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幸せのかけら 22

「あれから牧野と会ってるの?」

類と会ったある日。
仕事の話がひと段落したところで
西田が珈琲を置くと同時にそう聞かれた。


『幸せのかけら』   第22話


どこまで知ってて聞いてるのか知らねぇが
相変わらず余裕そうな態度が癪に触る。

「会ってたら何だよ。関係ねぇだろ」
「…何?俺まだ牽制されてるんだ?」
苦笑いしながら肩を竦めるが
いつだってオレよりあいつの近くにいる類に何がわかる。

何の苦労もなく名前で呼ばれてるくせに。

呼び捨てで呼んでほしいと言えば
司と呼んでくれるかと思ったが…まさかの名字。

期待してちょっとドキドキしてたんだぞ。

「ふぅん…。
 じゃあ面倒くさいから聞くのやめとく」
「…何の話だ?」
涼しい顔で珈琲に口をつける類。

「ううん。司は気にしなくていいよ」
「もうすでに気になってんだよっ」
立ち上がり帰ろうとする類を引き留める。

「…はぁ。
 今日あきら達と飲むんだけど…
 あきらが会うなら声かけとけって言うから。
 でも面倒くさいのヤだから来なくていいよ」
「あきら達…って誰が来るんだよ」
類の面倒くさがり様からみても嫌な予感しかしねぇ。

「誰って、いつものメンバー?
 あきらと、総二郎と
 名前何だっけ、あきらの女?と…牧野かな」

…やっぱり。
っつか、いつものメンバーってなんだ。
そんな頻繁に会ってたのかよ、あいつらはっ。

「行く」
牧野が来るなら答えなんて一択だ。

「でも急だし司は忙しいんでしょ」
「なんとかする」
そう言ってちょうど隣にいる西田に目配せすれば

「…何とか致します」
と小さく息をついた。



その日の午後は
何の嫌がらせなのかと思うほどの
仕事を持って来られたが…
やらねぇと帰れねぇなら仕方ねぇとギリギリで片づけた。

ダッシュでホテルに戻ると
コンシェルジュデスクに寄り
今日の集まりにオレも行くこと、
車に乗せて行くから準備ができたら部屋に来てほしいこと
それだけを書いたメモを牧野に渡すと部屋に戻る。


オレも着替えを済ませ
牧野を待ってから店へと向かえば
そこはすでに全員そろっていてオレたちが最後のようだった。

「お?お前ら一緒かよ」
「へぇ?仲いいじゃん」
なんて茶化すようにニヤニヤするのは総二郎たちはシカトして
空いていた席に座れば牧野と隣合うかたちになった。

まぁ、牧野はオレとは反対側に座っている三条に
完全に捕まっちまってるが。

「ほんとに何とかなったんだ?」
牧野の反対側に座る類がクスッと笑う。

「で?お前らどうなってんだ?
 やけぼっくいに火がついたか?」
「もったいぶってねぇで教えろ。どこまで行った?」
牧野と三条が自分たちの話に夢中で聞いてねぇのをいい事に
総二郎たちが探りを入れてくる。

「…別に。何もねぇよ」
よりを戻した、と頷けたらどんなにいいか。
そんな事を考えながら小さくため息をもらす。

「だったらどうして一緒に来たんだ?」

「今、メープル使ってっからな」
それだけでこいつらには十分伝わるし
ついでに余計なツッコミはするなと目だけで語れば

総二郎たちはチラッと牧野の方へ視線をやってから
顔を見合わせ肩を竦めた。

自分でもわかってる。
大人になったと笑った牧野に
ついガキの頃とは違うと見直してくれたのかと
そんな期待もしたが…あいつは言葉に詰まってしまった。

当然だ。立場を利用して
近づくなんてやってる事はガキよりタチが悪ぃ。


するとその時、
「わっ!?ちょっとダメっ!桜子ってば!」
そんな牧野の焦った声に振り向けば
三条がニコッとオレを見て笑った。

「あきらさんからお聞きしたんですけど。
 学生の頃に先輩とお付き合いされてたって本当ですか?」
そんな声に牧野は頭を抱えている。

「…あぁ」
一応頷きながらあきらを睨めばすまん、と小さく手を挙げた。

「きゃっ!やっぱり!
 先輩ったらはぐらかすばかりで教えてくれないんですもの。
 道明寺さんも最近メープルを使われてますよね?
 それってやっぱり先輩がいるからなんですか?」
楽しそうにキャッキャッとはしゃぐ姿に悪意は感じねぇが…。

それより引っかかったのは
牧野がオレと付き合ってた事実をはぐらかした、という部分。

オレと付き合ってた事はダチにも言えねぇ事なのか?
それほどに忘れたい過去なのか…?

「も、もういいでしょっ!?」
三条を抑えようとしている牧野の手を掴む。

「付き合ってたのは6年も前だ。
 昔のオレと今のオレは違う、同じだと思うな」

ガキだったあの頃とは違う。
今度は間違えたりしない、お前を大切にできる。

忘れたいというなら忘れてくれたらいい。
その代わり今のオレを見てほしい。

そう伝えたくてまっすぐに牧野を見つめた。

だが、しばらくじっと見ていた牧野は
「そ、そうだよ。
 昔は昔。今さらそんな話されても…ね?」
そう悲しそうに笑う。

「…は?いや、違うぞ。今のは…」
何かとんでもない勘違いをしてそうなこいつに
慌てて言葉を挟んだが

「桜子も。あたしはともかく
 道明寺に迷惑かけちゃうから他で言わないでよ?」
「……」
この話は終わりだとばかりに切り上げられ
タイミングを逃した。

…クソッ!
どうしてこうなるんだっ!?




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No title

お〜
komaさん、ジレジレ書かせたら、天才!(笑)
やることなす事、裏目に出る司君(笑)
今度こそ、つくしちゃんと…と力を込めて行った言葉に、昔のこと思い出させて、ゴメンね的な?
良いんです、だって両思い片思いなんだから、ジレジレしながらも、ニヤニヤしながら見ていられます(笑)

じれじれが、可愛い💕

こんばんは。
顔がニマニマしてしまいます!
きっとF3もこんな気持ちなんだろうなぁと。
いったい何がきっかけで、つくしちゃんは気付いてくれるのか?めっちゃ楽しみです(^^)!

No title

更新ありがとうございます!
坊っちゃん、"専任"コンシェルジュ、活用しまくってますね 笑 なのに、スレ違ってばかり、、、。
坊っちゃんの最後の嘆き、沁みました。 つくしちゃんの鉄壁のネガティブ思考も手強いですし、坊っちゃんも中々の裏目っぷり。 あ〜っオリキャラで登場して、坊っちゃんの背中を押してあげたいですっ。
でも、ジレジレ最高です♡

 

スリー★★★★★様

類くんはほんと悪気ないですからね(笑)
それに2人が両思いって事も気付いてそうですし(*´艸`*)

2人とも空回ってますが
積極的に動こうとしてる分
司くんの方が焦りも強そうです。

komagicなんて使わなくても
一言言えたらいいだけなのに…(;´∀`)

でも次回は…少しだけ近づけるかも??

 

JUJU様

決定的な一言だけを避けて(笑)
アプローチさせるの結構楽しいです(((*≧艸≦)ププッ

つくしちゃんにはまるで自分の存在が
今の司君の邪魔になるから、とバッサリ切り捨てた。
なんてとんでもない勘違いされちゃって絶対絶命です♪

両思いなのに…ね( *´艸`)?

 

Fumee様

どこまでも焦れったいこの2人(*´艸`*)

周りはとっととくっつけばいいのに…と
呆れてそうですよね(((*≧艸≦)ププッ

つくしちゃん、いつ気付きますかね?
komaも書きながらワクワクしてます(笑)

 

エミリン様

近づく事には成功しましたが
いい感じかと思えば空回ったりと
焦れ焦れ地獄でもがいてます(*´艸`*)

ふふっ♪
書き始める前は
もっとモンモンさせると思ってたので
ジレジレを楽しんで頂けて嬉しいです💕
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