The one 12

のん気に楽しんでいる牧野からずっと目を離せずにいるオレ。

それなのにあいつは仲間と話すのに夢中で
オレには一向に気付かねぇ…。
普通これだけ見てたら視線くらい感じてもいいんじゃねぇの?


『The one』   第12話


「この後…2人で抜けないか?」
「…え?」
「ずっとつくしを忘れられなかった…
 今でも好きだ。お前じゃないとダメなんだ…」
「私も…忘れなかったの」
「つくし…っ!!」

「だぁっ!うるせぇな!」
ムカつく小芝居しやがる総二郎とあきらを1発ずつ殴る。
「殴るこたねーだろ。
 こういうシチュならあり得るんだぞ?」
「そうそう。懐かしさに酒の勢いが重なれば…なぁ?」
と2人で頷きあってやがる。

そ、そういうモンなのか…?

そう思ってもう一度あいつを見ると
1人の男が牧野の肩を叩いてフロアの外へ連れ出して行った。

「お。マジかよ」
「あいつが元カレかぁ~」
と総二郎たちが面白うそうに言ったのと同時に
立ち上がって走り出していた。


あいつらが消えた方に向かうと
廊下の角で話している牧野を見つける。

「この後…2人で抜けられないか?」
「え…?」
「あんな事で別れるなんて…バカだったと思ってる。
 今さらかもしれないけど、まだ忘れられないんだ…
 少しでいい。話、聞いて欲しいんだ。…ダメかな?」

まるでさっきの小芝居の再現かと思うような
2人の声に足が止まる。

「……本気なの?」
「本気じゃなきゃ、わざわざお前にこんな事言うかよ…」
「ん。わかった…幹事にだけ
 ちょっと抜けるって伝えてくるから…。先行ってて」
牧野がそう言うと相手の男は出口に向かって歩いて行って
あいつがオレの方に歩いてくる。

薄暗い廊下なせいか、目の前まで来てやっとオレに気が付くこいつ。
「ど…道明寺!なんで…」
驚いてるこいつの腕を掴んで壁際に追いつめて両腕で閉じ込める。

「あの男、お前の何だよ?」
「あ…あんたには関係ないでしょ」
「さっきの会話…どういう事だ?」
「立ち聞きとか趣味悪いわよ!」

さっきのあの男に対する態度とのあまりの差に
我ながら情けねぇとは思いつつ弱気になってくる。

「……あいつの事、好きなのかよ」
オレの言葉に急に勢いがなくなった事に
あいつも気づいたのか、不思議そうに顔を上げる。

そして、
「…何言ってんの?あんた」
と怪訝な顔をして首をかしげる。

「あ?あいつ元カレなんだろ?
 より戻してくれって言われんてんだろ?
 お前あいつと付き合うのかよ…」
オレが言うと
一瞬呆気にとられた顔をしてから一気に笑いだすこいつ。

「あはははは!うんうん。確かに元カレだけどね。
 あたしのじゃないっつーの。あいつは優紀の元カレ!
 あいつあたしとも仲良いし、優紀とどうやったらまた付き合えるか
 相談に乗ってくれって頼まれただけだってば」

何勘違いしてんのよ、とかケラケラ笑ってるこいつに
安堵と同時に怒りが込み上げてくる。

「てめ…。紛らわしい会話しやがって、冗談じゃねぇぞっ」
「はぁ?あんたが勝手に勘違いしたんでしょ!?
 待たせてるんだからどいてよ!」
そう言ってオレの腕を押しのけて行こうとするこいつを担ぎあげる。

「ちょっ…!何すんのよ!!離せ~~っ」
暴れるこいつを無視して、店の外に出ると
さっきの男が立っていた。

「…牧野?…えっと、この人は…?」
オレと担がれたままの牧野を交互に見て首をかしげる男。

「お前も男ならな!てめーの好きな女くらいてめーでどうにかしろ!」
オレが怒鳴るとそいつは
「へ…?」と呆然としている。

「本気で好きなら、奪ってでも手に入れればいいだろ。
 それが出来ねぇなら、所詮その程度の気持ちだって事だ、諦めろ」
「ちょっ…!あんた何て事言うのよ!
 って言うかいい加減降ろしなさいよっ!バカっ!クルクルパー!」
牧野はギャーギャーうるせぇが無視だ。無視。

「そしてこいつはオレの女だ。
 勝手に2人きりになろうとしてんじゃねぇ」
「だ…誰があんたの女なのよ!頭おかしいんじゃないの!?」
「じゃあな…」
もう用はねぇと立ち去ろうとした所で

「あの…ありがとうございます!」
とあの男に呼び止められる。
「あ?」
「俺…優紀に直接告ってみます!」
と頭を下げている。
そして、
「牧野…お前こんなカッコいい彼氏いたのかよ?
 ちゃんと報告しろよなー。黙ってるなんて水臭いぞ」
とにやりと笑う。
「ちょっ…!何勘違いしてんのよ!こいつはそんなんじゃ…
 どっちかっつーと、ストーカー…ふがっ!!」
余計な事を言う前にこいつの口を手で覆って黙らせる。
「…ま。そう言う事だから」
そう言って今度こそ立ち去る。

「あんた!ほんとに許さないからっっ!!」
この後もこいつはギャーギャー騒いでいたが
オレの頭の中では

さっきの奴がクラスの奴らにオレの事を話して
“牧野にはカッコイイ彼氏がいる”って事になれば
余計な男が寄ってこなくなると上機嫌だ。




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