DEAR… 7

「なんなのよ、これっ」
声を潜めて隣の滋を睨みつけるあたし。

そんなあたし達の向かい側には
初めましてな男性が4人。


『DEAR…』   第7話


「えへへっ。
 なかなかいい男揃えたでしょっ」
悪びれるどころか褒めろと言わんばかりの滋。

「そんな事聞いてないっつーの!
 あたし合コンなんて興味ないって知ってるでしょ!」
滋のお尻をぎゅうっと抓りながら言う。

「イタイイタイッ。
 だって玲ちゃんが合コンしてみたいって言いだしてさー。
 社会人が混ざっててもいいっていうグループが
 4人だったんだもーん。これも人助けだと思って…。ね?
 会費はあたし達の分も玲ちゃん出してくれるって言うしさぁ」

「そうですよっ。
 先輩もいつまでも道明寺さんに拘ってないで
 新しい出会いを探すべきです。
 どうせ花沢さんで手を打とうって気もないんでしょ?」
と反対側に座っていた桜子があたしをまっすぐ座らせる。
その向こうの玲さんも手を合わせてごめんと苦笑いしていて

「はぁぁっ。わかったわよっ!
 でもあたしはすぐ帰るからねっ」
そうため息をつきながら言えば
3人でうんうんと頷く。




翌日。
図書館で自習しながらも
昨日の合コンのせいで寝不足で集中できない。

途中で抜け出そうとするあたしを
なんだかんだと引き留める3人に根負けして
結局二次会にまで付き合うハメになった。

そもそも合コンにいい思い出がないのよ。
前にも滋と桜子にバイトだと騙されて行った合コンでは
あいつにそっくりな亜門に会って、
道明寺にはガッカリだなんて言われたっけ……。

「はぁぁぁ…っ」
イスの背もたれに体重を預けて天井を仰ぎながらため息をつくと

パコンッ。
とおでこに軽い衝撃を受ける。

「ため息ついたら幸せが逃げるんじゃなかったのかよ」
そう言いながらあたしのおでこに小さな箱を乗せたのは道明寺。

「アイタッ…。って何コレ」
箱を手に取りながら聞けば
「タマからだ。
 お前が全然顔見せねぇから渡しとけってさ」
そう言われて開けてみると
前にタマさんの部屋で頂いたおかきが入っていた。

「お前が気に入ってたから用意してんのに…って
 愚痴ってたぞ。たまには顔見せてやれよ」
そんな事を言いながら隣のイスに腰掛ける。

「や…。無理でしょ」
ただでさえ気軽に行けるような場所じゃなかったのに
今さらどんな顔してあの邸の門をくぐれと言うのか…。

そんな事を考えてるあたしなんてお見通しだとばかりに
「別にオレに会いに来いなんて言ってねぇだろ。
 お前に会えなくなったってうるせぇんだよ、タマが」
頬杖をつきながらうんざりした顔で言う道明寺の横顔を見てると
杖を振り回してこいつを追いかけまわしてる様子が頭に浮かぶ。

「…ぷっ」
「笑ってんじゃねぇぞ」
「うん、ごめんごめん…ははっ」
「…てめぇ」

「あははっ。ほんとごめん。
 でも、うん…わかった。また行くってタマさんに言っておいて」
謝りながら笑うあたしに
「あぁ…」
とため息をつく。

「……で?いい男はいたのかよ?」
突然そんな事を聞いてくるこいつに首をかしげる。
「合コン。行ったんだろ?
 滋たちが楽しかったって騒いでたぞ」
頬杖をついたまま、あたしの方も見ずに言った言葉に
責められてるワケでもないのにドキッと心臓が跳ねる。

「あ、あぁ…。うん」
なんて答えたものかと思いながらも頷けば

「……付き合うならオレよりいい男にしとけよ?」
「は?」
「ショボイ男と付き合うなっつってんだよ」
漸くあたしの方にチラっと視線を向けると
カタン、と立ち上がる。

「ま。オレ様よりいい男なんて
 この世にいねぇかもしんねーけどな」
ククッと不敵に笑うと、図書室を出て行った。


「……だったらあたしどうすりゃいいのよ」
とっくに閉じられた扉を見つめながらポツリと呟いた。





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独り言。 〈総×優〉 新シリーズのお知らせ。

ども。
管理人のkomaです。


いつも私のくだらぬ妄想にお付き合い頂きありがとうございます。


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DEAR… 8

タマに頼まれた菓子を持って
カフェテラスに行ってみたが

そこに牧野の姿はなくて
滋と三条がオレの顔を見るなりニヤりと笑った。


『DEAR…』   第8話


「……なんだよ」
目当ての牧野もいない上に嫌な笑みを浮かべる2人に
ムッとした表情を返せば

「べっつに~?
 昨日の合コン楽しかったなーって思っただけ」
と滋。
「えぇ。滋さんが揃えたにしては素敵な方ばかりで」
と三条もにっこり。

それがどうした、と
フンッと鼻を鳴らして無視を決め込もうとした時、

「でも結局つくしがモテるんだよね~」
「えぇ。あれだけ消極的なくせに
 最終的にオイシイ所を全部持ってくんですよね、先輩って」
なんてわざとらしくため息をつく2人に
思わず座ったばかりのイスからガタッと音を立てて立ち上がる。

「…ん~?どうしたの、司」
「ちなみに今回も私たちが騙して連れて行きましたけど
 道明寺さんにも許可とった方がよろしかったですか?」
そう言って笑う2人が
わざとオレへのあてつけとして合コンの話をしてるのはわかった。

「…フンッ」
もう一度無視を決め込もうと気を取り直してイスに座るが
そんなオレの態度が気に入らねぇのかさらに合コンの話を続ける2人。

気にするな、と必死に言い聞かせていても
耳はずっと2人の声に集中している自覚は充分にあった。

「ほらっ。特に田中君?
 つくしが帰ろうとする度に自分も席立とうとしてさー。
 あれ、絶対つくしを送るついでに2人きりになるの狙ってたよねー」

「えぇ。あれだけ下心見え見えな男性に
 先輩ったら“いい人”とか言っちゃってるんですから…
 二次会まで引っ張って行かなかったら今頃どうなってたか」

「でもさー。もしかして隙見て連絡先くらい交換してたりして?」

「そういえば…今日先輩は?
 適当な理由つけられて呼び出されて
 田中さんとデートでも行っちゃってなければいいんですけど」

聞けば聞くほど
イライラする会話にテーブルを指で叩きまくるオレ。

そんなオレと同じテーブルにいる
こいつらは苦笑いしながらオレを見る。

「うるせーぞ、司」
「イライラするくらいなら牧野に直接聞けよ」
そういう総二郎たちを睨みつければ

「おっと。俺らにあたるなよ?
 そもそも牧野が合コン行ったからって
 今のお前にキレる権利はねぇんだからな?」
と降参だとばかりに手を小さくあげならも
痛い所をついてくる。

「……牧野、図書館だよ。
 調べものがあるとか言ってた。」
そんな声のする方を見てみれば
ソファで寝ていた類が片目を開けてこちらを見ている。

「うるさくて寝てらんない。
 その箱持ってどっか行ってよ」
テーブルの上に置いてあった菓子を指さして
そんな事を言う類は

その菓子を口実にでもして会って来いと言ってるようで。

静かに立ち上がって図書館に向かうオレに
総二郎たちだけでなく
滋たちもそっと視線を向けていたのは背中越しでも伝わった。





「あんなに独占欲丸出しのくせに
 牧野と別れた理由って結局何なんだろうな?」
「さぁ…?さっぱりわかんね」

「玲ちゃんも理由は知らないって言ってたよねー」
「でも別れ話がこじれそうなら
 新しい女のフリしろって言われてたんですよね?」

「は?そうなのか?」

「えぇ。どうして別れ話をする時にいたのかって
 先輩がいない時に聞いてみたらそう言ってました」

「だから玲ちゃんはてっきり
 つくしが付き纏ってる女だと思って
 1発かましてやろうとついて行ったら
 つくしはあっさり別れを受け入れちゃうし
 司が見た事ないような顔してるからビックリしたってー」

「司がそんな下手な小芝居してまで
 別れる理由か…。ますますわかんねーな」

とっくに司の姿は見えなくなった入口を見ながら
ソファで横になって夢の世界へと行ってしまった類を除く4人は
ぎこちなくも友達という関係を続ける
2人の事を思い浮かべてため息をついた。




いつも応援ありがとうございます♡

シャイン 1

勤め先の上得意様である
茶道西門流の次期家元さんは
女好きで有名なプレイボーイ。

噂を鵜呑みにしちゃいけないと思ってたけど
結局は火のない所に煙も立たないんだよね…


『シャイン』   第1話
       〈総二郎×優紀〉




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DEAR… 9

図書館に行ってみれば
奥の日当たりのいい いつもの席に牧野を見つける。

普段は本の虫かっつーほど集中してるくせに
今日はため息をつきながら天井をボーっと見ていた。


『DEAR…』   第9話


考え事でもしてんのか
オレが近づいても気づいてねぇこいつ。

っつーか、お前はいつも
オレが声をかけるまで気付かねぇか。

なんて自嘲気味に小さく笑いながら
牧野に向かってまっすぐ歩いて行く。


前髪がさらさらと流れて露わになった無防備な額に
思わずキスを落としたくなる衝動をなんとか抑えて
タマからの預かり物を乗せて額を隠した。

「ため息ついたら幸せが逃げるんじゃなかったのかよ」
そう声をかければ
痛いとか言いながらも箱を手に取る。

タマからもらった菓子に
目をキラキラさせてやがるこいつを見ながら
隣のイスに腰掛ける。

タマに会いに来てやれといえば
「や…。無理でしょ」
なんて気まずそうに答えるこいつ。

付き合ってた時だって
呼ぶか、連れて行くかじゃねぇと
邸に来なかったこいつにしてみれば
オレと別れた今、行く理由がねぇって事なんだろうけど…。


『坊っちゃんが何をお考えなのかは知りませんがね。
 そのせいでこの老いぼれの楽しみが1つ減ってるんですよ』
なんて小言を言われるオレの身にもなってみろ。

そんな事を思ってると
こいつもタマを想像してかプッと吹き出すように笑う。

まったく反省の色を見せずに謝りながらも
邸に来ると言うこいつに口角が上がる。

たとえオレに会いに来るわけじゃなくても
お前に会える時間が増える事に変わりはないからな。

合コンの話を持ち出せばこいつは
「あ、あぁ…。うん」
なんて曖昧に頷く。

たとえ自分の意思で参加したんじゃないとはいえ
“元カレ”にそんな話振られても困るって?

でもこいつの様子だと
特に気になった男もいなさそうだとホッと息をつく。

「……付き合うならオレよりいい男にしとけよ?」

「ま。オレ様よりいい男なんて
 この世にいねぇかもしんねーけどな」

そんな言葉を残して図書館をあとにする。


このオレが負けたと思えるほどいい男なら
認めてやってもいいが、

そもそもが誰にも負けるつもりはねぇんだから
結局はあいつの隣に立つ男はオレ以外にいねぇって事だ。


その為には早くそれを
認めてもらえるだけの男にならなきゃなんねぇ。

それまでどれくらいかかんのかわかんねぇが…


なぁ、牧野。

オレはお前を諦めたわけじゃねぇぞ?
地獄の果てにだって追いかけていくと言った言葉も
お前を好きなこの気持ちもあの頃と何も変わっちゃいねぇ。

でも、今回ばかりはただ力技で追いかけるだけじゃダメなんだ。

いつかオレはお前をもう一度この手に取り戻す。
だから…その日まで。

誰の物にもなるんじゃねぇぞ?





いつも応援ありがとうございます♡

DEAR… 10

オレは大学に入ると同時に
将来に向けて少しずつ仕事を始めるようになって
大学へ顔を出せない日も少しずつ増えていた。

そしてあの日。
定例会議に出席してから
大学へ向かおうとした時に後ろから声をかけられた。


『DEAR…』   第10話


「道明寺さん」
聞き覚えのあるその声に振り向いてみれば
そこに立っていたのは牧野の親父さんだった。

親父さんと顔を合わすのは別に珍しい事じゃない。
デートの送り迎えの時に会う事もしばしばあったし
つい1週間前くらいにも牧野の家で飯を一緒に食ったばかりだ。

「親父さん…こんな所でどうしたんですか?」
そう言うオレの心臓が嫌な音を立てていたのは
親父さんがいつもの朗らかな顔じゃなく
何かを思いつめたような顔をしていたから。
そしてこういう時の予感は大体当たるもので…

「…つくしと、別れてやってくれませんか?」
突然そんな事を言いだす親父さん。

まるであいつが言ったのかと錯覚するほど
よく似た瞳でまっすぐオレを見据えて言うその顔は
いつもの親父さんからは考えられねぇ。

それに…別れろってなんだよ。

「親父さんっ!急に何を…っ」
この瞳がこうと決めたら譲らないと
あいつから嫌というほどに思い知らされてきたオレは
動揺を隠すことができずに思わず親父さんの肩を掴む。

そんなオレを見かねた西田が
「こちらでは何ですので…」
とオレと親父さんを近くの料亭の個室へ連れて行く。



西田が席を外して部屋の中には
テーブルを挟んでオレと親父さんの2人。

その間もオレの心臓はずっと嫌な音を立て続けていた。

「…親父さん。どういう事か説明してください。
 オレは牧野と…つくしさんと別れるつもりはありません。
 そりゃ育った環境は全然違うし、喧嘩だってします。
 だけどあいつを幸せにする自信はあります。
 …いや。あいつを幸せにできるのはオレだけだと思ってます」
姿勢を正して自分の気持ちを告げる。

そんなオレをじっと見つめた親父さんは
「つくしは…本当に道明寺さんといて幸せなんでしょうか?」
そんな事を言う。

「…あいつが何か言ってたんですか?」
オレの問いに静かに首を振る親父さん。
「だったらどうして、そんな事…」
そう言いかけたオレに

「……赤札」
そうポツリとこぼした単語に小さく肩が揺れた。

「そういう物が
 高校の時につくしに貼られたのは本当ですか?
 それを貼ったのが道明寺さんだったというのも?」
怒るでもなく悲しそうな顔で言われた言葉に
頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

__赤札。

それはこいつと出会うまでのオレがやってたバカな遊び。

それが牧野と出会うきっかけだった。

「……本当です」
まっすぐオレを見る視線が痛くて
少し視線落としながら答える。

そんなオレに小さく息をつくと
「いつの頃だったか、定かではないのですが
 学校からボロボロになって帰ってきたり、
 制服じゃなく体育着で帰ってきたりする事があって
 理由を聞いても答えず部屋に籠って泣いてる日もありました…」
そう静かに話す親父さんは
何も答えられないオレに続ける。

「…それがいつしかなくなってよく笑うようにもなった。
 その頃から道明寺さんの話をするようにもなったので
 私はてっきり道明寺さんがつくしを
 守ってくれたんだとそう信じて疑わなかったんです」

全校生徒から追いかけまわされ苛めにあったあいつ。
それは紛れもなくオレが原因だ。

好きだって自覚するまでは
それを笑って見てたあまりに馬鹿すぎた自分。

「赤札の事は…弁解はしません。
 あいつが酷い目に遭ったのは全部オレの責任です」

「…残念です」
困ったような顔で無理に笑う親父さんも辛そうだった。

その表情に
今までのオレへの信頼が
足元から脆く崩れ去っていくのを感じずにいられなかった。

「でも…っ!あいつを想う気持ちに嘘はないんです。
 あいつと出会ってなければどうしようもない人間だった。
 オレにはあいつがどうしても必要なんですっ!だからっ…」
焦りからテーブルに手をついて前のめりになって
言おうとした言葉の続きは

「…そのためにはどんな手段も厭わないと?
 果たしてつくしは道明寺さんといて本当に幸せなのでしょうか?
 心の傷っていうのは目に見えない分、思ってるより深かったりもします。
 つくしは道明寺さんと別れる事で
 また自分や周りに何かされるのではないかと
 怯えているだけのような気がして仕方ないんです…」

牧野を想って辛そうな表情を浮かべる親父さんに
今は何を言っても届かない気がして
オレはそれ以上何も言えなくなってしまった。





いつも応援ありがとうございます♡

第6話の牧野家エピの部分、
  実はパパの言動にすごく気を使ってました(・∀・)テヘッ★

DEAR… 11

重たい空気が漂う部屋の中

獅子脅しの音だけか
規則正しく響いていた。


『DEAR…』   第11話



『別れる事でまた自分や周りに何かされるのではないかと
 怯えているだけのような気がして仕方ないんです…』

親父さんの言葉がずっと頭の中を巡っている。

そんなはずはねぇ、と
あいつだってオレを想ってくれてると
言い聞かそうとしても

その度にあの雨の別れが頭をよぎる。
友達のために自分を押し殺してオレとの別れを選んだあいつ。

誰よりも愛してる自信はあっても
誰よりも愛されているのかと言われると…わかんなくなる。

何も言葉が出ないオレをしばらく見つめたあと
親父さんは立ち上がる。

「道明寺さんの気持ちを疑ってるわけじゃないんです。
 大学の学費だってお世話になってしまってるような
 父親が何を言ってるのかと思われるかもしれませんが…
 ただ…どんなに情けなくても私はあの子の父親で
 私が望むのはあの子幸せ、ただそれだけなんです。」

「あの子を本当に想うなら…
 道明寺さんの手でつくしを一度自由にしてやってください。
 それでもつくしが道明寺さんを選ぶと言うのであれば
 その時は私から言う事は何もありません」

申し訳なさそうに頭を下げると
親父さんは部屋を出て行った。

頭を垂れて、顔を覆ったまま動けないオレの中で
心臓だけが壊れんじゃねぇかって程ドクドクと脈打っていた。




その日は大学へ行く気にはなれず
そのまま邸に帰って
ベッドの上に転がったまま天井を眺めていた。


あいつと別れる?

そんなの絶対に無理だ。
あいつはオレのだ、誰にもやらねぇ。

だけど…。

それじゃ今までのただの我儘坊っちゃんのままで
親父さんに認められる男には一生なれねぇ。

あいつのあのあったけぇ家族が好きだ。
オレの家にはなかったモノがたくさん詰まってる。

いつか…あいつと親父さんたちも一緒に
あんな家族になりてぇ…。

そのためには親父さんに認められる必要がある。

__だったらイチからやり直すしかねぇっつーのか?


その時、ノックの音と共に
「こんな真昼間から寝てるのかい」
なんて小言を言うタマが入ってくる。

「うっせぇ…」
力なく文句を返すオレに構うことなく
「坊っちゃんにお客様ですよ」
なんて言うから首を少し持ち上げて扉の方を見てみると

「司っ。元気だった?」
なんて明るい声で入ってきた人物に視線を向ける。

「……」
「え?もしかして覚えてない?玲だよ!
 司がNYに来た時はよく一緒に遊んでたじゃんっ」
そう説明されて記憶をたどってみれば
そんな奴がいたような気がしないでもない。

親父の手伝いで日本に来たついでに
久しぶりにオレらにも会いたくなって来たと説明する玲。

「…なんかお前、変わったか?」
玲と遊んでいたのはオレらが幼稚舎の頃で
玲は小学4年くらいだったか。

そのせいか記憶が曖昧でイマイチ一致しない。

「あ~。そうだね。
 あの頃と比べれば少しは変わったかも?
 でも中身はそのまんまだよ?あ。なんだったら確かめてみる…?」
そう言ってベッドの上のオレに跨ってくるこいつは
いきなり服を脱ぎだす。

「ふ、ふざけんじゃねぇっ!!
 ぶっ殺されてぇのかてめぇっっ」
慌ててベッドから蹴り落とせば
「もうっ。相変わらずつれないな~」
なんて床に転がりながらケラケラ笑っていた。




いつも応援ありがとうございます♡

DEAR… 12

「とっとと服着ろ。…マジでぶっ殺すぞ」

前をはだけさせたまま床に転がる玲を
睨みつけながら言うと
面倒くさそうに返事をして起き上がる。


『DEAR…』   第12話



「冗談通じないなー、もう。
 まぁ司がその気ならいつでもOKだけどね」
そう言いながら服装を整えた玲。

「でも司の方こそ何か感じ変わった?
 あ。わかった!好きな子でもできたんでしょ?
 どんな子?可愛い?あ…私と違って巨乳とか?」
なんて胸を手で形どりながら興味津々に聞いてきやがる。

「…胸は、小せぇな」
思わずポツリと答えたオレに
「えー?だったら私でもいいじゃーん」
なんて口を尖らせる。

「うっせぇ。てめぇと一緒にしてんじゃねぇよ」
ギッと睨みつけながら答えたオレに

「失礼なっ。私これでも向こうじゃモテモテなんだけど?
 司を誘惑するために完璧に磨き上げてきたのに。つまんないのっ」
ちぇっ…小さく舌打ちをしながらソファに体を沈める。

かと思えばパッと上体を起こして

「で?その恋する司が
 こんな昼間っから引きこもってどうしたの?
 デートでも行けばいいのに。恋の悩みなら相談乗るよ~?」
なんて楽しそうに聞いてきやがる。

どうして玲に相談しなくちゃいけねぇんだと
小さくため息をつきながらもふと考えを変える。

親父さんに認められるためには
一旦、あいつと別れなきゃなんねぇ。

それもオレからあいつをフるんだ。

意地っ張りなアイツはどうせ
泣いて縋るなんて事はしねぇんだろうが…
オレが最後まで冷たくなんて出来るかわかんねぇ。
っつーか、追いかけて縋りそうなのはオレの方だ。

それじゃ意味がねぇ。

「別れたい女がいる。
 話が拗れるようなら、玲…お前オレの女のフリしてくんね?」




「悪ぃ…。別れてくれ」
心にもねぇ言葉を
こいつの瞳を見もせずに何とか吐き出す。

横でゴチャゴチャうるせぇ玲をチラチラ見ながらも
「……本気、なんだよね?」
そうオレの真意を確かめるように言った牧野は
下唇を噛みながらオレをまっすぐに見る。

「あぁ…」

本気なワケあるか。
お前と別れたいなんてオレが思うかよ。
……わかれよ。鈍感女。

「そ。…話はわかった。じゃあね」

理由を問いただす事もなく
踵を返して足早に去って行く後姿を見て
やっぱり追いかけそうになる足をどうにか止める。

「…ありゃ。案外あっさりだったね。
 これだったら私いらなかったんじゃない?
 ………って、え?…つか…さ?」
牧野を見送っていた玲は
情けねぇ顔をしてるだろうオレを振りかえって目を丸くする。

「……悪かったな、変な事に付き合わせて。
 おかげで助かった。あいつを引き留めずにすんだ」
牧野が歩いて行った方向とは逆に進むオレの後ろを
玲は少し離れてついて来るがそんな事はどうでもよかった。


あっさり受け入れてんじゃねぇよ。

理由くらい聞こうとか思わねぇのかよ。

お前にとってオレはその程度の存在なのか?

__やっぱり親父さんの言うとおり
    オレといて幸せだったってワケじゃねぇのか?



それでも。
オレはお前しか考えられねぇんだ。

次捕まえた時は
今度こそ何があろうと離してやんねぇから覚悟してろよ。






いつも応援ありがとうございます♡


★コメント欄にてネタバレトークしてます(笑)
  見たくない方はご注意下さいませ~(*^^*)★
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