幸せのかけら 34

「…お。これじゃね?」
「え?…あーっ!それ!」

探し始めて20分くらいした頃、
目立たない木の枝に引っ掛かっていた
キーホルダーを見つけた。


『幸せのかけら』   第34話


キーホルダーを渡すと
「ありがとう!
 見つかってほんとよかったぁ…」
まるで自分の宝物を見つけたみたいに
嬉しそうに小さなクマのキーホルダーを
大事にハンカチで包み込むと
濡れてるから乾かさなきゃだとか
少し汚れてるだとか状態を確認している。

「それよりオレらもひでぇよ」
強い雨ではないにしろ、
濡れた服は肌に張り付き気持ち悪ぃし
ストレートになっちまった髪をかきあげた。

「あっ…。そうだね。
 道明寺も付き合わせちゃってほんとごめん。
 風邪ひかないうちに部屋に戻ってお風呂入って?」
もちろんそうする事に
異論はねぇが1つだけひっかかる。

「…お前は?」
さっきからキーホルダーばかり気にして
オレより長い時間 雨の中にいた自分の事を
全く考えてねぇようなこいつの様子に一応聞いてみれば

「え?ロッカーにタオルあるし
 着替えもあるから大丈夫だよ?」
「……」
やっぱりというか
どこがどう大丈夫なのか不安しかねぇ答え。

「それじゃお前が風邪ひくだろうが。オレの部屋使えよ」
オレとしては自然とそう言ったわけだが
「え…っ?」
オレを見上げたまま固まった牧野。
その反応の意味がわからず首をかしげた。

「えっ…と。
 これくらいならあたしは
 風邪なんてひかないから大丈夫、うん…」
そう言いながらスッとそらされた視線と
中へ入ろうと歩き始めたのを見て
漸く牧野がオレの部屋を使わない理由に思い当たる。

牧野にしてみれば
オレは前科2犯で信用なんてねぇ。
そんな男の部屋で風呂に入るだなんて
風邪なんかよりよっぽどリスクが高いという事か。

「待てっ。
 変な意味じゃねぇぞ。何もしねぇ」
「わっ…わかってるよ」

「だったら使ってけよ」
「い、いいよ。本当に大丈夫だから」

「マジで何もしねぇ。
 6年前はガキだった、焦って順番を間違えた。
 でももう間違えたりしねぇ」
「……じゃあ、
 この間は?ただの挨拶?」

「この間、のは…挨拶…っていうか
 冗談っつーか…いや、違うな。その、あれだ」
言いながらこれじゃ逆効果だと焦れば焦るほど
冷静になれといくら言い聞かせても弁解の言葉が出てこねぇ。

「…冗談でキスしたの?」
ポツリと呟いた声にギクッと肩が揺れたが
「違ぇ!」
これだけは伝えておかなきゃ
またおかしな事になるとハッキリと伝える。

「じゃあ…どうして?」
「それは…っ」
そんなの牧野が好きだからに決まってるんだが。

「…ううん。変な事聞いてごめんね。
 あたし、やっぱり帰るね?
 気を使わせてごめんね…ありがとう」
そう言ってオレの隣を通り過ぎようとした
牧野の手を咄嗟に掴んだ。

「このタイミングで言ったら
 下心もしっかりあると言ってるみてぇで
 お前に余計に警戒されるから言いたくなかった」
「…?」
言ってる意味がわかんねぇとばかりに
不思議そうにオレを見上げた牧野に正面から向き合う。

「今でもまだお前が好きなんだ。
 今さらだって事も
 虫が良すぎる話だって事もわかってる
 それでも…やっぱ好きでたまんねぇんだよ」
「え…っ!?」

「6年前もこの間の事も
 お前が怒るのは当然だ。オレが悪い。
 でも心配なんだ、風邪をひかせたくない。
 お前が嫌だと思う事は絶対にしねぇ。だから…」
「……」

「…ダメか?
 もう何をしても取り返せねぇか?」
「……」

「悪ぃ…」
突然の告白に驚いたまま固まる牧野の態度こそが
オレの気持ちへの答えなのかと、そっと手を離す。

すると、その手で
今度は牧野がジャケットの裾を掴んだ。

「あたし…子供の頃から
 体だけは丈夫で風邪なんて滅多にひかないの」
「…あぁ」

「だから…こんなの全然大丈夫で
 心配だっていらないくらい強いんだよ?」
「…そうか」
牧野の言葉を聞けば聞くほど
雨に濡れた表面よりも
体の奥の方が冷えていくような感覚がした。

「でも……行く。」
「ん?」
だから一瞬、理解が出来なかった。

「道明寺の部屋に…行ってもいい?」
そっと上げた顔は真っ赤で
その熱が伝染するように今の今まで感じていた寒さを忘れた。





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No title

更新ありがとうございます!
やっと、やっと、言えましたね〜坊っちゃん☆
頑張った〜‼︎

つくしちゃんも部屋に来てくれるそうで…
坊っちゃんに、更なる幸せが起こることを願うばかりです♡

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No title

ついに確信的な言葉を言った司君
やっぱり告白は、男から(笑)
ビックリしたけど、好きって言われて、素直な気持ちを言わなきゃ(?)って、思ったのか、行くって答えたつくしちゃん
お互い、片思いだと思ってたから、お部屋に行って、しっかり気持ちを確かめ合って、両思いを実感してね〜
バッサリぶった斬らないでねぇ〜komaさん(笑)

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エミリン様

ふふふ~♪
やっと言いましたね~(*´艸`*)
うんうん、頑張った!

つくしちゃんも部屋に行くんですって💕
幸せ…訪れますかね~( ・∀・)?

 

na★★★様

やっと言いました~(*´艸`*)
つくしちゃんにはビックリでも
皆さんには待ちに待った一言でした(笑)?

ククッ!
この後どうしましょうかね?
まだノープランです(((*≧艸≦)ププッ

 

スリー★★★★★様

やっと言いましたよ~(*´艸`*)

ここで出方を間違えたら
もう取り返しがきかなかったかもです…。

つくしちゃんも司くんの言葉を聞いて
勇気をふり絞ってくれましたしね~。
正真正銘の両思いまでもう少しですかね(*´艸`*)?

ふふっ♪
タイムリーでしたね~💕
でもやっぱりシンプルにストレートが私も好きです( 〃▽〃)

 

ふぁ★★★★★★★様

私もそう言えば健康診断のお知らせ来てたかも~。
面倒くさいなぁ…なんて思ってたんですが
ママさん見習ってちゃんと申し込みしとこうかな~?

私…まだそちらは未経験です(´-ω-`)
ぜひ初体験を終えた感想を…💕

そんな話をしてるうちに
2人が何やらいい雰囲気です…(*>∀<*)
エレベーターに乗ったその後は…?
ちゃんとお家で読んで下さいね~!

 

JUJU様

はいっ!
やっぱり決定的な言葉は司君からです♪

あら~
バッサリはだめですか??
う~ん…じゃあとりあえず…
司君、もっかいくらい泣かせておきます( ・∀・)?

 

二次★★★★★様

今回は焦れ焦れ地獄のために
オレ様封印でヘタレ司でしたからね~。
ここまでくるのに時間がかかりました(笑)

つくしちゃん臆病ではありますが
度胸ももちろんありますから♪
幸せにしてあげたいと思います💕
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