Rainy Day 4

NYからかかってきた
久々のタマさんの電話は

日本に帰ってくるという嬉しい知らせだった。


『Rainy Day』   第4話


♪~…♪~…
『つくしかい?近々日本に戻る事になってね…』
「そうなんですか?うわぁ、会いたいなぁ…」
あたしが答えると
『あぁ、あたしもだよ。
 帰って落ち着いたらまた、お茶にでも付き合っとくれ』
そんなタマさんの声の向こうで
『おい、タマ!…って電話中かよ。じゃあ後でいい』
とあいつの声が聞こえた。

その声にあたしの心臓は
自分でも驚くほどドクンと高鳴った。

『……じゃあまた連絡するよ』
そう言ってタマさんは電話を切ったけど、
それまでどんな話をしていたかは覚えていない。


あいつを傷つけたあの日は今でも昨日の事のようで。
あの日からあたしの心は一歩も動いていないのかもしれない。

あいつを傷つけて、別れを告げた自分に
声を聞いて胸を高鳴らせる権利などあるはずもないのに…。





あいつが道明寺HDの日本支社長として
帰国することを知ったのは
それから数日経って
類宛に就任パーティーの招待状が届いた時だった。

「ねぇ…どうしても俺も行かないとダメなの?
 司なんて見ても面白くないし、面倒くさい。どうにかなんない?」
あたしの目の前には駄々っ子のように頬を膨らませる類。

怒鳴ってしまいそうになる自分を
必死に抑えて、あくまでも冷静にと自分に言い聞かせる。
「どうにもなりません。訳のわからない事言わないで下さい。
 会社としても付き合いが多いのに欠席なんてあり得ません!
 それ以前に個人的にも親友でしょ?
 お祝いくらい言ってあげるべきです!」

「じゃあ牧野がパートナーやってよ?だったら行ってもいいかも」
「パートナーは高木にお願いしてあります。
 彼女の方が道明寺HDの方とも面識がありますから」
「……じゃあ行かない」
「専務っ!」

「…他の奴はともかく、司と面識あるのは牧野だけでしょ。
 司の就任パーティなんだから牧野が適任じゃないの?
 俺がそうなら、あんただってお祝いしてあげるべきでしょ?」
「……」
「高木なんて連れて司の前に出て
 女嫌いの司とトラブルになっても知らないよ?」
「……」
「あいつん所と揉め事なんてあんた後で大変だよ~?」
「……」

しばらく無言の睨み合いを続けるあたしと類。

「もうっ!つくしが行けば丸く収まるんだから
 あんたが行けばいいじゃないっ!」
と由美がため息をつきながらあたしの背中を叩いて
「不機嫌な専務のお相手なんてあたしには無理だから。任せた!」
と小声であたしに向かって舌をペロっと出す。


さっき言ったように面識のある由美の方が
挨拶もしやすいと思ってるのも本当だけど…

できればあたしがあいつに会いたくないのが本音。

でもあたしが類の秘書である以上、
類にちゃんと仕事をこなしてもらうのがあたしの仕事なわけで…。

「はぁぁぁぁ…。わかりましたよ…行けばいいんでしょ」
ガクッと肩を落としてため息をつくあたしに

「うん。楽しみだね」
とのん気に笑っているのは類だけ。



パーティ当日。


「よぉ牧野!噂は聞いてるぜ?」
「あの類を馬車馬のごとく働かせる敏腕秘書だってな」
とお祭りコンビがゲラゲラ笑っている。

「ほんとだよ。牧野が来てから
 俺ほとんど休みもらえなくなったんだから」と類は愚痴る。

「ちゃんと週休2日は守ってるでしょ!
 類が隙あらば寝てばっかりでサボるからじゃない!
 ちゃんと起きてたらもっとスケジュールも緩くなるのに…」

小声で抗議しながらわき腹めがけてパンチするあたしの拳は
さらりと避けられてその反動でグラりとよろめく。
そんなあたしを転ばさないようにさりげなく肩を抱いて受け止める類。

「おーおー。すっかり息ピッタリで妬けるねぇ」
「結婚も秒読みって噂、あれ本当だったりすんのか?」
そんな2人の問いかけに
「ん~。どうなんだろうね?」
と類は優しく笑ってあたしを見る。


その時、照明が落とされて司会が挨拶を始めて会話は途切れた。

そして紹介されて壇上に上がった道明寺…。

雑誌なんかでは見た事もあったんだけど
生で見るオーラはまた全然違っていて…。
うっかり見惚れてしまいそうになるほど
幼さが抜けてスーツが似合う男に成長していた。


その後、類と挨拶に行ったあいつの隣には
綺麗な女の人がパートナーとして寄り添っていて
類や西門さん達と話してる間も
あたしとあいつの目が合うことは1度もなかった。

やっぱり…あの日のまま動けないのはあたしだけで、
あいつはとっくに自分の足で歩いて行ってるんだ…。

そりゃそうだよね。
プライドの高いこの男が
自分をフッた女をいつまでも
女々しく引きずってるなんてあり得ないよね…。

良かった…。
そう思う心の片隅でチクリと感じた痛みを
あたしは気づかないフリをした。




いつも応援ありがとうございます♡
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
komaの呟き。
最近ふとした
きっかけで
落書きにどハマり中♡
 
おかげで執筆が
進みません…(笑)
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる