Memorial Tree 2

「お前毎日そんなに飲んでるの?」

仕事を終えて2人で飲んでいくうちに
まるであきらかのようなお節介を口にした類。


『Memorial Tree』   第2話


飲むと言っても
小言を言われるほど飲んでる訳じゃねぇ。

「あ?これくらい普通だろ?」
「…それが普通なら、異常だよ」
小さくため息をつく類。

自慢じゃねぇが酒には強い。
悪酔いして絡んでるわけでもねぇのに…

そこまで考えて類の言いたい事の目星がつく。

「類…お前、もう眠てぇんだろ?」
長年不眠のオレとは真逆で
この歳になっても1日8時間睡眠でも
まだ寝足りないと文句を言うのがこいつ。

ったく。
酒を煽った所で眠りなんて
降りてくる事もねぇオレからすれば羨ましいくらいだぞ。

だが、そんなオレの予想とは裏腹に

「んー…まぁそれもあるっちゃあるけど。
 今日、あそこ行ったからかな。
 あいつならそう言う気がするから言ってみただけ」

あそこ…と言うのはトスカーナの丘で
あいつ、というのはあの木の下で眠る誰かだろう。

フンッ。
誰だか知らねぇが余計なお世話だ。

そいつにオレが背負う重圧がわかんのか?
ずっと心の中にある闇が見えんのか?

「最後までお前の心配ばっかしてたよ。
 テレビとか雑誌で見る度に顔色が悪いって」
「ほっとけよ」
テレビで見るって…そんな遠くから見てただけかよ。
類の口調からしても
オレは知らなくても もっと近くにいたのかと思ってた。

「あと目つきも悪いって」
「あぁ?」
それってただの悪口じゃねぇのか?
それはそいつが言ったのか、それとも類なのか。
どちらにしても類を睨みつけたが

「お前には幸せになってほしいって」
「……」
最後にポツリと呟いた言葉に何故か何も言えなくなった。

誰だか知らねぇが
死ぬ間際までそんな事を考えてた奴がいたのか…?

「だから
 不摂生もいい加減にして
 ちゃんと見つけなよ、お前なりの幸せってヤツ?」
あと目つきも気をつけなよ、と
ククッと笑う類はふざけているようで
その瞳の奥は真剣だった。

「…うるせぇよ」

別に不幸だなんて思ってるわけじゃない。
…かと言って満たされてるわけでもねぇが。

ずっとデケェ何かが欠けてる気がしていても
何が足りねぇのか、頭の中に靄がかかってるようでスッキリしない。

別に類に言われたからじゃねぇが
この日はこれ以上飲む気にもならなくて
解散する事にした。

「じゃあな、またどっかで会おうぜ」
「ん」
そう手をあげ踵を返してすぐに

「司」
呼び止められ振り返る。

「もし…もしさ。
 …やっぱりいいや」
「はぁ?」
わざわざ呼び止めておいて
中途半端な態度を取る類に怪訝な顔を向ける。

「ううん、何でもない。もしもの話だから。
 今のお前にはわかんないだろうし。じゃあね、バイバイ」
こっちの疑問もスルーで
ひらひらと手を振り去っていく類の後姿を見送ったその時、

『バイバイ、道明寺』

そんな誰かの声が聞こえた気がしたが
その声の主と思わしき人物はいなくてオレもその場を去る。


__その夜だった。

珍しく素直に眠りが降りてきたかと思えば夢を見た。


怒ったかと思えば笑う。
そうかと思えば今度は泣いて、また笑う。

コロコロと忙しく表情を変える女。

『道明寺』
明るい声でオレを呼んで
手招きしてるくせに
捕まえようと伸ばした手はあと少しの所で届かない。

もどかしいのに追いかける事をやめようとは思えず
むしろそれを楽しんでいるオレがいた。

あぁ…そうだ。そうだった。

オレが求めていたのはこの感覚だ。
ずっと欠けていたのはコレだ。

そこにお前がいるだけで満たされる。
あの頃のオレは確かに幸せだった。

こんな大事な事を忘れていたなんて……。

『牧野!』
そう最愛の女の名を呼べば嬉しそうに笑った。
その顔にドキッと心臓が跳ねる。

そこで目が覚めた。


夢の中と同じように
伸ばした手は何もない天井へと伸びていて
全身にはあり得ねぇほどの汗をかいている。

記憶を取り戻した衝撃と
寝起き直後で混乱する脳内。
ゆっくりとその手を返し己の掌を見る。

「……っ」
どこからどこまでが夢だ?
何が現実だ?

慌ててケータイを手にすると
類の番号を呼び出した。

類がすぐに出ない事などいつもの事だが
呼び出し音のコールが永遠のように長く感じる。

『……司?』
しつこく鳴らし続けてやっと聞こえた声。

「今日、オレと会ったか?」
『…は?酔ってるの?』

「いいから答えろっ!」
『会ったよ。
 っていうかさっきまで飲んでたじゃん』

「……」
『それがどうかした?』

「……」
『司?』

「……誰の墓だ」
聞きたくない。
聞いてしまったらきっと正気ではいられない。
でも聞かずにはいられない。

『まさかとは思ってたけど
 本当に思い出したの?
 でも遅いよ。牧野はもうここにいないから』




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おはようございます

いじめッ子の本領発揮か(^^)。

地獄に落ちた司君ですね。
私も、komaさんのコメント無ければ地獄落ちてますが、ハッピーエンドという事を信じて、ここは司だけに地獄に落ちてもらいましょう!

さてさて、本物は何処だ!ではないですが、続き楽しみにしてます。

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Fumee様

ふふっ♪

司君、地獄におちましたね~( *´艸`)
うんうん、でも皆さんは落ちないで下さいね?
ハピエンですからね~!

そのハピエンに欠かせないその人は
一体どこにいるんでしょう?

 

JU★★様

JU★★さんが鍵コメの時は
なんだかドキッとするkomaです(笑)

そしてその予感通り…
ズバりといい当てちゃいましたね(((*≧艸≦)ププ

そうなんです、今回の彼女は手強そうなんです。
それに記憶喪失からは10年経ってますから。
10話で片付くかなぁ…(^^;)

 

つく★★★様

ぎゃ~っ。
泣かないで~( ゚ ω ゚ )

夢の中で幸せだった自分を
思い出した瞬間に
地獄へと突き落としてしまいました~(^^;)

落としておいてなんだけど(笑)
早くそんな日を取り戻してあげたいなぁ♪

 

ふぁ★★★★★★★様

ククッ!
ファイティングポーズ取られたっ(((*≧艸≦)ププ

プチプチ潰すの楽しいですよね~♪
じゃあママさんへのお歳暮はプチプチで!
(どんだけ落とし穴に嵌める気なんでしょ~っ。笑)

類はもちろん全てを知ってるんですけどね。
まぁ、そう簡単に口は割りません。
彼は彼女の味方ですから(*´▽`*)

思い出した司は
思い出せてよかったけど…キツいですね~。
現状としてつくしちゃんが死んだと思ってるわけですから。

調べられたら一発なので
今回は落ちるとこまで落ちて
そんな気がまわらない事にしてしまいそうです(←イジワル)

えぇ~!
コメ欄で「to be continued…」はズルい~っ!
気になっちゃうじゃないですか(笑)

いつも楽しいコメをありがとうです(*´▽`*)♡

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ふに★★★様

どこにいるんでしょうね~?

皆さんは冷静ですが
記憶が戻って混乱気味の坊っちゃんに
類君の言葉の真意を探るまでの余裕はないはず…。

あっても困るので
ここは一旦とことん追い詰めておきます( *´艸`)

そうそう。
記憶を失くしてから
坊っちゃんはそれなりにヒドくて
つくしちゃんは結構頑張ってた設定になってますので
ここも坊っちゃん追い詰めポイントですね~(^皿^)
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