恋わずらい 20

ブラックしか飲まねぇオレとは違って

牧野は表面に絵の描いてある変な飲み物を頼んで
嬉しそうに写真を撮っていた。


『恋わずらい』   第20話


こんなの写真に撮って何が楽しいのか
よくわかんねぇが、周りを見てみれば
女どもは食べ物に限らず
ケータイに棒みてーなのを付けて
自分たちの写真を撮ってる奴までいる。

女っつーのはそんなに写真撮るのが好きなのか?

「…お前は自分の写真は撮らねぇのか?
 普段はお前もああやって友達と写真撮るんじゃねぇの?」
オレは写真は嫌いだが
お前が一緒に撮るなら写ってやってもいい。

つーか、それ待ち受けにしてぇ。

「え?あぁ。あたしは自分はあまり撮らないよ。
 ああいうのは可愛い子がやるから可愛いんだよ」
と興味なさそうに言う。

「どう考えてもこの中で一番可愛いのはお前だろうが
 っつーか、お前より可愛い女なんてこの世にいねぇよ」
オレとしては当然の事実を言ったつもりだが
牧野は顔を真っ赤にさせて固まっている。

「……なんだよ。照れてんのか?本当の事だろ?」
「あんたって…
 よくまぁそういうセリフを顔色1つ変えずに言えるよね。
 あんまりイメージなかったけど
 道明寺も案外西門さんたちと一緒で女の子と遊んでるんだ?」
と何故かちょっとムッとしたような顔で言うこいつ。

「あぁ?ふざけんなよ。
 あいつらは女だったら誰でもいいかもしれねぇけどな
 オレはお前にしか可愛いとか好きとか言った事ねぇよっ」
まるでオレが他の女にも手ぇ出してるみてぇな言い方に
ついカッとなってテーブルをダンッと叩けば

「ちょ…っ!
 わ、わかったから。そんな大きな声出さないでよ!」
困った顔してオロオロと周りを気にしてるこいつに
深いため息をついて
なんとか自分を抑えようとしてもイラつきがおさまんねぇ。

結局、周りの視線に耐えられなくなった牧野は
一気に飲み干して、店を出ようと言いだし
オレもジロジロと見られるのは気分悪ぃしで店を出る。

こんなに好きなのに。
お前は総二郎たちが女口説いてるのと一緒だと思ってたのかよ。

あんなのと一緒にしてんじゃねぇよ。

あいつらは一期一会とか言ってるけど
オレにとっちゃ一生一度の恋だって
誓ってやっても何の問題もねぇくらいだ。


「…おいっ。もう一度言っておくけどなっ
 オレは真剣にっ…」
そう言いながら隣を見ると

一緒に歩いていたはずの牧野の姿がなくて。
イライラしながら歩いてたせいで
どっかではぐれちまってる事に気が付いた。

「牧野っ!?」
慌てて周りを見渡してみるが
この人ごみの中じゃ、小せぇあいつは全然見つからねぇ。

とりあえず今歩いてきた道を戻りながら牧野を探したが
さっきの店まで戻って来ても見つからない。

一応店の中にも入ってみたが
さっき一緒に出たんだから当然いるわけがねぇ。

あいつが見てた定期入れが目にとまる。

「くそっ…」
さっきまですげぇ楽しかったはずなのに。
あいつだって笑ってたのに。

つまんねー事でイラだって
あいつ置いてくとか何やってんだよ、オレは。

店を出てとりあえず電話してみるかとポケットに手を入れると

「…道明寺!」
と、どっかから声が聞こえる。
声がする方をじっと見ていると
パタパタと走ってくる牧野が人ごみの中にチラチラと見えて

「あ~…よかった、いた!
 もう帰っちゃったのかと思った」
と目の前まで来ると足を止めた。

「……よく見つけられたな」
「だってあんた背高いし。その頭目立つから…」
こういう時は便利だよね、とか言いながら笑ってるこいつ。

こんな人ごみの中、
息切れするほど走ってオレを探して
見つけてホッとしたような顔して笑ってる。

それだけの事で胸が詰まって言葉になんねぇくらい
お前が好きなんだよ。

「……悪かった。
 でもこれだけは信じてくれよ。
 オレはお前だけなんだよ。マジで好きなんだ」
たまらず抱きしめながら言えば
腕の中の牧野はオレのコートの裾をきゅっと握って

「うん…。
 あたしも疑うような事言ってごめんね」
と小さな声で返してきた。



 
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独り言。

ども。
管理人のkomaです。

いつも私のくだらぬ妄想にお付き合い頂きありがとうございます♪



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第三医務室の牧野先生 2

「うんうん。これなら牧野くんも
 安心してくれるんじゃないかな?」

即日で持って帰れる簡易の診断結果の書類を見ながら
岡部はにこにこと笑っていた。


『第三医務室の牧野先生 2』   前編  



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恋わずらい 21

あたしなんかを可愛いとか真面目な顔して言う道明寺。

恥ずかしいのと同時に
慣れてる感じがイメージになくて
それがどうしてだか嫌でつい口から出た言葉は
あたしが思う以上に道明寺を傷つけてしまった。


『恋わずらい』   第21話


道明寺に抱きしめられるのは3回目だ。
初めては道明寺が寝ぼけてて。
2回目は空港で告白された時。

そのどっちもあたしの頭はパニックで
こうして腕の中にいる感覚を
ちゃんと感じたのは初めてかもしれない。

手を繋いだ時もそうだったけど
こいつって体温高いのかな…温かい。
あたしが冷え症だからかな?
おっきな湯たんぽみたいで安心しちゃう。

そんな事をぼーっと考えていて
ふと気が付いた。

……ここ、どこだっけ?

我に返ってしまえば
ここがさっきのカフェの前で人通りも多い所だって事を
思い出して慌てて腕の中から抜け出した。

だけど、
ただでさえ目立つ道明寺とこんな所で抱き合っちゃえば
そりゃあもう周りのギャラリーのすごいのなんのって…。

「もうやだっ!!い、行こっ!」
慌てて道明寺の手を取って足早に歩き出す。
すると
「また、はぐれたらたまんねぇからな」
そう言ってあたしの肩をグイッと引き寄せた。




あれからもう少しだけ歩いて
あたしのアパートの前まで送ってくれた道明寺。

「えと…今日はありがと」
結局お好み焼きも映画もカフェも
割り勘を主張したものの二言目には
『男に恥かかすな』なんて言って道明寺が払ってくれた。

「いいんだよ。
 オレはお前と一緒にいられるだけで幸せなんだからよ」
くしゃっと髪を撫でながら言う道明寺は
ポケットから何かを取り出してあたしに渡してくる。

「…なに?」
やたらと可愛い袋を開けてみるとそこには

あのカフェで見ていた定期入れが入っていた。

「…これ。どうして?
 っていうかいつの間に?」
驚いて道明寺の顔を見上げると
「お前とはぐれて
 1回店に戻った時に目に入ってよ。
 これやったらお前喜ぶかもって…
 別にいらねぇなら使わなくてもいい…じゃあな」
それだけ言うと
あたしの返事も聞かないまま迎えの車に乗り込もうとする
道明寺の腕を掴んで慌てて引き留めた。

「…すごく嬉しいよ。
 ちゃんと使う…大事にするね?ほんとにありがとう」
道明寺の目を見つめながら言うと

「おぅっ」
と貰ったあたしより嬉しそうな顔で笑うから
「……っ」
ドキンッと心臓が跳ねた。

道明寺を見つめたまま固まってると
「…なんだよ。今頃になってオレに見惚れてんのか?」
そうニヤッと笑うから
「ばっ…自惚れないでよっ!じゃ、じゃあねっ!!」
そう言って慌てて踵を返すと

「牧野」
後ろから声がすると同時に腕を引っ張られて
振り向いたと同時に唇に何かがぶつかった。

それが道明寺の唇だって気付いた時には
軽く触れただけのそれは離れていて

「すげぇ楽しかった…また月曜な」
甘い顔してそう言った道明寺が乗った車は
呆然としてるあたしを置いて走り去っていった。




 
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第三医務室の牧野先生 2  後編

「ちょっと!!あんた何考えてんのよっ!?」

そう言いながらオレの執務室に怒鳴り込んできたのは
それから3日後の事だ。


『第三医務室の牧野先生 2』   後編


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恋わずらい 22

「楽しかった」
あんまりにもアイツが嬉しそうにしてたから

うっかり絆されかけて?
キスされた事に文句を言いそびれてしまった。


『恋わずらい』    第22話


やべぇ…。
あいつが可愛すぎっからついキスしちまった。

怒鳴られる前に去ったはいいが…
あいつ、絶対怒ってるよな?

電話は…危険だよな。
でもせめてLINEでくらいは
楽しかったとか言うべきなのかと迷いながら

既読スルーされんのキツいし。
返ってきてもブチ切れてるかもしんねーし。
…まさかブロックって事はねぇよな?


でも可愛すぎるアイツだって悪いだろう?
あんな瞳で好きな女に見つめられたら
我慢なんか出来るわけねぇよ。

そうだ。オレは悪くねぇ。
そう思ってやっぱり電話をしようとしたと同時に

ピロロンッ。
牧野からのLINEの着信音が鳴って、心臓が止まるかと思った。

『今日はホントにありがとう。
 あたしもすごく楽しかったよ』

キスした事怒ってねぇのか?
まさか軽くしただけだったから気付いてねぇとか?
いや、でもすげぇビックリした顔してたからそれはねぇよな。

もしかして…。

あいつもオレが気になり始めてる、…とか?


そんな都合のいい考えが浮かんで
だったら今からでも戻って抱きしめて
ダメ押しで告ってみっか?なんて思ってると

ピロロンッ。
『それと、次またあんな事したら
 絶対許さないんだからね!わかった?』
そんな文と共にすげぇ真っ赤な顔した
いつかと同じクマだかイヌだかのスタンプが送られてくる。

……。
あんな事、ってキスの事だよな?

チッ…!
やっぱ怒ってんのかよっ。
一瞬すげぇ期待したっつーのによ…はぁぁ。


深いため息をついてシートに体を沈みこませた。




月曜日。

まだ怒ってんのかが気になって
朝早くに登校してアイツの姿を探す。

すると廊下の向こうから牧野が歩いてきてるのを見つけて
「……おぅ」
とまるでたまたま会ったみてーな顔して
声をかけてみれば

「あ、道明寺。おはよ
 あんたがこんなに早く来てるの珍しいね?」
とクスクス笑う顔に内心ホッと胸をなでおろす。

ふと牧野の鞄を見てみれば
オレがやった定期入れがぶら下がっていた。

オレの視線に気が付いた牧野は
「これ…ありがと。さっそく使ってるよ」
と定期入れを触りながら嬉しそうに話す。

あの時、思わず買ったはいいが
これがまたレジで値段間違ってんじゃねぇかって
思わず店員に確認しちまったくらいの安物だった。

だけどオレにとっちゃ
これが初めて突き返されなかったプレゼントになったわけで。
だから受け取ってくれただけで十分嬉しかったし
こんなの使うわけねぇって特に期待もしてなかったのに…。

それなのに

自分がやった物を嬉しそうに使ってる
そんな事がこんなに嬉しいなんて。

プレゼントっつーのは貰った方より
あげた方が幸せになるモンだって初めて知った。

「…道明寺?起きてる?」
つい感動に浸って黙りこくってしまってる間に
牧野はオレの目の前まで来ていて
顔を覗き込みながら手をブンブン振ってやがった。

その距離の近ぇのなんのって…。

だからつい…
たまんなくなって抱きしめてしまった。

「なっ…!何すんの!!
 放しなさいよねっ。コラッ!道明寺!!」
すぐさま腕の中で暴れ出す牧野に
思わず腹に力を入れてしまうオレもどうかと思うが
この展開でオレが殴られるのは、もはやお約束ってやつだ。

だけどいつまでたっても
予想していた衝撃は腹にこなくて
だからって大人しく抱かれてるなんて事はねぇが
あくまでも腕を突っ張って離れようとしてるだけで…。

そんな些細な変化にも
こいつの中でオレが少しは大きな存在になったんじゃねぇか
なんて期待せずにはいられない。

離れようと必死になってるこいつを
からかうように腕の力を入れてもっと抱き込んでみれば
顔を真っ赤にさせて今度は足まで使って突っ張ろうとしてやがる。

「ククッ…」
「何笑ってんのよっ!!は・な・せぇ~…!!」


「朝っぱらから 何じゃれてんの?」
「これのどこがじゃれてるように見えんのよっ!?」

「あれ?違うの?」
「違うわよ!」

「じゃあ司、放してあげなよ」
「るせぇっ!!」

突然割って入ってきた声に反射的に答えたオレ達は
同時にピタっと動きが止まって思わず顔を見合わせた。

そしてゆっくりと声のした方を見てみるとそこには

「ただいま」
にっこりと笑う類が立っていた。



 
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★今日は節分。…ってワケで12時に「幼なじみ」番外編
  ちびつかつくがただただ豆まきするオチも何もないお話アップしま~す(笑)★

鬼退治

★『幼なじみ』番外編です。司たちが小学校低学年くらい…かな?★


オレに姉ちゃん。つくしに進。
それに総二郎たちだって頻繁に遊びに来る。

この邸には子供が多いからか
イベント事は絶対に欠かさないのが道明寺邸だ。


『鬼退治』
    ~幼なじみ 番外編~




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恋わずらい 23

「ただいま」

そう言って笑って立っていたのは
フランスにいるはずの花沢類だった。


『恋わずらい』   第23話


「類っ!?」
「花沢類っ!?」
道明寺とあたしの声が重なる。

「うん?そんな驚く?幽霊じゃあるまいし」
花沢類は可笑しそうにクスクスと笑う。

「お…驚くよ!
 フランスは?静さんはどうしたの?」
あたしの言葉に
「静?元気だよ?」
とそれだけ答えるとふわわわ…と欠伸をする。


「眠い…寝よ」
そうポツリとつぶやくとフラフラと歩いて行ってしまった。

静さんの名前が出た時、
一瞬、花沢類の表情が曇った…よね。
そんな事をぼんやり考えながら花沢類が歩いて行った方向を
何とはなしに見つめていると横から頬を抓ってくる道明寺。

「いひゃいっ!」
「よそ見してんじゃねぇよ!」
ムッとした顔でそう言うとパッと手を離して
花沢類と同じ方向へと不機嫌そうな足取りで歩いて行く。

「…よそ見って何よ?」
抓られた頬を撫でながら文句を言った所で
相手がいないんだから無意味なわけで…。
そんな道明寺もまた何とはなしに見送るとチャイムが鳴る。

「やばっ…。遅刻しちゃうっ」
慌てて教室へと走った。




お昼休み。

非常階段へと足を向けたあたしは
扉を開ける前に窓からそっと様子を伺う。

そこには花沢類が背中を向けて座っていて
壁に寄りかかっているところをみると…寝てる?

そっと扉を開けて覗き込んでみれば
「…やっぱり。って言うかあれからずっと寝てるとか?」
小さく息をついて隣に座る。


静さんの名前が出た時、
花沢類は確かに少し寂しそうだった。

…向こうで何かあったのかな?

「別に何もないよ」
そう聞こえた声に隣を見れば
寝ていたはずの花沢類がこっちを見ていて

心の中で言ってたつもりが
また声に出てたのか、と口を手で押さえた。

「…何かあるも何も
 初めからそんな関係じゃなかったみたい」
と小さくため息をつく花沢類はどこか遠くを見てるようで。
「…花沢類?」
そう首をかしげてみたものの

あまり多くは語りたくなさそうな
軽く拒絶されてるようにさえ感じる花沢類の空気に
あたしもそれ以上聞けなくて
次の言葉を頭の中で必死に探してしまう。

この感じ…久しぶりかも。
出会った頃はいつもとっつきにくくて
会話も続かなくって、落ち着かなかった。

だけどいつの間にかそんな空気が
隣に座ってるだけで幸せな気分になれる
そんなオアシスみたいに変わったのに。

これじゃまるで出会った頃に戻ったみたいだ。


「フンっ!
 ツッコまれたくねぇなら中途半端に話すんじゃねぇよっ」
そう言ってあたしと花沢類の間に
割り込むように体をねじ込ませてきたのは道明寺。

「ちょ…。どうしてわざわざここに座るのよ…ったく!」
「あ?オレがどこに座ろうがオレの勝手だろうが」

ジト目で睨みつけてくる道明寺に
悪態をついてスペースを譲るようにしながらも

この花沢類の空気を
どうすればいいのかわからなかったあたしは
内心はこいつが来てくれた事に少しホッとしていた。




 
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