Rainy Day 15

「どこが平気なのよ、まったく…」

珈琲にミルクを入れていいかと聞きに戻ると、
ソファに座ったままあいつは眠りに落ちていた。


『Rainy Day』   第15話



そっと近寄って、道明寺の顔を覗き込む。

あ…うっすらクマ出来てる。
ほんとに寝不足だったんだな。

ソファの端にクッションを何個か重ねて、
起こさないようにゆっくりと倒して寝かせてみる。

あたしが寝るなら十分な広さのソファも
こいつが寝るには小さく見えてしまう。
「やっぱりちょっと窮屈そうだけど…しょうがないよね」

照明を少し暗くして毛布をかけてあげると
少し寒かったのか毛布を肩まで引っ張るこいつ。

その姿がまるで子供みたいで
クスッと笑いがこみ上げてくる。
「天下の道明寺司様の寝姿とは思えないよね…」




あの時、自分でもどうしてあんな事言ったのかよくわからない。

ただあいつの声を聞いて、
昔みたいな他愛もない会話をして

『会いてぇ…』

雨の夜で気弱になっていたせいなのか、
あいつのストレートな言葉に感化されちゃったのか、

電話を切ろうとしてるあいつを止めてまで
ちょっとならいいよ、なんて言ってしまった。


珈琲をすすりながら道明寺を見つめる。

疲れた顔しててもカッコイイとか
相変わらず整った顔立ちしてんのね…。
そんなに疲れてるならこんな所に来ないで
邸でゆっくり休んでたらよかったのに。

あんたが倒れたら道明寺HDはどうすんのよ。
少しは西田さんの苦労も考えなさいよね。
同じ秘書の端くれとして本当に同情しちゃう。
そんなあたしには関係のない
どうでもいいような事を考えているうちに、

「ふぁぁぁぁ…何だかあたしまで眠くなってきた」

時計を見ると、2時半を指していて。
あんなに雨が気になって
眠れなくて困っていたのが嘘のように
ベッドに潜り込むと同時に意識が途絶える。




ピピピピピ…ピピピピピ…

「うぅ…ん」
手さぐりでアラームを止めて起き上がる。

「なんかよく寝た気がする…」
背伸びをしながらつい呟いてしまうほど
眠った時間に比べて目覚めはスッキリしていた。


リビングに戻ると、あいつはまだ眠っていて。

あんな時間に来るくらいなんだから
朝一に会議があるなんて事はないと思うけど…。

「…こいつ時間大丈夫なの?」
そう思って、道明寺の肩をそっとゆする。

「道明寺…起きて。ねぇ。起きてってば…」
寝起きが悪いのは相変わらずなのか
眉間にしわを寄せるだけで目は開けないこいつ。

それでもしばらく根気強く、ゆすっていると
重たそうな瞼をゆっくりと上げて、こっちを見る。

「……」
「……」

目は合ってる気がするんだけど
まだ覚醒してないのか
ぼーっとしたまま焦点が定まってない感じのこいつ。

「道明寺…?起きた?」
小さく声をかけてみる。

「…はよ。」
掠れた声で言うと幸せそうにふわっと笑った。

「…っ!!」
その不意打ちの笑顔にあたしは赤面を抑えられなくて。

思わず…。

あいつの顔を両手で押さえてしまった。


「……ぶはっ!何すんだてめぇ。殺す気かっ!」
息苦しさで漸く目が覚めたらしいこいつは
あたしの手をどけてそう怒鳴りながらも
起き上がって体を伸ばしている。

しばらくすると昨日の事を思い出したのか
「……悪りぃ。もしかしてオレあのまま寝ちまったのか」
と自分にかけられた毛布を見て言うこいつは
もういつも通りだったけど

あたしの心臓はまだバクバクとうるさかった。





いつも応援ありがとうございます♡
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独り言。

ども。管理人のkomaです。

いつも私の妄想にお付き合い頂きありがとうございます。

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虎視眈々 ~総二郎 短編~

★総つくではありませんが〈総二郎→つくし〉です。苦手な方ご注意ください★





―4年後必ず迎えに行きます―

ガキで、傲慢で、自己中で。
手のつけようもない猛獣だった司が
いつの間にか立派な男になっていた。


『虎視眈々』   ~総二郎 短編~
 

俺たちの中で、一番ガキだったはずの司が
あいつの父親が倒れた事で、一番最初に仕事をするようになった。

それに刺激されるように
類も、あきらも、そして俺も。
大学に進学と共にジュニアとしての役割を
少しずつこなすようになっていく。

そうなれば、自然と類とあきらは海外に飛ぶ事も増えて
数日は大学に顔を出さない、なんて事も珍しくなくなった。
それに比べて俺は京都なんかには行くことはあっても
そのほとんどが日帰りだし日本を飛び出す事は滅多にねぇ。

必然的に牧野のそばにいるのは俺が多くなった。

そんなある日。

「…司?なんだよ、珍しいな」
司から何か月ぶりかに電話がかかってきた。

『お前今、大学か?
 牧野、その辺にいねぇか?』
相変わらず牧野しか見えてなさそうな司。
電話かけてきといて、俺に挨拶くらいねぇのかよ?

「あ?そういや今日は見てねぇ…」
言いかけた所で、向かいの校舎の中に牧野を見つける。
あれは…図書館か。

「あー…いや、いたわ。図書館にいるっぽいな」
俺が答えると
『はぁ…そっか。何もねぇならいいや』
とホッとしたようにため息をついた司。

「牧野がどうかしたのか?」
『いや。昨日から全然電話繋がんねぇから何かあったのかと思ってよ。
 まぁどうせ充電し忘れてるとかそんなだと思ったけどよ。あのバカ女…』

『悪かったな…。眠ぃし寝るわ』
そう言って用件だけ済ませたらさっさと電話を切った司。
もしかしてこいつ牧野がつかまんなくて昨日からヤキモキしてたのか?

時計を見ると15時を過ぎたあたりで。

時差をざっと計算してみればNYは真夜中じゃねぇか。
そんな時間まで眠れずに心配していた司に比べて
図書館の牧野は机に突っ伏している所を見るとどうやら昼寝中…。

その差に思わず苦笑いを浮かべる。

「とりあえず、電源くらい入れといてやれって言っとくか…」
独りごちて、図書館に足を向ける。


英徳の図書館はそりゃ立派な物だが、
それぞれ自分の読みたい本なんかすぐに手に入るような
環境に身を置く生徒ばかりなせいか
利用者は極端に少なく、今日も貸切状態だった。

あいつがいつも座っている奥の窓際の席に行くと
勉強中に寝落ちしたのか何冊か分厚い本を重ねて置いた横で
柔らかな日差しを浴びながら幸せそうな顔して寝てる牧野。

起こさねぇように隣に座って
頬にかかった髪の毛をそっと耳にかけてやる。

「ん…。どう……じ」
不意に牧野がつぶやいた寝言はおそらく司を呼んだもの。

いつからだろうな。

別にこいつらがダメになる事を本気で望んでるワケでもねぇのに
普段は色気の「い」の字も出さねぇこいつが
こうやってふとした瞬間に
司を想って女の顔を覗かせるのが面白くねぇと思うようになったのは。

自分の中のそんな感情に
最初は見て見ぬふりをしてごまかそうとしていた。

そんなわけねぇ。あり得ねぇ。
百戦錬磨のこの俺が?
鉄パン穿いたこんな勤労処女に?

必死に自分に言い聞かせれば言い聞かす程
その感情は膨れ上がって認めざるを得なくなった。

最初に司、次が類。
それに口には出さねぇがたぶんあきらもだな。

そして自分だけは大丈夫だと思ってた俺まで堕ちた。

F4全員がお前を特別な女だと思っている事実。
それでいて当の本人はそれに全く気づきもしない。
やっぱすげぇ女だよ、お前は。

俺は類みたいに「見守る愛」っつーのは理解できねぇし
あきらみたいに「親友の女」だと割り切ってあっさり身を引く気もねぇ。

だからって司みたいに「好きなら奪ってでも」って柄でもねぇんだよな。

司の事は男としても認めてる。
あいつなら牧野を幸せにするだろうと信じてる。

だけど…。司は知らない。

教養のためにと、西門に稽古に通うようになった牧野を
お袋が気に入って、勉強のためと言いくるめては
あちこち連れ歩いて、重鎮の爺たちに紹介している事を。


まぁ、そういうあざとさで言えば類の所も油断は出来ねぇが
肝心の類が前のように常に寄り添っていられない状況が
俺を有利にさせてる。

悪ぃな、司。
お前たちが別れるのを願ってるワケじゃねぇが
もうあの頃のようにただ素直にお前の恋を応援もしてやれねぇ。

俺はあの2人みたいに甘くはねぇぞ。
奪略なんて趣味じゃねぇが
付け入る隙くらいは虎視眈々と狙わせてもらう。

もしも…。もしもだ。
司が牧野を泣かせるような事があれば
その時は遠慮なく掻っ攫ってやるから覚悟しとけよ?



~ fin ~


★あとがき★


いかがだったでしょうか?
う~ん…総二郎はやっぱり難しい。
何か物足りない感じになってしまいました。

足りないのは「深さ」か「エロさ」か…いや両方ですね(--;)

告白もしない、諦めるワケでもない。
だけど一歩引いた所で状況を把握しつつ
確実にチャンスだけは狙ってる。
ちょっとズルい感じが総二郎っぽいかな、と。


『総二郎は誰を想ってるか謎』

なんて事を前にも言いましたが、
今回は“つくしに片思い”にしてみました。

相手が優紀だったりサラだったりバージョンも
いつか書いてみたいなぁ…。
幅がある分、こういう所は妄想が楽しいです♪


皆さまにもほんの少しでも楽しんで頂けてますように…(*^-^*)


管理人 koma



いつも応援ありがとうございます♡

Rainy Day 16

起きたらあいつの顔が目の前にあった。
「道明寺…?起きた?」

あぁ…いいな、これ。
こういうのを幸せっつーのかもしれねぇな…。


『Rainy Day』   第16話



「…ったく。眠っちまったのは悪かったけどよ。
 何も窒息させて起こすこたねーだろうよ」
狭いソファで眠っていたオレはあちこち痛くて
首をコキコキ鳴らしながらあいつにぼやく。

ただあんな所で寝てたわりに
頭はスッキリしているように感じていた。

「す、すぐに起きないからでしょ。
 最初はちゃんと優しく起こしてたわよ」

あいつは結局泊まっちまった事を怒ってんのか、
ろくにオレと目も合わさねーくせに
出社時間の心配をしたり
オレの分まで朝食を用意してくれている。

飯を食った後は
あいつが出してくれた歯ブラシを使って歯を磨く。
そこに
「ちょっとゴメン。あたしも先に磨いちゃう」
とオレの横から手を伸ばして歯を磨きだすこいつ。

狭い洗面所は2人並んでんのがやっとで。
窮屈だし、安もんの歯ブラシは固てぇしで、
本当なら不愉快でしょうがねぇ状況なのに
2人並んで歯磨いてる姿が鏡に映っていて
悪くねぇな…と思う。

ふと鏡ごしにあいつと目が合う。
オレが笑ってやると、
あいつは何故か少し目を丸くしてから
赤くなって目をそらした。



7時過ぎ、オレは1度邸に戻ってから会社に行くのに
あいつの部屋を後にする。

邸に戻ったオレを出迎えるのは…タマ。

「……なんだよ」
「いえ。電話してみればいいとは言いましたが
 それがどこでどうなったら朝帰りになっちまうのかねぇ…」
「タマに関係ねーだろ」
オレが不機嫌に突っぱねると
「えぇえぇ。関係ありませんよ。ただわざわざ泊まってきたわりには
 特に進展してなさそうな顔してるんで、ガッカリだと思ってるだけですよ…」
そう言うとわざとらしくため息をつく。

「でも…よく眠れたようですね?」
とタマ。
「あぁ…。やっぱオレはあいつがいねぇとダメみてぇだな…」
オレの言葉にタマはニヤリと笑った。








「なーんか、イイコトでもあった?」
出社して早々、由美がそう聞いてくる。

「へ?別にないわよ…別に…」
「ふーん?昨日は寝不足全開の顔してたくせに
 今日はやけにスッキリした顔してるからさー」
そう言いながらあたしの頬をつんつんしてから
「さては…男だな?もしかして…??」
とニヤリと笑う。

「そ、そんなワケないでしょ!
 バカな事言ってないで、今日もメキメキ働くよっ!」
あたしが肩をバシッと叩いても
怪しーとか言ってる由美を無視して類の執務室に向かう。


あれが「イイコト」なのかどうかはあたしにもわからない。
あいつと付き合うつもりもないのに
あたしは一体何をしてるんだろうと、自分でも思うくらいなのに。

ただ…昨日よく眠れたのは
やっぱりあいつのおかげなんだとは思う。

気持ちよさそうに眠るアイツの寝顔を見たからか
昨日はあの夜の夢を見る事もなかった。

雨の夜にあんなに眠れたのはあの夜から初めてだった。



「おはようございます」
ドアを開けてあたしが声をかけると

「おはよ。…あれ?今日は寝不足じゃないんだ?」
とにっこり笑う。
「おかげさまで。
 本日のスケジュールですが……」
今日の予定を伝えて、執務室を出る時に
くるりと振り返る。

「類……ありがとね」
と一言声をかける。
「うん?よくわかんないけど。
 あんたのありがとうとごめんは聞き飽きてるからいいよ」
と首を傾げる類は
きっとあたしが何を言ってるのかもきっとわかってる。

「うん。知ってる。でもやっぱりそれしか思いつかないからさ」
そう言って今度こそ執務室を出た。



いつも応援ありがとうございます♡

独り言。…とちょいとご相談。

ども。管理人komaです。

連日の独り言。アップ、ごめんなさい。

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Rainy Day 17

あれから1週間が経った。
今日は類があいつの所に行く日。

本当なら由美が行くはずだったのに
急なアポが入ってあたしが行く事になった。


『Rainy Day』   第17話


「お待ちしておりました」
そう頭を下げるのは西田さん。

西田さんの案内であいつの執務室に通される。

「支社長、花沢様がお見えになりました」
そう言って開かれた扉のむこうのあいつは
何やら難しい顔して書類を読んでいるところだったけど
あたしと目が合うとフッと少し笑った。

仕事の話が終わって、あたしは西田さんに
資料をもらうために資料室へと一緒に行く。


「こちらと…こちらでございます」
そう言って渡された資料を確認するあたし。

「…こういう事を私が言うと、
 かえって警戒されてしまわれるのかもしれませんが…」
と話しだした西田さんに顔を上げると

「私はお二人を応援しております」
とそんな事を言いだす。

「え…」
「NYでの坊っちゃんは何かを忘れるように、
 他の事を考える時間を残さないように仕事に没頭されておりました。
 その結果、もともと持って生まれたビジネスセンスに経験が積み重なり
 ただのジュニアと言わせない程の能力を付けられ、
 道明寺HDの次期代表として立派に成長されたのは紛れもない事実です。
 しかしそれはあくまでも、仕事の面での話であって
 プライベートの坊っちゃんは…ずっと暗闇で中で立ち尽くしておられました」

暗闇…その言葉であたしが連想するのは
あの夜の傷ついた顔して雨に打たれるあいつ…。

「その暗闇に突き落としたのは他でもないあたしですよ…?」
あたしのその言葉に西田さんは顔を緩ませる。

「えぇ…。そうかもしれませんね。
 あなたはこの世で唯一人、坊っちゃんの心に触れられる方ですから。
 坊っちゃんを生かすも殺すもあなた様次第なのでございます」

「いやいやそんな…。生かすも殺すもって…」
とんでもない言い回しに苦笑いするあたし。

「私は何も無理をしてまで坊ちゃんとお付き合いを、と
 そんな無粋なお願いをするつもりはございません。
 ただ、坊っちゃんと正面から向き合ってやって頂きたいのです。
 その後はどうぞ、牧野様のお好きなようになさってください」

そう話す西田さんの表情にはあいつへの愛情が感じ取れる。

「そろそろ戻りましょうか…と言ってもすでに
 扉を開けた途端に支社長に遅いと叱られる頃かと思いますが」
そう言って資料室を後にする西田さんについてあたしも戻る。

執務室に入ると同時に
「西田遅せぇよっ!資料取りに行くだけで何分かかってんだ」
と道明寺の怒鳴り声が響く。

あたしは西田さんと顔を見合わせてクスッと笑わずにはいられなかった。
「……何笑ってんだ、てめぇら」
道明寺は怪訝な顔つきをしていたけれど
「「いえ。なんでもございません」」
と声を揃えてしまったものだから、また笑いがこみ上げる。

「なんか2人、仲良くなったみたいだね?」
そんな類の言葉を聞いて
道明寺は立ち上がって寄ってくると
あたしを今閉めたばかりのドアに追い詰めて
「お前、西田に何か余計なこと吹き込まれたんじゃねーだろうな?」
と眉間にしわを寄せる。

「よ、余計な事ってなによ。
 言われて困るような事してるわけ?」
あたしがキッと睨んで言い返すと、
「してねーよ!してねーけどよ…
 お前が他の男と仲良くしてるのなんて面白くねーんだよ…」
と拗ねた顔で言う。

仲良くって…相手は西田さんだよ? 
無駄に嫉妬深い男だとは知ってたけど、まさかそこまで??
そう思うとまたおかしくなってきて…

「心配しなくても大丈夫だよ。
 西田さんはあんたが大好きなんだってさ!ね、西田さん?」
そう言ってからかうように言ってから隣の西田さんを見ると
「はい。私がどんなに支社長をお慕いしているかと
 つい熱く語っておりましたら遅くなってしまいました。申し訳ありません」
と真顔のままペコっと頭を下げる。

「き…気色わりぃこと言ってんじゃねぇぞっ!」
と道明寺は少し青い顔をしながら怒鳴っているのを
あたしは笑って見ていた。





いつも応援ありがとうございます♡

Rainy Day 18

『ただ、坊っちゃんと正面から向き合ってやって頂きたいのです』

あの時の西田さんの言葉が
あたしの中でずっと反芻している。


『Rainy Day』   第18話



あいつにはちゃんと「付き合えない」と
あたしの答えは伝えている。

…だけど、
あいつって全部言わなきゃわかんないんだよね、きっと。

なんとなく、とか察する、とか
昔から出来なかったもんなぁ…。
だからって逃げてどうにかなる相手でもないよね。


あの朝。
あいつが帰ったあと、
閉ったドアを見て、無性に泣きたくなった。

出て行ったばかりのあいつを追いかけてしまいそうだった。

弱い自分をごまかすのも
きっとそろそろ限界なんだと思う…。
ケリをつけるなら早い方がいい。


そう思ったあたしは深呼吸してから
あいつに電話をかける。


『…牧野?』
「うん…今大丈夫?」
『あぁ…どうした?』
「話があるの。
 できれば2人きりで話せる所で。
 そっちの都合に合わせるから、少し時間取れない?」

あたしの言葉にあいつは何かを感じたんだろう。
しばらく黙り込んで

『…わかった。お前今度の土日空けれっか?』
「え?土日は元々休みだから大丈夫だけど…」
『じゃあ決まりだな』
と何かを勝手に決定するこいつに嫌な予感しかしない。

「ちょっと何が決まりなのよ。
 あたしは少し話ができればいいんだけど…」
『オレの休みがしばらくねぇんだよ。
 で、今度リゾート開発する所があって
 そこの最終チェックで1泊すんだけど。それお前ついて来い』

「はぁ?なによそれ。あんたの仕事について行けるわけないでしょ。
 それに話するだけでどうして泊まりになっちゃうのよ」
あたしが断ろうとすると
『休みでもねぇけど、きっちり仕事ってワケでもねぇからいいんだよ。
 チェックっつってもそんな時間もかかんねーし
 まだオープン前で何もねぇのに西田と行ってもつまんねーだろ。
 来ねーならお前の話も聞かねぇからな』
なんて事を言うこいつ。

「はぁぁぁ……もうっ。わかったわよ」
ため息をついてあたしが承諾すると
『じゃあ土曜の10時、邸に来いよ』
そう言って電話を切ったこいつ。

…なんか。
すっかりあいつのペースに飲みこまれて
話をするだけが泊まりになっちゃったけど…。
大丈夫なんだろうか?

ま。西田さんも一緒なんだし
オープン前のリゾートに泊まらせてもらえると思えばお得…か?








「……はぁ」
「……なんだよ」
あいつとの電話を切ったオレの横で
西田がわざとらしくため息をついている。

「支社長、あのリゾート開発の最終チェックは
 土曜日に日帰りの予定だったはずですが、私の記憶違いなのでしょうか?」
「あぁ、そうなんじゃねぇの?」
面倒くさそうに答えてやる。

「まだあそこにはスタッフも常駐しておりませんが?」
「別にいなくてもかまわねーよ。
 事前に部屋と飯だけセットさせとけ。
 ライフラインは通ってんだ。1泊くらいどうにでもなるだろ」
「日曜の会食の予定はどうなさるおつもりで?」
「知るかよ。そんなの適当に断っとけ」

そんなオレを横目に西田の眼鏡が光る。

「では…遅れを取る分調整させて頂きます。
 こちらでよろしいですね?」
そう言って渡してきたスケジュールは
今から金曜の夜までは嫌がらせかと思うほどに分刻みでギッチリ。
ただ土曜から月曜の午前中までは
最終チェックさえ終われば完全オフ。

よろしいですね?と聞きながら断れば
この休みは確保しねぇって言う脅しだろうが。

「…わーったよ」
ため息をつきながら答えると、
「私の苦労が報われる事を願っております」
と西田は頭を下げる。

ま、あいつの話がいい話でない以上、
オレとしてもあまり考える時間がねぇ方がいいからな。


 
 
いつも応援ありがとうございます♡

独り言。「総二郎×優紀」について。

ども。
最近ちょこちょこ独り言多くてスミマセン。管理人komaです。


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プロフィール

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Author:koma
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基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
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