I miss… 8

牧野の目が覚めるまでは帰らねぇと
自分用のベッドもセッティングさせたオレに

「いいか?絶対安静なんだからな?」
「起きねぇからって2度と揺さぶったりしようとすんじゃねぇぞ?」
そう念を押してあいつらは帰って行く。


『I miss…』   第8話


2人きりになった病室。
オレはずっと牧野の手を握っていた。

『バイバイ道明寺』
そう言ったこいつの顔が頭から離れねぇ。

少しでも目を離したらどっかに行っちまいそうで
手だけでもいいから掴んでないと不安で胸が押しつぶされそうだ。

どれくらいそうしていたのか、
いつの間にかそのまま眠っていて気が付いた時は深夜になっていた。
ふと、視線を感じてそっちを見ると牧野がベッドの淵に腰かけていた。

「まきの…?」
寝ぼけた頭で名前を呼ぶと、小さく笑う。

でもオレの手の中には握ったままのこいつの手があって
そこから視線をたどればベッドの上にも牧野の姿。

…って事はこっちのはNYにいた方の牧野か。

目の前に牧野が2人。
何とも奇妙な光景だと言うのに
ごく自然と受け入れているオレがいた。

「思い出さなくていいって言ったのに。
 どうして今さらになってから思い出すかな、あんたは」
そう言ってため息をつくこいつ。

「悪かった…」
触れられるのかわかんねぇが眠ってる牧野の手を離して
こいつの手にそっと触れてみると繋ぐ事が出来た。

「ありゃ。触れるんだ。
 無理だと思ってたからずっと触れないように気をつけてたのに」
牧野も触れられるとは思ってなかったのか
繋がれた手を見て何がおかしいのかクスクス笑う。

「いくらでも謝るから…。なぁ、…逝くなよ」
オレが言うと笑うのをやめて、ゆっくりと首を振る。

「……もう遅いよ。
 あんたに会って気が済んじゃったからかな?
 実は自分でも戻り方がわかんないんだよね。
 NYじゃ勝手に消えちゃったから
 あんたには最後にちゃんとお別れ言いたくて来たの」
そう言ってそっと繋いだ手を離す牧野。

何かを決心したようなその瞳には見覚えがある。
雨の日に別れたあの時だって
お前はそんな瞳をしてたよな。

じゃあ戻ってこないのはお前の中で決定事項って事か?

「…れが……かよ」
俯きながら小さく呟いた言葉に
「え?」
牧野は首をかしげる。

「誰が別れてなんかやるかよ。
 せっかく記憶が戻ったっつーのに
 またあの空っぽみてぇな世界に戻れるか」
「……」
顔を上げて視線を合わせたこいつは何も言わない。

「お前がどうしても逝くなら、オレが追いかければいいだけだ」
「は?何言って…」
「言ったよな?
 地獄だろうがどこだろうが追いかけてくって。
 お前がどうしても戻ってこねぇっつーなら
 オレがそっちに行ってやるから、ちょっと待ってろ」
そう言って静かに立ち上がると
後ろにあった窓を開けて窓枠に腰かける。

「ちょっ…!あんた何をっ…。やめなさいよ!」
牧野は慌ててオレの腕を掴む。
「…だったら戻って来いよ。
 お前が戻るか、オレも逝くか。好きな方選ばせてやる」
両手でこいつの頬を包み込んで瞳を覗き込めば
ゆらゆらと揺れていて本気で困ってやがる。

「お前は雑草のつくしだろ。
 戻り方がわかんねぇくらいで諦めてんじゃねぇよ。
 どうせ半分死んでんだ。だったら死ぬ気で戻ってこい」
「半分死んでるって…」
「お前が本気なれば出来ねぇ事なんかねぇよ。
 もしダメでもオレが一緒に逝ってやるから寂しくねぇぞ?」
「…だからそれが一番迷惑なんだってば」
牧野はそう言ってため息をついて困ったように笑った。





「…かさ。司?おい、起きろって」
次に気がついた時は朝になっていて
あいつらと一緒に滋と三条も来ていた。

「なんだお前。もしかしてずっとこのまま寝てたのか?」
呆れ顔で総二郎がため息をつく。

…昨日のは夢か?
昨日眠る前と同じように繋いでいた手を見て
ぼんやりとした頭でそんな事を考えていると

「窓なんて開けてどうしたの?空調効かないから閉めるよ?」
そう言いながら類が窓をカラカラと閉める。

それを見て夢なんかじゃねぇと頬が緩む。

「牧野は…相変わらず眠ったままか」
「道明寺さんも戻ってきたからもしかして…なんて思ったんですけど」
あきらと三条が牧野の顔を覗き込む。

「…こいつは絶対戻ってくる」
牧野の髪を撫でながらニヤリと笑うオレを見て
「お前のその自信はどこから沸いてくんだよ」
と総二郎はため息をつく。

「せっかく昇華したっつーのに
 そのまま死ねなくなったからな…今頃、焦ってんじゃねぇの?」
ククッと笑うオレに

「ダメだ。…こいつ意味わかんねぇ」
と総二郎が怪訝な顔をする横で
「記憶戻ったって聞いて喜んで来たんだけど…
 もしかして司、ショックで今度は頭おかしくなったんじゃないの??」
と滋はおろおろとしていた。




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No title

え~、戻り方がわからない(゚ω゚?)
困るよつくしちゃん…
あ!わかった
眠ってるお姫様を目覚めさせると言えば、それはもう、王子様のチュ~
坊ちゃん、チュ~だよ(・∀・)イイ!!

悠★様

司はつくしに関してはイカれててなんぼです(笑)
私の中ではただのストーカー疑惑さえあります(=''m'') ウププ

こちらこそいつもお話読んで頂きありがとうございます(*^^*)

みる★★★様

幽霊相手に死ぬ気でやれって
何言ってんでしょうね、ほんと(笑)

どうやったら戻れるんでしょう?
実はその辺どうするかいまだに模索中だったりします…(笑)

JUJU様

実は最初は違うタイトルを付けて書き始めたので
そのつもりでお話書いてたんです(笑)

でもそれボツっちゃったので
どうしようか模索中…(笑)
うやむやにしたらスミマセン。
いつか番外編とかで書きます(;´ω`)チーン
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