Blunt 16

あたしの目の前には笑い続ける花沢類。

「ぶくくっ……ははっ」
「もうっ!いつまで笑ってるつもりなのっ」


『Blunt』   第15話



ジト目で睨んで頬を膨らませるあたしに
「ごめんごめん。…ククッ」
謝りながら笑ってるこの人は全く反省なんかしてない。
その証拠に同じやりとりをもう5分ほど続けていたりする。

「はぁ…。あ~、疲れた…」
ようやく笑い飽きた様子の花沢類が珈琲を一口飲む。

どうしてこんな事になってるかと言うと。

誰にも言ってなかったし
バレるわけもないと思っていたあたしの秘めた想い。

…だったんだけど。

この間、3人とご飯に行った時に
「で?いつになったら司に告るつもりなんだ?」
なんて西門さんにいきなり聞かれて驚いてると
「…もしかしてバレてないつもりだった?
 わかってないのなんて司だけだよ、たぶん」
と花沢類。
「お前は感情がそのまま表情に出るからな」
と美作さんにもクスクスと笑われた。


そして今日、執務室に顔を出した花沢類に
「…何かあったでしょ?」
とドギマギしてるあたしを一発で見抜かれ。
バイト終わりにそのまま拉致られて
カフェでお茶しながらこの間、熱で倒れた時の話をさせられた。



「で?朝起きたら司が隣で寝てたんだっけ?」
笑い疲れて若干ぐったりしながら聞いてくる花沢類にコクリと頷けば
「それも抱き枕よろしく抱きしめられて?」
その言葉にかぁっっと赤くなりながらも もう一度頷く。

「……それで何の進展もナシ?あり得ないでしょ」
とさっきまでこのネタで散々笑っておいて今度は呆れ顔を向ける。

「……ベッドが1つしかなかったからって言うんだもん。
 あのベッドなら確かに2人くらい余裕で寝れちゃう広さだしさ?
 寝てる間に寝相が悪くてくっついちゃっただけでしょ?」
自分でも言い訳がましいとは思うけど
あたし的には寝てる間にそうなってたんだからそうとしか言いようがない。

何がどうなってあの状況が出来上がったのか、
それを知ってるのはあたしじゃなくて専務だ。

「だからそれがあり得ないんだよ。
 マンションに入れるだけでも女なら牧野が初めてなのに
 同じベッドで寝るなんてさ。あいつも牧野の事好きだとしか思えない」

…それこそあり得ないと思うんだけど。

そりゃ、嫌われてはないと思うよ?
それなりに信頼だってされてるとも思う。

だけどさ、それとこれとは違うでしょ。

「あくまでも清掃スタッフとしての信頼にすぎないと思う。
 女として見られてたら普通は一緒に寝たりしないよ」

それに、バイト初日に告白しただけで
クビになった綺麗な秘書さんだって見ちゃってるしなぁ…。
玉砕してクビになるくらいなら清掃スタッフとしてでも
専務の近くにいられる方がいい……。

そんな事を考えながらため息をついたあたしに

「お前らって面白いね」
と花沢類はまたクスクスと笑いだした。



そんな事があった数日後。


いつものように専務の執務室に訪れると
専務は何か探し物をしてるようだった。

「おはようございます…何か探し物ですか? 」
あたしがそう聞くと

「あ?あぁ、牧野か…。USB探してんだ」
 3日後の会議で必要なんだけどよ、いつもの場所にねぇんだ」
そう言いながら引き出しなんかを見てる専務に
自分の記憶をさかのぼってみるも

「USB…。う~ん…見てませんねぇ」

いつも掃除してるんだから、探し物なら
何か役に立てるかもしれないと思ったけど、どうやら空振り。

もともと情報の管理とかそういう事には神経質な専務だ。
あたしが拾うような場所に
うっかり放置してるなんて普通ならあり得ないしね。

「あたしも一緒に探します。どんな形で何色ですか?」
掃除道具を置いてソファの下なんかを覗いてみる。

「あぁ赤いやつで…形は普通だな」
と大きさはこれくらいだと指で示す。

それからしばらく2人で執務室、仮眠室を探してみたけど
USBは見つからない。

「う~ん…あと見てない場所は…」
ぐるりと見渡して目に入ったのは仮眠室のキッチン。
さすがにそこにあるとは思えないけど
一応冷蔵庫の中まで見ていると、

「……まさかお前じゃねぇだろうな」
と専務の低い声が聞こえた。

「は?」
「この部屋に出入りしてんのは今の所、オレと西田とお前だ」
そういう専務の瞳はどこまでも冷たい。

「…あたしがUSBを盗った。…そう、疑ってるんですか?」
「あのUSBが無くなって困らねぇのはお前だけだからな」

心臓が痛い。

好きな人に疑われるなんて
こんなに悲しい事があるだろうか……。


少しは信頼されてるなんて、とんだ自惚れだったんだ…。


「……だったら調べればいいじゃない」
「あ?」
「疑うならどこでも調べなさいよっ!あたしの体でも家でも!」
我慢できなくて急にキレたあたしに専務は目を丸くして固まっていた。

あたしが声を荒げた事で西田さんが仮眠室に入ってくる。

しばらく黙ったままあたしと専務を交互に見た後、
「どうかされましたか?」
心配そうにあたしを見る西田さんの眼差しに
堪えきれなくなった涙が溢れて、あたしはその場から走り去った。





いつも応援ありがとうございます♡

★あ~あ、もう…(--;)★
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非公開コメント

No title

ええ~!
道明寺!つくしちゃんを疑うの!?
そんなのひどいよ~!

興奮して寝れません・・・(笑)

はちみつ様

ほんとひどい。
そりゃないよ~(T-T)ですよね。

自分で書いておきながら
ここからどうしたものかと頭抱えました(^_^;)

No title

あ~あ
信じらんない!
バカ坊ちゃんが!!
明日は、自分の言葉を悔やんで悔やんで、つくしちゃんに会えなくなって、悶える坊ちゃん希望!!

JUJU様

ほんと今回の坊っちゃんはどうしようもないです。

そろそろガツンと殴って
目を覚まさせてあげないとですね~( *´艸`)

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悠★様

基本的に難しい事が考えられないだけなんですよ(^_^;)
逆にこんなのしか書けません(笑)
なのでいつ妄想畑が枯れ果てるかヒヤヒヤしてます( ゚艸゚;)

それでも楽しんで頂けてるのが嬉しいです
ありがとうございます♪
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