ヒールの役割 後編
西門さんを黙らせて電話を切った後、
念には念を、と
私は美作さんと先輩にも電話をかけた。
『ヒールの役割 後編』
~リミット 番外編~
美作さんには前に当時の彼女さんのために
ブランドから発売された限定のプレミアムコスメを
サロンのコネを利用して調達して差し上げた貸しがあったので
当日の西門さんの足止めをお願いすれば
「あんま苛めてやるなよ?」
と苦笑いしながらも承諾してくださいました。
ただ、美作さんだけだと
西門さんは突破してくる可能性がありますから。
ここはやっぱり道明寺さんでないと。
先輩にかけてから道明寺さんに代わって頂き、
足止めをお願いすると『面倒くせぇ』なんておっしゃる道明寺さん。
まぁ。タダで私の言う事を聞くような人じゃないですよね。
ちゃんと交換条件は用意してあります。
「お泊りデートに誘われたけど断ちゃったんだよね
それでその後、喧嘩になってさ~…」
なんて事を先輩が少し前に話していたのをネタに
「そのお泊りデート。私なら、先輩を説得できますわ」
と、その囁き1つで簡単でしたね。
ま、先輩には後で「優紀さんのため」とでも言えば
お人よしな先輩は黙って従うでしょう。
それに先輩だって恥ずかしいだけで嫌とは言ってませんでしたし?
そう考えれば素直じゃない先輩のためにもなるんじゃないですか?
ほんと、私って友達思いですわ。
こうして準備を完璧に整えて迎えた当日。
私の友人が揃えてくれた男性陣は
まぁ、悪くはないんですけどね。
どうしてもF4の皆さんと比べてしまうと霞むって言うか…。
ピンとこないんですよね。
結構期待していたのに
彼氏にしたいような男性に巡り合えず、ガッカリです。
そんな事より気になるのは…
私の隣に座っている優紀さん。
なかば無理やり連れて来たわけですから
楽しめとまでは言いませんが
その陰気なオーラはなんとかなりませんか?
タイミングを見計らって化粧室に誘って
「もしかして合コンの件で喧嘩でもしました?」
私が聞くと首を振って
「……どうせ俺より良い男なんかいねぇんだから行ってこいって笑ってた」
と大きなため息と一緒に吐き出す優紀さん。
なるほど。
強がってそんな事言ったんですね、西門さん。
「西門総二郎」としては正解かもしれませんですが
「優紀さんの彼氏」としてはあり得ない発言ですよ、それは。
そんな西門さんにはペナルティとして
優紀さんが男性にお酒を手渡されてる写メを送りつけたりして
嫉妬心をこれでもかと煽っておくとします。
常に本能だけで突っ走る道明寺さんとは違って
限界ギリギリまで追い詰めないと
簡単に本音をこぼすような人じゃありませんからね。
優紀さん達が一番大事な親友である事は確かですが、
F4の皆さんだって大事な仲間です。
幸せになって頂きたいとは心から思ってるんですよ。
ちょっと荒療治ではありましたがこれはお2人のためです。
2時間の約束きっちりで迎えに来た西門さんは
俯いている優紀さんにはバレないように
私を睨みつけてきますが
だてにヒールやってませんから。
そんなの全然怖くなんかありませんわ。
そうやって優紀さんにもカッコつけてないで
誰もが持つ汚くて嫌な感情だってぶつければいいんですよ。
捻くれてる私なんかよりずっと包容力のある方ですから
きっとそんなの笑って受け止めて下さいます。
「それでは私はこれで」
にっこりと笑って別れた後、
2人がどうしたなんて野暮な質問はしません。
だってそんなの
2週間後にサロンに訪れた優紀さんの肌を見れば
一目瞭然ですからね?
~fin ~
★あとがき★
リミット番外編「水に燃えたつ蛍」の
サイドストーリーとして書かせて頂きました。
初の桜子視点にもなりましたが
いかがだったでしょうか?
実はこのお話は
ka★★★様のリクエストを元に妄想したお話で
リクエストとはちょっとズレちゃったんですが
「浮気への認識が甘い総二郎」が
テーマになってたりします。
柔らかい笑顔を向けるのも
自然と腰に手をまわしてエスコートするのも
彼が彼として生きてきた生活の中で
「西門総二郎」としてはごくごく自然であっても
彼女となった優紀からすればそんなわけないわけで。
逆の立場だったら許さないくせに
そこに気づかない総二郎を書いてみました。
桜子、やっぱ好きだな~。
毒の影に隠れた愛情がたまらんです、ハイ。
皆さんにもそんな桜子ちゃんを
楽しんで頂ければ幸いです。
管理人 koma

いつも応援ありがとうございます♡
念には念を、と
私は美作さんと先輩にも電話をかけた。
『ヒールの役割 後編』
~リミット 番外編~
美作さんには前に当時の彼女さんのために
ブランドから発売された限定のプレミアムコスメを
サロンのコネを利用して調達して差し上げた貸しがあったので
当日の西門さんの足止めをお願いすれば
「あんま苛めてやるなよ?」
と苦笑いしながらも承諾してくださいました。
ただ、美作さんだけだと
西門さんは突破してくる可能性がありますから。
ここはやっぱり道明寺さんでないと。
先輩にかけてから道明寺さんに代わって頂き、
足止めをお願いすると『面倒くせぇ』なんておっしゃる道明寺さん。
まぁ。タダで私の言う事を聞くような人じゃないですよね。
ちゃんと交換条件は用意してあります。
「お泊りデートに誘われたけど断ちゃったんだよね
それでその後、喧嘩になってさ~…」
なんて事を先輩が少し前に話していたのをネタに
「そのお泊りデート。私なら、先輩を説得できますわ」
と、その囁き1つで簡単でしたね。
ま、先輩には後で「優紀さんのため」とでも言えば
お人よしな先輩は黙って従うでしょう。
それに先輩だって恥ずかしいだけで嫌とは言ってませんでしたし?
そう考えれば素直じゃない先輩のためにもなるんじゃないですか?
ほんと、私って友達思いですわ。
こうして準備を完璧に整えて迎えた当日。
私の友人が揃えてくれた男性陣は
まぁ、悪くはないんですけどね。
どうしてもF4の皆さんと比べてしまうと霞むって言うか…。
ピンとこないんですよね。
結構期待していたのに
彼氏にしたいような男性に巡り合えず、ガッカリです。
そんな事より気になるのは…
私の隣に座っている優紀さん。
なかば無理やり連れて来たわけですから
楽しめとまでは言いませんが
その陰気なオーラはなんとかなりませんか?
タイミングを見計らって化粧室に誘って
「もしかして合コンの件で喧嘩でもしました?」
私が聞くと首を振って
「……どうせ俺より良い男なんかいねぇんだから行ってこいって笑ってた」
と大きなため息と一緒に吐き出す優紀さん。
なるほど。
強がってそんな事言ったんですね、西門さん。
「西門総二郎」としては正解かもしれませんですが
「優紀さんの彼氏」としてはあり得ない発言ですよ、それは。
そんな西門さんにはペナルティとして
優紀さんが男性にお酒を手渡されてる写メを送りつけたりして
嫉妬心をこれでもかと煽っておくとします。
常に本能だけで突っ走る道明寺さんとは違って
限界ギリギリまで追い詰めないと
簡単に本音をこぼすような人じゃありませんからね。
優紀さん達が一番大事な親友である事は確かですが、
F4の皆さんだって大事な仲間です。
幸せになって頂きたいとは心から思ってるんですよ。
ちょっと荒療治ではありましたがこれはお2人のためです。
2時間の約束きっちりで迎えに来た西門さんは
俯いている優紀さんにはバレないように
私を睨みつけてきますが
だてにヒールやってませんから。
そんなの全然怖くなんかありませんわ。
そうやって優紀さんにもカッコつけてないで
誰もが持つ汚くて嫌な感情だってぶつければいいんですよ。
捻くれてる私なんかよりずっと包容力のある方ですから
きっとそんなの笑って受け止めて下さいます。
「それでは私はこれで」
にっこりと笑って別れた後、
2人がどうしたなんて野暮な質問はしません。
だってそんなの
2週間後にサロンに訪れた優紀さんの肌を見れば
一目瞭然ですからね?
~fin ~
★あとがき★
リミット番外編「水に燃えたつ蛍」の
サイドストーリーとして書かせて頂きました。
初の桜子視点にもなりましたが
いかがだったでしょうか?
実はこのお話は
ka★★★様のリクエストを元に妄想したお話で
リクエストとはちょっとズレちゃったんですが
「浮気への認識が甘い総二郎」が
テーマになってたりします。
柔らかい笑顔を向けるのも
自然と腰に手をまわしてエスコートするのも
彼が彼として生きてきた生活の中で
「西門総二郎」としてはごくごく自然であっても
彼女となった優紀からすればそんなわけないわけで。
逆の立場だったら許さないくせに
そこに気づかない総二郎を書いてみました。
桜子、やっぱ好きだな~。
毒の影に隠れた愛情がたまらんです、ハイ。
皆さんにもそんな桜子ちゃんを
楽しんで頂ければ幸いです。
管理人 koma

いつも応援ありがとうございます♡
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