光風霽月 ~あきら Birthday~

「私…やっぱり主人が好きみたい…ごめんね」

オレだって別にこの人に離婚を求めてたわけじゃない。
この人と一緒になりたかったわけじゃない。
でもちゃんと好きだった…とは思う。


『光風霽月』   ~あきら Birthday~



オレの恋が世間で言う「不倫」である以上、
誰からも祝福されるものではないのはわかってる。

オレだって
みんなから祝福されるような恋愛に興味がないわけじゃない。

でもオレがいいなと思う女は
落ち着いていてどこか余裕のある女で、
結局そういう女は結婚してる人ばかりなんだよなぁ。

今日は車で帰る気になれなくて、
なんとなくあてもないままブラブラ歩いていた。
自分で思ってるよりヘコんでのんかな、オレ…。

「はぁ…」
見上げた夜空には綺麗な満月が浮かんでいた。



ふと通りかかった公園で
こんな夜中にブランコ漕ぐ音がしている。

なんとなく気になって寄ってみると

「…こんな時間に何してんだよ」
「…え?あ!美作さん。
 美作さんこそこんな所で歩いてるなんて珍しいね?」

ブランコを漕いでいたのは牧野だった。

「あぶねーだろ。ちょっとは女だって自覚もてよ」
「あはは。大丈夫だよ。あたし強いんだから」

そう言ってなおも漕ぎ続ける牧野の横のブランコにオレも座る。

「何してたんだよ」
オレが尋ねるとん~?とか言いながらしばらく黙ったままの牧野。
このまま答えねーのかと思ってたら

「月がね、綺麗だなって…。あいつも見てるかなって思ったんだけど、
 よく考えたらNYって今お昼なんだよね…月なんか見えないよね」
そう言う牧野はなんだか知らない女のようにも見えた。

司がNYに行ってから2年。
普段は本当に付き合ってんのかと疑問に思うほどドライな2人。
だけど誰よりも近くで見ていたオレ達は
こいつらの絆がどれだけ強いか知ってる。

この遠距離恋愛だってきっと乗り越えて
いつかみんなに祝福されながら笑顔の2人が並んで立つ日がくるんだろう。

普段は弱音1つ吐かない強い女…。
でもそれは言わないだけであって
何も感じてないわけじゃねぇんだよな。
恋人に会いたいって思うのはごく自然で当たり前の感情だ。

だからって司も頑張ってるからとか、忙しいからとか、
向こうの都合ばっかり考えて上手に甘える事もできずに
こんな所で1人でヘコんでたってわけか…。

オレは牧野にバレないようにケータイをそっと取り出し操作する。

「空は繋がってるって思ってても、見上げる空は同じ色じゃない。
 気温だって、天気だって全然違う。やっぱりすごく遠いのかなぁ…」

そこまで言うと、「何言ってんだろうね」とか言いながら
急に強く漕ぎ出す牧野。
どうせうっかりしゃべりすぎたとか思ってんだろ?
もう遅せーよ。

「いい加減帰るぞ。ほら送ってってやるから」
そう言ってオレはあいつのブランコを強引に止める。

「わわっ!ちょっと危ないじゃないっ」
そう言ってブランコから降りたのを確認すると歩き出す。
その後ろからついてくるこいつ。

「すぐそこだから、1人で大丈夫だよ?」
男が送ってやるって行ったら普通は「ありがとう」って言うんだよ。
そんな言葉を飲み込んで、牧野に手招きをする。
素直に近づいて来たこいつに
「ちょっとここ見てみ?」
そう言ってオレは腕を前に伸ばしてケータイを構える。
「え?なになに?ケータイがどうかしたの?」
と覗き込もうとする牧野の頭を捕まえて
髪にキスをしてその瞬間をカメラに収めた。

「ちょ…ちょ…ちょっと!!何?何なの??」
牧野は顔を真っ赤にして髪を押さえている。

「ははっ。気にすんな。オレ今日フラれたんだわ。
 だからちょっと腹いせに嫌がらせしただけだからよ♪」
自分で言って気が付いた。

オレ、そういえばマダムにフラれたんだっけ。
こいつに会ってすっかり忘れてたな。


『他の3人が太陽だとしたら美作さんは月みたいだね』


いつかこいつに言われた言葉を思い出す。

牧野はオレを満月に出来る女。
だけど司の、親友の彼女だ。
そう思えばちゃんとブレーキがかかる。

2人が笑えるように心から応援ができる。
これがオレのいい所だ。


「もうっ!信じらんないっ!
 いつか本当に刺されても心配なんてしてあげないんだからっ」
そう言ってべーっと舌を出して走って行く。
かと思ったら、くるっと振り返って
「送ってくれてありがと!」
そう笑って部屋に入って行った。

「怒るか笑うかどっちかにしろよ」
こみ上げる笑いが堪えきれない。

そのまま司に
『牧野が寂しがってヘコんでたぞ』
その一文と一緒にさっき撮ったブランコの動画を送り、
続けざまに
『オレが慰めといたから心配すんな。』
と髪にキスした写真を送ってやる。


その数日後。
司が2時間だけのために一時帰国してたことを聞いた。

「類の次はあきらかよとか言って怒ってたけど何かあったの?」
類が聞いてくる。
「いや、別に?どうせいつもの過剰なやきもちだろ?
 オレには牧野みたいな落ち着きも余裕もねー女は無理だよ」
オレの言葉に類は視線を送ってきただけで何も言ってこなかった。

その時オレのケータイに司からメールが届く。
『次やったらぶっ殺す!』
とても親友からのメールとは思えない一文に苦笑いする。

そのメールには顔を真っ赤にさせて必死に抵抗する牧野と
それを押さえつけてキスをしている司の写真が添付されていた。



~fin~


★あとがき★

「私を嫌いになって」をお休みしようかと迷ったものの
たまたま今日が最終話だったので引っ張るのもあれかと
ドーンと両方アップしてみましたが
いかがだったでしょうか?

『光風霽月』-こうふうせいげつ-
…心がさっぱりと澄み切ってわだかまりがなく、さわやかなことの形容。
日の光の中を吹き渡るさわやかな風と、雨上がりの澄み切った空の月の意から。

かしこぶって使ってますが
今回初めて知った言葉だったりします(笑)
使い方合ってるのかさえわかりません(*ノω<*)
タイトルくらいカッコイイ言葉を使いたくて
月が入ってる素敵な言葉ってないかなーって調べて見つけた言葉です。

こんな素敵な言葉を使って妄想したお話ですが…
「あきら→月」…単純でありがちな設定。
しかもフィールドが夜の公園だなんて…
もう何も言いますまい…(-∀-;)

私の妄想力など所詮こんなものって事です…(笑)

短編くらいつかつく以外を、と考えないでもないんですが
読むのはつかつく以外でも全然平気なんですが
自分で妄想となるとなかなか広がりませんねぇ(^^;)

あきらからのメールを見せられて
司に責められてるつくしも書いてみたかったんですが
短編ですし、あくまで主役はあきらだったので今回は割愛しました。

ベタベタのお話だったかと思いますが
お楽しみ頂けていれば幸いです♪

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スイッチ ~あきら 短編~

つまんねぇ…。

どうにもこうにも気分が上がらなくて
駅前のカフェで1人、ため息をついていた。


『スイッチ』   ~あきら 短編~


大学に入って、親父の仕事も手伝うようになって
学業と覚える仕事で手一杯の日々。

気分がのらなくて大学をフケた。

ま、それでもどうしても出なきゃ単位が取れねぇ
講義だけは出てからにするあたりが、オレなのかな…。

別に自分が「ジュニア」で跡継ぎだと言う事に不満がある訳じゃない。
親父のしてる仕事を尊敬できない訳じゃない。

ただ…時々緊張の糸が切れたみたいにスイッチが完全にOFFになる。

司みたいに自分の信念をとことん貫く強さもない。
類みたいに興味のある事だけやっていくマイペースさもない。
総二郎みたいに臨機応変に動ける柔らかさもない。

自分は器だけで中身が空っぽな気がして嫌になる時がある。

考えなくても周りが期待してる事がわかってしまう。
無視しようと思っても気が付くとそれに応えるために動いてる。
期待に応えられなかった時は
誰に責められた訳でなくてもひどく落ち込んでしまう。

あ~、ダメだ…浮上できねぇ。
明日は仕事もあるっつーのに…。

「あ。やっぱり美作さんだ。珍しいね、こんなトコで」
能天気な声が聞こえて顔を上げると
そこには牧野が立っていた。

「お前こそ。バイトはいいのかよ?」
「うん。今日は家庭教師だったんだけどね。
 生徒の子が体調不良でさ。急遽お休みになっちゃって。
 …で、通りかかったら美作さんがいるから驚いちゃった」

「で、何してたの?あ、マダムと待ち合わせ?」
「ちげーよ。最近は遊んでねぇって。
 ただ…ちょっと1人になりたいと思ってな」
オレの言葉に牧野は首をかしげる。

「1人…って。ここ駅前だし人もすごく多いけど?」
「だからだよ。こうやってガヤガヤした所の方が
 かえって孤独を感じられるんだよ。
 いつもの店じゃ顔がバレてるから支配人とか寄ってくるからな…」

「ふーん…。ま、わかんないでもないけど。
 でもあんた達の場合、結局注目浴びちゃうんじゃない?ほら」
そうやって牧野が指さした方向を見ると、女の子たちと目が合って
キャアッと歓声を上げるもんだから、思わず笑顔を貼り付けてしまう。

「まぁ、そういう事なら、あたしお邪魔だからもう行くね?」
そう言って立ち去ろうとする牧野の腕を掴んで、座らせる。

「お前ならいいよ。珈琲くらいおごってやるからちょっと待ってろ」
牧野が断ってくる前に、立ち上がって注文に行く。

珈琲を手に戻って手渡すと、
諦めたのか「ありがと」
と素直に受け取った牧野は黙って口をつける。

窓際のカウンター席で並んで見ている、駅前の通りは
人で賑っていて、夕方の今は皆足早に通り過ぎる。

「……」
「……何かしゃべれよ」
ずっと黙ったままの牧野に言うと

「あれ?しゃべって良かったの?
 何か考え事したいから1人になりたかったんでしょ?」
と事もなげに言う牧野。

普段は鈍いクセに、どうしてこういう時だけ…

いや、違うな。お前が鈍いのは恋愛だけで、
本来、人の気持ちを自然と読み取って優先させちまう奴なんだよな。

「じゃあ、オレが話すから聞いててくれ。
 考え事っつっても別に大した事じゃねーんだ。
 ただ、大学と会社と家をグルグル回ってるだけで
 やらなきゃならない事、どうでもいい事、
 山ほどありすぎてどうも区別もつかなくなってきたな…ってよ」
オレがため息交じりに言うと

「あ~…みんな忙しそうだもんねぇ」
と相槌を打つ。
「司は特にそうだろ?
 それに比べればオレはずっとマシなはずなのに
 あいつらみたいに上手く立ち回れない自分が嫌になるよ」
と自嘲気味に言うと

「う~ん…。あの3人って基本自己中だからねぇ。
 立ち回ってるって言うより結局好き勝手動いてる気もするけど。
 その点が美作さんは相手の立場になって考えちゃうし、優しいもんね。
 そういう所って長所だと思うけどその分、無駄な苦労も背負込んじゃうよね」
と腕を組んで眉をしかめる。
「お前ならわかってくれると思ったよ。
 何気にオレら似たようなトコあるからな」

「でもさ。そのやるべき事の区別ってやつ?
 深く考えないで、とりあえず今やりたくない事は後回しにしてみれば?」
とケロっとした顔で言う。

「お前なぁ…。簡単に言うなっつーの。
 やらなきゃいけない事が最優先だろ、普通は」
呆れ顔でそう返すと

「そりゃね。あの3人にだったらあたしもそう言うと思うよ?
 そんな事させたらメチャクチャになっちゃうし。…でも美作さんは特別かな」

「…特別?なんでだよ」

「だって美作さんわかんないって言ってたって
 本当にやらなきゃいけない事は無視できないはずだから」
とクスっと笑う。

「あたしもね。バイトや家の事で忙しすぎて
 何もかも面倒になっちゃう時ってあるんだよね。
 そういう時は思い切ってやりたくない事は無視して
 好き勝手やったりするんだけど、後で振り返ってみたら、
 結局やらなきゃいけない順にこなしちゃってたりするんだよね。
 まぁ、あたしの場合は生活かかってるんだから当然なんだけどさ」
そう言って笑うこいつの顔を見てると
肩の力が抜けてくる。

確かにそうかもしれない。

大切なのが何なのか、
わかんねぇって言いながら
実際はわかりたくねぇだけであって
頭の片隅にはしっかり計算された答えが用意してあったりする。

考えてみれば今日だって
フケると言いながら、外せない抗議は
ちゃっかり受けてる事を思い出して笑いがこみ上げてくる。

「ハハッ!そっか…言われてみりゃそうだ」
「でしょ?」
2人でしばらくケラケラ笑う。

こんなに笑ったのも久し振りだった。
切れたスイッチがONに戻るどころかフル充電までした気分だ。

やっぱすげぇな、牧野は。

よしっ。明日からまた頑張れそうだ。



~ fin ~


★あとがき★

やる気スイッチの切れちゃったあきら君。
いかがだったでしょうか?

何かわかんないけど
浮上出来ないって時、ありますよね~。

あきらなんかは特に
気苦労が多い分、そう言う事も多いのでは、と。
司たちに振り回されたり、いらぬ心配したりと
苦労人な所がつくしと似てる気がします。

まぁ、そんなあきらが好きなんですけどね(*^-^*)


ひさびさのあきら短編、
お楽しみ頂けていれば幸いでございます♪


さぁF4祭り、最後は類っ。
15時30分にまたお会いしましょう♪


管理人  koma



いつも応援ありがとうございます♡

恋 ~あきら ver.~

さすがに学生の時みたいに
頻繁に集まる事はなくても

人より忙しいはずのオレたちは
時々は休みを合わせて集まる事をやめはしない。
それはやっぱり会いたい人がそこにいるからなんだろうな。


『恋』   ~あきら ver.~



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あきら君の苦悩。

『いいな?すぐ来いよ!』

こっちの返事も聞かずに
一方的に切れた電話に深いため息をつく。


『あきら君の苦悩』   ~リミット 番外編~


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愛 ~あきら ver.~

★こちらはCP不確定で行ったF4祭り
    「恋」シリーズ『恋 ~あきら ver.~』の続編です。★




「やっぱ戻るのはやめてさ。
 …今日は2人でここで飲まねぇか?」

そう言ったオレを腕の中から見上げるこいつの顔は
きょとんとしていて何を言われたのかもわかってなさそうだ。



『愛』   ~あきら ver.~



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