしている道明寺。
「ど…道明寺…どうして」
「ちょっと告られたくらいで、
簡単について行くような女だったのか?」
そう言う道明寺の声はすごく低くて怒ってるのがわかる。
「なに、よ…彼女が告白されてたって無視して帰ったくせに…」
「あ?」
「あたしが誰とどうしようと、どうせ興味なんてないんでしょ?」
「何拗ねてんだよ、お前。…オレはっ
…チッ!とにかく帰るぞ!ほらこっち来いっ」
そう言って道明寺があたしの腕を掴んだ所で
「司?こんな所にいたのか。
女の子たちも揃ってるから早く来いよ…って、やべっ。牧野…?」
廊下の角から顔を出した西門さんは
道明寺の影になっていたあたしに気が付いて
気まずそうに口に手を当てた。
「…なんだ。
あたしの事責めてたくせに、自分だって合コンなんじゃない」
「ちげーよっ!これは…」
「10分の1くらいしか好きにならないって本当だったんだね。
…ううん。10分の1どころかそもそも
あたしの事なんて好きでもなんでもないんでしょ?」
ちょっとはあたしの事好きになってくれた、とか
お弁当のおかず独り占めしたい、とか
自惚れもいいとこじゃん。
考えてみたらキスはしてても
あたし、あんたから「好きだ」なんて1度も言われてない。
この1年のあたし達って一体なんだったんだろう…。
デートもしないし、ケンカもしない。
相手が他の誰かに告白されても何も言わない。
こんなのやっぱり付き合ってるって言わないよ。
あたしがただ道明寺に勝手に纏わりついてただけじゃない。
それを道明寺が拒否しなかった。
ただ、それだけだ。
「牧野、ちょっと待て。話を…」
道明寺に掴まれた腕を振り払うと
「彼女がいるのに合コンに行くような男は嫌い。
そんな彼女ならいてもいなくても一緒でしょ?
……あたし達、もう別れよう。
これも、ありがとう。でももうつける理由ないから返すね…」
首から下げたネックレスを外して渡すと
そのまま道明寺の顔も見ずに立ち去った。
勢いだけで告白して始まったあたし達の関係。
初めての喧嘩はそんな関係に終止符を打つものだった。
いつも応援ありがとうございます♡
そう爽やかな笑顔で聞いてくる田中君。
「…好き嫌いないし、何でも」
とあたしは小さく笑って返すの精一杯。
『ツンデレ彼氏』 第6話
あの日。
道明寺が何も言わずに立ち去った事がショックで
黙り込んでしまったのを
返事に迷ってると勘違いした田中君は
「すぐに返事しなくてもいいから。
とりあえず1回くらい食事に付き合って?
ゆっくり考えてから答えを出してほしいんだ」
なんて言ってたらしく…。
上の空だったあたしはその言葉に頷いた…らしい。
そして今日。
こうして田中君と食事に来るハメになったわけで。
少しいつもよりお洒落した自分。
彼が予約してくれたレストランでエスコートされて
楽しい話で笑わせてくれるような甘い時間。
憧れてたシチュエーションなのに
どうしてだろう…全然ときめかない。
「ごめん。ちょっと化粧室行ってくるね」
こんなに良くしてくれてるのに、
そんな事を考える自分が申し訳なくなってきて席を立つ。
「今日の帰り…ちゃんと断ろう」
そう決意して化粧室から出ると
「…楽しそうだな?」
と後ろから聞こえた声に振り返ると
そこには壁にもたれて腕組みをしている道明寺。
「ど…道明寺…どうして」
「ちょっと告られたくらいで、
簡単について行くような女だったのか?」
そう言う道明寺の声はすごく低くて怒ってるのがわかる。
「なに、よ…彼女が告白されてたって無視して帰ったくせに…」
「あ?」
「あたしが誰とどうしようと、どうせ興味なんてないんでしょ?」
「何拗ねてんだよ、お前。…オレはっ
…チッ!とにかく帰るぞ!ほらこっち来いっ」
そう言って道明寺があたしの腕を掴んだ所で
「司?こんな所にいたのか。
女の子たちも揃ってるから早く来いよ…って、やべっ。牧野…?」
廊下の角から顔を出した西門さんは
道明寺の影になっていたあたしに気が付いて
気まずそうに口に手を当てた。
「…なんだ。
あたしの事責めてたくせに、自分だって合コンなんじゃない」
「ちげーよっ!これは…」
「10分の1くらいしか好きにならないって本当だったんだね。
…ううん。10分の1どころかそもそも
あたしの事なんて好きでもなんでもないんでしょ?」
ちょっとはあたしの事好きになってくれた、とか
お弁当のおかず独り占めしたい、とか
自惚れもいいとこじゃん。
考えてみたらキスはしてても
あたし、あんたから「好きだ」なんて1度も言われてない。
この1年のあたし達って一体なんだったんだろう…。
デートもしないし、ケンカもしない。
相手が他の誰かに告白されても何も言わない。
こんなのやっぱり付き合ってるって言わないよ。
あたしがただ道明寺に勝手に纏わりついてただけじゃない。
それを道明寺が拒否しなかった。
ただ、それだけだ。
「牧野、ちょっと待て。話を…」
道明寺に掴まれた腕を振り払うと
「彼女がいるのに合コンに行くような男は嫌い。
そんな彼女ならいてもいなくても一緒でしょ?
……あたし達、もう別れよう。
これも、ありがとう。でももうつける理由ないから返すね…」
首から下げたネックレスを外して渡すと
そのまま道明寺の顔も見ずに立ち去った。
勢いだけで告白して始まったあたし達の関係。
初めての喧嘩はそんな関係に終止符を打つものだった。
いつも応援ありがとうございます♡