already in love 2

それから数日後。
あたしは身の回りの荷物だけを持って
このお邸へと引っ越してきた。


『already in love』   第2話


「ここがつくしの部屋だよ」
「わぁっ…広い!
 これ何人部屋なんですか?4人…いや5人?
 皆さんは 今お仕事中ですか?」

タマさんに通されたその部屋は
2LDKのゆったりとした間取りで
普通に都内で探したら家賃はいくらくらいだろう…
だなんて考えてしまうほどちゃんとしたお部屋だった。

それなのに。

「何言ってんだい。
 ここはつくし1人の居住空間だよ」
呆れたように言いながら
部屋の鍵を渡してくる。

「えぇっ!?」
今まで家族で住んでた社宅より
広いような気がするんですけど?

ここを1人で??

そんなあたしの驚きにもクスッと笑うだけで

「先代が器の大きい人でねぇ。
 使用人だって家族の一員だと考えて下さる方だった。
 住み込みの使用人は多くないとは言え
 その1人1人に部屋を割り当てて下さってるよ。
 あたしの部屋なんて
 わざわざ和室にリフォームして頂いてね。
 キッチンも付いてるけど使う機会は少ないよ。
 シェフが使用人の分も食事は作ってくれるからね」
そう言いながら指をさした先にあるキッチンだって
モデルルームみたいにオシャレでピカピカ。

こんな所に住まわせてもらいながら
食事とお給料が貰えるって…。

住み込みの人が立て続けに辞めたって言ってたけど
その人たちは結婚とか家庭の事情とかで
泣く泣く去って行ったんだろうなぁ…。

こんな条件のいいお仕事なんてそうそうないもん。

「タマさん」
「なんだい?」

「ほんとにあたしで良かったんですか?」
「今さら何言ってんだい、この子は」

「だって競争率も高かっただろうなぁ…って?」
こんな条件ならあたしよりも
もっと経験もあってメイドの仕事に集中出来る人だって
面接に来ていてもおかしくない。

「早くに決まった事もあるんだろうけどね。
 結局応募があったのはあんただけだったよ」
「え?ほんとですか?」
確かにちょっと怪しいと思うチラシだったけれど
それでもあたし以外誰も来なかった…ってほんと?

「そんな事よりあんた、
 いまだにここの主人を知らないんじゃないかい?」
「そういえば…。
 ご主人様は何人家族ですか?
 旦那様と奥様と…お子さんは?」
言われて初めてこのお邸に住む人達のことを
何も知らなかったと気づいた。

「ほらね…。
 旦那様と奥様は普段はNYにいらっしゃるから不在。
 子供は2人だが、長女の椿様もご結婚されて今はロス。
 この邸に暮らしているのは長男の司様だけだよ」
「えぇっ?この広いお邸に1人で?」

「そうだよ。
 ちなみにつくしはその司様付きの
 メイドをやってもらうからね。
 司様はつくしの1つ上の高校3年生だから…」
そこまで言うと
急に言葉に詰まってあたしを見たタマさん。

「え…何ですか?」
「いや、年が近いメイドは初めてでね。
 気が合えばいいんだけどねぇ…と思っただけさね」
その言葉とは裏腹に

「これから坊ちゃんにあんたを紹介するから
 そこに置いてある制服に着替えておいで。
 あたしゃ外で待ってるよ」
そう続けて踵を返した
その足取りはなんとなく重そうだった。

とりあえず
これからあたしの主人になる人に会うなら、と
急いで着替えて鏡でチェックする。

メイド服って言うと
なんとなく可愛らしいのを想像しちゃうけど
渡された制服はシックなデザインで
生地も滑らかで肌触りがいいし動きやすそう。

クルッとその場で体を回転させてみる。

…意外と似合ってるんじゃない?あたし。

なんて自己満足に浸ったところで
タマさんの待つ廊下へと出る。

「うん。なかなかいいんじゃないかい」
そう言いながら襟や裾を
ピッピッと軽く直して整えたタマさんは頷いた。

「その…司様?はどんな方なんですか?」
「根は心優しい方だよ」

「そうなんですか。
 良かったぁ…気難しい方だったら
 どうしようかと少し心配してたんです」

「気難しい…というか
 今はちょっとお年頃ってやつでねぇ。
 反抗期みたいな所があるから対応は慎重に頼むよ」
「あぁ〜。
 弟も普段は大人しいんですけど
 時々勝手にイライラしてて、
 反抗的な態度とか取るんですよね〜」
ケラケラと笑っていたあたしは

「そんな可愛いモンなら
 こうして度々メイドを迎えなくていいんだけどね」
なんて溜息まじりに呟いたタマさんの声を聞き逃していた。


「ここが坊ちゃんの部屋だよ。
 いいかい。とりあえずあんたは
 あたしの隣でニコニコしてればいいからね」
そう言うとあたしの返事も待たずにドアをノックして開く。

「坊ちゃん、新しいメイドを連れて来ましたよ」
「あ?用事ってそんな事かよ。
 だったら総二郎たちと出かければ良かったぜ…」
チッと面倒くさそうに舌打ちをしたその人は
特徴的なクルクルの髪を乱雑にかき上げた。

「主人の顔も知らないんじゃ困るだろう。
 今日から坊ちゃんのお世話をするのはこの子だよ」
そこまで言うとタマさんがあたしを見る。

「初めまして。
 牧野つくしと言います。
 これからどうぞよろし…」
頭を下げて挨拶をした言葉は最後まで言い終わる前に

「あ?知らねえよ。
 っつか世話係ならタマだけで十分だっつってんだろ」
そんな言葉に遮られてしまう。

…っていうか、今無視された?

「タマだってもう若くないんですよ。
 坊ちゃんの我儘に付き合ってたらポックリ逝っちまうよ」
「逝くも何もすでに妖怪じゃねぇかよ」
ククッとバカにするように笑う声に
ピキッと体のどこかが鳴った気がしたけれど

タマさんに視線で制されて
なんとかニコニコと笑顔を貼り付けて無を心がける。

「おい、20号」
「…」

「おいっ!」
「え?あたしですか?」
まさかあたしに話しかけるとは思ってなくて
思わず聞き返した。

「お前以外に誰がいんだよ」
「…えーっと。
 その20号っていうのは…?」

「お前が今年に入って20番目だから?
 どうせ名前覚える間もなく辞めんだから
 番号だけで十分だ。…ま。せいぜい頑張れば?」
ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべる坊ちゃんから
タマさんへと視線を移す。

すると、
タマさんは小さくため息をついて
バツが悪そうにあたしから視線を外した。




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スリー★★★★★様

原作にもメイド服姿のつくしちゃん
出てきてましたよ〜(*´ω`*)
でもkomaもドラマの方が印象が強いです(笑)

小さな頃に会ってるとは言え
ほんの少しだったので
司くんは原作に近いバカ坊ちゃんにしてみました(*´艸`)

どこかで爆発するでしょうね〜(^_^;)
それが恋のきっかけになるかどうかは
まだ決め兼ねてるんですけどね〜。

翌日にも会見があった事もあり
品薄は続いてますが混乱はマシなのかなぁ?
マスクの時が凄かったから麻痺してるのかもですが(笑)

うちも一応夫婦揃ってお仕事は家で出来ないし
人とも接するので帰ってきたらうがいはします(^ ^)
でもそれ以外はうがい薬使ってまではしないですね〜。

あ、でも
歯医者さんでの使用は大事だと思います(*'ω'*)
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