幼馴染 episode 0

「本日より、牧野もこの邸で住み込みでお世話になります。
 坊ちゃま。これが私の家族です。どうぞお見知りおきを…」

そう言って使用人の牧野が家族をオレに紹介してきたのは
オレが5歳の時だった。



『幼馴染』   ~episode 0~



「よろしくおねがいします」
牧野の後ろに隠れるように立っていた女の子が
不安そうに少しだけ顔をだしてペコッと頭を下げる。

「あぁ…」
なんだコイツ。
挨拶もろくにできねぇじゃねぇか。
まぁまだチビだからな。仕方ねぇか…。
そう思ってると

「よろしくおねがいします」
と、また同じ事を言う。
「1回でわかるだろ。何回も言うな」
バカなのかとムスッとして答えると

「ちがうよ。いまのは おとうとの すすむのぶん。
 まだあかちゃんで、しゃべれないからかわりにいったの」
そう言いながら指さすからそっちを見ると
おばさんが少しかがんで抱っこしてる赤ちゃんを見せてくれた。

「かわいいでしょー」
とさっきまで牧野の後ろに隠れていたのに
すすむの話になったとたん ぱぁっと表情が明るくなって前に出てくる。

「…かわいい」
「でしょー?」
と嬉しそうにまた笑う。

…かわいい と思った。
赤ちゃんじゃなくて、この女の子が。

「…名前は?」
「ん?すすむだよ?」
「ちげーよ。お前の名前」
「あたし?あたしはつくしだよ」
「つくし…」
その時すすむが泣き出して
「あ、きっとオムツだよ。ママいこー」
そう言っておばさんを引っ張って行ってしまった。

「おいっ…」
オレが呼びとめたのも聞かないで
「じゃあまたねー」
と小さな手をブンブンふって歩いて行った。



次の日。

オレは牧野が暮らしている部屋に向かう。
ノックするとつくしが出てきた。

「あれ。どうしたの“ぼっちゃま”」
そう言って首をかしげるつくし。
「…なんだよ、ぼっちゃまって」
「だって“ぼっちゃま”なんでしょ?
 みんな“ぼっちゃま”ってよんでるよ?」
「お前の方がチビなんだから“ぼっちゃま”とか言うな。
 オレの名前はつかさだ。特別につかさって呼ばせてやる」
「うん。つかさ。ありがとー」
そうオレの名前を呼んでニコニコするつくしはやっぱりかわいい。

「…お前、いくらでオレの物になる?」
「いくら…?なにそれ」
「お金がどれだけあったらオレのそばにずっといるって聞いてるんだ」
「お金…?」
「オレはお金いっぱいあるからな。好きなだけあげるぞ」
「…いらないよ、そんなの」
と興味なさそうに首をふる。

前に行ったパーティで大人たちが
「世の中は金だ」「金で手に入らない物はない」って言ってたのに。

つくしは金で買えないのか?
買えないならどうしたらオレのそばにいるんだ?


「だってそんなのなくたって
 “おともだち”になればそばにいられるでしょ?」
つくしはオレに向けて右手を前に出した。

誰かにこんな事されたのは初めてで
どうしたらいいのかわからなくて黙っていると

「ほら。つかさも て だして?」
そう言ってオレの手を取るとギュッとにぎって上下に振った。

「はい。おともだちのあくしゅ。
 これでつかさとあたしはおともだち。いつもいっしょだよ」
ニコニコしながらなんどもあくしゅをするつくし。


そっか。
“おともだち”ならいつもいっしょでお金はいらないのか。

はじめてできた“おともだち”に心が温かくなった気がした。



だけど、オレがその“おともだち”じゃ満足できなくて
この関係をぶち壊したくなるのはもう少し大きくなってからの話だ。





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