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あまい気持ち 14

気付かなければ良かった…。

そう思っても もう遅くて。
ほんの少し前に自覚してしまった
自分の気持ちを完全に持て余していた。

『あまい気持ち』   第14話


邸に戻り 私室へまっすぐに足を進め
そのまま奥へと進むとベッドへと倒れ込んだ。

最初から類の好きな女だと知ってて近づいたんだ。
こんなの想定外もいいところだ。

どうすんだよ、オレ。
っつか、今さらどうにも出来ねぇだろ。

今さら何を言ったところで
オレの失恋は決定してる。
類と牧野はすでに付き合ってんだぞ?

そうだ。
こうなるように望んだのは他の誰でもねぇオレ自身で。
誰よりも2人を祝福しなければならない立場だ。

オレ達が当たり前だと思って疑わなかった常識が
あいつにとっては非常識で。
あいつの言動はいつも新鮮で近づきすぎた…。

そう後悔したところで
何もかもが遅すぎだ。

「…言えるわけねぇよ」

あれほど類を推しておいて
くっついた途端に今度は自分が惚れただなんて

たとえフラれるのは覚悟の上で
せめて気持ちを伝えるだけだとしても
牧野に言わせればそんなもの
あまりに身勝手で迷惑なだけだろう。

牧野の幸せを考えるなら
このまま黙ってダチでいるのがベストだ。

「はぁぁ…」
そう決めたそばから漏れたため息は
静かな空気に溶けていった。



ハッキリ言って
とても学園へ顔出すような気分じゃねぇが。

表面上ダチの顔をしておくなら
いきなり邸に引きこもるのも妙かと
翌日もいつも通り学園へと向かう車内で
流れる景色を眺めながら

よく考えたら牧野が
オレが登校しているかどうかなんて
気にしているかさえ怪しい事に気づき
意外と健気なタイプだったのかと
自嘲気味にツッコミを入れた。

と、その時。

学園の門の手前で
並んで歩く類と牧野の後ろ姿を見つけ

自覚してしまうとやっぱり
心臓がギュッと締め付けられて
僅かに体が反応した。

それに運転手も気付いたのか
「類様ですね。
 お声をかけられますか?」
と聞いてくる。

少し迷ったが
「…いや、いい。行ってくれ」

昨日までのオレなら…
きっと声くらいはかけたはずだ
やっと収まる所に収まったのかと
冷やかしていたかもしれない。

だが、今はまだ
あいつらの顔を見て
笑って祝福なんて出来そうにねぇ。

2人を車が追いこした時
類がうちの車だと気付いて
こっちを見た気もするが
どうせ外からは車内は見えねぇんだから
気付かなかったフリをして通り過ぎた。



オレがテラスに来てすぐ
類が今度は1人でやって来る。

「おはよ。
 さっき門の前で声かけてくれれば良かったのに」
「…いたのか?
 外なんて見てねぇから気付かねぇよ」

「途中で牧野見つけて声かけたんだけどさ、
 乗らないって言うから一緒に歩いてきたんだ」
「へぇ?
 っつか、一緒に登校とか大丈夫なのかよ?」

ランチに行っただけで絡まれたんだ。
連れ立って登校だなんてそれこそ騒ぎになる気がした。

「この間の司の牽制が効いてるみたいだよ?
 あの時に俺とも仲良いのはバレちゃってるしね」
「…ふぅん。
 ならいいけどよ」

だったらこんな所に来ねぇで
一緒にいればいいんじゃねぇかと思ったが

牧野の事だ。
類が彼氏になったところで
授業は授業だと自分の教室に行っちまったんだろう。

そんな会話をしているうちに
今度は総二郎とあきらがやって来る。

「お。なんだよ。
 2人とも早ぇんじゃん?」
なんて声をかけながら
いつもの席へと腰を下ろした。

「お前らこそ。
 昨日は遊んでたんじゃねぇのかよ」
オレには考えらんねぇが
こいつらが揃っていれば
大体が朝まではどっかの女と一緒だったはずだ。

だから今日は顔を出したとしても
昼を回ってからだと思っていた。

…ま。
正直 今類と2人きりだと
なんとなく息が詰まる気がしてたから助かったが。

「それがあきらの奴
 結構マジにヘコんじまっててよ〜。
 適当に抜けるに抜けられなかったんだわ」
と総二郎が肩を竦めて小さく息をつく。

「…あきら、何かあったの?」
昨日の会話を知らない類が首を傾げれば
総二郎がククッと笑いながら事情を説明した。

「類は何も悪くねぇのはわかってんだけど
 今幸せ絶頂なお前にだけは慰められたくねぇぞ。
 頼むからそっとしておいてくれ」
あきらが拗ねたような口調で類を睨む。

その言葉にオレも
確かにそうだ、と心の中で頷いちまった。

「ま。恋の傷は新しい恋が癒すだろ。
 またいつでも付き合ってやっから元気出せ」
あきらの肩をポンポンと叩いて

「で?類は何か言う事ねぇの?
 牧野とはどうなってんだよ?」
どうしてもそこをハッキリさせたいらしい総二郎が類を見る。

「ん?仲良くしてるよ?」
ニコッと笑ってそう答えたこいつに
また心臓を握り潰された。

だがそんな事には当然気付きもしない総二郎は

「おーおー。
 そりゃ良かったじゃねぇか」
と満足そうに笑って

「今度は司も付き合えよ」
なんて機嫌よさそうにオレにも声をかける。

平然を装いながらも
内心はボコボコにされた気分のオレは
もう反論する気力もなくて

「チッ。…わーったよ」
軽く頷いて流した。





いつも応援ありがとうございます♡
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No title

仲良くしてるよ………地獄に突き落とすセリフですね(笑)
類君は、もうつくしちゃんの気持ちを知ってるんだろうから、内心余計なお世話をしてくれた上に、つくしちゃんの気持ちを持っていっちゃった司君に意趣返し?
心臓を握りつぶされた瀕死の司君、どう出るのかな?(笑)

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スリー★★★★★様

今回の司くんは本当に鈍かったです(^^;)

つくしちゃんの気持ちは知ってる類くんですが
類くんの気持ちがまだ伏せられたままですからね〜?

つくしちゃんもつくしちゃんで
自覚していても最初から諦めモードな感じで
やけになってなければいいんですけど…

なんて意地悪言ってみたり(笑)

いつもの司くんなら
自覚したのなら勝手にエンジン全開で
ガンガンアタックあるのみなんですが
今回はエンジンかけるには起爆剤がいりそうです。

 

JUJU様

自分の気持ちと立場を理解したばかりの司君には
かなりのダメージですよね( *´艸`)クスクス

でも念押ししたのに仲良くしていいって言ったのも
司君ですからね?類君は悪くないような気も…( ´∀`)?
類くんの気持ちはどこにあるんでしょうね〜?

それでもこのお部屋にある以上は
やっぱりつかつくじゃないとマズいので
瀕死だろうが、ここから這い上がってもらわなきゃですね〜(笑)

 

くる★★★★様

司くんやっと気付きましたよ〜( ̄▽ ̄;)
おかげで立派なミイラです(笑)

類くんはどういうつもりなんでしょうね〜?
でもまぁ楽しんでいるのは確かです( *´艸`)クスクス

お知らせの件、
もちろん全然OKです♪
お詫びなんてとんでもない!
むしろありがたいくらいです(*'▽'*)

必要ないとは思いますが
コメとか色々と心配なら前置きとかで
komaの名前出してもらっても結構ですし
くる★★★★さんがやりやすくって楽しめる形で
どうぞお好きなようになさって下さいませ〜♡

新しいお話、すでにワクワクが止まりませんっ
楽しみにしてまーす(*^_^*)
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