Blunt 7

「…務?…専務!」

気がついたら牧野がオレの顔の前で
手をブンブン振っていた。


『Blunt』   第7話


「うぉっ!?なんだよ!」
「なんだよ、じゃないですよ!さっきから声かけてるのに。
 やっぱりまだ体調良くないんじゃないですか?
 無理ばっかしてたらまた倒れますよ?
 掃除終わったんで、あたしはこれで失礼します。…お大事に」

そう言って牧野はペコッと頭を下げると執務室を出て行った。

シン…と静まり返った空間は
いつも通りで、何も変わった事はねぇのに。
空調だって完備されてるはずなのに、いつもより寒い気がする。

やっぱりあいつが言うようにまだ熱があんのか?
そう思って額に手を当ててみるが、熱は感じねぇ。


「…お気分が優れませんか?」
そんなオレに声をかけてきたのは西田。

「いや、大丈夫だ。 この部屋…寒くねぇよな?」
「…いつも通りかと。寒いようでしたら温度を上げますか?」
「…いや、大丈夫だ。この部屋…静かすぎねぇか?」
「……」
「…いや、大丈夫だ」
「……」

しばらく黙っていた西田がクスッと笑った気がして
顔を上げて見たが、いつもの鉄仮面だった。

「牧野さんは仕事が早くて助かりますね」
なんて事を言いながら珈琲を差し出すこいつ。
「あ、あぁ…」
そう言えば最初の頃に比べて掃除にかける時間は
格段に短くなっていた。
今日だって気がついたら掃除を終えてたくらいだ。

「そこで専務にご相談なんですが…」
「なんだ?」
「私の仕事がしばらく詰まっておりまして。
 専務さえよければ仮眠室の掃除も
 牧野さんにお願いしたいと思ってるのですが…」

仮眠室に他人を入れるのを嫌うオレ。
だから仮眠室の掃除は今まで
自分でもやるが、基本的には西田がやってくれていた。

何も答えずに考えていたオレに
「…やはり無理ですね。失礼いたしました」
と頭を下げかけたこいつに
「いや。あいつならいい」
そう言うと
「ありがとうございます。
 では早速、牧野さんが帰ってしまう前に伝えてまいります」
「…あいつもう帰るのか?」
「はい、いつもここの掃除が終わると帰られるようなので…」
「……オレが言ってくる」
「はい?」
「……タ、タバコ吸うついでだ。忙しいんだろ?お前は」
「…では、お言葉に甘えさせて頂きます。
 牧野さんは裏の通用口から出て行かれますので。よろしくお願い致します」
そう言うと西田は執務室を出て行く。

オレも続けて執務室を出て、通用口に向かう。

初めて足を踏み入れたそこ。
「…あいつはどの部屋にいるんだ?」
いくつか並んでいるドアを見ながら首をかしげていると
通用口に近い奥のドアが開いて
「お疲れ様でした~」
と部屋の中に向かって言いながらあいつが出てきた。

急いでるのか、そのまま通用口を通ったあいつを
慌てて追いかけて行くと

「和也君、ごめん待たせちゃったよね?」
「ううん。ボクも今来た所だから…」
「時間…間に合うかな?」
「まだ大丈夫だよ。行こっか」
「うん」

そう親しげに話すあいつと男の声に足が止まる。
こっそりと覗いてみれば
男の車に乗り込む牧野が見えた。

そのまま車は走り去ってしまって
しばらくオレはその場に立ち尽くしていた。




いつも応援ありがとうございます♡

★本来ならハラハラするはずの展開なのに…
   相手が和也君だとなんとなく和んじゃうのなんでだろう…(笑)★
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ついに和也きた!!ここまですっかりわたしの中で消えていました笑
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