The one 3

話もひと段落したところで
「そろそろお土産も見てもらおうかしら~」

姉ちゃんはそう楽しそうに言うが、
土産らしい物はこの部屋に見当たらない。


『The one』   第3話


「あ?土産なんてどこにもねぇじゃん」
オレが言うと、

「ここにはね。つくしちゃんの部屋に置いてあるのよ」
と訳わけんねー事を言いだす。

そんなオレの疑問を察したタマが呆れた顔して
「椿お嬢様が帰国の度に土産を大量に買ってくるんですが
 あまりの多さにつくしの家には入りきらなくて
 受け取ってくれないって泣きつくもんだから
 この邸に有り余る部屋の1つをつくしの部屋にしてしまえば
 いいんじゃないかって提案したんですよ。
 それ以来ますます土産の量が増えちまって
 もうすぐ2つめの部屋を用意するはめになりそうな勢いですがねぇ…」
とタマがため息をつく。

この邸にこいつ用の部屋…?
そんなもん聞いた事もねぇぞ…。

嬉しそうに牧野の手を引いて
その牧野部屋とやらに行く姉ちゃん達になんとなくついて行くと
姉ちゃんの私室の近くに設けられたその部屋のクローゼットは
服や鞄に靴、装飾品が綺麗に整頓されていて
ここだけで店が開けそうなくらいの量だった。

その一角に今回買ってきた分だと思われる
まだ手つかずの箱の山がある。

「椿さん…またこんなに買ってきて…」
と牧野はその山を見て、ガクッと頭を垂れている。

「あら、これでもずい分減らしたのよ?」
と姉ちゃんはそんな牧野に構うことなく
1つの箱を開けて出してきたドレスを
牧野に合わせて「やっぱり似合う!」満足そうに微笑む。

こうなったらもう完全に姉ちゃんのペース。
フィッティングルームに入っては
あれこれと着せ替え人形よろしく次々と着替えさせられている牧野。

その様子を入口の近くで立ったまま黙って見ているオレとタマ。

「姉ちゃん、楽しそうだな。…牧野はどうなのかわかんねぇが」
オレがボソッと呟くと

「えぇ。つくしは申し訳ないってそればっかりだけど
 椿お嬢様はつくしを本当の妹のように可愛がってるからね。
 つくしもその愛情を感じているから
 困惑はしてても邪険には出来ないんだろうね…。優しい子だよ、本当に」
とタマも困ったように笑う。

「あぁ…そうだな」

考えてみれば
あいつは昔からそうだったな…。

オレが牧野をぼーっと見ていると

「つくしが気になりますか?」
とタマ。
「あ?なんだよそれ」
「いやね。椿お嬢様のお友達とは言え、
 坊っちゃんが初対面の人間、それも女性に
 こんなに構ってるのは初めて見るような気がしたんでね…」
そう言ってニヤっと笑う。

「あ?誰が初対面…」
そう言いかけた所で

「司!これどう?やっぱりつくしちゃんにピッタリよね?」
と姉ちゃんがオレの前に牧野を突き出す。

姉ちゃんによって全身コーディネートされた牧野は
確かによく似合っていて…マジで綺麗だと思った。

だけど…。

「ちょっ…椿さんっ!」
と目の前に立って向き合っていても
やっぱりオレと目を合わせようとしないこいつにイラつく。

だからつい…

「いいんじゃねぇの?
 貧乏人のお前には一生かかってもできねー贅沢だろ?」
と自分でもガキくせぇと呆れるほどの悪態をつくオレの言葉に

「司っ!!あんたって子はぁぁぁ!!」
と今にも蹴りが飛んできそうな姉ちゃんを止めたのは

それよりも早く、
ドスッ!と鈍い音と共にオレの腹に打ち込まれた1発の強烈なパンチ。

「あたしは確かに貧乏人だけどね!
 あんたみたいに性根が腐ってるよりはずっとマシよ!」
と漸くオレに視線を向けて怒鳴りつけた牧野。

相変わらず的確に鳩尾を打ってくる
こいつの拳は強烈で息もままならない程苦しいが。

こいつが少しも目をそらさずに
まっすぐオレを見てる事にどこか喜びさえ感じる。

そんな牧野に抱き着いて
「つくしちゃん!よくやったわ!!
 そうよ。こんなバカ放っておいて行きましょ?」
とまた牧野を連れて奥に行く。

「…今のは坊っちゃんが悪いですよ。
 いい歳なんですから女性の扱いくらい覚えてくださいな」
「あぁ…わかってるつもりだったんだけどな。
 ……どうやら大きな勘違いだったみてぇだな」
オレの言葉に
呆れたように盛大なため息をつくタマ。


仕方ねぇだろ。
オレも今思い出したんだよ。


あいつが狂暴だって事も。

とっくに忘れたつもりだったこの想いもな。






いつも応援ありがとうございます♡
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コ★★ン様

おぉぉっ!そんな遠くからお読み頂いていたとはっ!Σ(・Д・;)
数ある素敵サイト様の中から
私のお話などを読んで頂いて嬉しいです(*´U`艸)

The one、まだまだ続きますが
これからも楽しんで頂けると幸いです♪

プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
komaの呟き。
最近ふとした
きっかけで
落書きにどハマり中♡
 
おかげで執筆が
進みません…(笑)
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる