Blunt 27

「お疲れ様でした」
そう言って西田が頭を下げたのは19時。

声だけでも聞きたくて
ケータイを取り出したと同時に鳴りだした。


『Blunt』   第27話


ディスプレイを見れば「牧野」の文字。

ただの文字なのに、あいつを感じさせるだけで
疲れも忘れるような気がするから不思議だ。

電話に出ると
『あ…道明寺?まだ仕事中?』
と求めていた声が聞こえて思わず口元が緩む。

「いや。今終わったとこ。
 お前は?まだ総二郎たちと一緒か?」
『ううん。あたしも今帰ってきたとこだよ』
「そうか…。なぁ、今からそっち行っちゃダメか?」

声だけでもいいと思ってても
実際声聞いちまったらやっぱり会いたくて。
ほんの数時間前に会ってたっつーのに自分でも呆れる。

『えっと…』
困ったような様子の牧野。
「無理なら無理だって言ってくれてかまわねーよ」
そう言いながらも内心はため息だ。
『あ、そうじゃなくて。もし仕事が終わってたら
 そっちに行っていいか聞こうと思って電話したの』
と予想もしてなかった言葉が聞こえて思わず頬が緩む。
「…じゃあ、帰りに拾ってってやるからオレん家来るか?」
『…うん。待ってる』


オレのマンションにつくと牧野が淹れてくれた珈琲を飲む。

「……」

牧野もオレに会いたいと思ってくれてた事が嬉しくて
意気揚々と迎えに行ったオレに対して
牧野は車の中でもマンションでもどこか緊張した様子で落ち着かない。

もしかして会いたかった理由は
オレにとってよくない話でもあるのかと思い始めた時、

何かを決意したように一口珈琲を飲むと
「あ、あのね…。話があるの」
と妙に真面目な顔して珈琲をテーブルに置いた。

その姿にドキリと心臓が早鐘を打ち始める。

「あ、あのね。
 前に告白されても付き合うのは待てって言ったでしょ?
 あれって…まだ有効、なの?まだ付き合っちゃダメ?」
申し訳なさそうに言う牧野に
オレは頭の中が真っ白になった。

「…お前はそいつと付き合いてぇのか?」
自分で出した声なのに
どこか遠くで響いてるような、そんな感じがした。

オレの言葉に、牧野はまっすぐとオレを見ながらコクリと頷く。

「……そう、か」
それ以外に返す言葉が見つからなかった。

付き合うな、もうちょっと待ってくれ。なんて言えない。
むしろ両思いだったのを横恋慕したのはオレだ。

黙り込むオレを困ったように見つめる牧野。
「も、もしね。道明寺がいいって言うなら
 今度はあたしから告白しようと思うの…」
そう言って顔を真っ赤にさせる牧野。

これ以上、オレにこいつの邪魔をする権利はねぇ。

「あぁ。…オレに構わずお前の好きにしろ」
心にもねぇ言葉を吐くオレがどんな顔をしてんのかわかんねぇが
きっと情けない顔に決まってる。

そんな顔を見られたくなくて片手で顔を隠すように俯いた。

__カタン。
しばらくすると牧野が席を立った気配がする。

帰るのか?なら、送って行ってやらねぇと…。
いや、もしかしたら和也か誰か迎えに来てるのかもしれねぇな。
そんな事をぐるぐる考えてると

いつの間にかあいつはオレの隣に立っていて、
これ以上、何か言う事があるのかとゆっくりと顔をあげると


大きく息を吸って、吐いて。
オレとまっすぐ視線を合わせたかと思うと

「あたしは道明寺が好きです。
 良かったらあたしと付き合って下さい!!」
ぎゅっと目を閉じて、握手を求めるように片手を差し出した。

「……」
「……」

「…道明寺?」
差し出していた片手を今度はオレの顔の前でブンブンさせる。

だめだ…。頭が全然働かねぇ。

それでも何とか、こいつの言葉を整理すれば
自分にとって都合のいい答えしか出てこない。

こいつの最後の言葉を鵜呑みにしていいのか?
そんな事がマジであり得るのか…?

ゆっくりと立ち上がると
ブンブン振っていた手を止めて首をかしげるこいつを
引き寄せて抱きしめてみる。

しばらくすると驚いて体を固くしていた牧野が
おずおずとオレの背中に手をまわしてくれた事が
オレの勘違いじゃねぇと安心させてくれて
抱きしめる腕につい力がこもって
腕の中から苦しいと聞こえた声に慌てて腕をほどけば

「…ぷはっ、死ぬかと思った」
とクスクス笑いながら言う牧野。
「お前…オレの事が好きだったのか?」
やっぱりまだ信じられなくてもう一度聞けばコクンと頷いて
「たぶんあたしの方が先に好きになったと思うよ?」
なんて事を言う。
「…早く言えよ」
好きだって自覚してからどんだけヤキモキしてたと思ってんだ。

「最初はフラれてクビになると思ってたから…。
 それに言ったのに信じてくれなかったのは道明寺でしょ」
と頬を膨らませて拗ねたように言うこいつ。
「あんなの信じられるわけねぇだろ。
 疑ったりして泣かせたから嫌われてると思ってたんだよ」
「あたしは一度も道明寺に嫌いなんて言ってない」
と今度は心外だとばかりにムッとするこいつを見てると

どれだけ自分たちはすれ違っていたのかと笑いがこみあげてくる。

もう一度こいつを今度は力を入れ過ぎないように気を付けながら抱きしめる。
「お互い鈍感だったって事か」
ククッと笑った声にこいつは
「…だね」
とケラケラ笑って答えた。

出会いはサイアク。
全然似てないようで結局似た者同士だったオレら。

確かに2人揃って鈍感だったかもしれねぇけどよ。
一途な所だって似てるんだ。

こうやってお互いの気持ちに気付いたら
2度と離れたりしねぇよ。


__そうだろ?




~ fin ~


★あとがきはコチラ~★



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No title

は~、やっとまとまりましたね(^o^)
ホント、西田さん居なきゃ、まだまだ両想い片想いでしたね
お互い一途だから、もう離れない…
そうだよ~、これから、イチャラブだよ~
komaさん、お疲れ様です、次の連載も楽しみに、お待ちしていますm(_ _)m

悠★様

ブロとも申請、ありがとうございました(^^)
これからもよろしくお願いしますね♪

最後の最後でやっと気持ちが通じましたよ~。
長かったです(笑)

ふふ…。悠★様もそういうお話好きなのですね♪
私も書けないけど…大好きです(*ノωノ)

JUJU様

やっとです。やっとお互いに通じ合いました(笑)
そもそも坊っちゃんのマンションに
つくしを誘ったのも西田さんからですからね。
彼がいなきゃ始まってもなかったかも(^^;)

次回は司の記憶喪失…ですが
今回ほど腑抜けの司ではないかと(笑)
またお付き合いお願いします(^^)
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