離した手 9

牧野…。
その涙はどういう涙だ?

嬉しいのか、怒ってんのか、
それとも…今さらこんな事言われて困ってんのか…。


『離した手』   第9話


「いつ…思い出したの?」
ちょっと落ち着いた牧野が聞いてきた。
「少し前だ…1ヶ月くらいか?
 熱出して魘されてる時にお前が看病してくれた時の事思い出して…」 
「そう…」
相槌を打っただけでその先に言葉が続かない…。

しばらく2人の間に気まずい沈黙が流れてから
「そういえば…」牧野が口を開く。

さんざんひでぇ態度とってきたんだ…。
何を言われても仕方ないとは思ってはいるが
覚悟はしててもつい身構えちまう。
怒っても殴ってもいい。
だけどオレを拒絶するのだけは勘弁してくれ…。

「喫茶店にいたのって…やっぱりあんただったの?」
「……は?」
予想もしてなかった言葉に
一瞬こいつが言ってる事がわからなかった。
「あんた、あたしの後ろの席に座ってなかった?」
あぁ…あの時の事か
「あ…あ。知ってたのか?」
だったら声くらいかけてきたっていいだろうが。
そう思ってると急に噴き出した牧野。

「クスクス…だってその頭、新聞の上から出てたからねぇ
 あんたもし尾行とかするならせめて帽子はかぶった方がいいよ?」
そう笑いながらオレの頭を触った牧野。
うるせぇっと払いのけてやりたい所なのに…
お前が笑ってくれるならそれでいいと思っちまう。

「なぁ…1つ聞いていいか?」
「ん?」
「お前、今男いんのかよ?」
「は?」
きょとんとする牧野。
「男だよ。彼氏じゃなくても好きな奴…とかよ」
オレの質問にしばらく考えていたこいつは
「彼氏…はいないけど、……好きな人ならいるかな?
 あたしの片思いかもなんだけどね……大好きなの」
そう言って頬を赤らめていた。


…痛てぇ。

刺された時なんか比じゃねぇほど胸が痛てぇ。



牧野に好きな奴くらいいても何もおかしくねぇし、
そもそも類だってそれでフラれてるって知ってたはずだ。

それでも…嘘でもいいから否定してほしかったんだよ。
さんざん悪態ついといて虫のいい話だってのはわかってるが
どうしたってオレにはお前しかいねぇんだ…。

でも…。
やっぱりもう無理なのか…遅すぎたって言うのか…?
やべぇ…。迂闊にも泣きそうだ。

せめて涙は見せまいと必死に黙りこくっていると
牧野がオレの目の前で手を振っている。

「あーれ?どーみょーじー?起きてる?」
オレを奈落の底に突き落としておいて
能天気な声出してんじゃねーよ。
…ったく。タチわりぃ女だな。



関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

L★★★★こし様

はじめまして。コメントありがとうございます。
キュンキュンしていただけましたか?嬉しいです(^^)
お話は完結しましたが
楽しんで頂けていれば幸いです。

こちらこそ宜しくお願いします♪

★★★★ana様
はじめまして。コメントありがとうございます。
つくしちゃんらしからぬ「大好き」発言。
司には奈落に落ちて頂きました(笑)
10話で種明かし&完結です。

お楽しみいただければ幸いです。
こちらこそよ宜しくお願いします♪
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
komaの呟き。
最近ふとした
きっかけで
落書きにどハマり中♡
 
おかげで執筆が
進みません…(笑)
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる