夢の続き 10

「もう会わない」

そう言ったあたしを
問い詰めるでもなく、類は静かに見つめていた。


『夢の続き』   第10話


結局それを最後に
道明寺の話をすることもなく、
他愛もない世間話をしていたあたし達。

正直あたしもまだ気持ちがグラついてて
問い詰められても困ったし
きっと類にもそれがわかっていたんだろう。


お店を出た所で、
「あ…しまった」
と類がケータイを取り出して呟く。

「どうしたの?」
あたしが首をかしげると
「秘書に電話しなきゃいけなかったの忘れてた。
 でも充電もしてなかったから電池もないし…ま、いいや。」
そう言ってポケットにケータイをしまって行こうと言う類。

「え?いいわけないでしょ!
 あたしので良かったら貸すから今からでも電話しなさいよ」
そう言ってあたしのケータイを渡すと

「えー…面倒くさい」
そう言って返そうとする類を無言で睨みつけると
「…じゃあ電話してくるからちょっと待ってて?」
まるでこう言えばいいんでしょ?みたいな顔つきで言う類は
あたしから離れて電話をかけ始めた。


「お待たせ。電話ありがと」
10分くらいで戻ってきた類はそう言ってあたしにケータイを返す。
「仕事、大丈夫だった?」
「うん。遅いって怒ってたけど大丈夫なんじゃない?」
そう言うわりに全然悪びれてはない類には
こんな事で花沢は本当に大丈夫なのかとため息が出る。


その後類の家の車で送ってもらって別れた。



道明寺と会った次の日、
職場の同僚がランチ中に何気なく広げていた雑誌。

あたしはその週刊誌に出ていたあいつの記事を見た。

そこには『結婚』の見出し。
相手はあたしでも知ってるような大きな会社の社長令嬢で
業務提携を期に結婚するのでは、と書かれていた。

この記事を鵜呑みにしてるわけじゃない。
あいつの気持ちを疑ってるわけでもない。

だけど…

自分の気持ちがどうであろうとそういう相手との結婚が望まれる。

あいつはやっぱりそういう運命を背負う男なんだと
思い知って現実に引き戻された気分だった。

あたしとあいつはもう8年前に終わってしまったんだ。
あたしが一方的に終わらせてしまった。

今さらあいつの人生に
首をつっこむ権利がどこにあるっていうのか…。


それから一週間、
何度も道明寺からの着信があったけど
あたしは通話ボタンを押す事はなかった。

こんな事くらいで
あいつが黙って引きさがるなんて思ってないけど。

でも今はまだ…
あいつの声を聞いて
好きじゃないなんて嘘でも言えそうにないから……。

もう少し…ちゃんと気持ちに整理をつけてから…。


その時、インタホーンが鳴った。
時計を見るともう10時を回っている。

ま、まさか…。

そう思ったそばから
今度はドアをドンドンと壊れるんじゃないかと思うほど叩かれる。

そして予想通りの声がドアの向こうから聞こえてくる。
「牧野っ!いるんだろ?開けろよ!」

こ、こんな時間に何考えてんのよ、あの男はっ!

このマンションは事務所の寮も兼ねていて
隣でないにしても近くには同僚や先輩だって住んでいる。

慌てて、ドアを開けると
そこにはやっぱり道明寺が立っていた。
「あんたねっ。こんな時間に何考えてんのよ!」




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