FC2ブログ

あまい気持ち 1

★新連載でーす。
  相変わらずのマイペース更新になりますが
  よろしければ気長にお付き合いお願いします(*^^*)★




「類が悪いんだぞ!
 類がいつまでも離さないからっ」

あの日。
素直に謝れなかった事が
ずっと心の奥でしこりとなってくすぶっていた。


『あまい気持ち』   第1話


ガキん時に
類が大事にしていたテディベアが羨ましくて
奪い取ろうと引っ張り壊してしまった事があった。

すげぇ怒ってんだろうと思って覚悟してたのに
次の日には向こうから笑って挨拶をしてきたんだから
もしかしたらもう覚えてねぇのかもしんねぇが

あの日、
初めての敗北感を覚えたオレにとっては
あの事は高校3年になった今でも忘れられねぇ出来事だ。


「…かさ、おいっ。司って!」
「あ?」
いつの間にか考え込んでしまっていたのか
気が付いたら総二郎がオレの肩を叩いていた。

「どうした、ボーっとして」
「聞いてなかったのかよ?」

「あー…わり。何の話だ?」

「だからっ。
 類に女が出来たらしいって話だよ」
「…へぇ。ついに付き合いだしたのか?」

類の好きな女と言えばガキん頃から変わらず静だ。

「めでてぇが、そんな騒ぐ事か?」

ただその静はどこか
のらりくらりとかわしてるようにも見えていたが
親同士も仲が良く、繋がりも深いのだから
いずれは結婚なんて話になってもおかしくはなかった。

そんな2人が付き合ったと言われても
なるようになった、というだけの話で何の意外性もねぇ。

「それが相手が静じゃねぇから驚いてんだよ!」
「最近前にも増して付き合い悪ぃと思ったら
 類の奴…非常階段で女と会ってるらしいぞ!」

興奮した様子の2人には悪いが…

類だぞ?
そりゃ何考えてんのかわかんねぇ所はあるが
あれでわりと頑固なんだ。
そう簡単に心変わりするとも思えない。

「……あり得ねぇよ。ガセだろ」
とてもじゃねぇが信じられねぇ。

「だったらコレをどう見る?」
「あ?」
そう言って見せられたケータイの画面には類と…

「……誰だ?」
思わず首をかしげる。

類の隣で笑ってるのは見覚えのねぇ顔。
英徳の制服を着てるからこの学園の生徒なんだろうが
この学園内ではもちろん
どこかのパーティでさえ会った記憶はねぇ。

「牧野つくし。
 オレらより1つ下だから2年だな」
画面を睨みつけるオレにあきらが
調べてきたのか見せてきたデータに目を通す。

それによれば
牧野つくしはどこかの令嬢なんかじゃなくて
父親はごく普通のサラリーマンで母親はパート。

どうしてそんな奴がこの学園にいる?
第一印象はそんなとこだった。

その間もオレの隣では

「類の奴…静と何かあったのか?」
なんて心配そうなあきらに
「そうだったとしてもだ。
 コレに乗り変えるって正気じゃなくね?
 どうやって近づいたかは知らねぇが
 この女が類を誑かしたに決まってんだろ」
総二郎が不満そうに牧野の写真へ視線を落とした。

静と何かあったかどうかなんて知らねぇが
仮にもしそうだったとして
この女がその隙に付け込もうとしてるなら…。

これはあの時の借りを返すチャンスなんじゃねぇか?

オレがこの女が
本当に類に相応しいか見極めて
くだらねぇ女なら類が傷つく前にオレの手で排除してやるっ。

「…あっ。おい、どこ行くんだ司っ」
立ち上がったオレを総二郎の声が追いかけてくる。

「その牧野って奴に会ってくる」
「はぁ?」

「類を利用しようとしてるんなら許さねぇ」
「おいおい…。熱くなってるとこ悪ぃが
 いくらダチでも女に手ぇ出すのはやめとけ。
 類だってそのうち目が覚めりゃ自分でどうにかすんだろ?」

「別に今すぐ何かしようってわけじゃねぇよ。
 オレの目で見極めてやるっつってるだけだ」
それだけ答えると踵を返し
非常階段へと向かったオレの背中を見送りながら


「牧野つくしがどういう女だったとしても
 自分の女にちょっかいかけられて
 いい気はしねぇだろうから言ってんだけどねぇ…」
「司は恋した事もねぇからな。
 その辺の感情は理解出来ねぇんだろうよ」

「女で もめるとかダセェのはやだぜ、俺」
「まったくだ。だが司は
 ああ見えて結構情深い所があるからな…。
 こうなりゃ牧野つくしが
 司のお眼鏡にかなうのを祈るしかねぇな」

そんな会話をしていたらしいが
オレの耳には届いていなかった。





いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 2

バンッ!!
「わわっ!?…っと、ふぅ~。セーフ…」

総二郎たちと別れたその足で非常階段に向かい
力任せに扉を開けると同時に女の声がした。


『あまい気持ち』   第2話


声のした方を見てみれば
1番上の段に座っていたこいつの手は
大事そうに何だかわかんねぇ箱を抱えていた。

「ちょっと、花沢類っ!
 お弁当ひっくり返すとこだったじゃな…」
振り返って文句を言うこいつはオレを見て固まった。

「えっ…道明寺 司……?」
ポツリとオレの名を呼ぶこいつは
さっき写真で見た人物に間違いなさそうだ。

「てめぇが牧野つくしか」
「…ど、どうしてあたしの名前…」

「お前、ちょっと立ってみろ」
「はっ?」

「いいから早くしろよ!」
「ぎゃっ…!はいっ!」
慌てて立ち上がったこいつの全身を改めて見る。

癖のなさそうなストレートの長い黒髪は
両サイドに三つ編みで纏められている。

化粧っ気のない顔の中で
唯一 印象的なのは大きな瞳くらいだが
突然現れたオレへの戸惑いを隠す事なく
キョロキョロと落ち着きなく動いていて
何言ってんのかは聞こえねぇが口はパクパク動いていた。

制服は学園指定の物で小物も特に付けておらず
特に気になる点もねぇ。

「外見は40点…ってとこか」
「……はぁ。そうですか」
怪訝な表情を浮かべながらも
オレの評価を受け流したこいつは

「あの…もういいですか?
 あたしお弁当食べたいんですけど…」
とさっき手に持っていた箱を指さす。

オレだって弁当くらいは知ってる。
時計を確認すれば今はちょうど昼休み。
だから飯を食おうってのが理解出来ねぇんじゃねぇ。

学園にはカフェもレストランもある。
どうしてわざわざ弁当なんて持ってくる必要がある?

そんなオレの微妙な表情を読み取ったのか

「あたしはあなた達みたいに
 毎日のお昼ご飯に何千円もかけてられないんです!」
と小さくため息をつくと
まだ食っていいとも言ってねぇのに
腰を落として膝の上に弁当を広げた。

そんなこいつの手元を覗き込んでみれば
そこにあったのはオレの知る弁当なんかじゃなくて。

どれもこれも弁当箱の中にあるのは
何と呼べばいいのかわかんねぇモンばっか。

「……食えんのか、それ」
だから思わずそう呟いた。

すると
「はぁぁ…。
 ほんとあんた達って
 言う事する事いちいち同じなんだから」
なんて呆れたように小さく息をついてから

「食べれます。…あげませんけど」
と答えて弁当の中から箸で1つ掴んで口に運ぶ。

「あ?くれなんて言うわけねぇだろ」
っつか、頼まれたってゴメンだ。

「そうですか?なら良かったです。
 花沢類はちょうだいって言ったからあたしてっきり…」
安心したようにホッと息をついたこいつとは逆に
その言葉にギョッとする。

「あぁっ!?てめぇまさか
 類にこんな得体の知れねぇモン
 食わせてねぇだろうな?腹でも壊したらどうすんだよっ」
「失礼なっ。
 食べたけどお腹壊したなんて言ってなかったし
 そもそも断ったのに花沢類がしつこいからあげただけでしょ!」
フンッ!とそっぽを向いちまったこいつは
オレの存在をない物のかのようにパクパクと弁当を食べ進める。

__それもすげぇ美味そうに。

考えてみりゃ
オレの前でこんな当たり前のように
飯を食う女なんて今までいなかった。

ま。オレと飯を食う機会がある女といえば
姉ちゃんかくらいしかいねぇわけだが。

姉ちゃんは少食じゃねぇが
どっちかと言えば自分よりオレにもっと食えと勧める方だ。

だから…おそらくだが
類もこの姿を見ているうちに
こいつに興味が沸いたんじゃねぇかとなんとなく納得した。

「…っつか、
 こんな寒ぃ所でこんなの食ってねぇで
 類に食わせてもらえばいいんじゃねぇの?」
こんな訳わかんねぇ食い物でこの反応なら
レストランの料理を食わせたら
どんな顔をするのかと類は思わなかったのか?

そんなオレの素朴な疑問の答えは

「は?
 どうしてあたしが
 花沢類に食べさせてもらわなきゃいけないのよ」
なんて意味わかんねぇ言葉で。

どうして…って
付き合ってんなら、一緒に飯食うくらい…

そこまで考えて

「……お前、類と付き合ってんだよな?」
確認するように聞いてみれば

ポカン、と口を開けたまましばらく固まった。

そして…

「はぁ~?
 何を言い出すのかと思ったら、
 どうしてあたしが花沢類となんて…」
そこまで言ってから
ツボに入ったとばかりにケラケラと笑いだす。
 
付き合ってねぇのか…?

それもこいつの反応を見る限りじゃ
類に取り入ろうとしてる…って感じでもねぇ。

だが、少なくとも
ここで会っていて弁当のおかずを貰うくらいの
仲ではあるんだよな?

総二郎たちの話と実際に見たこいつとの
違和感に戸惑うオレの隣で
笑い疲れて息を整えた牧野は不思議そうに首を傾げた。






いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 3

★なかなか更新できなくてごめんなさーい(>_<)★


「…で?
 どうだったよ、牧野つくしは」

牧野に会った翌日、
オレがテラスに向かうと挨拶もなしに
興味津々に聞いてきたのは総二郎。


『あまい気持ち』   第3話


どうだったか、と言われれば
普通…っつーか、なんつーか。

だからひとまず…

「付き合ってるわけじゃねぇらしいぞ」
と昨日ハッキリした事実だけを伝えておく。

「そうなのか?」
「あぁ。本人が言ってんだから間違いねぇよ」

「…って事は
 単純に牧野つくしが類に片思いってわけか」
なんて総二郎が推測するのは当然で
オレだってそれが自然な流れだとは思うんだが…

なんとなく納得できねぇ。

今まで総二郎の女だと勘違いしたバカが
オレらにまで慣れ慣れしい態度をとり
蹴散らした事は何度かあったりもしたが
付き合ってねぇとわざわざ否定した奴はいねぇ。

それに仮に牧野が類に想いを寄せてるなら
第三者に付き合ってるだなんて勘違いされたら
たとえ事実と違っていたとしても少しは喜ばねぇか?

それをあいつは…笑い飛ばした。

「…それ、逆かもしんねぇ」

牧野の態度はどこまでもフラットで
そこに類に対する恋愛感情なんて物は感じなかった。

それでも2人が会ってる理由があるとするならば
類が牧野に会いに行ってるんじゃねぇか…?

総二郎とあきらはしばらく固まっていた
冗談だとでも思ったのか、ゲラゲラと腹を抱えて笑いだした。


「…何の話?
 ずいぶん盛り上がってるね」
その声に振り返れば類の姿。

「類っ。いい所に来た!」
「お前の話してたんだよ」
笑い続けたまま総二郎たちがそう言えば

「俺の?」
なんて首を傾げてからソファへと腰を落とす。

「お前…牧野つくしと付き合ってんのか?」
昨日牧野にした質問を類にもぶつけてみたが

「牧野?
 司…牧野と面識あったっけ?」
返ってきたのは質問とは関係ねぇ内容だ。

「昨日初めて会った。
 お前と付き合ってるって噂になってんだよ」

おそらく総二郎たちの予想じゃ
くだらない、と一蹴してその後はソファに横になり
話に入ってくる事はねぇ…そんな所だったはずだ。

だが
「…ふぅん?
 そんな噂があるんだ…へぇ、そう」
フッと小さく笑う顔にやっぱりか、とオレは確信を得た。

「お…おいおい。
 何まんざらでもねぇみてぇな顔してんだよ」
「まさかマジで片思いしてるなんて言わねぇよな?」
ようやく疑いだした総二郎たちを横目に

「司…牧野に会ったんでしょ?どうだった?」
なんてどこか楽しげに聞いてくる。

「どうって…
 変わってるっつーか…
 ま。悪い奴じゃねぇんじゃねぇの?」
それだって特に言う事がなかっただけで
別に褒めたつもりじゃなかったが

「うん。面白いよね。
 だからあいつと話すの楽しいよ」
そうクスッと笑う類の顔は
オレらでも見た事ねぇ顔で…

それを目の当たりにした総二郎たちも
さすがに信じざるを得なかった。


類が片思い…。
F4が誰かに、それも庶民の女相手に
片思いだなんてあり得ねぇような話ではあるが

オレと話した時でさえ
媚びる態度の欠片さえ見せなかった牧野が相手だ。

オレ以上に他人と関わりを持ってこなかった
類にしてみれば難攻不落の相手なのかもしれねぇ。

実際、牧野の態度を見てる限り
類の気持ちはこれっぽっちも届いちゃいねぇ。

牧野は よほど鈍感って事か?


「よしっ。類!
 オレにまかせとけ!」
立ち上がると同時に類の背中をバシッと叩く。

「…イタい。
 いきなり何すんのさ?」
その背中をさすりながら類が怪訝そうにオレを見上げ

「おーおー。
 性懲りもなくまた面倒くせぇ事言い出したぞ」
「あぁ…。
 でもこういう時の司ってマジで止めらんねぇんだよな」
総二郎たちも何か言ってたような気がしねぇでもねぇが

親友の恋を応援して何が悪い?

あの時の借りだって返してぇし
何より類には幸せになって欲しいと思ってる。

そりゃちょっと
わかりにくい所はあるが
類はオレが認める男の1人だ。

牧野だって類の良さがわかれば
自然と類を好きになるに決まってる。

こうして
類という男がどういう男か。
牧野に猛プッシュする日々が始まった。




いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 4

「よぉ」
「…うあ。また来た」

オレの顔を見た途端に牧野は
はぁぁ…とわざとらしくため息をついた。


『あまい気持ち』   第4話


あれから毎日のように
牧野の姿を探し非常階段へと足を運ぶ。
最初こそ口調は敬語で
適度な距離を保っていたはずだが

「道明寺、あんたね。
 ほんと毎日毎日何なのよ…」
なんて今じゃすっかり
オレを呼び捨てで呼び扱いも雑だ。

普通ならこんなナメた態度をとる奴なんか
即刻学園から排除してやる所だが

こいつは類の片思いの相手で
オレは類の良さを伝えるために
こいつと距離を詰めるのも必要かと思えば
まるで友人のようなこの距離感も
不思議と嫌悪感なく受け入れている自分がいる。

出会い頭につかれたため息を
やり返すように1つついてやると
自然な流れで牧野の隣に腰を落とすが

こうして階段なんかに座るのも
こいつと話すようになってからだ。

話があるとカフェに誘っても
オレとそんな所へ行って目立つのは嫌だ、
話があるなら今ここでしろと突っぱねられる。

「うるせぇ。
 お前の頭が悪ぃから毎日来るハメになるんだよ」
「…ほんと意味わかんない」

オレの口から類の気持ちを伝えるのは簡単だが
いくら何でも野暮だって事はわかってる。

だからさりげなく、あくまでも自然に?
世間話をしながら類を薦めようとするわけだが
これが鈍い牧野にはまったくもって響かない。

だから今日は少しだけ踏み込んでやろうと思う。

「類の何が気に入らない?」
「ん?嫌いなんて言った事ないよね?」

「まさか好みじゃねぇとか言う気か?
 お前、そういうセリフは鏡見てから言えよ?」
「…失礼な。
 40点で悪ぅございましたね!
 あ、ねぇねぇ。ちなみにだけど
 道明寺の中で花沢類は何点なわけ?」

「あ?類?…そうだな。
 95点ってところか?」
「へぇっ!さすがに高得点。
 でもマイナス5点はどこが駄目なの?」

「オレより背が低い」
言うと同時に牧野がポカンと口を開ける。

「……」
「あ?なんだよ」

「…ねぇ。それってもしかして
 自分が100点として他を採点してるの?」

「当たり前だろう。
 オレのどこに欠点があるっていうんだ」
「……。うん、まぁ。
 あんたらしくていいんじゃない?」
呆れたように言ってからクスクスと笑う。

その顔をじっと見ていると
オレの視線に気付いた牧野は

「え?何?」
と首をかしげる。

「お前さ…。
 いつもそんな感じだよな」
「そんな感じ…?」

「オレや類に対して
 その辺の奴らと変わりねぇ態度とるだろ?」
オレの言葉に言いたい事がわかったように
あぁ、と小さく頷いた。

どんな家に生まれ、親が誰で何をしてるか。
そして学園にどれだけの寄付をしたか。
それにより学園での位置づけが決まってくる。

そのカーストの最上層に君臨し続けるオレらに
気安く話しかける生徒なんていねぇし
学長でさえ頭を下げるのがここでの常識だ。

だが、こいつだけが違う。

「…例えば、例えばだぞ?
 類と付き合えたらラッキーだとか思わねぇの?」
「嬉しいとか幸せとかじゃなくて??
 …あ!わかった!
 40点が95点と付き合えるなら有難いって?」
ケラケラ笑いながら聞いてくる。

「違ぇよ。いや、それもあるか?
 おまけに貧乏から脱出できるんだぞ?
 類が誰かとつるんでるって事自体珍しいんだ。
 彼女の座を狙おうとか一瞬でも思わねぇのか?」

類の女だという肩書があれば
こんな所で寂しく弁当を食う必要もねぇし
服だって宝石だって ねだればいくらでも手に入る。

そんな椅子が目の前にあるのに
こいつはその椅子を邪魔だとばかりに蹴飛ばして地面に座る。

それがどうしても解せない。

「ほんとあんた達って…。
 F4だかなんだか知らないけれど
 結局はただの人間でいち生徒でしょ?
 そのバックにある家とか権力とか
 あたしにはよくわかんないし興味もないもん。
 だから好きでもない人と付き合うなんてあり得ない」

金と権力だけが物をいう世界に生きてきたオレには
牧野が言ってる事はよくわからない。

好きでもねぇ奴とは付き合えないと言うが
金も権力もねぇ奴のどこに惚れるんだ?

「……変な女」
理解に苦しみ、頭を抱えて言ったが

「あんたには言われたくないから」
そう返ってくるのは
牧野にとってもオレらの世界がよくわからないからだろう。





いつも応援ありがとうございます♡

あまい気持ち 5

「…で、そん時類がよ…」

あたしの隣に座って楽しそうに
花沢類の話をする道明寺を見ながら
ほんとに不思議な奴だなぁ…なんて思いつつ相槌を打つ。


『あまい気持ち』   第5話


あたしだけが知ってる…
というか、知っていたとしても
誰も来ないだろうと思っていたこの非常階段。

日当たりも良くて、風が気持ち良くて。
息苦しい学園の中に見つけたオアシスのような感覚で
あたしはお昼休みのほとんどをここで過ごす事が多かった。

それがある日
あたしより先に来てこんな所で
気持ちよさそうにお昼寝をしていたのが花沢類との出会い。

あたしだって一応この学園の生徒なんだから
F4の存在くらいはさすがに知ってるし、
関わらない方が無難そうだって事もわかってる。

だけどあんまりにも綺麗な寝顔に思わず見とれた。

この人…
いつもボーっとしてる感じがしてたけど
実はただ眠たかっただけ、とか?

それにこんな所で寝るなんて…子供みたい。

「えっと…名前何だっけ。
 は、花?…そうだっ。花沢類だっ」

存在は知ってても興味はあまりなくて
他の学生たちが騒いでた時の事を思い出しながら
なんとかこの人の名前を捻り出した。

「…うん、何?
 ってかあんた誰?」

思わず出した声に反応するように
目を開けたこの人は首をかしげていた。

そんな出来事がきっかけで
花沢類と話すようになったのはいいんだけど。


それからしばらくして同じようにここで出会って
いきなり失礼な採点をしたかと思えば
その40点女にやたらと絡んでくるようになったのが道明寺。

この男がF4のリーダーだって事くらいしか知らなかった頃は
なんだかいつも不機嫌そうだし
難くせ付けては暴力振るってる所だって見た事があったから
王様なんて表現よりは
タチの悪いチンピラの方が似合ってると思ってたんだけど。

でも…どうだろう。

「聞いてんのかよ!?」
「聞いてる聞いてる」

ちょっと相槌サボっただけで
ムッとして睨んでくるあたりまさにチンピラなんだけど

「ウソつけ。
 じゃあ、どんな話してたか言ってみろ」
「だから、子供の頃に
 道明寺が花沢類のおもちゃを壊しちゃったって話でしょ?」
ちゃんと聞いてたと納得した途端に満足気に頷いて

「あぁ。そうだ。
 それなのに次の日には許してくれてたんだぞ?」
嬉しそうに力説してくるあたり
花沢類とはまた違った意味で子供みたいだな、と思う。

「うんうん。
 でもさー、それって10年以上前の話でしょ?
 許してくれたのに未だに覚えてるなんて…
 あんたって案外 律儀っていうか、義理堅いんだね?」

おもちゃの取り合いだなんてよくある話でしょ?
あたしだって進と何度もしたような気がするし。
だけどそんな些細な喧嘩なんて詳しく覚えてなんていない。

普段 理不尽に暴力を振るってる姿とは
似ても似つかなくて意外な一面を見たというか
ちょっと見直したというか。

そんな風に思ったんだけど。

ふと隣を向けば
ジトーッと訝しげな視線をぶつけてくる道明寺。

「…え?何?」
「お前はバカなのか?
 やっぱり話全然聞いてねぇじゃねぇかよっ」

「は?」
「この話のポイントはなぁ。
 そんなガキの頃から類の器はデケェって事だよ!」

「はぁ…」
あまりの迫力にとりあえず頷いておく。

「いいか?
 オレは類が何かしようってなら
 総二郎たちと一緒に無視してやるつもりだった」
「うわ…サイテー」
ちょっと見直したのに…と軽蔑の目を向けたけど
この男はそんな事はおかまいなしに話を続ける。

「だろ!?
 それなのに類は何もなかったみてぇに
 笑っておはようって言ってきたんだぞ!?
 あの時、オレは完全に負けたって思った」
「…うん、まぁ。
 それは…そうかもね」
色々とツッコみたい気持ちを抑えながら
曖昧に頷いたあたしに道明寺は

「そうだろう。
 わかればいいんだよ、わかれば」
なんて何故か得意気に笑った。





いつも応援ありがとうございます♡
 
プロフィール

koma

Author:koma
管理人komaの
くだらない妄想の世界へ
ようこそいらっしゃいました。

基本テイストとしては
ラブコメ風味の
ゆる~いつかつく道を
突っ走っております。

ご覧頂きありがとうございます♪
*カウンター*
 
*現在の閲覧者数*
ランキングサイト
素敵サイトがたくさん♡
 
*ランキング参加中*
 
 
*新着のお知らせだけ登録中*
komaの呟き。
 
 次回作…
まだ迷ってますが
 
メイドなつくしちゃん
 
なんて
どうでしょうかね?
(*´ω`*)?
 
 
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
リンク
素敵サイト様
*素敵なイラストなど♪* 管理人 まま様

*二次が生んだ二次作家様*
管理人 aoi様

*CP自在のファンタジスタ* 管理人 asuhana様

*イケメンイラスト&二次小説*
管理人 やこ様

*長編大作の巨匠様* 管理人 こ茶子様

*胸きゅん♡つかつく* 管理人 Happyending様

*カッコ可愛いつくしちゃん*
管理人 四葉様

*切なくも甘いつかつく*
管理人 きぃ様

*シビれるッ!つかつく♪*
管理人 lemmmon様

*とにかく司を愛する作家様*
管理人 蘭丸様

*世界観がkomaのツボ♡*
管理人 チムチム様

*めちゃカッコいい総ちゃん♡*
管理人 Gipskräuter様

*パワフルなつくしちゃん♪*
管理人 つくしんぼ様

*筆の向くまま、オールCP♡*
*ほっこり和む優しいつかつく*


*貴重なつかつく&総優さん♪*

*チャーミングなつかつく♡*

*鮮やかなつかつく♡*
イベントサイト
*つかつく*

   
   
 
*ALL CPコラボ*

   2017.10
 
ブロとも申請フォーム
  

    [ブロとも申請フォーム]へ

 
      申請の際は
  「ブロとも申請について」
  の記事をご覧になってから
    して頂きますよう
   お願いします(人∀・)