魔法の言葉 9

― 3週間前 ―

道明寺のあんな冷たい瞳を見るのが怖くて
あたしは1人で屋敷を後にした。


『魔法の言葉』   第9話


さっきのは本当に道明寺だったんだろうか…。
亜門の他にそっくりさんがまだいたりするの?

そんなバカな事を思いたくなるほど
さっきの道明寺の瞳は冷たすぎた…。

あいつはどんな時だって
あたしにあの大きな手を差し出してくれた。

だから今回はあたしが迎えに行ってあげたかった…。

だけど。

『オレが自分で決めた事だ。お前は帰れ』

あいつが必要としないんじゃしょうがないよね。

「これからどうしよう…」
とりあえずセントラルパークの近くまで戻って来たものの
あいつに会う以外、何の計画も立ててなかったあたしに
行くあてなんてあるハズもなくて…。

だって…あいつなら
「一緒に日本に帰ろうぜ」
そう言って手を取ってくれると思ってたんだもん…。

…自惚れてたのかな。
いつの間にかあいつがくれる愛情を
当たり前のように感じていたのかもしれない。

知らず知らず、調子に乗って愛想尽かされたのかもしれない。

溢れそうになる涙を必死に堪えて立ち止まる。

その時、立ち止まったせいか
後ろから来た誰かとぶつかってしまった。

「あ…ごめんなさい…」
思わず謝ると、その人は走って行ってしまった。
一瞬、呆然としてハッと気づく。

手回り品を入れてる手持ち鞄はあるけど
着替えやらが入った鞄がないっ!

「か…鞄!!…どうぼうっ!!
 返してっ!その中には…あれが!大事な物が入ってるの!」
慌てて逃げて行ったその人を追いかけるあたしは
周りをちゃんと見ないまま道路に飛び出して…

__キキィィィ…!!

車と接触事故を起こしてしまった。


「なんて事だ!大丈夫かい?お嬢さん!?」
「会長、申し訳ございません!私がちゃんと前を見てなかったばっかりに…」
「そんな事より先に彼女の手当だ!…って君、もしかして昼間の…?」

頭を打って気が遠くなる中で
車から降りてきた男性2人が早口で話してたけど
普通の会話だって聞き取れないあたしには
2人が何を言ってるのかわからないまま意識が途絶えた。




「ん…」
「気が付いたかい?……?……」
気が付くと知らない所で、知らない中年の外人のおじさんが
あたしに何か言っている。

「…?」
言葉がわかならなくて首をかしげると
横にいた通訳らしき人が日本語で説明してくれる。
「気が付かれましたか?どこか痛い所はないか?
 私の車と事故を起こしてしまって、怪我をさせてしまって申し訳なかった。
 …と申しております」

「事故…?って言うかここは?」
周りを見渡すと病院にはとても見えない豪華な部屋にいる事に気付く。

「NYの私の屋敷です。手当てはしたんだけど
 どこに送り届けていいのかわからなくて、とりあえず連れて来たんだよ」

「NY!?…NYってアメリカの??日本じゃないの?なんで!?」
慌てて起き上がって窓の方へ駆け寄って外を見る。

そこには広大なお庭が広がっていて、
その向こうに見えるビル群は東京の物とはまるで違っていて…

どうしてこんな所に…と考えようとすると
ズキンと頭が痛みだして、思わずその場に座り込む。

「大丈夫ですか?」
おじさんは慌てて医者を呼んできて、あたしを診るように言う。

「頭を打った事で、記憶が混乱しているのかも知れません。
 一時的な物だとは思いますが…いつ思い出すかは何とも…
 自分の名前はわかりますか?」
と医者に聞かれて頷く。

「はい…。牧野つくしです。
 だけど…どうしてここにいるのか…。ごめんなさい、わかりません」
あたしが俯きながら言うと

「いいんだよ。つくし。
 君が望むなら日本に帰る飛行機も手配するし、
 思い出すまでここにいてもらっても構わないよ。どうしたい?」
とおじさんが優しく頭を撫でてくれる。

「でも…。知らない人にそんな迷惑かけられないです」
とあたしが言うと

「全然知らないって事はないんだよ。
 お互い名乗らないままだったけど僕と君は事故の前にも出会ってるんだ。
 こんな再会になってしまったけどこれも何かの縁だからね。
 遠慮なんかしなくていいんだよ」

そう言われて、あたしは考える。

見せられたパスポートを見る限り、自分の認識している年齢と誤差はない。
だけど…どこか腑に落ちない、気持ち悪い感じがするのは
高校に入ってからの出来事がほとんど思い出せないせいだと気付く。

こんな知り合いもいない、来た目的もわからない異国の地に
留まる理由もないはずなんだけど…。


「本当に迷惑じゃないのであれば…
 少しだけお世話になってもいいですか?
 もちろん、掃除でも何でもお手伝いできることはします!」
とあたしがおじさんに言うと

「もちろんだよ!それに手伝いなんかしなくていいんだよ。
 そんな事よりもできれば妻の話相手にでもなってやってくれないか?
 僕たちには娘がいないからね。きっと彼女も喜ぶよ」
そう言っておじさんはにっこり笑ってくれた。




いつも応援ありがとうございます♡

★今度は司がフェードアウト( ノД`)!!
 再会、おあずけですみません(汗)もう少しだけお待ちくださいませ~(人д`*)★
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れお★★様

はじめまして。コメントありがとうございます。
はいっ。花男ですから何かっていうと記憶喪失です(笑)
今回は軽めの記憶喪失(←なんじゃそら)なので
スポンと忘れてますがスポンと戻るのでご安心を。

行方不明の間、つくしが何してたのかってあたりを
書いたらちゃんと再会させますので
もうしばらくお待ちください~(^^;)


拙い文章ばかりですがお昼からの活力になれば幸いです♪
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