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幸せのかけら 36

バレないと思ってたのに…。

ペアリングを勝手にネックレスにして
身につけたりしてどう思われたんだろう?


『幸せのかけら』   第36話


あたしを抱きしめたまま何も言わない道明寺。

怒ってるのか、呆れてるのか…それとも。

「あの…」
「…ん?」
反応はあるけど腕は離してくれない。

「ごめんね?」
「謝るな。怒ってねぇよ」

「呆れてる?」
「んなわけねぇ」

「じゃあ…気持ち悪い、とか?」

好きだって言ってくれたけれど
まさか6年も前に渡した物を
勝手に身につけてるなんて思ってなくて
ドン引きしてるのかもしれない。

「はぁっ!?なんだそれっ」
あたしの言葉に背中に回ってた腕が
肩を掴んでバッと離れて声を荒らげた。

「だって…え?」
言葉が出なかったのは
その声にビックリしたからじゃない。

…見上げた彼の瞳が潤んでいたから。

バツが悪そうに一瞬視線をそらして
「ちょっと待ってろ」
それだけ言うとリビングへと戻る。

「……」

え?
ちょっと待って。

泣いて…たよね?

なんでっ!?

軽くパニックに陥りそうになっていると
彼はすぐに戻ってきて
あたしの手に何かを握らせた。

見てもいいのかと窺ってみれば
小さく頷くから手の中を見てみる。

「…これ」
手の中にあったのは
あたしのより少し大きいリングと
万年筆と同じく渡せなかった手紙。

「この6年、ずっと財布に入れてた。
 これとあの万年筆が心の支えだった。
 そう言ったら…お前は引くか?」
「……」

「黙り込んだのは言葉にならなかっただけだ。
 届く事なんてねぇと思ってたんだ。
 こんなの…嬉しくて泣くに決まってんだろ」
「……」

…あぁ。
もしも、あたしと一緒だったとしたら
彼の気持ちがわかったかもしれない。

もう手の届かない人だと、
諦めなきゃいけないんだとずっと思ってから。

この感情をどう伝えればいいのかわからない。

「…っ」
「あっ!?お前は泣くなっ。
 どうすりゃいいかわかんねぇから!」
ジワッと滲んだ涙に彼が慌てて
そっと親指で目尻を拭ってくれる。

困ったような顔をして
あたしを覗き込む彼の瞳が優しくて
こんなに近くにいるのが幸せで…
でもやっぱり言葉にするのは難しくて
笑って見せたけど、涙は止まらなかった。


それからどれくらい経っただろう。
あたしが落ち着くのを待つように
また腕の中に閉じ込めて背中をさすってくれている。

本当は涙はもう止まってるんだけど…

「落ち着いたか?」
そう聞かれてもさっきから首を振ってるのは
涙は止まっても心臓が一向に落ち着かないから。

…でもこれ一生落ち着かない、よね?
どうしよう…もう大丈夫だって言わなきゃ。

そう思うのに
「大丈夫か?」
その声に迷いながらも首を振っちゃうのは
ドキドキするけど…まだここにいたいから。

だけどその時、
道明寺の肩がフルッと小さく震えてハッとする。

「…ごめん!
 寒いよね?もう大丈夫だから
 お風呂入って着替えてきて?ね?」
道明寺が風邪をひいたりしたら大変だと離れたら

何故か不満そうな顔をしている。

「…?どうしたの?」
「いや…まだ離れたくねぇなって思っただけだ」
なんて言うからくすぐったくなる。

「…風呂入ってくる」
「うん」

「……」
「…?」

「一緒に入るか?」
「えっ!!」

「半分冗談だ」
「半分…?」
あと半分は?とは聞かなかったけど

「半分は本気だ。
 そりゃそうだろ?ずっと好きだったんだ。
 許されるならイロイロしてぇに決まってんじゃん」
「イ…イロイロ…ッ!」

「でもお前が嫌がる事はしたくない。
 …っつか出来ねぇ。嫌われたら生きてけねぇし」
「えっと…」

それって例えば
あたしが嫌だって言わなかったら
……どうなるの?

そんな事を考えながら
チラッと道明寺を見てみると

「ん?一緒に入るか?」
もう1度聞く道明寺は
男の人なのに色気が半端なくて…

「むっ…無理!」
思わずそう言うと
シュンと悲しそうな顔を向ける。

「…ダメか?」
そんな顔されると
いいよって頷きそうになる…けど!

「ダメ!絶対ダメ!」
やっぱりお風呂なんて
ハードルが高すぎると首を振った。

「…わかった。
 じゃあせめて泊まってってくれねぇか?
 お前が嫌がる事はしねぇから。
 今日は離れたくねぇんだ…一緒にいてぇ」
そんな言葉にまた心臓が跳ねる。

「う、うん…」
「…マジで?いいのか?」
頷いたあたしに
ビックリしたみたいに聞いてくる。

あたしとしては
勇気はもちろん振り絞ってるけれど
そんなに意外な答えではない…つもり。

でも6年前もきっとこうして
あたしが言葉にしないせいで不安にさせていたから
道明寺はあたしの言葉の真意を探るんだ。

「えと…とりあえず
 お互いお風呂、入る?」
「お、おぅ…」
そう頷く道明寺は
まだあたしが泊まると言ったのが
信じられないのかどこか上の空。

そんな彼の背中を押して
ここから追い出すみたいにリビングへと進む。

「じゃ、あたしお風呂入ってくるね」
「あぁ…悪ぃ」

「道明寺もちゃんと温もってね?」
「…わ、わかってる」

「道明寺」
「あ?」

「あたしだって…一緒にいたい。
 だから、泊まってけって…嬉しかった」

それだけ言うと急いで扉を閉めて
その扉にもたれるようにズルズルとしゃがみ込む。

恥ずかしいなんてものじゃないし
心臓はバクバク言ってる。
たぶん顔もバカみたいに真っ赤なんだと思う。

でも今度こそ不安にさせないように
ちゃんと言葉に出来る気持ちは伝えていこう。







いつも応援ありがとうございます♡
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No title

良いですねぇ〜
最後までジレジレを貫き、ヘタレも健在!
そうそう、両思いだと知ってもなお、つくしちゃんの嫌がることはしない、出来ない、嫌われたくない…さすがです!
このお話で、確信しました!
komaさんは、ジレジレの天才!
両思いになっても、ワクワク感が続いています(笑)

 

na★★★様

ふふっ。
司は泣いてるのバレたくなかったと思うんですけどね。
イジワルなのでバラしてやりました(*´▽`*)

長かったですね~、ここまで(^^;)
この2人まだキスしかしてませんから(笑)
ご希望の展開がこの先あるのか
またまた生転がるのか…ジレジレしてて下さい(((*≧艸≦)ププ

 

スリー★★★★★様

普通なら6年前の恋人が
ペア小物をまだ使ってたら怖いのかもしれませんが(^^;)
司くんだって持ってるわけですしね♪

つくしちゃんも同じ状況になって
司くんの気持ちを理解してくれました♡

やっと両想いだとわかった2人(笑)
6年前の後悔もそれぞれありますから
今度は大事にするんでしょうね~(*^^*)

お風呂はダメだけどお泊りはOK♪
司くんとつくしちゃんの中で
多少その意味の差はありそうですが(笑)
一緒にいたい気持ちは同じ♡

好きだなんて言われたら
ほんとにまた泣きそうですよね~(((*≧艸≦)ププ

 

JUJU様

もしかすると
今までで1番ヘタレかも…?な司君ですから。
両想いだってわかったって
嫌われたくないと必死です(((*≧艸≦)ププ

へへ。
ジレジレ楽しいですね~(*^^*)

この2人、どんなジレジレカップルになるのでしょう?
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