already in love 14

「…なぁ。ここどこだ?」
「…えっ⁉︎」

信号で立ち止まったタイミングで
そう聞いてみれば牧野は驚いた顔でオレを見上げた。


『already in love』  第14話


見覚えがあると言えばあるような気もするが
普段 車で通り過ぎるだけの街は
オレにとってはどこを見ても同じに見える。

「えーっと…
 あたしもこの辺あまり知らないんですけど。
 坊ちゃんはそもそも
 どこに行こうと思ってたんですか?」
「どこって…別にどこでもねぇぞ」

「自信満々に進むから
 てっきりどこか寄りたい場所があると思ってたのに」
「ねぇよ。っつか、人が多すぎてウゼェ」

「そりゃあ年末ですからね。
 特に行く所もないなら
 お迎え頼めば良かったんじゃないですか?」
「……まぁ、そうだけどよ」

こいつの言うように
店を出た後車を呼んでも良かったが
それじゃ邸に戻った途端に解散の流れになる気がした。

「…つまり、あたし達は迷子になっちゃったわけですね?」
「あ?」
確かにここがどこかはわかってねぇが
電話1本で車は呼べるし帰る手段がねぇ訳じゃねぇ。

それはこいつだってわかってるはずだが
牧野は辺りを見渡すと
「ここを渡った所にカフェがありますから
 とりあえずそこに入って作戦会議しましょう」
なんて何故かどこか楽しげに
青に変わった信号を確認して歩き出す。


「ごゆっくりどうぞ〜」
注文したコーヒーが運ばれてくると
砂糖とミルクを注ぎクルクルとかき混ぜ
冷えた指先を温めるように
マグカップを両手で包み込む。

「手袋も買ってやろうか?」
「今日こんなに寒いと思わなくて
 持って来るの忘れてただけです。
 それにもう十分すぎるくらい頂きましたから!」
そう言って自分の隣に置いた紙袋を指さした。

それだってこいつが自分で払うとか
訳のわかんねぇ事を言い出したせいでツッコミ損ねたが
店員が告げた金額は何かの間違いだと思うほどの額だった。

オレに言わせれば全然足りねぇ。

それでもそれを言葉にしないのは
牧野が満足そうに紙袋を覗き込んで笑ってるから。

「そういえば…」
「はい?」

「あのロッキングチェアは何に使うんだ?」
「これですか?
 ウサギのぬいぐるみを座らせたかったんです。
 ほら、丁度いいサイズじゃないです?」
なんてテーブルの上に出してゆらゆらと揺らす。

「…大事にしてんだな」
「はいっ。宝物です」

オレの事は覚えてなくとも
2人の思い出は大事にされているようで
フクザツながらも嬉しい気持ちの方がやっぱデケェ。

「マジでそいつの事 何も覚えてねぇの?」
別に今となってはもうどっちでもいい気もするが
欲を言えば初恋のたいちょーがオレだと
気付いて欲しい気持ちも残ってる。

「んー…。
 ほんと顔は覚えてないんですよね。
 ウサギのぬいぐるみをくれたのは確かなんですけど」
「そうか」

「あっ!でも
 雨の匂いとお菓子を一緒に食べたのは覚えてます」
「雨…?」

「あとは…
 その男の子の服ですかねぇ?
 雨宿りしてたみたいでパーカーのフード被ってたかなぁ?」
「……ふぅん」
こう言われると
オレもやっぱり結構記憶が曖昧だと気付く。

確かにあの日、突然の雨を避けるために
たまたま見つけた公園のあの遊具に入ったんだっけか。

「…会いてぇか?」
「う〜ん。
 会いたいような…会いたくないような…?」

「なんだそれ」
「いや、会いたい気持ちはあるんですよ?
 でも覚えてない事も多いせいか
 あたしの中でたいちょーは完璧な男の子なんですよ。
 でも現実にそんな男の子なんて
 そうそういない事もわかってますしねぇ。
 だから思い出のままそっとしておきたいっていうか…?」

語尾を濁すように話すこいつの言いたい事もわかる。
オレだって気付くまではそう思ってた。

「心配すんな」
「はい?」

「間違いなくカッケーから」
「は?何を根拠に…」

「オレの勘。だが、絶対だ」
そう断言したのは
もちろんオレがたいちょーだと知ってるからだが
いつか牧野が気づいた時にガッカリされたくねぇし
こいつにだってガッカリなんてさせるつもりもねぇからだ。

ビシッと言ってやったオレを
しばらくポカンと間抜けな面で見ていた牧野は

「…プッ。
 なんだかわからないけれど
 坊ちゃんが言うとそんな気がします。
 ありがとうございます」
クスクスと笑うこいつは
どこまで本気にしてるかわかったモンじゃねぇが

「って、そんな事より
 これからどうするか考えましょっ」
そう言いながらケータイでマップを開き
ここからならどこの駅が近いから乗り継ぎがどうだとか。

真剣に帰る手段を探すこいつを眺めながら
あの日、結局行く事は叶わなかったが
遊具の中で2人で地図を広げ
駄菓子屋に行く作戦を立てたのを思い出していた。




いつも応援ありがとうございます♡

★なかなか更新できなくてごめんなさーい(´。・д人)★
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スリー★★★★★様

司くんはどこに行くでもなくて
つくしちゃんと一緒にいる事が目的だったわけですからね
迷子のつもりもなかったんでしょうけど
つくしちゃんにして見れば立派な迷子!(笑)

お互い幼かった時の記憶なので
覚えている事、忘れている事がバラバラで。
司くんのビジュアルに印象がないのも
もちろんそこが関係していますし、司くんも気づいたはず…?

フフッ、
先につくしちゃんが気づいてなくて良かったです。
印象が悪いままの状態で気付かれたら
初恋の完璧男子のイメージが打ち砕かれてる所でした(((*≧艸≦)ププ

配信もファンクラブじゃなくても見れるなら
ちょっと見てみようかな〜って思ってたんですけどね。
タイミング悪く予定が入っちゃって見れずじまい…(´-ω-`)

ライブにはライブの良さがあると思いますが
配信もいいアングルで楽しめてならではの良さですよね(*´▽`*)♪

コロナもまたすごい数字が連日報道されてますねぇ。
ますます感染対策に気を引き締めないとですね!

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も★★様

ご心配おかけしてすみませ〜ん人( ̄ω ̄;)
そろそろ独り言くらいは呟かなきゃなぁとは思ってたんですが
何かと次から次へとバタバタしておりまして
妄想にふける時間がなくて…(^^;)

もはや何書いてたか忘れかけてますが(焦)
koma自身は元気です♪

第3波も広まるばかりで止まる気配がありませんが
も★★さんもどうかご自愛くださいませm(_ _)m
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