already in love 4

「…ねみー」
「なんだよ、司」
「類みてぇな事言ってんなよ」

小さく欠伸を噛み殺しながらポツリと呟いたオレに
総二郎とあきらが肩を竦めた。


『already in love』   第4話


昨日、タマから紹介されたあのメイド。
なんなんだ、あいつは。

ぎゃあぎゃあとうるせぇし
そもそもメイドとしてあの態度はどうなんだ?

おまけに朝食までオレと一緒に食べやがった。
これにはさすがにタマに文句を言えば

「つくしだってこれから学校だってのに
 坊ちゃんが起きないからもう時間がないんだよ。
 嫌なら明日からは時間通りにおきてくださしまし」
なんてまるでオレが悪ぃみてぇに言い

「坊ちゃんも1人で食べるよりは
 こうして誰かと食べる方がよろしゅうございましょ」
むしろこれで良かったとばかりの態度で。

「坊ちゃん。
 さっきから全然食べてないですよ。
 こんなに美味しいのにもったいない!」
オレの向かい側に座るこいつは
見てるだけで食欲が失せそうな勢いでよく食う。


思い出すだけで不愉快な光景に
たまらず顔をしかめたオレに

「そういや
 そろそろ新しいメイドが来る頃か?」
「っつか、すでに辞めてたりしてな」
ククッと笑いながら聞いてくるこいつらも
オレが次々とメイドに嫌がらせをしては
何人も辞めさせてきた事も知っている。

「いや。
 辞めてねぇよ、まだ」

「へぇ?でもまぁ時間の問題だろ」
「だな。今までで最高何日もった?
 でもまぁ、司ん所に来る奴も可哀そうにな」
あいつを見てねぇこいつらが

「俺は3日」
「じゃあオレはドンと1週間にすっか」
辞めるまでの日数を賭け始めるのもいつもの事だが

「じゃあオレは…辞めない、にしようかな」

これまでこの賭けにノッた事もなければ
今の今まで寝てたくせにそう答えたのは類。

総二郎たちはもちろん
オレも類へと視線を移した。

「どうしてそう思う?」
辞めねぇとまではいかなくても
なんとなく一筋縄ではいかねぇ気もしてた。

「んー…司の方が参ってるみたいだから?」
クスッと笑う類は
相変わらずボーッとしてるようでよく見てやがる。

「そうなのか?
 司が押し負けるってどんな奴だ?」
「ついにゴリラみてぇな男でも付けられたか!」

「違ぇよ。
 そんな奴なら殴り飛ばせばいいだけだろ。
 …学年まで知らねぇけど。たぶんオレらより年下?」
さすがに中学生ってわけはねぇと思うが
見た目をとっても、態度をとっても年上にはまず見えねぇ。

「年下っ!?マジかよ!」
「どんな子だ?かわいいのか?」
ヒュ〜っと口笛を吹いて楽しげなこいつらの考えは
どうせ想像するのも不愉快な程ロクでもねぇはずだ。

その予想通り
今度はいつ辞めるかではなく
オレがいつあいつを食うか、で賭け始めやがる。

「未来永劫ねぇよ!」
放っておけば
どんどん勝手に盛り上がりそうなこいつらに
そう宣言して水をさしておけば

わざとらしく大袈裟なため息をつく。

「いつになったら司は男になるんだ。
 まさかまだ初恋を忘れてねぇとか言うつもりか?」
「有り得ねぇだろ。
 名前も覚えてねぇしそもそも1度会ったっきりだろう?」
つまらなさそうに言うこいつらに
「あぁ、ぬいぐるみあげた子だっけ?」
と類までクスクスと笑う。

確かにオレの初恋はあの時だった。

あの後、何度かあの公園へ行ってみたが
会える事はなかったし オレもそのうちに行くのをやめた。

おかげで今となっては
名前どころか顔もぼんやりしている。

ただ…。
初恋以降、誰かを好きになった事もねぇし
完全に思い出なのかと聞かれたら…微妙なだけ。

それがただの執着なのか
気持ちが残ってんのかは自分でもわかんねぇ。

それでも所詮はガキの頃の淡い初恋だ。
今さらどうなると思ってるわけじゃねぇんだが。




それから2週間。
総二郎たちの予想は外れ、
類の直感が当たる形であいつは未だに邸にいる。

部屋の掃除をしているこいつをシカトしつつ
あいつが今モップをかけたその床に
わざとコーヒーをこぼしてやる。

我ながらくだらねぇとは思うが

「あーっ!もう!ほんと性格悪いっ!」
「今まで辞めてった人たちの気持ちがわかりすぎる」
主人の目の前で
盛大なため息とともに愚痴るこいつもこいつだろ。


「だったらとっとと辞めろ!」
「いいえっ。
 タマさんは優しいし、ご飯は美味しいし。
 知ってました?お給料までいいんですよ!
 ただ1つ、性悪坊ちゃんがいる事を除けば
 ここはほんと〜に素敵な職場なので辞めません!」
ベーっと舌を出して慣れた手つきで
オレが零したコーヒーを拭き取っていく。

「テメェの方が年下だろうがっ。
 坊ちゃんとか呼んでんじゃねぇよ!」
「精神年齢に合わせるなら
 坊ちゃんで十分でしょ?」

「あぁっ!?」
「行動もそうだけど、ほら。
 坊ちゃんの好きなこのお菓子!
 坊ちゃんがこれ好きって言うのも意外ですけど。
 常にストックしておかなきゃならないなんて。
 でもこれ美味しいんですよね〜。1つもらっていいですか?」
オレの苛立ちもスルーして
チェストの上のケースに入っている
あの時食べた駄菓子を1つ手に取り勝手に封を開ける。

「ちょっ…!おいっ!
 勝手に食ってんじゃねぇよ!」
「いいじゃないですか、1つくらい。
 今度あたしのおすすめを持ってきますから。
 これも美味しいけどそれも美味しいんですよ?」

思い出の味をこいつと共有するつもりもねぇし
大体、メイドのくせに
主人の部屋にある食い物に手を出すってあり得ねぇだろ!

「いらねぇよ!返せよっ」
「ほんとケチ!」
そうため息をつくこいつは

食べるのをやめるのかと思えば
袋から出したその菓子をパキッと真っ二つにすると

「じゃあ、はい。はんぶんこ」
ニコッと笑って片方をオレに差し出した。



__『はいっ!はんぶんこ』


その時、
なぜかぼんやりしていた記憶の中のあいつと
目の前のこいつが重なって見えた…気がした。





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ふぁ★★★★★★★様

うちの坊ちゃん一歩間違えれば(いや、間違えなくても?)
一途な男なんですよね〜(((*≧艸≦)ププ

そしてうちのつくしちゃんはとことん鈍い。
クルクル頭とか思い出すきっかけが多そうなのは
つくしちゃんなんですが、気付いてくれる気配がありません(笑)

駄菓子…いろいろ考えたんですが
「はんぶんこ」に出来るのってアレしか思いつかなくて。
あえて名前は出しませんが
komaの中では味の種類の豊富なアレをイメージしてます♪

辞める気配もないつくしちゃんに
司はいつまでイライラしますかね〜( *´艸`)?

 

スリー★★★★★様

小さな頃に1度だけなのでね〜。
初恋と認識しつつも
目の前のつくしちゃんがその女の子だとは気付かず。

ここまでコロコロと替わっていたメイドが
2週間も続いているとなれば
F3もそろそろ会いたがりそうですよね( *´艸`)クスクス

あーっ。
麩菓子もありますね〜(・∀・*)
komaが思ってたのは違うヤツですが
特定する気もないのでそれでもいいかも♡

きなこ棒、komaも好きです♪
美味しいですよね、あれ(*´▽`*)
今でもたまに買います(笑)

初恋の記憶とつくしちゃんが重なった司くん。
つくしちゃんが初恋の相手だと気付けますかね〜?
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