守りたい人

ある日の夜7時。

部屋の中はシン…と静まりかえって
息を飲む音でさえ聞こえてきそうな緊張感に満ちていた。


『守りたい人』
  ~たとえ、何度でも。 番外編~




テーブルの上で絶妙なバランスで立っているそれに
角度を変え、時にそっと触れて。
牧野様は課せられたミッションをクリアしようと真剣だ。

そして意を決したように
大きく吸って吐いて、気持ちを整えると
「い、いくよ…っ?」
不安気な表情で聞いてくる牧野様に無言で頷く私と岡田。

それを確認した牧野様は
狙いを定めたブロックをツンツンと指で押すと
反対側から少し飛び出した部分をそっと摘まむ。

全体の揺れをよーく観察しながら
慎重に引っ張っていき、もう少しで
ミッションコンプリート!

……と、そこまできたその時。

「おいっ!!」
激しくドアが開く音と同時に耳に届いた怒鳴り声に
思わずビクッと肩を揺らし、

牧野様が持っていたブロックだけを残して
ガラガラガシャーンッと大きな音を立てて塔が崩れた。

「「はいっ!牧野様の負け~」」
ケラケラと笑う私と岡田。

「ちょっと司!
 あんたのせいで負けちゃったじゃない!」
「あ?何がだよ」

「ジェンガ!
 大体帰ってくるの明後日って言ってなかった?」
無残に崩れ去ったブロックを指さして言ってみたものの
おそらくジェンガ自体を知らないであろう司様は
「ジェンガ…?」
怪訝そうな顔をしてブロックを見つめる。


もともとは類様からの指示で牧野様につくようになった私達。
司様とも無事にお付き合いを始められた今、
本来花沢の人間であるわけだから
継続しておつきする必要はないのだけれど

「え?あんたじゃあるまいし
 あたしにはSPさんなんてつける必要ないでしょ?」
なんて牧野様の言葉に

誰をつけるにしても
とにかくSPをつけておかないと
心配で仕方ないといった様子の司様は

「だったらこいつらクビになんぞ」
なんて事を言い出した。

「えっ!?なんで…っ」
「類がお前のために呼んだSPだぞ?
 今さら花沢に戻ったって居場所がねぇんだよ」

もちろんそんな事はない。
だけど私も岡田も牧野様の味方だと言いながら
その時に黙っていたのはSPとして主の言葉に
意見する事など許されないという使命感の他に
もしも選んでいいのであれば
このまま牧野様の護衛についていたいと思ったからかもしれない。

司様の狙い通り
牧野様はSPをつけるなら私達にとご所望され
私達は正式に道明寺家のSPとして契約を結び直した。


「なんで家にいねぇんだよ」
そんな事を言いながら拗ねた表情を浮かべる司様は
牧野様の前でないと見られない貴重な姿だ。

「あんたこそ帰って来るの明日じゃなかったの?」
しかし牧野様はそんな司様より
崩れたジェンガを積みなおす事に夢中だ。

「寝る間も惜しんで早く帰ってきてやったのに
 どうして藤川の家にいるんだ、てめぇは」
「だって…広くて落ち着かないじゃん」
司様の言うとおりここは
司様と牧野様の部屋の1つ下の階にある私の部屋だ。

司様が出張で留守の予定だった今日、
『遊びに行ってもいいですか?』
なんてLINEが飛んできて
ついでに岡田も呼んで3人で夕飯を食べて
そのままこのジェンガ勝負になったわけで…。

「…まさか、牧野様
 司様も加えてジェンガする気ですかね?」
岡田が小声で私に聞いてくる。

牧野様はそのおつもりなんだろうけど。

今度は甘い顔をして
牧野様を背後から抱きしめている司様を見る限り
それはまたの機会にって事になりそうだ。

「…なんだよ。
 オレがいねぇから寂しかったのか?」
「ばっ…!違うっつーのっ。
 無駄に広すぎるんだよ、あの部屋っ」

「照れんな照れんな。
 …藤川、岡田。邪魔したな。こいつ連れて帰るわ」
「何勝手に決めてんのよっ!
 あたしまだジェンガやるんだからっ」
片腕で軽々と担がれた牧野様は
司様に何発もパンチをくり出しているけれど
まったく効果はなさそうだ。

「良かったらお貸ししましょうか?」
そう言ってみれば
司様は一瞬考えたものの
「…おぅ。家で2人でやるか」
と空いた手でジェンガを受け取って出て行った。


「司様って今日初めてジェンガするんですよね?」
「そうだろうね」

「それでも
 牧野様が負けそうな気がするのは俺だけですか?」
「……私もそんな気がする」



翌朝、
ご機嫌の司様と不満そうな牧野様が並んでいて
私達の予想は当たったらしいと岡田と顔を見合わせて笑った。

それぞれの職場へと向かうため
エントランスで司様とは別れたのを確認すると

「さぁ!今日もしっかりお守りするよ」
「はいっ」

コツンとお互いの拳を当てて気合いを入れると
以前のように後ろからこっそりついて行く必要もない私達は
牧野様のすぐ隣へと急いた。



~ fin ~



★あとがき★

愉快なSP、藤川さん目線です。

こんなSPさんは実際には
存在しないかと思いますが…

真面目なSPさん書いても
つまんないですからねぇ(* ̄∇ ̄*)

つくしちゃんは
守ってもらってるって言うよりは
頼りになるお姉さんお兄さん的な感覚で
2人と付き合ってそうですが
そこがまたこの愉快なSPさんの庇護欲を
より一層かきたててるのかもしれません。

ちなみに
類が選んだSPさんとあって
こんな感じでも腕は確かなんですよ♪

そんなわけで
何でもアリなkomaの世界ですが
楽しんで頂けていれば幸いです(*・ω・)


koma

 
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No title

何事も、規格外の司君の側にいると、感覚が麻痺してくるのかもね(笑)
隠れる必要のないSPさん、つくしちゃんの会社まで行ったら、その後どうするのかな❓
しっかり、司君の彼女になったからには、中まで入って、司君以外の男の牽制は❓(笑)

 

スリー★★★★★様

まずSPとしてどうなんだ!?ですよね(笑)
でもいいんです。ここはkomaの世界だから(*´ゝ艸・`)♡

うんうん。
つくしちゃん素直じゃないだけで
司くんのいないお部屋が寂しかったんですよね~♪
予定より早く帰ってきてくれたのも嬉しかったはず♡

やっぱり、ジェンガの勝負になにか賭けてそうですよね?
何賭けたんだろう~(*`艸´)ウシシッ

 

JUJU様

ププッ(○>艸<)!
確かに司君のそばにいると
何が起きても驚かなくなりそうだっ(笑)

SPさん…何してるんでしょうね?
全然考えてなかった(-∀-;)
こっそり?堂々と?
牽制してる姿を考えるとまた面白そうですね~(笑)
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