I miss… 5

「何をこんな所で油売ってんのかね、この子はっ」
そう言って怒ってるっつーか慌ててるっつーか

どっちにしろその姿は
普段オレの睨みにも動じねぇタマにしては珍しかった。



『I miss…』   第5話



「うるせぇな…
 そんな怒鳴ると血圧上がってポックリ逝っちまうぞ」
面倒クセぇ事になりそうなタマの様子に舌打ちを返す。

「散歩に行けって言いだしたのはタマだろうが。
 それとも何か?
 オレには散歩で知り合いに会っても
 そいつとゆっくり話す自由すらねぇのかよ?」
ムッとしたまま言ったオレの言葉に

「ほぉ~?知り合いねぇ??
 ぜひタマもお会いしたいものですねぇ」
と大げさに辺りをキョロキョロと見渡す素振りを見せる。

「おいタマ。ふざけんなよ。ボケる前に
 目がおかしくなったんじゃねぇのか!?そこにいんだろうがっ!」
そう言って振り向いて指さしたベンチには…

「誰もいませんがねぇ?
 タマの目がおかしくなったんでしょうか?」
そう言って疑いの眼差しをオレに向ける。
「あのやろ…っ!また逃げやがった!
 見送ってやるって言ったのに…ちゃんと挨拶もしねぇで…」
まだ遠くには行ってねぇはずだと
辺りを見渡していると

「…坊っちゃん。タマはSPからも報告を受けてます。
 そんなつまらない嘘が通じると思ってるんですか?」
と呆れたようにため息をつく。
「あ?嘘?オレがいつ嘘なんかついたんだよ?」

「SPから毎日公園のベンチに座ったかと思うと
 1人でブツブツと言いだすだなんて報告されて
 タマは坊っちゃんの頭がおかしくなったのかと心配でなりませんよ」
その言葉にオレはSPの1人の胸元を掴む。

「てめぇっ!何くだらねぇ嘘の報告してやがる!!」
締め上げるように力を込めると他のSPも集まってくる。

「ぐっ…。ですが…。
 この公園で、坊っちゃんと接触したのは…アレックス様だ、けで」
「あぁっ!?いくらあいつが小せぇっつったって
 子供じゃあるまいし見えねぇわけねぇだろうがっ!!」
さらに力を入れるオレをSPが止めに入る。
「おやめください!」
「我々は嘘など申し上げておりません!」
「我々は司様に近寄る人間は
 必ずチェックさせて頂いております。
 司様の言う通り、たとえ子供だとしても
 我々の誰も気づかないなどあり得ないのです!」
その言葉にオレは思わず力が抜ける。

確かにアレックスがオレに近寄った時は
こいつらはオレが言うまで捕らえて放さなかった。

だが牧野はどうだ…?

『…頭痛いの?』
頭痛がしてこめかみを押さえていたオレの前にいきなり立ってた。

オレは…頭痛のせいで幻覚でも見てたって言うのか?

SPを放して、呆然とするオレにタマは何かを感じたんだろう。

「……信じがたいですが、少なくとも坊っちゃんが
 嘘を言ってるつもりじゃないって事だけは信じましょう…。
 …で?どこのどなたと話してたって言うんです?」
とSPを下がらせて
さっきまであいつが座っていたベンチにオレを座らせた。

「…牧野だよ。ほら、
 類たちと仲が良かった小せぇ女がいただろ?
 あいつと毎日ここでなんとなく話してた。
 何か自分の想いを昇華させに来たとか言っててよ。
 で、次に進めそうだとか言って今日帰るって言ってたんだよ」
話していくうちにタマの顔が驚愕に染まっていく。

「昇華…って言ったんですかい?
 次に進めるって…?あの子がそんな事を…?」
オレの瞳を覗き込みながら言うその態度は
嘘は言ってないようだと言いながらも
この話を信じたワケでもねぇんだろう…。

「チッ…。信じねぇなら信じねぇでいい」
不貞腐れて視線を逸らしたオレの腕に
タマは泣きながら縋りついた。

「坊っちゃん…。すぐに…っ
 すぐに日本に戻ってくださいまし!
 でないと…つくしが…つくしが…っ!!」

「つくし…?誰だよそれ」
タマの様子を見ればただ事じゃねぇってことはわかるが
聞き覚えのない名前に首をかしげる。

「…牧野つくし。
 坊っちゃんが話していた女の子の名前です。
 つくしは、あの子は今…
 日本の病院で一週間前から意識が戻らない状態が続いています…」
タマの言葉に今度はオレが驚く番だった。





いつも応援ありがとうございます♡

★このお話、実は。表テーマは「記憶喪失」ですが
  裏テーマとして「幽体離脱」が隠れてました。
  「I'm back」のつくしバージョンってとこでしょうか?★
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悠★様

ふふっ♪今までのつくしちゃんは
見えてる本人が気付かないほど
ガッツリ見えちゃってる幽霊でした(^_^;)

ビックリして頂けてムフフ♪です(*^^*)

LO★★★こし様

意外でしたか?
ムフフ♪ありがとうございます(*^^*)

I'm back書いてた時に
つくしが幽体離脱したらどうなる?なんて
妄想の芽が出ちゃって…(笑)

自分が今まで話してたのが幽霊だと
知った坊っちゃん…どうなるんでしょう?
続きも楽しんで頂けると嬉しいです(*^^*)

ワ★★ニ様

いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます(*^^*)

おぉっ。展開バレてましたか?
さすがでございます(*゚Q゚*)ドキッ

さすがに死んじゃってたらハピエン目指せないんで
ちゃんと坊っちゃんが間に合うように
ガッツリ見えちゃってる幽霊さん設定で(笑)

こういう隠しテーマは楽しいですが
なかなか難しい…(;´д`)
続きも楽しんで頂けるように頑張ります(*^^*)

No title

え~
ショックです
しばらく、潜水するかもしれません
息が、できそうになったら、浮上します
ハピエンとのことなので…
安心してます 0(>_<)0

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JUJU様

うーん…やっぱりキツかったですかね(^^;)?

衝撃で言えばここが一番だとは思いますが
どうぞご無理はなさらず
楽しめる所だけ楽しんでくださいませ(^^)

ka★★★様

こういうお話、大丈夫でしたか?
よかった…。
私の中ではあくまでもファンタジーなんです、コレ。
(いや、ホラーだろ。って言われたら否定もできませんが…^^;)


そうですそうです。
このままつくしを昇華させるわけにはいきません。
さぁ、坊っちゃん。
驚いてないで頑張ってよ~!!

み★様

こちらこそコメントを頂けて嬉しいです♪
ありがとうございます(*^^*)

えぇ?そこからもうバレてました??
み★様…もしや名探偵ですか…? Σ(゚ω゚)

ふふ…確かにこの展開だと
当たっても複雑ですよね(^^;)
ただ私の中では
シリアスでも何でもなくあくまでファンタジーなので
ハピエンは確定しております♪

続きも楽しんで頂けますように(^^)

*拍手コメの お★★★ま様 *

スイマセン。急展開すぎましたね(^^;)

結論から言うと、
ここまでのつくしちゃんは全て魂というか
ざっくり言うところの幽霊ちゃんです。

一応SP達にはつくしちゃんは見えてない設定です。
なので警護もなかったわけです。

つくしが何故意識不明なのか…などなど
明日からのお話で明らかになって行きます。
(そんなに大した理由でもないんですけどね)

坊っちゃんは急いで逃げ足の速いつくしちゃんを
捕まえないといけない訳です、ハイ(^^)

メンタルダメージ…大丈夫でしょうか?
どうかご無理はなさらないで下さいね(>_<)
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