離した手 3

あの夜以来、ずっと
牧野の存在が頭から離れねぇ…。

アイツが頭に浮かぶとイライラする…。


『離した手』   第3話


オレのオフィスに類がやってきた。仕事だ。
「よ。司」
類と会うのはあの日以来だ。

仕事の話も一通り済んだ頃。
「そう言えばこないだの電話…牧野だったんだろ?」
オレが言うと類は少し驚いたような顔をして
「何?司から牧野の名前が出るなんて何年ぶり?…何か思い出した?」
「いや。オレはあんな女知らねぇけどよ」
ぶっきらぼうに答えると、
「そう…。で?その司の知らない牧野がどうしたの?」
すげー棘のある言い方で返してきた。
「別にどうもしねーよ…。ただあんな生意気な女のどこがいいのかと思ってよ」
からかったつもりだった。
それなのに
「牧野はいい女だよ。俺は牧野が好きだしね」
さも当たり前だと言うように答えて、さらに
「でもさー。牧野は他に好きな奴がいるみたいでさー
 今、振り向かそうと頑張ってるとこ」
そう続けながら、残っていた紅茶を飲みほした。

その日の仕事が終わって、リムジンの中…。
類の帰り際の一言が頭から離れねぇ…。

『司は牧野の事知らないんだから、邪魔…しないでね?』

チッ…誰がするかよ。
なんだって今さらあんな女の事でイライラしなきゃなんねーんだ。

今思えば少なくともこの時のイライラは
類に対する嫉妬だったように思う。
オレの細胞はずっとお前を求めていたんだよな…。

オレがオレを取り戻したのはこの半年後だった。


激務に激務を重ねた結果、疲労困憊でぶっ倒れた。
所謂カゼだ。ただ熱が高ぇ、苦しい。
こんな熱出したのいつ以来だ?
確か高校ん時にもあった気がする…。
あの時は確か誰かが看病してくれてた…
首にネギを巻かれたりあり得ねー程乱暴な看病だったけど
オレを心配してくれてる気持ちだけはすげー伝わってきて…
それが嬉しかったんだよな…

「ま…き……の…」

意図せずに口から出ていた言葉だった。
でもそのうわごとのような呟きがきっかけになって
忘れてしまっていた大事な事が次々と頭の中に浮かんでは消えた。

牧野…。
どうしてオレは…。
よりにもよってお前の事を
忘れたりしたんだ。

牧野…。
オレは、全てを思い出した。

『私も忘れることにしたから』

そういえば類が言ってたな。
お前にはもう他に好きな奴がいるんだっけな。
そうだよな、あれだけ好きだと言って
追いかけ振り回しておきながら
あっさりと自分だけ忘れるような男なんて
有り得ねーよな。

『バイバイ。道明寺…幸せにね』

最後の最後までお前はオレの事を思ってくれてたのに。
でもオレにとってはお前がいない世界に
幸せなんて存在しねーんだよ。
仮にあったとしても欲しいのはそんな幸せじゃねぇ。

欲しいのは牧野…お前だけなんだよ。

でも今さら…

どの面下げてアイツに会えるって言うんだ。


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