夢の続き 7

『あんたが好きだって
 言ってるじゃない!このぼけなすっ!』
あぁ…そうか、そうだったのか。

どうしてあたしは…。
あんたの事を忘れたりしたんだろう。


『夢の続き』   第7話


「ん…」
「あ!気が付いた?」

目を覚ますと滋さんと桜子がついていてくれた。

「あたし…?…いてっ」
頭を押さえて起き上がると後頭部に鈍い痛み。

「先輩、足滑らせてひっくり返って頭打ったんですよ。
 本当にすごい音したんですからっ。
 たんこぶになってるみたいですが、大丈夫ですか?」
と桜子が冷たいタオルを当ててくれる。

「うん…。まだちょっと痛いけど、大丈夫」
あたしが言うとホッとした表情を浮かべる2人。

「みんなにも伝えてくるねー」
そう言って滋さんは部屋を出て行く。



道明寺…。

記憶を失ってすぐの頃、
あいつは毎日あたしの病室に来てくれてた。

類たちがいくらこのクルクル頭の男が
あたしの好きな人だと、付き合ってたと言っても
あたしには到底信じられなくて。

だけど否定する度に
ひどく傷ついたような顔をするあいつを見るのが辛くて
徹底的に避けるようになってしまった。

しばらくして類からNYに行ったって聞いたっけ…。



「…ぱい?先輩っ!」
「…へっ!?」

「おいおい。大丈夫かよ?」
「やっぱり病院行った方がいいんじゃねぇの?」

気がついたらみんな揃っていて
怪訝な顔をしてあたしを覗き込んでいた。

「ううん。大丈夫!ちょっとボーっとしてただけ」
そう言って笑ってごまかすと
みんなも首をかしげながらも安堵の表情を浮かべる。


その日は結局
大事を取ってパーティは仕切りなおそうと言う事になって
心配して送ると言ってくれた類たちも丁重に断って
あたしは独り暮らしを始めたマンションに帰る。

帰りに寄ったコンビニで見かけた雑誌の表紙には
あいつが載っていて、思わず買ってしまった。

そこにはあいつのお父さんが倒れて、
正式に後継者としてなった道明寺が
行った会見の内容が書かれていた。

そっか…。あいつ、頑張ってるんだ。

今さらあたしが記憶が戻ったなんて知ったら
邪魔になっちゃうんだろうな。

みんなにもしばらくは黙っていよう。
知ったらきっと道明寺にすぐに知らせるに決まってるから。

そしたらあいつは立場を捨ててNYから戻ってきてしまう。

……ううん。違う。

記憶が戻ったって聞いたからって
新しい道を歩み始めたあいつに
あたしの事なんてもう何とも思ってないって言われるのが怖いんだ。

思い出すならもっと早く思い出したかった。
こんな風になってから思い出すなんて…

……何もかも遅すぎだよ。


ねぇ、道明寺。

あの時、もしもあたしがあんたを忘れなかったら。
忘れてても拒絶なんてせずにもう一度好きになれてたら…

あたし達には
どんな未来が待ってたんだろうね?


「ごめん。…ごめんね。道明寺…。
 今さらだって言われたって……やっぱり好きだよ」

自分だけあの時に戻ったようで
ずっと先を歩いてるあいつには言えない気持ちを
何度も何度も呟いて、あたしは涙が止まらなかった。




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