ずっと隣で…  ~総二郎×???~

総二郎と付き合うようになって1ヶ月。

どこか現実感がわかないのは
やっぱり総二郎のせいだと思う…。


『ずっと隣で…』   ~総二郎×???~


待ち合わせ場所に行くと、
すでに女の子たちに囲まれている男。

その子達1人1人に愛想を振りまいている男。

あれがあたしの彼氏。

あんたがそういう男だって知ってるよ?
今までだって散々見てきたんだから。

あれだって下心とかそんなんじゃなくて
ただの挨拶。マナー。そうなんでしょ?

でもだからと言って、
それをすんなり受け入れられるほどあたしの心は広くない。
あの女の子たちをかき分け声をかける気にもならず、

わざと少し離れた所のベンチに座って
向こうが気付くのを待つことにしたあたし。

暇つぶしに本を読んでいると

「かーのじょ?ひとり?」
と明らかに総二郎のじゃない
いかにもチャラそうな声が頭の上から聞こえる。

「…1人に見える?」
ため息をついて相手の顔も見ずに答える。
「見えるよ?だってあんたずっと本読んでるじゃん。
 約束すっぽかされたんでしょ?
 そんな奴放っておいてオレと遊びに行かね?」
そう言うと、あたしの腕を掴んだナンパ男。
「ちょっ…!」
抗議の声をあげようと顔を漸くあげると
総二郎がナンパ男のその腕を掴んでいた。

「俺の女に何か用でも?」
一見冷静っぽいけど、その瞳は冷たい。

そんな瞳で睨まれたナンパ男は
あたしの腕を放して、総二郎の腕を振り払い、
「待ち合わせなら待ち合わせって言えよっ」
と何故かあたしのせいにして足早に立ち去る。

「大丈夫だったか?着いたんなら声かけろよ」
とさっきまでの冷たい瞳はどこに行ったのかと思うほど
甘い顔であたしを見つめる。

だけどその後ろではまだ女の子達がキャーキャー言ってる。
「……忙しそうだったからね」
あたしが不機嫌に言うと

「…妬いてくれてんだ?」
と嬉しそうに笑う総二郎。

「いちいち妬いてたら体が持ちません!」
そう言ってスタスタと歩き出すあたしに
「ふーん…そりゃ残念」
とクスッと笑うと
あっという間に追いついて手を握ってくる総二郎。

そのまま自分の方に引き寄せて
あたしをすっぽりそのまま腕の中に閉じ込める。

「俺は妬いてんだけどな。
 あのヤロー、勝手に触りやがって…。
 やっぱり一発ぶん殴っときゃよかった…」
拗ねた声で言う総二郎。

自分は女の子あんなにはべらせてたくせに
あたしは1人近づくだけでダメなの…?

だけど、
総二郎にヤキモチを妬かれるのは嫌いじゃないあたしは
その不公平さに怒りより笑いが
こみ上げるんだからどうしようもない。


ねぇ、総二郎。
多少の事は目を瞑っててあげるから
最後にはちゃんとあたしの隣に戻って来てね?







こいつが行きたいって言ってた所を一緒に回ったあと、
場所を馴染みの店のVIPルームに移す。

「あたし達ちゃんとやっていけるのかなぁ…」
ほろ酔いになったこいつが俺に尋ねる。
「あ?大丈夫なんじゃね?」
そんな心配しなくても離さねーよ。
なんてクサい言葉は酒と一緒に飲みこんだ俺に

「あ。浮気とかしても言わないでね?
 するなら墓場までちゃんと持って行ってね?」
とムスッとした顔で指をビシッとさす。
「なんだよ、そのする前提の言い方。信用ねぇのな、俺」
「総二郎のどこを信用しろって言うの?」
と今度はケラケラ笑う。

「これでも真剣に愛してんだけどなぁ。伝わんねぇ?」
そう言ってこいつを抱き寄せる。

確かに今までのオレは
1000人切りだとかバカな事言ったりしてたし

よそ見しては曲がり曲がりで
寄り道ばっかしてた自覚だってある。
だからせめてお前の所にだけは
まっすぐ正面から向かって行きたいんだよ。

一生かけてお前だけだって証明してやるから
お前こそ、隣の色男無視してよそ見なんてすんじゃねぇぞ?


~fin~


★あとがき★

総二郎が「俺のカテゴリだけ空じゃねぇか!」と怒っていたので(笑)
First loveも書き終わって時間に余裕があったし
即席短編を書いてみました。

宣言通り「一期一会」でも良かったんですが
それだとどうしても切ない感じになっちゃうので
First loveもジレジレゾーン中だし
少し甘めのお話にしたかったので、今回はこんな感じで。

なぜ今まで総二郎は空だったかと言いますと…

単純に記念日がなかったからって言うのもありますが、
この短編でも明らかになってしまったように…
総二郎が掴みきれてないのが一番大きい理由です。

類のように何考えてるかわかんない、って言うよりは
彼の場合は「深い」って感じでしょうか?

あくまでも私の妄想の世界では、ですが。
たとえば司だと「つくしを愛してない司は司にあらず」
的な感じでガッチガチに決まってるわけですが。

総二郎の場合、
誰を想ってるのかっていうのが定まってないんですよね。
つくしでも優紀でもサラでも…もしくは…?
そんな感じで
一番CPが自由で、だからこそ一番難しい…。

なので今回は皆さんに丸投げする事にしました(笑)
お好きなCPを想定してお読みくださいませ♡
そして良かったら誰を想定したか教えて頂けると
今後の参考にもなるので嬉しいです(´∀`*)

予告も何もしないでのゲリラ投稿な上、
こんなグダグダな感じになっちゃいましたが…(^^;)
楽しんで頂けていれば幸いです♪


管理人 koma


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虎視眈々 ~総二郎 短編~

★総つくではありませんが〈総二郎→つくし〉です。苦手な方ご注意ください★





―4年後必ず迎えに行きます―

ガキで、傲慢で、自己中で。
手のつけようもない猛獣だった司が
いつの間にか立派な男になっていた。


『虎視眈々』   ~総二郎 短編~
 

俺たちの中で、一番ガキだったはずの司が
あいつの父親が倒れた事で、一番最初に仕事をするようになった。

それに刺激されるように
類も、あきらも、そして俺も。
大学に進学と共にジュニアとしての役割を
少しずつこなすようになっていく。

そうなれば、自然と類とあきらは海外に飛ぶ事も増えて
数日は大学に顔を出さない、なんて事も珍しくなくなった。
それに比べて俺は京都なんかには行くことはあっても
そのほとんどが日帰りだし日本を飛び出す事は滅多にねぇ。

必然的に牧野のそばにいるのは俺が多くなった。

そんなある日。

「…司?なんだよ、珍しいな」
司から何か月ぶりかに電話がかかってきた。

『お前今、大学か?
 牧野、その辺にいねぇか?』
相変わらず牧野しか見えてなさそうな司。
電話かけてきといて、俺に挨拶くらいねぇのかよ?

「あ?そういや今日は見てねぇ…」
言いかけた所で、向かいの校舎の中に牧野を見つける。
あれは…図書館か。

「あー…いや、いたわ。図書館にいるっぽいな」
俺が答えると
『はぁ…そっか。何もねぇならいいや』
とホッとしたようにため息をついた司。

「牧野がどうかしたのか?」
『いや。昨日から全然電話繋がんねぇから何かあったのかと思ってよ。
 まぁどうせ充電し忘れてるとかそんなだと思ったけどよ。あのバカ女…』

『悪かったな…。眠ぃし寝るわ』
そう言って用件だけ済ませたらさっさと電話を切った司。
もしかしてこいつ牧野がつかまんなくて昨日からヤキモキしてたのか?

時計を見ると15時を過ぎたあたりで。

時差をざっと計算してみればNYは真夜中じゃねぇか。
そんな時間まで眠れずに心配していた司に比べて
図書館の牧野は机に突っ伏している所を見るとどうやら昼寝中…。

その差に思わず苦笑いを浮かべる。

「とりあえず、電源くらい入れといてやれって言っとくか…」
独りごちて、図書館に足を向ける。


英徳の図書館はそりゃ立派な物だが、
それぞれ自分の読みたい本なんかすぐに手に入るような
環境に身を置く生徒ばかりなせいか
利用者は極端に少なく、今日も貸切状態だった。

あいつがいつも座っている奥の窓際の席に行くと
勉強中に寝落ちしたのか何冊か分厚い本を重ねて置いた横で
柔らかな日差しを浴びながら幸せそうな顔して寝てる牧野。

起こさねぇように隣に座って
頬にかかった髪の毛をそっと耳にかけてやる。

「ん…。どう……じ」
不意に牧野がつぶやいた寝言はおそらく司を呼んだもの。

いつからだろうな。

別にこいつらがダメになる事を本気で望んでるワケでもねぇのに
普段は色気の「い」の字も出さねぇこいつが
こうやってふとした瞬間に
司を想って女の顔を覗かせるのが面白くねぇと思うようになったのは。

自分の中のそんな感情に
最初は見て見ぬふりをしてごまかそうとしていた。

そんなわけねぇ。あり得ねぇ。
百戦錬磨のこの俺が?
鉄パン穿いたこんな勤労処女に?

必死に自分に言い聞かせれば言い聞かす程
その感情は膨れ上がって認めざるを得なくなった。

最初に司、次が類。
それに口には出さねぇがたぶんあきらもだな。

そして自分だけは大丈夫だと思ってた俺まで堕ちた。

F4全員がお前を特別な女だと思っている事実。
それでいて当の本人はそれに全く気づきもしない。
やっぱすげぇ女だよ、お前は。

俺は類みたいに「見守る愛」っつーのは理解できねぇし
あきらみたいに「親友の女」だと割り切ってあっさり身を引く気もねぇ。

だからって司みたいに「好きなら奪ってでも」って柄でもねぇんだよな。

司の事は男としても認めてる。
あいつなら牧野を幸せにするだろうと信じてる。

だけど…。司は知らない。

教養のためにと、西門に稽古に通うようになった牧野を
お袋が気に入って、勉強のためと言いくるめては
あちこち連れ歩いて、重鎮の爺たちに紹介している事を。


まぁ、そういうあざとさで言えば類の所も油断は出来ねぇが
肝心の類が前のように常に寄り添っていられない状況が
俺を有利にさせてる。

悪ぃな、司。
お前たちが別れるのを願ってるワケじゃねぇが
もうあの頃のようにただ素直にお前の恋を応援もしてやれねぇ。

俺はあの2人みたいに甘くはねぇぞ。
奪略なんて趣味じゃねぇが
付け入る隙くらいは虎視眈々と狙わせてもらう。

もしも…。もしもだ。
司が牧野を泣かせるような事があれば
その時は遠慮なく掻っ攫ってやるから覚悟しとけよ?



~ fin ~


★あとがき★


いかがだったでしょうか?
う~ん…総二郎はやっぱり難しい。
何か物足りない感じになってしまいました。

足りないのは「深さ」か「エロさ」か…いや両方ですね(--;)

告白もしない、諦めるワケでもない。
だけど一歩引いた所で状況を把握しつつ
確実にチャンスだけは狙ってる。
ちょっとズルい感じが総二郎っぽいかな、と。


『総二郎は誰を想ってるか謎』

なんて事を前にも言いましたが、
今回は“つくしに片思い”にしてみました。

相手が優紀だったりサラだったりバージョンも
いつか書いてみたいなぁ…。
幅がある分、こういう所は妄想が楽しいです♪


皆さまにもほんの少しでも楽しんで頂けてますように…(*^-^*)


管理人 koma



いつも応援ありがとうございます♡

一期一会

★The one番外編ですが、
  CPが〈総二郎×優紀〉です。苦手な方、ご注意ください★





凛として、静寂に包まれる西門邸。

聞こえなくてもいい声も包み隠さず通してしまうから
子供の頃はあまりに静かすぎるこの空気が苦手だった。


『一期一会』 
   ~The one 番外編〈総二郎×優紀〉~




定期的にやってる俺が務める茶道教室。

西門流を若い世代にも広めるいい機会だと
家元に言われて始めてかれこれ5年くらいか。

俺の教室には俺目当ての女がたくさん通う。
その多くがあわよくば…なんて思いを抱いてるようだが
その前にその強すぎる香水を何とかしろっつーの。

「きゃあッ。こっちを見て下さったわ」
「流し目も素敵…」

シン…と静まり返る、ここの空気は
本人たちはひそひそと話してるつもりでも
どうでもいい女共の声も筒抜けにしてしまう。

見てねぇよ。睨んだんだっつーの。

次期家元の俺を狙うつもりなら
もう少し茶道にも敬意を示したらどうなんだ?
香水がプンプン匂って侘び寂びもあったモンじゃねぇ。

…ま。
オレは生徒に手は出さない主義だしどうでもいいけど。

と、内心で舌打ちを返しながら、顔には笑顔を貼り付ける。


「優紀、待ってよ~」
「ふふ。つくしが遅いんでしょ?」
他の女共とはまた違う、
この邸には場違いな明るい声が聞こえて
チラリと見れば、そこには見覚えのある顔があった。

「……牧野?お前、牧野じゃねぇ?」
俺が声をかけると
「へ!?……あ~。どうもお久し振りです」
なんて挨拶しながら、思いっきり迷惑そうな顔で振り向いた。


その後、牧野が友達の優紀ちゃんに頼まれて
俺の教室にずっと前から通っていた事を知った俺。

最初は構うなと迷惑がる牧野を
からかいながらも類たちにも会わそうと連れ出すために
優紀ちゃんをダシに使ってた所はあったと思う。

でも部活とは言え、高校の時から茶道に触れていた
優紀ちゃんは茶道に対し敬意をしっかり持って
その上で心から茶道を楽しんでいるようにも見えて
俺は優紀ちゃんの点てた優しい味のする茶は好きだった。


そんなある日。
司と類が牧野の同窓会を覗きに行くと聞いて
あきらと一緒に合流した。

牧野を連れ出した男を追って、
司が慌てて出て行ってから10分くらいすると
さっきの男だけが帰ってきた。

「あれ…司と牧野は?」
と類。
「どうせ司が連れてっちまったんだろ」
とあきらがため息をつく。

そのまましばらく何とはなしに同窓会の様子を見てると
さっきの男が今度は優紀ちゃんを誘い出した。

「お。牧野の次は優紀ちゃんかよ。
 なかなかやるじゃん?あいつ…なぁ、総二郎?…っておい!」
あきらの声も最後まで聞かず、
気がついたら2人を追ってた。

廊下の角まで来ると話し声がして思わず隠れる。

「戸田君の気持ちは嬉しいんだけど
 …ごめんね。やっぱり、やり直す気はないの」
と優紀ちゃんの声。
「どうしても無理か?」

2人の会話を聞いてれば
この2人が付き合っていた事は容易に想像できて
壁にもたれて腕組みしながら聞いていた俺は
2人に見つかる前にあきら達の所に戻った。

こんな立ち聞きみてぇな事して。
彼女の事は牧野のダチで
生徒の1人だとしか思ってなかったはずなのに
2人の過去に嫉妬してる自分がいる事に戸惑った。


その数日後。
俺の教室が終わった後、
相変わらずこの邸に似合わない明るい声で
牧野と優紀ちゃんが話してる声が聞こえてくる。

他の生徒が猫なで声で挨拶してくるのを交わしながら
自然とその会話に意識が集中していく。

「え~?断っちゃったの?」
と牧野。
「うん。だってあたしの中ではもう済んだ事だから」
と優紀ちゃんは笑う。

「結構似合ってたのになぁ…」
「うん。あたしも自分にはもったいないくらい、
 いい人だったと思ってるんだけど。…でもね、ダメなの」
キッパリと言いきる優紀ちゃんに
「どうして?」
と牧野は首をかしげる。

「あたしにとっては恋愛も茶道も一期一会なの。
 だから瞬間、瞬間を大事に楽しみたいの。
 その時を逃しちゃったら、次の機会とかいらないんだよね」

カッコつけすぎ?と照れくさそうに笑う声が俺の中で心地よく響く。

凛として、静寂に包まれる西門邸。
時に聞こえなくてもいい声も聞こえてしまうこの空気は
今でも嫌気がさす事も多いけど。

そんな声も聞けるなら…案外悪くねぇかもな。



__一期一会、ね。


生徒には手を出さねぇとか
言い訳なんかしてたら見逃しちまうな…。

…面白れぇ。
俺だって一期一会の心構えくらいはわかってるつもりだ。

掴んでやろうじゃねぇか。
いつか訪れる俺と優紀ちゃんのその瞬間。



~ fin ~




★あとがき★

「花男祭り」トップを飾るのは総二郎。

とうとう使ってしまった「一期一会」(笑)

「The one」の番外編で〈総×優〉。
CPに驚かれた方もいらっしゃったかと思います。

優紀ちゃん、本編では
「え?出てたっけ?」ってくらい
ほんとにチラッとしか出てなかったですから(笑)
覚えていない方もいたのでは…と思ってます(^^;)

この間のアンケート投票で
圧倒的な人気を誇った優紀ちゃん。
このタイミングで「リミット」じゃない2人を書くのは
何気にかなりのプレッシャーでした(笑)

恋も茶も、一期一会の精神を重んじる優紀ちゃん。
茶道の腕前も総ちゃんが惚れる程ですから。
恋の駆け引きも上手なのかも??
リミットとはまた違うキャラになりました。

お気に召して頂けていれば幸いです(^^)

カテゴリ、迷ったんですが
とりあえず「総二郎」に入れておきます。


お次は紅一点。つくしちゃんです。
12時28分…って25分しかない(笑)
またお会い致しましょう♪


管理人 koma




いつも応援ありがとうございます♡

かくれんぼ 〈総二郎×サラ〉

★このお話はCP〈総二郎×サラ〉です。苦手な方、ご注意くださいませ★



幼馴染だったサラと高校から付きあって
大学に入ったのを期に同棲を始めて3年。

あきらと飲んでるうちに
つい遅くなって気が付けば朝帰りになっちまった。


『かくれんぼ』   〈総二郎×サラ〉


水を飲もうと開けた冷蔵庫の中には
昨日サラが作ったんだろう夕食が1人分綺麗にラップしてあった。

「ハンバーグ作ってくれてたのか…」

俺の好物だ。
サラは何かの日には必ずコレを作ってくれる。

「……やべぇ。」
そのハンバーグの皿に手を伸ばしかけて
漸く昨日がサラと付き合った記念日だった事を思い出した。

確か2週間前くらいに
付き合って5年記念日だから
2人で一緒に過ごしたいとはしゃぐサラに
絶対早く帰ってくるって約束しなかったか?俺。


「……ジロー?帰ったの?」

後ろから声がして振り返ってみれば
休日の朝、7時前だと言うのに
寝起きにしてはしっかり着替えも済ませたサラの姿。

「あ、あぁ…。あの、さ…」
「いいよ。別に。またあきら君と飲んでたんでしょ?」
怒るでもなく、まるで普通の会話のように話すサラに
俺の心臓は早鐘を打って警鐘を鳴らす。

「あぁ…その、悪かった」
サラに近寄って抱き寄せようとした腕はスッと避けられる。

その瞬間。嫌な予感は確信に変わる。

「…ごめん。あたしもう疲れちゃった」
俯いているサラの表情が見えない。

「サラ…悪かった!
 今日休みだろ?1日遅れたけど…今から記念日しようぜ?な?」
手を合わせて頭を下げる。

「……記念日は昨日だったんだよ?」
ポツリと呟いたサラは走って玄関から出て行ってしまった。


髪をグシャグシャと掻きながらその場に座り込む。

こんな事になったのは1度や2度じゃない。
ついつい飲んでるうちに連絡すんのも忘れて朝帰り。

頬を膨らましながら「いい加減にしろ!」って怒るだけの時もあれば
今日みたいにそのタイミングが悪くて喧嘩になる事だってある

だけど…

「…疲れた、なんて初めて言われたな」
どうせ今追いかけたって、すんなり帰って来ねぇ事くらいわかってる。

「……クソッ!」
それでもじっとしてるよりはマシだと
さっき帰ってきたばかりのマンションを飛び出した。

エントランスを出て左右を見渡すもサラの姿はない。
「どこ行ったんだ、あいつ…」

とりあえずサラに電話をかけてみるが
やっぱり応答ナシ。

情けない事に俺は一度も
自分でサラを見つけ出せた事がねぇ。

探し回って、見つからなくて困り果てた頃に
怒りが治まったサラから迎えに来いと連絡が入る。

でも…

『あたしもう疲れちゃった』

今回は自分で見つけださねぇと
サラは2度と帰って来ない気がする。

あいつがこういう時どこに逃げてんのか
検討もつかねぇが、とにかく探すしかねぇか。

休日のこんな時間に開いてる店なんて
そう多くねぇハズだとカフェなんかを片っ端から覗いたり
今までサラに言われて迎えに行った場所も全部まわったがハズレ。

オールの後にこれだけ走りまわれば
流石の俺でも息切れはするわ、汗だくだわで…。
「ハッ…ダセェな」

好きな女の逃げ場所すらわかんねぇなんて
マジでダセェ。

もっとちゃんと考えろ、俺。
サラが行きそうな所…。
逃げ場所、隠れる所……。

隠れる…?……あそこか?
いや、まさか。いくらなんでもあそこは…。

あり得ねぇ。そう思うのにどうしてだが体は動いて
思い当った場所に走っていた。



「まぁ…総二郎さんまで。
 何です2人してこんな朝早く…
 帰ってくるなら連絡くらいして下さいな…。」
久々に邸に帰って来た俺に声をかけてきたのはお袋。

「サラ…やっぱりここに来てるんですね?」
「えぇ。先ほどお見えになりましたわよ」
お袋との会話もそこそこに俺は土蔵に向かう。

ギィ…、と相変わらず鈍い音を立てて開いた扉。
立てかけられた古い階段をそっと上って行けば
そこにサラがいた。

「……泣くなよ。俺が悪かったから」
後ろからそっと抱きしめる。
「…よくここがわかったね?
 今日はほんとに見つからない自信あったのにな。
 かくれんぼの連勝記録がストップしちゃった…」
頬を膨らませながら真っ赤な瞳で俺を睨みつけるサラ。
「まさか俺の実家に逃げ込むとは半信半疑だったけどな」
深く息を吐き出しながらサラの肩に顔をうずめる。

するとサラが俺の髪を触って
「汗かいてる…。走ってきたの?」
「あぁ…。あちこち走り回ってもうクタクタ…
 まぁ俺が悪ぃんだから、しょうがねぇけどな」
「…かくれんぼ負けちゃったし
 その必死さに免じて許してあげる」
そう言いながら俺の頭を小さな手でポンポンと叩く感触に
漸くホッと胸をなでおろした。


「そだ。せっかく邸に来たし、久々に茶でも点ててやるよ」
「え~?いつもは面倒くさがるくせに。優しさがわざとらしー」
そう言ってケラケラ笑うサラの手を取って
「いいだろ、別に。今は優しくしてー気分なんだよっ」
ムッとしながら茶室に向かう。

きっとまたこの先も性懲りもなくサラを怒らせては
かくれんぼして平謝って、許しを請うんだろうな俺は。

そんなどうしようもない男だけど
俺にはお前しかいねぇって事はちゃんとわかってっから。


お前も俺を許し続けてくれよ…?



~ fin ~



★あとがき★

原作の「いちごいちえ物語」で
2人がすれ違わずに付き合っていたとしたら…。

総ちゃんは結構だらしない彼氏だったのでは、と( ̄∇ ̄;)
そしてそれをなんだかんだ許し続けるサラちゃん。
そんなカップルなのではないかなーっと。

隠れ場所は土蔵にしようかビルの屋上にしようか
迷った挙句、あり得なさそうな方にしました。

なんとなく「リミット」以来
私の中では〈総二郎×優紀〉が王道化してるので
どんな風になるのかと思ってましたが
この総ちゃんは優紀ちゃん相手だと
書けなかったと思うので結構楽しかったです(^^)

アンケートでも優紀ちゃんが
圧倒的な人気を勝ち取っていたので
どれだけの方が読んで下さるのかドキドキではございますが

〈総×サラ〉OK派の皆様が楽しんで頂けていれば幸いです♪


管理人 koma




いつも応援ありがとうございます♡

恋 ~総二郎 ver.~

さすがに学生の時みたいに
頻繁に集まる事はなくても

人より忙しいはずの俺たちは
時々は休みを合わせて集まる事をやめはしない。
それはやっぱり会いたい人がそこにいるからなんだろうな。


『恋』   ~総二郎 ver.~



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