プライド

『牧野も鉄パンのくせに思い切ったよな?』

総二郎の言葉を聞いた時、
俺はこみ上げてくる笑いを抑えられなかった。


『プライド』   ~夢の続き 番外編~


牧野が記憶喪失になって
ずっとひっかかってた事があった。

それは牧野が誰とも恋愛をしない事。

牧野が司を忘れて2年。国立大学に進学した牧野。
そこで恋の1つや2つしたって不思議じゃない。

周りに男がいなかったかと言えばそうじゃない。

英徳じゃ、牧野に気安く話しかけたりする奴なんて
そうそういなかったけど、
司との事を知らない国立大学じゃ
牧野は人気者でいつも友達に囲まれてた。

俺が知ってるだけでもその中の3、4人は牧野を狙ってたと思う。
それは、牧野が本来望んでいた「普通の人」なワケで。

…うん、まぁ。
そいつらを牽制しちゃったのは無意識で決してわざとじゃないけど。

牧野が誰かの恋人になるだなんて考えたくもない事だけど
誰が悪いわけでもないあの事件の後で
肝心の司はNYという状況の中、
それを咎められる奴なんて誰もいなかった。

でも俺のそんな心配をよそに、
牧野自身にそういう気がないようにも見えた。

牧野が大学を卒業する頃には
三条や大河原はNYに行ったままの司にしびれを切らして
「女の命は短いんだからね!
 いい加減、彼氏の1人や2人いたっていいと思うんだけど!」
「そうですよ、先輩!
 気付いた時にはもうおばさんで誰も相手してくれませんよ?」
なんて言いながら合コンなんかにも連れて行ってたようだけど
結局牧野に恋人と呼ばれるような人は現れなかった。


そんなある日。
事件から8年も経って
やっとNYから帰ってきた司が牧野と偶然再会したと話す。

事件が起きてすぐは
司に拒絶反応を見せていた牧野が声をかけられたからって
酒に弱いくせに2人でお酒を飲んだって事も正直ちょっと意外だった。

そんな事を考えてると
「でも司にしては
 その日のうちにベッドインなんて上出来じゃねぇの?」
「あぁ。牧野も鉄パンのくせに思い切ったよな?」
なんて総二郎たちの言葉が聞こえてきて
漸く合点がいった。

あぁ…なんだ、そっか。
どうして気付かなかったんだろう。

あんたの事なら何でもわかってるつもりだったのに
こんな重大な見落とししてたなんてね。

こみ上げる笑いは
あんたが戻ってきた事への喜びもあったけど
本当はホッとしたのが本音。


だって、ちょっと…いやかなりかな、悔しかったんだよね。

あんたの中に司がいなくても
結局、俺には惚れてくれないんだって事がさ。


俺を好きになってくれたからって
牧野と付き合ったかって言われたら
やっぱり司を裏切れないし、
それは本当のあんたじゃないから答えはNOだったんだろうけど。

まったく期待してなかったかと言われれば、
それもやっぱり答えはNOなわけで。

俺は相手が司だから牧野を諦めたんであって、
他の誰かに取られるくらいなら奪ってやりたいと思ってた。

それなのに、土俵にも上がれないなんて
俺にだって男のプライドくらいあるんだから。

__本当は結構傷ついてたんだよ?




「…類?どうしたの?
 いつにも増してぼぉーっとしてるけど」
気がついたら牧野が目の前で不思議そうに首をかしげていて

そういえば
改めて牧野の復帰祝いをしようと
みんなで集まっていたんだった、と思い出す。

「いつにも増して、はひどくない?」
失礼な物言いにムッとして返す。
「ごめんごめん。だって本当にぼぉーっとしてたから」
とクスクス笑う牧野はきっと悪いなんて思ってない。
ま、俺だって本気で怒ってるわけじゃないけど。

「もし…さ」
「ん?」
「もしも、あんたがあのまま
 司をずっと忘れたままだったら俺にもチャンスはあった?」
俺の言葉に驚いたように目をパチクリさせる牧野。

「…う~ん。そんなのわかんないけど…
 でもあたしは結局あいつを好きになるんだと思うよ?」
と腕組みして首を捻りながら答える。
「うん。…だろうね」
残念なようで、でもやっぱりそれが聞きたかった答え。
俺はそういう牧野が好きだから。

「でもさ…。もし忘れたのが類だったとしたら
 道明寺みたいに拒絶なんてしなかったと思うなぁ。
 魂の一部だもん。記憶がなくても大事な人だってわかったよ、きっと」
と笑って続ける言葉だけで
ほら、俺の心はこんなに満たされる。

「……2人でコソコソしてると思えば
 オレの前でイチャイチャしやがって。何が魂の一部だ!
 だったら運命の男だってちゃんとわかれっつーんだ!このバカ女!!」
そう聞こえた声と同時に
牧野が司に羽交い絞めにされてる。

「ぎゃあっ!!何すんのよ!
 仕方ないでしょ!わかんなかったんだから!」
「あぁっ!?開き直ってんじゃねぇよ!
 そもそも記憶が戻った時にすぐに知らせてれば
 こんなに無駄に長い間、待つ必要だってなかったんだからな!」
騒ぎ出した2人に全員が呆れ顔で笑ってる。

「やれやれ…結局こうなんのか、あいつらは」
「もっと普通に恋人らしい雰囲気とか出せないのかねぇ?」

「でもあれでこそ司とつくしじゃない?」
「えぇ。普通にイチャイチャしてる先輩なんて想像できませんね」

「…放っておいて帰ろうぜ」
「あぁ、そうだな」
「かえろ、かえろー!」
総二郎たちがケラケラ笑いながら移動するのにつられて
あいつらを残して部屋を後にした。



~ fin ~




★あとがき★


類の密かな男のプライド。

司を忘れたつくしが
自分を選ばない事を
実は悔しがっていたのでは…なんて。

選んでくれたからといって
付き合うとかじゃなくても
それでも期待せずにはいられない
そんな類の複雑な心境が書きたかったのですが…。

う~ん…どうだろう??
伝わっていれば嬉しいです(^^)

「夢の続き」の連載が終わらないうちからの番外編でしたが
お楽しみ頂けていれば幸いです♪


「花男祭り」これで以上になります。
リアルタイムでお付き合い頂いた皆さまお疲れ様でした(^^)


16時にまとめの「独り言」アップ致します♪


管理人 koma



いつも応援ありがとうございます♡
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み★★ゃん様

「花男祭り」にお付き合い頂きありがとうございます♪
お気に召したお話があってよかったです(*^-^*)


〈あきら×桜子〉これほんとドキドキで…。
今回5作の中で、一番不安だったお話だったりします。
なのでコメント頂けて嬉しいです。ありがとうございます♡

類君も、司に負けない(…いや勝ってるかも?)くらい
つくしをよーく見てますからね。
記憶がなくなっても自然と仲良くなるんだと思います♪
そんな深い絆が坊っちゃんは気に入らないんでしょうけど(笑)

またいつか祭りだー!と騒ぎ出すかもしれませんが
その時は是非お付き合いお願いします(*^-^*)
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