水に燃えたつ蛍

「あぁ!?なんだよそれっ!」
「……貸し。ございましたわよね?」

やっぱりこいつに貸しなんて作るもんじゃねぇ。
ろくな事にならねぇじゃねぇか!


『水に燃えたつ蛍』   ~リミット 番外編~



イライライライライラ……。

さっきから何度時計を見たかわからない。
進まない針にイライラは募って、
だからと言って、この後車に乗るつもりだから酒を煽るわけにもいかず
指でテーブルをトントンと落ち着きなく叩いてみたり、
その辺の物を蹴ってみたりとこのイラつきをどうにか発散させようとしていた。

そんなオレの横では

「なんか、総二郎…司に似てきたね」と類。
「あ?オレ様はあんなんじゃねぇよ」と司。
「いや、ソックリだ。
 あんな腹空かせた猛獣みてーなのが
 もう1頭増えるなんてオレは頭がイテーよ…」
とあきらはため息。

「るせぇっ!」



事の始まりは1週間前。

優紀と2人でいる時にかかってきた1本の電話。

「…桜子さんだ。…出てもいい?」
画面を見て俺に確認するからコクンと頷いた。

「…もしもし?桜子さん?
 …うん。今総と一緒だよ。……え!?」
挨拶もそこそこに本題に入った途端、
優紀が慌てだす。

「ダ…ダメだよっ!そんなのっ。
 ……無理無理っ!……それとこれとはまた…。
 それに総だっていいって言わないよ、きっと…」
俺の名前が出た事もあって
何?と無言で覗き込んでみると
疾しそうな顔をする優紀に嫌な予感がする。

「ちょっと貸して」
そう言ってケータイを奪うと
「おい、桜子。優紀に何の用だよ」
『あ、ちょうど今、代わって頂こうと思ってたんです。
 今度の金曜日、優紀さんお借りしてもいいですか?』
なんて言ってくる桜子。

「…どっか行くのか?」
別に女同士の付き合いにまで口を出す気はねぇが
優紀のさっきの反応を見る限り、確認せずにはいられない。

『えぇ。合コンです。人数がどうしても足りなくて』
事もなげ言ってのけるこいつ。

「あぁ!?なんだよそれっ!」
『……貸し。ございましたわよね?』
「貸りは他で返せばいいだろ」
『……先輩と滋さんはまぁ、いつもですが
 最近優紀さんまで付き合い悪くて…
 まぁ、誰のせいとは言いませんけど?』
「……」
『あぁ、それとも…優紀さんを繋ぎとめる自信がないんですか?
 西門さんって意外とヘタレですものね。それならしょうがない…』
「そんなワケねぇだろ!!」

…しまった。そう思った時は遅くて。
『フッ……では決まりですね?
 心配しなくても2時間でお返ししますよ』





それから1週間。
最悪乱入して掻っ攫ってやろうと思ってた俺に
桜子はこいつらを見張りとして付けてくる用意周到さ。

しかもあきらと司は桜子に何を言われてんのか知らねぇが
俺をこのVIPルームから一歩も出さない。

迎えに行く時間まであと1時間…。
クソッ。まだ半分かよ。

「優紀ちゃんなら大丈夫だろ。
 桜子だって鬼じゃねぇんだから、その辺はちゃんとするって」
あきらが宥めてくるが
「これでもかよっ!」
そう言って見せたのは桜子がこれ見よがしに送ってくる
合コン中の優紀の写真。
「あ~…ははは。桜子も意地悪ぃな…」
とあきらも苦笑いを浮かべる。

こんな事ならあの時
何が何でも止めておくべきだった。
余裕なフリして行ってこいなんて言った自分を殴ってやりてぇ。

優紀が浮気するとか、そんな事思ってねぇが。
優紀にその気がなくても…相手の男が狙わねぇわけがねぇんだよ!

指1本でも触れてみろ。ぶっ飛ばしてやるからな!!


時間ピッタリになって
お役御免とばかりに手をひらひらと振るこいつらに
舌打ちだけを返して、優紀の元に急ぐ。

教えられた店に着くと、桜子と優紀の姿。
桜子を睨みつけるも、こいつにはどこ吹く風。

「大した男もいなくてがっかりでしたわ。ね、優紀さん」
と桜子。
「え…う、うん……」
だけど優紀はどこか元気がなくて俺とも目を合わせようとしない。

「では、私はこれで」

桜子が帰って行くと
「…俺たちも帰ろう」
と優紀の手を取るが、

一瞬、ほんの一瞬。
優紀が手を引いたのを見逃さなかった俺。

その時は、俺が怒ってると思ってんだろうと、
合コンの話には触れないように、いつも通り振る舞った。

だけど、時間が経てば経つほど
優紀の表情が曇っていっている気がしてならない。

……なんだ?
もしかして合コンで何かあったのか?

誰かに何かされた?
もしかして気になる奴がいたとか?

クソッ。
気になってしょうがねぇ……。

運転しながらそんな事を考えてるうちに
優紀の家についてしまった。

「送ってくれて、ありがとう」
小さくため息をついて降りようとする姿が
そのまま消えちまいそうに儚くて思わず腕を掴んで引き留める。

「合コンで何かあった?」
何かあったなら聞きたくもねぇし、聞かないでおくつもりだったのに
もう聞かずにはいられなかった。

すると漸く俺と視線を合わせた優紀は
すぐに俯いて
「…総はあたしが合コンとか行っても平気?」
と小さな声で言う。
「んなわけねぇだろ!」
思わず声が大きくなる俺にビクッと肩をゆらす。

「…優紀が他の男に見られてるって思うだけで
 マジで気が気でねぇっつーの。
 嫉妬なんてカッコ悪ぃから黙ってただけだろ。
 でも合コンなんて2度と禁止。心臓がもたねぇ…」

こんな事を言う俺はきっと情けない顔をしてんだろう。
優紀はきょとんとした顔で俺を見ている。
だから言うの嫌だったんだ。

「…ごめんなさい」
しばらくの沈黙の後、ペコっと頭を下げる優紀。

ごめん?
それって何に対してだ?
やっぱ、男の嫉妬なんて幻滅された?俺…フラれんのか?

固まる俺に、優紀は
堪えるように口に両手を当ててクスクスと笑いだす。
…なんだ?もう意味わかんねぇよ。

「総が嫌な思いしてるのに、ごめんなさい。
 でも…やきもち妬かれてて嬉しい…かも」
頬を赤くして困ったように笑う。

「……嫌じゃねぇの?」
「…?どうして?
 あたしは合コン行っておいでって言われる方がやだよ?
 それなのに総は簡単にOKしちゃったから
 そんなに好きじゃないんだって思ってすごく悲しかったの…
 あたしは総が他の女の子に笑ってたりしたら嫌だもん…」
拗ねた口調で話す優紀。

……そっか。
「行くな」とか「嫌だ」とか言ってよかったのか。
男の嫉妬なんて惨めでカッコ悪ぃもんだと思ってた。

実際、俺だって「他の女に笑うな」なんて言われて
面倒くせぇって気持ちもありながらも
実際は口角が上がるのを抑えられなくて
仕事でも気を付けなきゃなんねぇな…
なんて柄にもなく考えてたりする。


さっきまでのトゲトゲした気持ちがスーッと消えて
肩の力が抜けて楽になってくる。

助手席に座っている優紀の後頭部を捕まえてキスをしながら
シートベルトを引っ張り出して唇を離すと共に
カチャンと閉める。

「総…?」
「明日、会社休みだろ?
 こんなに嫉妬させたんだから責任とって慰めてもらわなきゃな?」
「……ちょっ!」
俺は真っ赤になる優紀の返事も聞かずに車を出した。

変な所でカッコつけんのはもうやめだ。
だったら「シたい」って気持ちだって隠さなくていいんだろ?

だからありのままの俺を愛してくれよ?



~ fin ~



★あとがき★

F4祭り、トップバッターは総二郎でした。

やきもち総ちゃん、いかがでしたか?

プレイボーイだったくせに
1人の女に振り回されてる総二郎、好きです♪

それに今までは散々女に妬かせてきたんですから
ちょっとくらいは苦しんでもらわないと(笑)

花男の登場人物って誰も敵に回せないけど
桜子と類はタチが悪い気がしてます(--;)

類はともかくとして…
F4を手玉にとる桜子…怖すぎます(^^;)
あきらと司は彼女に何を言われたんでしょうね?

ふふっ。この辺りも
サイドストーリーとして書いてみよっかな…
いや、もう書くぞっ(。-∀-)ニヤリ

リミット番外編、
楽しんで頂けれいれば幸いです♪


F4祭り、お次は司です。
13時31分にまたお会いしましょう♪


管理人 koma



いつも応援ありがとうございます♡
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なあ★★様

F4祭り、お付き合い頂きありがとうございます♪

桜子ちゃんいいですよね~。
敵にまわすのは怖いけど
味方になった時の心強さったらありません(^^)

サイドストーリーは
桜子ちゃんメインで考えてたりしますので
アップした際はぜひまたお付き合いくださいませ♪

No title

最高でした!
ヤキモチ総ちゃん、萌えますわー。

桜子は陰謀女王ですものね。でも好きだな〜、桜子。
類くんと確かに繋がるところあります!
ふふふ。あきらくんはまだしも、坊ちゃんを釣る材料(?)はやっぱり
つくしちゃんしかいないんじゃないですかね〜?

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ココリン様

萌えました?嬉しいです~(*´ω`*)

私も桜子大好きです♪
一応このお話考えた時に
裏設定として司とあきらが何を言われてるかとかは考えてたんで
(もちろん坊っちゃんはつくしを餌にされてます。笑)
その辺りのサイドストーリーを
桜子メインにして書こうかな、なんて思ってます♪

その際はぜひぜひお付き合いお願いします(^^)

ka★★★様

F4祭りにお付き合い頂き、ありがとうございます♪

今までなら総二郎は嫉妬される側でしたからね。
きっと煩わしい物だと思ってたと思うので、
嫉妬心をむき出しになんてできないと思ってそうだなーっと。

それぞれ弱味を握ってそうな桜子なんですが
どうしても類だけが思いつかなくて…(笑)


桜子メインで書こうと思ってるサイドストーリーは
リミット本編終了時に
ka★★★様に頂いたリクエストを元にさせて頂いてるんですが
ちょっとズレちゃったかもしれません(--;)

気に入って頂けるかわかりませんが
アップした際はぜひまたお付き合いお願いします(*^-^*)

No title

桜子いいなぁー原作で出てきたばかりの時は嫌な女っぽい感じだったのに、ほんと男前のいい女ですよね( ¨̮ )
そして総二郎はどんどん司化して面白い笑 でも、きっと一人の人に執着したら、F4の独占欲的なものは表現の仕方はそれぞれあるだろうけど皆こんな感じなんだろうなぁと思います。

りえ様

桜子も最初は敵キャラでしたもんねぇ。
でもラストにはほんと大好きなキャラになりました♪

敵にだけは回したくない女、桜子。
毒っ気がたまらんです、はい♡
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