手放したくない女 3

このオレ様が
あんな小せぇ女に振り回されてる。
あり得ねぇ。マジであり得ねぇ…。

だけどもっとあり得ねぇのは
こんな自分が嫌いじゃねぇオレ自身だ。


『手放したくない女』   第3話
      ~10万拍手御礼企画~




翌日。
「おはようございます」
そう挨拶をしてきた牧野に
「…はよ」
と短く返す。


そうするようになったのもいつからだったか。

普段ならシカトして通り過ぎるのに
たまたま目が合っちまったから
「…おぅ」
とつい返した。

すると
牧野自身、返事があると思ってなかったのか
一瞬すげぇビックリした顔をしてから
嬉しそうに満面の笑みを浮かべたから。

そしてその日は
オレが最も苦手とする狸親父との商談が
道明寺に有利に進んだから。

次の日から返事を返すようなった。



デスクに向かうと昨日西田が貰ってたのと
同じ小袋がポツンと置いてある。

「…おい牧野。コレはなんだ?」
そう聞けば
「支社長がお菓子食べるなんて知らなくて。
 昨日は用意してなかったんですが、よかったら食べて下さい」
なんて言ってニコニコしてやがる。

「………あぁ」
言っておくがオレは甘いのは嫌いだ。
前に菓子なんて口にしたのはいつだったかわかんねぇくらいだ。

牧野が出て行った執務室には西田とオレの2人。

そのままメールチェックを始めると
「…不要でしたら私が頂きましょうか?」
と西田。

「なにがだよ」
「支社長は甘い物を口にされませんので
 召し上がらないのであれば私が頂こうかと…」
西田が視線を向けてるのは小袋だ。

「お前だってそんなに食わねぇだろうが」
「それが歳のせいでしょうか。
 最近甘い物に目がありませんで」
そう言って手を伸ばすこいつの手を思わず払う。

「……オレがもらったんだからオレが食う」
「そんなご無理なさらなくても」
「無理なんかしてねぇよ。
 食うっつってんだろ、しつけーな」
「そうですか、残念です」
そう言いながらもまだ小袋を見てる西田。

小さく舌打ちをしてジャケットのポケットに小袋を入れる。

「……」
「……」

チラりと西田を見る。
「…で?いつになりそうなんだ?」
「はい?」
「だからっ!牧野の歓迎会だよ。
 これは歓迎会の礼なんだろ?
 だったら貰った以上しねぇワケにもいかねーだろうが」
「牧野さんはそんな事おっしゃらないかと思いますが」

その時、牧野が書類を抱えて戻ってくる。

「…おい牧野っ。
 お前ちゃんとスケジュール組んでるんだろうな?」
オレがそう言うと
「へ?何の話ですか?」
きょとんとした顔をしながら書類をデスクに置く。

「歓迎会だよっ。
 スケジュール組めって昨日言っただろ?」
「…あぁ、別にそんなのいいですよ~。
 クッキーはサービスですっ。お疲れの時に甘い物はいいですしね」
なんてのん気に言ってやがる。

「ふざけんじゃねぇっ。
 オレはクッキーが欲しくて言ったじゃねぇぞ。
 お前の歓迎会をしてやりたくて言ったんだっ!」
つい力任せにデスクをダンっ!!と叩きながら言えば
牧野がぎゅっと目を瞑ってビクッと小さく肩を揺らす。

「……っ」
ビビらせるつもりなんてなかっただけに言葉につまる。
女の扱いなんて知らねぇんだよ…。

なんとかしろ、と西田を見れば
「…パワハラ、いや飲みの席への強要なのでアルハラですかね?
 それとも相手が女性ですし、セクハラになる可能性も…」
西田がため息をつきながらそんな事を言ってやがる。

「オレと飲みに行くのは罰ゲームか何かかよっ」
「牧野さん、全然反省していませんよ。
 どれで支社長を訴えましょうか?いっそ全部まとめますか?」
なんて牧野に言えば
「え…?あ、いやいやっ!
 ちょっとビックリしただけなんで訴えたりしませんよっ」
と慌てて手を振って否定する。
そのあと手帳を開いてしばらく考えたあと

「じゃあ…3日後はどうですか?
 そこなら次の日も少しゆっくりでも大丈夫ですし」
なんて言いながら西田に相談している。
「えぇ。牧野さんの都合が良ければ大丈夫ですよ」
そんな会話で
牧野の歓迎会は3日後に決まった。





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ども。
管理人のkomaです。

いつも私のくだらぬ妄想にお付き合い頂きありがとうございます♪



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手放したくない女 4

そして3日後。

今日は帰りにやっとあいつと飯に行ける日だ。
ジェットの中で書類に目を通しながらも
頭の中はあいつの事しかねぇ。


『手放したくない女』   第4話
      ~10万拍手御礼企画~



牧野の歓迎会が決まった途端に
西田が出張を入れてきやがった。

しかも牧野は同行してねぇ。

「お疲れ様です」
涼しい顔して珈琲を持ってくる西田。

「おい、西田。
 お前、今日間に合わねぇなんて事に
 なってたらどうしてくれるつもりだったんだよ」

突然出張だとかぬかしだしたかと思えば
その予定は嫌がらせなのかと思うほどギチギチ。

1つでも時間がズレれば
歓迎会までに東京に戻れないようなスケジュール。

「支社長に限ってそんな事はないかと」
眉1つ動かさずに言ってのけるこいつは
絶対にわざと面倒くせぇ出張を入れたに違いねぇ。

それがわかってても
牧野の性格を考えれば今日行けなくなったら
次に飯に行くチャンスなんてなくなっちまうかもしれねぇ。

「お前最近、牧野をダシにオレをこき使ってねぇか?」
「支社長の考え過ぎです」
そう言う西田の口元が緩んでるように見えるのは気のせいか?

そんなオレの視線を躱して
西田はケータイを取り出すと
「牧野さんの方もお願いしていた業務は終了したようですので
 今日はそのまま親睦会の方へ行って頂いて構いません。
 明日は昼に会食がございますので9時にお迎えにあがります」
それだけ告げて頭を下げる。

やっぱり牧野をダシに使ってるようなきがしねぇでもないが
オレの機嫌はその一言だけで簡単に上がる。



執務室に戻ってみれば
牧野はいつもの色気のねぇスーツじゃなくて
ワンピースを着ていてソファに座ってケータイを見ていた。

やべ…。
私服見るの初めてじゃねぇか?

そんな事を考えてるうちも
牧野はケータイに夢中でオレに気付かねぇ。

これだけ静かな部屋にいて
人が入って来た事に気付かねぇとか
どんだけ集中してんだよ…。

「おいっ」
オレが声をかけると
「ひゃあっ!!」
と小さく飛び上がって漸くオレに気が付くこいつ。

「あっ。お疲れさまでしたっ」
慌てて立ち上がるとペコッと頭を下げる。

「……メールか?」
あいつの手元のケータイを覗き込んでみれば
さすがに内容までは見ねぇが
誰かからのメッセージが来てるみてぇだった。

そんなオレの視線を避けるように
パッと画面を戻すと
「はい…ちょっと前の会社の人と…」
なんて笑いながらも視線が泳いでいる。


……相手は男か?
そういや今さらながら
こいつに彼氏とかいるのかとか知らねぇな。
でも彼氏がいるならオレと2人で食事なんて行かねぇ…よな?

「……まぁいいや。行くぞ」
頭をポンッと叩いて
ソファにかけてあったこいつのコートと鞄を手に取って歩き出す。

「あ…自分で持ちますよっ」
牧野はそれを見てオレの後を追いかけるようについて来た。

「何食いてぇ?」
そう聞きながら
エレベーターに乗り人目がなくなったのをいいことに
肩を軽く抱き寄せてみれば

すげぇガチガチになっ本気で困った顔ようなをしてる。

…そこまで男慣れしてねぇのかよ。

変に意識されても
この後やりずれぇかとさりげなく解放すると
スッと静かに1歩オレから離れるこいつ。

「……」
今のはちょっと傷ついたぞ。

それだったらいつもみてぇに
ぎゃあぎゃあ文句言われた方がまだマシだっつーの。

「……。
 とりあえずメープルでいいか?」
気を取り直してそう聞いてみれば
牧野もハッとしたように顔を上げて
「はいっ」
と小さく笑った。




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Anecdote 〜西田の憂鬱編〜  by koma

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手放したくない女 5

メープルに着く頃には
すっかりさっきの微妙な空気はなくなって

いつもの牧野に戻っていた。


『手放したくない女』   第5話
      ~10万拍手御礼企画~




オレと一緒に会食に行く事もあるこいつは
マナーなんかはしっかり出来てるんだが
どうも他の奴が食うより美味そうに見える。

珈琲と煙草があれば
食事なんて1食、2食抜いたって平気なオレも
こいつがいると食が進むから不思議だ。


「そういやお前、前の会社でも秘書だったのか?」

こうしてプライベートな時間を一緒に過ごすのははじめてで
好きだと自覚がある割には何も知らない事に気が付く。



「はい、最後は秘書課に配属でしたよ。
 でも実は、期間で言えば総務の方が長いんですよ」

「…お前が希望出したのか?」
「いえっ。何でも秘書の方が2人ほどご懐妊で辞めたとかで
 人手不足のピンチヒッターみたいな感じで秘書課に…。
 なんであたし!?って貼り出された辞令何度も見直しましたよ~」
ケラケラ笑いながら答えるこいつ。

確か、西田は
ババァが山岡のジジィの所から連れて来たっつってたよな?

山岡のジジィはオレもガキん時から知ってるし
ババァとも旧知の仲ってやつだ。

他の会社ならまだしも山岡のジジィが望まない限りは
ヘッドハンティングした上で
西田の下につけるなんて強引な話は進めないはずだ。

オレから見たってこいつは有能な秘書だ。
牧野みてぇな奴を手放す理由って何だったんだ?

「お前、転勤する前後に何か変わった事とかなかったか?」
そう聞けば牧野はしばらく首をかしげて考えていたが

「いえ…別に。
 あ。ただ前住んでた所だと出勤に1時間以上かかっちゃうので
 引越しだけはしました。探してたエリアからは外れてたんですけど
 不動産屋さんに教えてもらった所がこれがまた超お得な穴場物件で!」
ウキウキと嬉しそうに話すこいつは
何か隠してるとかそんな感じはしねぇ…よな。

…オレの気にし過ぎか?

「そういや西田がお前ん所は終電が早いとか言ってたか」
おかげでお前を誘うチャンスになかなか恵まれねぇんだよ。

「そうなんですよね~。
 それさえなければあたしも支社長の残業に付き合えるんですけど。
 西田さんも優しくて遅いと危ないから帰っていいって言ってくれますし」
「あぁ…。確かに西田はお前に甘いよな。
 オレにももう少し優しくしろって言っとけ」
オレが言えば
「いやいや。西田さんは支社長への愛で溢れてますよ」
なんてクスクス笑いながら言ってやがる。

気色悪ぃこと言うんじゃねぇっつーの。




「ご馳走様でした」
レストランを出た所で牧野がペコッと頭を下げる。
「あぁ…ってちょっと悪ぃ。電話だ」
ポケットで鳴りだしたケータイを手をその場を離れる。

画面を見てみれば西田からで。
「なんだよ。……あぁ?わかってるっつーの。
 オレがそんな男に見えんのか……それだけなら切るぞ」

西田の用件は
『この時間だと
 終電がなくなるのできちんと家まで送って差し上げて下さい』だ。

どんだけ過保護なんだよ。お前は牧野の親父かよ。
オレが好きな女に電車で帰れなんて言うかよ。
それに送ってやる方が少しでも一緒にいれんじゃねぇか。

そんな事を考えながら戻って
「わりっ。待たせた」
ケータイを見ていた牧野の肩に手をポンっと置くと
ビクッと大げさに揺れた小さな体。

「…あ。支社長っ。
 ビックリするじゃないですかっ」
と振り向いてオレの顔を見た途端ホッと息をつく牧野。

…またメールかよ。
夢中になるほど相手と親しいのか?

「…ビックリすんのはこっちだろうが。
 そんなぼーっとしてよ。酔ってんのか?」
「いえっ。
 ちょっと考え事してたらトリップしてました」
とヘヘッと照れ臭そうに笑う。

相手は男なのか…?
そう聞きそうになるのをぐっと堪えて
「まぁいいや。
 送ってってやるからお前も乗ってけ」
そう言って手を取ると待たせてあった車に2人で乗り込んだ。





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   これでkomaはしばらく黙りますんで(笑)
   「明日から見るわー」なんて言わずにぜひぜひお付き合いお願いします(-人-。).★


★そしてさらにもう1つお知らせ。
  今日は雛祭りって事でお昼に「幼なじみ」番外編もアップします(*^^*)★

Anecdote 〜女子会まめ知識編〜 by koma

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おひなさま

3月3日。

きょうは おんなのこのお祭り。
あたしと つばきちゃんが しゅやく の日。


『おひなさま』
   ~幼なじみ 番外編~




ここにある大きなおひなさまは
ホントは あたしのじゃなくて つばきちゃんのだけど

「私とつくしちゃんのお雛様だよ」
ってつばきちゃんは言ってくれるから だいすき。

でもね。
あたしもホントは自分だけのおひなさまが ほしいの。

だから自分で紙ねんどで つくってみたんだけど…

「うーん…やっぱりかわいくない」
あたしまだ小っちゃいから じょうずにできなかった。


「つくしちゃーん!」
ってつばきちゃんに呼ばれて行ってみたら

「あ、いたっ!ほらっ。一緒にお着物着よう?」
そう言ってタマさんの ところにつれて行ってくれて
つばきちゃんが昔きてた お着物を着せてくれた。

「うんっ。やっぱり似合う!
 つくしちゃん。お雛様みたいだね」
って褒めてくれる。

鏡の前でくるくる回ってみる。

うん。あたし、おひなさまみたい。

「あとで類たちも来るって言ってたから見せてあげようね」
「うんっっ!」



それからしばらくすると
るいたちもやって来た。

「みんなもお着物?」
「うん。つくしも着るって聞いてたからな」
ってあきら。
「俺は普段から着るからどっちでもいいんだけど」
ってそうじろー。
「着物だと寝にくいからやだ」
ってるい。
「オレもあんま好きじゃねー」
ってつかさはムスーってしてる。

そうじろーはたまに着てるの見るけど
ほかの3人ははじめてだ。

…うん。
でもやっぱりつかさが1ばんカッコいい。

おひなさまのある おへやから
ごはんまで遊んでようって
つかさのおへやにみんなであるいて行く。

そのとちゅうにね。見つけたの。
あたしだけのおひなさま。



「…あれ?つくしどこ行った?」
そうあきらが言ったからふり返ってみれば

みんなで歩いてたはずだったのに
いつの間にかつくしがいねぇ。

とりあえず歩いてきた所を戻っていってみれば
階段のところでタマと話しているつくしを見つけた。

「つくしっ。何やってんだよ!」
そんなオレの言葉も聞いてねぇみたいに

「つかさっ!」
ってパァッと笑うから可愛くてしかたねー。

「坊っちゃんと写真が撮りたいそうですよ」
そう言ったタマの手を見ればカメラを持っていた。

「写真~?」
ハッキリ言ってオレは写真をとられるのは好きじゃねー。
でも…。

「おねがいっっ」
ちっちゃな手をパチンと合わせてくるつくしを見たら
「…しょうがねーなっ」
って言うしかなくなる。

「で?どこで撮るんだ?おひなさまのとこか?」
「ううん。ここ!」
そう言って指さしたのは階段。

「……?」
意味がわかんねー。
でもつくしは機嫌よさそうにオレの手をひいて
階段をすこし上るとちょこんと座って
オレには隣に座れと床を叩いている。

それを見ていたあきらたちは
「オレらは入っちゃダメなのか?」
なんて言ってる。

「んー。いいけど。
 じゃああきらとそうじろーとるいはココね」
と指差したのはオレとつくしが座ってる所から
2段くらい下だった。

3人は首をかしげながらも
つくしに言われたところに座る。

「決まったかい?じゃあ撮りますよ…」
そう言ってカメラを覗いたタマはシャッターを押さずに
クスクスと笑いだす。

「なるほどね…なかなか考えたね、つくし」
とにっこり笑うともう一度カメラを構えて写真を撮った。





親父の用意した2人の部屋に自分たちの荷物を運んで
邸の中での引っ越し作業もひと段落した頃。

床に座ってアルバムを見ていたつくしが笑う。
「わ。懐かしいっ!」

「あぁ…これな。
 っつーか、どうして階段なんかで撮りたっかんだ?」
後ろから抱きつくように覗き込んで聞いてみる。

するとつくしは写真を改めて見ると

「ほら、ここの階段って赤い絨毯敷いてるでしょ?
 だからこうやって司と並んで座ったら
 自分もお雛様になれると思ったんだよね」

そう言って照れくさそうに笑った。




~ fin ~


★あとがき★

ちびつくしの乙女心。
いかがだったでしょうか?

「幼なじみ」はつくしちゃんが素直なので
お話を考えるのが楽しんですよねぇ♪

一部の方にもリク頂いたんですが
密かにこの「幼なじみ」でイベントものを
制覇しようとか思ってます(笑)

…ってまだクリスマスしか書いてないし
すでにお正月もバレンタイン抜けてるけども(笑)

次は…こどもの日?…は微妙か(^^;)
だったら七夕かな??
その辺りでまた書くかもしれませんが
お付き合い頂けると嬉しいです♪

そんな事を考えるくらい
ちびつかつく書くの楽しいで

「幼なじみ」とはまた違うお設定で
ちびつかつくのお話も書いてみようかなーなんて
企んでたりもするんですけどね。実は。

ま、今はそれよりも
「手放せない女」を書きあげなきゃっ!です。

こっちも楽しくて
中編とか言いながらどんどん伸びてるんですが(^^;)
明日…くらいかな?
お話が動き出します♪

楽しんで頂けていれば幸いです(*^^*)


koma


手放したくない女 6

「これがお前の言う超お得物件かよ」
そう呟くオレの目の前には

とりあえずオートロックくらいはついてそうな
至って普通のマンションが建っていた。


『手放したくない女』   第6話
       ~10万拍手御礼企画~



「そりゃあ支社長が住むような所に比べれば
 ショボイかもしれませんけど、あたし前はアパートでしたから。
 それにリフォームしたばかりの角部屋なのに
 キャンペーン中とかで家賃も安くて…隣もいい人で…」
ペラペラと機嫌良さそうに話すこいつ。

「……隣って男かよ」
つい気になって聞いてみれば
「はい。ジムでインストラクターやってるとかで
 ガタイいいし大きいしで最初ちょっと怖かったんですけど
 引っ越してきた日も荷物運び入れるの手伝ってくれたりで。
 何かと気にかけてくれてて。すっごくいい人なんですよ」
「…ふぅん」
親切なんだか知らねぇが
やっぱりこいつが他の男を褒めてるのは面白くねぇ。

オレのテンションが急降下してるのも気づかねぇこいつは
「それに電車でもよく会うんです。
 お勤め先が近いみたいで降りる駅も一緒だし…
 ってそう言えばスーパーとかでもよく見るなぁ。
 プロテインに混ぜるとか言って独り暮らしなのに
 牛乳3本も買っててすっごくビックリしたんですよ~」
なんてのん気な顔で話すこいつ。

……。

のんきな顔で続けてるけどよ。
お前は何も気になんねぇのか?

…偶然超お得物件を見つけて?

偶然、隣に住んでた男が
偶然、勤務先の最寄駅も同じで
偶然、スーパーでちょくちょく会うって

__それほんとに「偶然」か?


そんな事を考えていると
「あ…。噂をすれば…。
 河村さーん。こんばんは」
そう言いながら手を振ってる先を見れば
ガタイのいい男が牧野とオレにも
小さく会釈してそそくさとマンションに入って行った。

「…あれ?いつもはもっと愛想いいのに」
首をかしげるこいつに
「彼氏と一緒だと思って遠慮したんだろ?」
そう言えば
「か、彼氏っ!?」
なんて素っ頓狂な声を出す。

「こんな時間に自宅の前に車から降りた
 男と女が喋ってれば、普通はカップルだと思うんじゃねぇ?」
「あぁ…なるほど。
 確かにあたしもスーツじゃないし
 まさか支社長と秘書だなんて確かに思いませんよねぇ」
とクスッと笑う。

「…ちょっと寄ってっていいか?」
「へ?いいですけど
 今日買い物も行ってないし…何もおかまいできませんよ?」
「いいんだよ。トイレ行きてぇだけだから」
「なんだ、そういう事ですか。どうぞどうぞ」


正面玄関はオートロックで、
入ってすぐの所には管理人室があって
「ただいまです」
と挨拶をすると手前にいた親父が
「牧野さん、おかえり」
なんてにこやかに迎えていて
こっち向かねぇが中にはあと2人くらいいるみてぇだった。

そして部屋のドアには鍵が2つ。
まぁ、一般的なマンションとしてはセキュリティは充分だろう。

部屋は5階建ての4階で角部屋。

“河村”の部屋の前を通って
その奥にあるこいつの部屋に入る。

一応口実にしたからには
トイレを借りて用を足して出てくれば
「せっかくなんでお茶くらい飲んで行きますか?」
なんてキッチンから顔を出したこいつに頷いて
1杯だけ茶を飲んでから

「車も待たせたままだし今日は帰るわ」
と早々にこいつの部屋を後にする。

「……。
 お前。他の男もこんな簡単に家に入れてねぇだろうな?」
「へ?入れるも何も
 お引越ししてから支社長がお客様第一号ですよ」
とケラケラ笑う。

「…ならいいけどよ。
 間違っても独り暮らしの部屋に男をホイホイ入れるなよ?」
「支社長はいいんですか?」
「オレはいいだろ」
さすがに彼氏でもねぇくせに図々しいとは思うが
この危機感のなさは危うくて口を出さずにはいられない。

「しっかり戸締りして寝ろよ」
ツッコまれる前にそう言えば
「はい…。支社長もお気をつけて」
そう言って笑うこいつの髪をクシャッと撫でると
あいつの部屋の鍵が閉まる音を確認してから歩き出す。

そして
車に乗り込んですぐに電話をかけた。

「……西田。知ってる事を全て話せ」






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   今日は四葉さんっ!今日からは本編のある部分を
   日替わりで色々なキャラの視点をお届けしますっ。
   本編で何があったの!?ってワクワクして頂けると嬉しいです(*^^*)★
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

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