GOOD LUCK 40

「つくし…」
「会社では牧野でお願いします、専務」
そう言って頼んでいた珈琲を置くと
そっけない態度でつくしは執務室を出て行く。

親父とババァが来てから
何を怒ってんのかつくしの機嫌はそこぶる悪ぃ。


『GOOD LUCK』   第40話


もう1週間もオレの寝室にも来ねぇ。

おかげで一緒に住んでるっつーのに
オレはつくし不足で力が出ねぇ……。

顔が見たくて珈琲を頼んでみても
それだけ置いてすぐに出て行っちまうし。

だったら、と秘書課に来てみれば
そこにつくしの姿はなくていたのは三条だけだった。


つくしの様子から何かあった事は察していたらしい三条に
何を怒ってるのか聞いてみるかと事情を話せば

「…道明寺さん。バカなんですか?」
呆れかえったような顔で
このオレに失礼な事を平気で言うこいつ。

「なんでだよ。
 疲れてんのに起こしたら可哀そうだろうが」
「この場合、何も知らずに寝てた方がよっぽど不幸ですよ。
 私だったら彼のご両親との初対面が
 パジャマでノーメイクだなんて耐えられません。…別れますね」

どこが可哀そうなのか全然わかんねぇ。
親父もババァも「寝かせてやれ」って言ってたしよ。問題ねぇだろ。

それにあいつはパジャマでノーメイクでさえ可愛いんだ。
…考えてみりゃオレだけが知ってたあの姿を
親父とババァに見られちまったのはちょっと惜しかったか…?

まぁ、その程度だ。 
だけど…こいつ、最後になんつった?

__別れる…だと?


「どうしてそうなるっ!」
思わず声を荒げたオレをキッと鋭く睨みつけると

「いいですか?
 結婚適齢期を迎えた女にとって彼のご両親と会うのは
 気に入られるか否かの大事な勝負の時です。
 おまけに先輩の場合、性格もさることながら
 相手は自分の勤める会社の社長と会長でもありますからね。
 本来なら最低でもどこかのレストランの予約を入れて
 頭のてっぺんから足の爪先まで完璧に磨いた状態でも
 まだ足りないくらいの緊張感があるはずなんですよ?」
そう一気にまくし立てるように言うと
フンッと息をつく。

「それが道明寺さんに抱き潰されて
 昼前になって漸く起きてきた無防備な姿で
 鉢合わせだなんて…自分じゃなくても泣けてきますよ…
 せめて寝てるのは体調が悪いからとか、
 無難な言い訳くらい思いつかなかったんですか?」
そう言って頭を抱える三条。

……。
親父もババァもつくしを気に入ってるぞ?
それじゃダメなのか?

喉の奥に何か塊でも詰まったみてぇに息が上手くできねぇ。

つくしに別れるなんて言われたらどうすりゃいいんだ。
生きてけねぇぞ、オレは。

「…つくしはどこにいる?」
なんとか絞り出した声に
「さぁ?」
と三条は首をかしげる。

「……つくしが言うなっつったのか?」
「いえ。本当に今どこにいるのか…
 ただ、社内にいないのは確かですね。外出になってますから」
そう言って指さしたボードを見れば
たしかにつくしの名前の所には外出のマグネットが貼ってある。
が、行先は書いてねぇ。

…っつーか、オレがここにいるのに
あいつがどこに外出するっつーんだよっ!

「あいつは1人で出ていったのか?」
「……いえ。
 どっちかというと連れ去られた感じなのでお2人です」

「あ?連れ去られたって誰にだよ」
「椿さんですわ」

「姉ちゃんだと!?来てるなんて聞いてねぇぞ!
 第一あいつは勤務中だろうがっ!誰か止めろよ!」
「一応お止めはしましたよ。…でもこの秘書課に
 椿さんを止められる人間がいると思ってるんですか?」
そうため息をつかれて
確かに暴走し始めた姉ちゃんを止めるなんて
たとえ西田でも無理かもしんねぇとガクッと頭を垂れる。

「ご両親との対面に比べればまだマシですが
 椿さんとの対面もこんな突然だなんて…
 道明寺さん、案外短い春でしたね」
そう憐れむような視線をオレに向ける三条。

「ふざけんなっ!誰が別れるかよ!!」
そう言って姉ちゃんに電話をかけながら
秘書課を出るオレに

「ま。頑張ってください」
ともう何度目かわかんねぇ言葉を投げてきた。



 
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GOOD LUCK 41

「妹とデートするの夢だったのよ~」

嬉しそうに話すこの綺麗な人が
司さんのお姉さんだと知ったのはついさっきだ。


『GOOD LUCK』   第41話


まだ午前中なのに
珈琲を持っていくのは3回目。

「つくし…」
遠慮がちに声をかけてくる司さんが
仲直りのきっかけを探してるのはわかってる。

西田さんにも…
「何があったかまでは詮索しませんが
 そろそろ許して差し上げてはどうでしょう?」
なんて心配そうに言われちゃったしなぁ。

あたしだっていつまでも意地張ってちゃいけないって思う…

でも会長も社長も笑ってたけど…

司さんが起きてるのに
ご飯も作ってあげないで寝てるなんて
きっとなんてだらしない女だって思ったはず…

それに…
寝坊の理由まで話しちゃうなんて!
恥かしすぎてまともに顔が見れないんだもん。



「はぁぁぁ…」
ため息をつきながら秘書課に戻ったあたしを待っていたのが
どこの雑誌から飛び出してきたのかと思うほど綺麗な人で

「あなたがつくしちゃんね!」
とパァッと表情を明るくさせて
あたしの方へ向かってくる…ううん、違うな。
突進してきて息が止まりそうな勢いで抱きしめられたあたしの後ろで

「……先輩。そちらは専務のお姉様、椿さんです」
とどこか諦めたような桜子の声がする。

お姉様…って、お姉様!?
驚くあたしにかまう事なく

「つくしちゃん、お昼は食べた?」
抱きしめてた腕を緩めて聞いてくる。
「いえ…まだ昼休憩まで時間もありますし…」
時計を見てみるとまだ11時にもなってない。

「ちょうど良かったわ!
 だったら今からランチに行きましょう!」
「今から!?いや…まだ勤務中で……
 まとめておかないといけない資料とかもあってですね…」

「そんなの司が自分でやればいいのよ。
 甘やかしてちゃダメよ?つけ上がるだけなんだからっ」
「えぇっ!?」
甘やかすとかじゃなくて…それがあたしの仕事なんだけど…。

だけどお姉さんはあたしの話は聞いてないみたいで。

「何食べたい?
 桜子ちゃんも一緒にどう?」
桜子まで誘いだすお姉さん。
「いえ…私は午後に会食にお付き合いする予定なので」
「そう?残念だわ…
 じゃあ、つくしちゃん借りてくって伝えといてね?」
「えーっと…はい」
あの桜子が反論もせずに黙るあたり只者じゃない…。

うん、只者じゃないんだけどさ……。

桜子が勝てない相手をあたしに躱せるはずもなくて
ランチって言ってたはずなのに
途中でデパートに寄って何着着たかわからないくらい
着せ替え人形にされてからレストランの個室へとやってきた頃には
ニコニコと楽しそうなお姉さんに比べてあたしはノックアウト寸前。

この強引さとパワフルさは司さんそっくりだ…。
ううん…もしかしたらそれ以上かも。

そんなあたしにニコッと笑うと
「突然ごめんなさいね。
 お父様とお母様がつくしちゃんの事を
 とてもいい子だったって自慢ばかりするから会いたくなっちゃって」
なんて事を言う。

「お…怒ってらっしゃらなかったんですか?
 あたし…すごく失礼な所しか見られてなくて…」
「怒る…?まさか!
 両親も私も会える日をずっと楽しみにしてたのに。
 むしろ両親の方が急に行ったりしたから
 つくしちゃんに嫌われたんじゃないかって気にしてるわ」

「あたしに…ですか?」
「そうよ。
 私がつくしちゃんの事を聞いたのは司が高校の時だったけど
 両親が知ったのは大学の頃だったかしら?
 突然結婚したい女がいるなんて言い出したの。
 その時からつくしちゃんに会いたくて仕方なかったのよ?」
その当時を思い出してだろうか、
お姉さんはクスクスと笑いながら優しく笑った。



 
いつも応援ありがとうございます♡

GOOD LUCK 42

昔を懐かしむように
話すお姉さんの表情はとても優しくて

それだけで司さんを大事に思う
お姉さんの気持ちが伝わってくるようだった。


『GOOD LUCK』   第42話


「司が恋をしたなんて言ってきた時は驚いたわ」
そう話す椿さんは

当時の司さんは、
周囲の人たちを信用できず威嚇することで
どんどん孤独の闇に飲みこまれていくようで
家族であるお姉さんにも手に負えなかったと悲しい顔をする。

…うん。
雨に打たれてた司さんは寂しそうだった。
放っておいたらあのまま消えちゃいそうで…

だから声をかけずにはいられなかった。

「あの頃は私も結婚して家を出てたから
 常に司のそばにいてあげられなくて…
 でもある日邸に戻った時にね、あの子が久しぶりにいい顔してたのよ。
 …つくしちゃんが司を救ってくれたのね」
そう言われて慌てて首を振る。

「い、いえっ…。あたしは何も…。
 初めて会った時は司さんだって気付いてもなかったので…」
それどころか司さんに話してくれるまで
その事すら忘れてたくらいだ…。

「あら、そうなの?
 でもつくしちゃんにそんな気がなくても
 あの子が救われたのは確かよ?
 つくしちゃんに出会ってなければ今の司はいないわ」
「そんな事…」

「あるのよ。
 だからつくしちゃんは堂々としてればいいの。
 間違った事をしそうになったら怒ってあげてほしいし
 気に入らなければ思いっきり殴ればいいわ。
 大丈夫。あの子体だけは丈夫だから。サンドバッグにしちゃいなさい」
ふふっと笑いながらお姉さんは
司さんが小さい頃はそうやって教育していたと話す。

「ところで、最初は司と知らなかったって言ってたけど
 つくしちゃんも英徳よね?どうやって出会ったの?」
不思議そうに聞いてくるお姉さんに
どこまで正直に話していいのかわからなくて

「その…街でたまたま出会って、
 雨で髪も濡れてたし、夜だったので気付かなかったんです」
そう当たり障りなく答えたら
「…気を使わなくていいのよ。
 どうせ、飲んだくれてたんでしょ?」
とニヤッと笑われて、うっ…と言葉に詰まった。

「ったく。しょうがない子ね。
 でもそれがきっかけで出会えたんだから
 人生なんてどこでどう変わるかわからないのねぇ。
 それに、司に気付かなかったのも良かったんだと思うわ」
そう言って優しく笑うお姉さんの意図がわからなくて首をかしげる。

「きっと司は、道明寺なんて関係ない
 素の自分を見てもらえたのが嬉しかったのね。
 あの頃の司の周りには司自身がどういう人間かなんて
 気にしてる人間なんてきっといなかったでしょうから」
そこまで話すとニコッとあたしに笑いかけて

「つくしちゃんは司のどんな所が好きなのかしら?」
なんて聞いてくる。

司さんの好きな所…?
自分でもわからないうちに好きになってて…
改めて考えたりしてなかったけど
好きな所はたくさんある…でも1番はやっぱり。

「え…っと、優しい所…です。
 その…実は最初は司さんの事がすごく苦手で
 失礼な態度ばかりとってたし…迷惑もかけたんですけど…」
言いながらあの頃の子自分を思い出すと
本当に最低だったと気まずくなってくる…。

もしかして
司さん自身を見てなかったのは
…誰よりあたしなんじゃないんだろうか?

司さんはあたしが怖がらないように優しくしてくれたり
迷惑かけても笑って許してくれたり…
ずっとあたしを見ていてくれたのに、あたしときたら

怖い人だって決めつけて逃げ回って…
今までどれだけ傷つけてきたんだろう……。

今だって、きっと司さんに悪気なんてなかったのに
1人でいつまでも拗ねて1週間も冷たく当たってる。

「…お姉さん。
 あたしやっぱり…司さんにはふさわしくないかもしれません」
じわっと涙を浮かべたあたしに
「つくしちゃん…?」
お姉さんは心配そうに覗き込んで手を伸ばしたその時、

「姉ちゃんっ!!勝手につくし連れ出すな…って
 どうしてつくしが泣いてるんだっ!!何言ったんだよ!?」
そう怒鳴り込んでくると同時に
あたしを抱きしめてくれたのは司さんで…

「わ、私は何も言ってないわよ…」
そんな困ったようなお姉さんの声を聞きながら

司さんが抱きしめてくれた事に嬉しくて
安心したらまた涙が溢れてきてしまった。



 
いつも応援ありがとうございます♡.

GOOD LUCK 43

「クソッ!姉ちゃん出ねぇっ」
オレの電話を無視した姉ちゃんだったが

西田は姉ちゃんが予約を入れそうな
店を予想し先回りして確認していたらしく店名を告げてくる。


『GOOD LUCK』   第43話


妙に気の利く西田。
「…んな事、教えたら
 オレが飛び出して行くのもわかってんだよな?いいのか?」
「お教えしなくても飛び出されるのでは?
 でしたら闇雲に走り回られるより
 最短で帰ってきて頂く方が賢明かと判断致しました」
眉1つ動かさず話した西田を無視して踵を返せば

「ついでにいい加減、
 牧野さんと仲直りされてください。
 業務の効率が下がって仕方ありません」
なんて応援してんだかけなしてんだかわかららねぇ
言葉を投げかけられて舌打ちをして
告げられた店へと向かう。



「何泣かしてんだよっ!!」
「私じゃないわよ…」

姉ちゃんにしては珍しく
オロオロとつくしの様子を探ってる所を見れば
マジで姉ちゃんじゃねぇって事か?

だったらどうしてつくしは泣いてる?

姉ちゃんじゃねぇなら泣かせたのはオレなのか?
まさか…マジで別れたいとかじゃねぇだろうな?

そっと腕をほどいて親指で涙を拭ってみれば
「…ごめんなさい」
と小せぇ声で言う。

やべぇ…頭が真っ白だ。

何て言えばいい?
どう言えばつくしは戻ってくるんだ…?

頭をガツンと殴られた気分だ…
と、思ったら実際に姉ちゃんに思いっきり殴られてた。

「…いてぇ」
とりあえずリアクションしてみたが
本当に痛ぇのは殴られた頭じゃなく心臓の方だ。

そんなオレも無視すると
「…うーん、そうね。よくわからないけど
 つくしちゃんが司にふさわしくないなんて事はあり得ないわ」
そう言うとオレとは違って優しく頭を撫でた。

「あ?姉ちゃんそんな事言ったのかよ!」
「バカッ!そんな訳ないでしょ!」
その言葉より早く拳を飛ばしてくるのは忘れずに
間髪入れずにツッコんでくる姉ちゃん。

「…でもよかった。
 司の好きになった子がつくしちゃんで」
「あ?」

「大事にしなさいよ」
そう言ってオレをまっすぐに見る姉ちゃんが
つくしを気に入ったのは間違いねぇ。

「言われなくてもしてんだろうが」
「不安にさせてる時点で足りてないのよ。
 でもまぁ…泣かせちゃったのは私にも責任はあるし
 お詫びに今日は2人きりにさせてあげる。
 ゆっくりランチを楽しんでから戻るといいわ」
そう言うと姉ちゃんは出て行く。

姉ちゃんを見送ってから
つくしに視線を向けてみれば
不安そうにオレを見上げていた。

「…ふさわしくねぇってなんだ?」
「だって…」
何をそんなに不安がってんのかは知らねぇが
とにかく泣いてたのはオレとは釣り合わねぇとか
そういう事だって事か?

大体、釣り合うとかふさわしいとか
お互いが好き合ってんならどうでもいいじゃねぇかよ。

ごちゃごちゃ考えさせると
ろくな事になんねぇってのはよくわかった。

「…じゃあ、聞くけどよ。
 オレはお前にはふさわしくねぇとか言ったらオレと別れるのか?」
「…っ!やだっ!!」
つくしは慌てて顔を上げてそう言うとまたじわっと涙を浮かべる。

ふさわしくねぇと思って泣いたっつー事は
それだけオレが好きで別れたくねぇって事だろ?

そうは思っていても、すげぇホッとした…。
マジで心臓に悪ぃぞ。

「だろ?そういう事だ。
 …あぁ、もうわかったから泣くな。
 すげぇ腫れんだろ?午後から仕事になんねぇぞ?」
そう言いながら目元に口付けたが
一週間ぶりなんだ。こんなんじゃ全然足りねぇ。

「…ん」
つくしをじっと見つめて唇を突き出すようにしてみれば
意図がわかったのか、顔を真っ赤にさせながら
おずおずと近づいて来る。

それが可愛くてわざと顔の位置を上げると
「と…届かないっ…」
限界まで背伸びをしてるつくしはプルプルと震えながら言う。

「あぁ、悪ぃ。
 あんまり可愛いから意地悪したくなった」
「…っ!」
わざとだとは思ってなかったのか
さっきまで泣いてたつくしは今度は不満そうに頬を膨らませる。

それさえも可愛くてキスをしようとすると
キスを拒むようにプイッと顔をそむけられる。

「おい…つ、つくし?」
こんな事をされたのは初めてで
やりすぎたのかと背中に嫌な汗が流れる。

機嫌を伺うように顔を覗き込むと同時にチュッと
軽いキスをされた。

「い、意地悪のお返し!」
真っ赤な顔をしてそんな事を言うつくし。

あぁ…クソッ。

こんなにオレを幸せで満たしてくれるお前が
ふさわしくねぇなんてあり得ねぇだろ。

「仕返しっつーならこれくらいしてくれよ」
それだけ言うと、つくしの唇に食らいつき
酸欠になってオレの胸を叩いてくるまで貪ってやった。



 
いつも応援ありがとうございます♡.


★本日バタバタなので
   明日はたぶん更新できませーん💦ごめんなさい(´。・д人)゙★

GOOD LUCK 44

飯を食いながら
よくよく話を聞いてみれば

ずっと優しく接していたオレから逃げ回って
傷つけてきた自分にはそばにいる資格がねぇとか思ったらしい。


『GOOD LUCK』   第44話


そりゃ、大学でお前を見つけたものの
目も合わせてくれなかったあの頃、
傷ついた事がねぇっつーのは嘘になるけどよ。

見ず知らずのただの酔っ払いに手を差し伸べるお前に比べて
オレは名前も覚えてねぇような奴ら相手に
赤札なんてバカな遊びを繰り返していたんだ。

いくらお前と出会ってから
バカバカしくなって赤札をやめたって言っても
高等部でそれを直接見てたお前が振り向くはずがねぇ。

あの頃、三条に言われた通り
頑張ったところでどうにかなるレベルじゃねぇ程
オレの恋は成就する可能性は低かった。

「…優しくすんのは当たり前だろ」
「へ?」

「下心あんだからよ」
「しっ!?」

オレはやっぱりお前みてぇには
何の見返りも求めずに優しくなんて出来ねぇ。

嫌われてるってわかっていても
どうしても諦める気にはなれなくて
お前に見てほしくて、何でもいいから話してほしくて…
少しでも良く思われたかった。

まぁ、思ってたよりはずいぶん時間がかかったけどな。

「やっとお前を捕まえたんだぞ?
 今さら逃がしてなんかやらねぇよ」
「べ、別に逃げようと思ってたわけじゃ…」

「この一週間は確実に避けてただろうが」
「うっ…」

「文句でも悪口でもいい。
 何だって聞いてやるからオレから離れるな」
「うん…ごめんなさい」

そうだ。
一週間もこいつに避けられておかげでオレは瀕死だぞ。
さっきのキスくらいじゃ足りるわけもねぇし
むしろ中途半端に食っちまって余計に飢えた気さえする。

そんなオレとは違って
腹が満たされたら満足そうな顔つきになるつくしは
この後は当然戻るつもりなんだろうと眺めながら
飯を食った後はどこでこいつを食ってやるかと考えていた。

それなのに…

「…クソッ。
 こういう時は秘書っつーのもなかなか厄介だな」
そう愚痴っちまうのは
車に乗った途端、オレより先に社に戻るように告げた
つくしの顔が完全に秘書の顔になっちまってるせいだ。

このままサボろうと誘ってみても
「ダメですッ!
 無断早退2回目なんてクビになっちゃう!」
とか言って頑として聞き入れないこいつ。

お前の上司は西田にオレだぞ?
しかもその上にはババァと親父までいる。
誰がお前をクビに出来るんだよ。

そう内心ツッコみつつも
結局こいつに弱ぇオレは根負けした。


「……で?これは何の冗談だ、西田」

明日は土曜日。
オレはそうはいかねぇが、つくしは休みだ。
だったら1分でも早く帰って誰に文句を言われるでもなく
つくしとの時間を過ごせばいいと頭を切り替え

執務室に戻ったオレを待っていたのは
デスクに積まれている書類の束…いや、もはや山だ。
いつかもこんな光景を目にしなかったか?

多少13時は過ぎたかもしんねぇけどよ。
実際ランチして帰って来てんだから
オレが抜けたのなんて昼休憩の範囲内じゃねぇか?

それなのにこの量はなんだと西田を睨めば

「効率が下がって業務が滞ってるのです。
 今週中に仕上げて頂きたい案件がそれだけあるのです」
「は!?ふざけんじゃねぇよ!
 こんなの半日で終わるわけねぇだろうがっ」
そう怒鳴ったオレに西田の眼鏡が光る。

「ふざけないで頂きたいのはこちらです。
 “痴話喧嘩”をしたくらいで業務に支障が出るようでは困ります」
妙に厳しい顔つきでわざわざ喧嘩っつーところを
強調するように言った西田の意図はわかってる…。

「も…申し訳ありません……」
西田の隣で小さくなってるつくしの罪悪感を煽るためだ。

…クソッ!マジで汚ぇこいつ!!

これじゃオレがごねればごねる程
つくしの立場が悪くなるじゃねぇかよっ。

「…だぁっ!わーったよ!
 やりゃあいいんだろ、やりゃあっ!
 つくしっ!晩飯までには帰るからなっ!一緒に食うぞ」
「え…でも…」
心配そうにオレと書類の山を見るつくし。

「やるっつったらやるんだよ
 その代わり美味い飯作って待ってろよ?」
言いながら書類に手を伸ばすオレに

「…ん。わかった」
と頷いて部屋を出ようとしてから振り返る。

「あ、あの…」
「ん?」

「が、頑張ってね。待ってるから。…大好き」
真っ赤な顔でそれだけ言うと逃げるように扉を閉めた。

「……クソッ。マジで厄介だ」

自分でもどんだけだと呆れるが
お前に言われるだけで力が沸いてくるんだ。

言う通りに頑張ってこの書類は片付けてやる。

だから…

__お前も今晩は頑張れよ?




~ fin ~

★あとがきはのちほど~★


 
いつも応援ありがとうございます

「GOOD LUCK」あとがき & 次回からは…

GOOD LUCK


「GOOD LUCK」
まずは最後までお付き合い頂きありがとうございました(*^^*)




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let me know

★大学時代。坊っちゃんが嫌われまくってた頃です(笑)★


2度と会えねぇかも…
そう思ってもあの時の女が
同じ大学内にいると知ってから3ヶ月。

オレはろくに話しかける事も出来ずにいた。


『let me know』   
      ~GOOD LUCK 番外編~





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Brother 2

★覚えていらっしゃる方がいるのかどうか…
  いつかの短編「Brother」の続編ですっ(*^^*)★





「よっ。つくし」

最近、司がよく邸に来る。
そしてその隣には何故か不機嫌そうな総兄がいる。


『Brother 2』



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