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Love affair 前編

「…はぁぁぁ」

誰かがご丁寧にあたしの鞄へと
差し込んだ週刊誌にデカデカと載った
見出しとその写真にため息を漏らした。


『Love affair』   前編


道明寺がNYへ行って3年半。
大きなプロジェクトだって
任せられるようになったあいつとは
ろくに電話も出来ないし
ゆっくり会ったのだって静さんの結婚式と
類が気を使ってイタリアで会わせてくれた2回だけ。

LINEだって
毎回返事しろなんて言わないけど
あたしばっかり送ってて
道明寺からの最後のLINEは2ヶ月も前。

こんなので本当に付き合ってると言えるのかと
時々 自分でも疑問に思う事もあるけれど
別れた覚えもないし
忘れた頃にかかってきた電話じゃ
『キョトキョトしてねぇだろうな!?』
なんて挨拶代わりに浮気を疑われるんだから
付き合ってるで合ってるんだろう…たぶん。

「キョトキョトしてんのはアンタでしょうが」
表紙の道明寺を睨み付ける。

週刊誌に書いてる事なんて
いちいち信じたりしないし
ハッキリ言ってこんなのより
時々お義母さまからかかってくる電話の方が
よっぽど怖いんだから
どうって事はないんだけど…

ここ最近、やたらと多くない?
これで何度目だと思ってんの?

おまけに仲良さそうに
見せつけるように腕まで組んで
メープルから出てくるなんてあり得なくない?

あたしだって
相手が女性ならエスコートするのが当然で
しない方がかえって失礼になっちゃうような
そんな場面がある事くらいわかってる。

それでもさ…
だったらあたしへの礼儀はどこに行った?
なんて思うわけよ。

最初こそ発売される前に
相手が誰で、どういう状況で
周りに誰がいたかまで
聞いてもないのに
事細かに弁解を入れてきてたのに

「あんなの信じたりしないから」
なんて笑い飛ばしたのが駄目だったのか

今じゃこうして
誰かが鞄に週刊誌を入れてくれて
それを見て初めて記事に気付く始末。

鵜呑みになんかしないけどさ。
「違うからな?」の一言くらい言えないの?
電話は無理でもLINEくらい送れないの?

信じたりしないって笑ったのは
あんたが違うって言うからなんだよ?

あんたが言わないなら
もしかして今回は弁解できないのかな、って
不安に思ったりもするんだよ?

「………なんか、疲れた」
手に取りパラパラと捲ってから
ゴミ箱へと週刊誌を投げ入れて
ポツリと漏れた声はどこまでも頼りなくて。

なんだかこのままじゃ
いろいろ爆発しそうなもやもや感に

あたしはその週末
少し自由になりたくて
1泊くらいは出来るように準備をすませ
どうせ鳴らないならいらないと
電源を落としたケータイは置いたまま家を出た。


自分でもどこに行くなんて
本当に決めてなかったのに…
気が付けば見覚えのある景色が広がっていた。

窓から見えた懐かしい海は
相変わらず綺麗で
思わず降り立った見知った駅で
まるで待ち合わせしてたみたいに
あたしの荷物を手に取ってニコッと笑ったのは類。

呆気にとられて何も言えないあたしを横目に
荷物を車の後部座席に乗せて
助手席のドアを開けた。

「早くしないと
 牧野の荷物ごと走り去っちゃうよ?」
なんて脅しみたいな言葉に慌てて乗り込んだけど

「…ねぇ。なんでいるの?」
「偶然って事にしとこうかな」

「あたし1人になりたかったんだけど」
「俺 魂の一部でしょ?置いてかないでよ」

「……安全運転でお願いします」
「いつもそうだけど?」

何を言っても無駄そうな類に
とりあえずこれだけはと
死にたいわけではないと伝えてみたけれど

窓の外へ視線を流した途端に
グン、とスピードを上げた車に
思わず目を瞑って、念仏を唱えた。





いつも応援ありがとうございます♡

Love affair 中編

「………チッ」

デスクの上に置かれた
今日発売の週刊誌の見出しに舌打ちをする。


『Love affair』   中編


牧野との未来のためにNYへ飛んで3年半。
明確な目標があるオレは
今まで遊んでいたツケを取り返すためにも
必死に仕事を覚える日々で
そこに学業も加わるんだから
ハッキリ言って睡眠時間を確保する事さえ難しい。

それなのにここ数か月。
仕事で会っただけの女と
まるで密会をしていたかのような記事がたびたび出る。

「こんなくだらねぇ記事
 出る前に差し止めろって言ったじゃねぇかよ!!」
苛立ちを隠さねぇままにそう言えば

「くだらないのであれば
 わざわざこちらから
 差し止める必要もないでしょう。
 相手をしているだけ時間の無駄です」
と目の前のババァは顔色も変えずそう告げてくる。

でもこんな生活も
あと少し…あと少しだ。

あいつの元へと駆け出せる。

1年前から取り組み始めたプロジェクト。
それがやっと実を結ぼうとしている。

最後まで気は抜けねぇし
あいつを驚かせてやろうと黙ってはいるが

それが終われば4年を待たずして
あいつを迎えに行っていいとババァからも許しが出た。

あとはそのババァの結論を貰うだけ。

「……」
「……」
報告書に目を通す間、
いつもの沈黙がやたらと長く感じる。

そして…

「…いいでしょう。
 来月から日本支社を貴方に任せます」
書類から視線を外し
オレをまっすぐ見ながら言った言葉に

「よっしゃ!」
と思わずガッツポーズをした。

それと同時にポケットで鳴りだしたケータイ。
「どうぞ」
と小さく頷いたババァに取り出してみれば総二郎からで。

「なんだよ」
『おっ。出たよ』
とかけてきておいて聞こえてきたのはそんな声で
その向こうにはかすかにあきらの声も聞こえてくる。

「用がねぇなら切るぞ」
『待て待て!
 用もねぇのにかける程こっちも暇じゃねぇって』

「だったら何だ。
 忙しいんだよ、早く言え」
『忙しいって…仕事でか?』

「あ?それ以外に何があんだよっ」
意味がわからねぇと聞き返せば
『例の雑誌の女とお楽しみ中かと思ってよ』
ククッと可笑しそうに笑う声は
あきらの分まで聞こえてきたが

ババァのGOサインも出て最高の気分だったのに
嫌な事を思い出しチッと舌打ちをする。

「んなわけねぇだろ!
 あんな記事鵜呑みにしてんじゃねぇぞっ」
苛立ちを隠すことなく怒鳴り返せば
『…それ、牧野は知ってんのか?』
と急にマジなトーンで返された。

「知ってるも何も…
 それくらいいちいち言う程の事でもねぇだろ」
『つまりはお前の口からは何も説明してねぇんだな?』

「…さっきから何が言いてぇんだよ。
 あいつだって雑誌の記事なんかより
 オレを信じるって言ってくれた」
『へぇ?それいつの話だ?』

「いつ…って」
さすがにここまでくれば
オレだって何かがおかしいと心臓が嫌な音を立て始め

それを裏切る事無く
『牧野 消えたぞ』
と続けられた言葉に一瞬心臓が止まった。

『…あぁ、でも安心しろ。
 どうやら類も一緒みてぇだしよ。
 今頃のんびり旅行でもしてんじゃねぇの?』
牧野の無事がわかりホッとしたと同時に
類と2人だという事実にカッと全身の血流が熱くなる。

「連れ戻せよ!」
『お前を信じてるあいつを
 お前は信じねぇって言うのか?』

「あ!?そういう問題じゃねぇだろっ!」
『まぁ、普通はな。
 でもお前にとっちゃそういう問題なんだろ?
 信じてるなら“いちいち”説明する必要はねぇんだろ?
 まぁ、あいつらの事だ。
 類が無理やりついてったってトコじゃね?
 恋人に連絡する暇もねぇほど忙しいのに悪かったな』
それだけ言うと一方的に切れた電話。

「日本に帰る理由がなくなったのかしら?」
電話の内容もなんとなく察してそうなババァは
どこか楽しげに聞いてくる。

「チッ!大体あんなくだらねぇ記事を
 好き勝手書かせるからこんな事になってんだろうが!」
まさかとは思うが
こうなる事を見越してババァが書かせてたんじゃねぇかと
そんな疑いの眼差しを向ければ

「くだらないと言ったのは貴方よ」
「あ?」

「私は記事の内容がくだらないかなんて聞いてないわ。
 貴方にとって 取るに足りない事なのかと聞いたのよ」
「……」

「貴方がくだらないと仰るから
 当然、牧野さんにも説明をしてると理解し
 記事が出る事で困る事などないと私は判断しました」
ピシャリと言われ

忙しさを理由に牧野に甘え
蔑ろにしていた自分にやっと気が付いた。





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Love affair 後編

すぐに牧野に電話をかけたが

電源が入っていない事を告げる
無機質なアナウンスが聞こえるだけだった。


『Love affair』   後編


電源が入っていないのは
過失なのか故意なのか…。

いつもなら深く考えないそんな事も
おそらく後者だとオレの直感が告げる。

「……すぐに日本に発つ」
とにかく今オレに出来るのはそれだけだと
ババァにそう告げて踵を返す。

「信じているのと平気なのとは
 まったく別の話だと覚えておく事ね」
そんな声に首だけ振り返れば

「貴方もまだまだね。
 せいぜい逃げられないようになさい」
とクスクスと可笑しそうに笑うババァがいた。


約12時間のフライトを終え
すぐに乗り換えた車は
行き先を告げる前に勝手に走り出した所を見れば
ババァか西田かは知らねぇが
すでにあいつの居場所はわかってんだろうと
落ち着かない気持ちを必死に鎮める。

「…バカじゃねぇの。
 オレが浮気なんかするわけねぇだろ。
 あんな記事信じてんじゃねぇよ…」
ポツリと独りごちる。

1日も早く日本に戻る事を優先して
たったこれだけの言葉を伝えるのを怠った事が
あいつを追い詰めた。

「司様、到着致しました」
そう告げ開かれたドアから降りたって見れば
そこはあの雨の夜に別れた後
あいつが一時 暮らしていた漁村だった。

黙って消えてこんな所来て
お前はどうするつもりだった?
気持ちの整理をつけたら
またオレに別れ話でもするつもりだったのか?

帰国したその足でプロポーズし
当然のように受け取ってもらえると
信じて疑わなかった指輪をポケットの中で
握りしめるオレの視線の先には
浜辺で並んで座るあいつと類の後ろ姿があった。

クソッ…。
悔しいがババァの言う通りだ。

あいつの事も類の事も信じてるし
2人がオレを裏切るわけねぇって頭じゃわかってるのに

その光景に心臓が止まりそうなほどに痛んだ。

ゆっくりと
2人に近づいて行くと
先に振り返ってオレに気付いたのは類。

クスッと笑って牧野に耳打ちをすれば
その背中に力が入って
どうやらオレが来た事をチクッたらしいが
振り向こうとはしない。

その間もゆっくりと足を進めていけば

「…牧野。どうするの?」
「んー…どうしよ」

「とりあえず走って逃げてみる?」
「え?類って走れるの?」

「嫌いだけど…走れるよ、必要ならね」
「ふぅん…じゃあ逃げてみよっか。
 あたしも走るの久しぶり…大丈夫かな?」

なんてオレを無視して
クスクスと笑う会話も全部聞こえてんぞ?

振り向かないままに立ち上がり
ケツに付いた砂をパパッとはらうと

「1、2の3ッ…って、わわっ!」
と小声でかけ声を唱えて
走り出そうとしていたこいつを
「逃がすかよ!」
と片腕でがっちりとホールドする。

「残念。捕まっちゃったね」
なんて全く残念でなさそうにククッと隣で笑う類は
「追いかけっこはまた今度ね」
とオレに一瞬だけ視線を向けると
踵を返してひらひらと手を振り去って行く。

「「………」」
類が見えなくなっても
こいつは暴れるでも文句を言うでもなく
ただ黙って、抵抗する事なく腕の中におさまっている。

「悪かったよ」
「…何が?浮気の事?」

「してねぇ」
「腕組んで歩いてたくせに」

「あれは相手が躓いてぶつかってきただけだ。
 …まぁ、わざとかどうかまでは知らねぇが
 あそこで突き飛ばしたら突き飛ばしたで
 結局は面白おかしく書かれるのは同じなんだよ」
「……」

「心配しなくても
 あの女が触れた服はソッコー捨てた」
「……」

「だから……泣くなよ。」
「泣いて、ないっ」
言いながら鼻をすするこいつを
強引に振り向かせればその瞳は
やっぱり濡れていてそっと指で拭ってやる。

「これからは不安になったらオレに言え。
 お前に知られて困るような事は何一つねぇから」
「言おうとしたって
 電話は出ないしLINEも返事なんて返ってこないけど?」
睨みながらそう言ったこいつに
返す言葉がねぇ。

「……ごめん。
 お前ならわかってくれるって甘えてた。
 でも驚かせてやりたくて必死だったんだよ」
「……だから浮気したの?」

「違ぇって!
 オレの気持ちは何も変わってねぇよ。
 驚かせようと思ってたのは…
 約束よりちょっと早ぇけど、ただいまって言いたくてよ」
言いながらポケットから取り出した指輪を
牧野の左手の薬指にはめてやると
指輪を見たまま固まったこいつ。

驚かせる事には成功したけど
この状況じゃ 困惑されてるようにも見える。

「…受け取ってくれるだろ?」

「必ず迎えに行くって言っただろ?」

「……なぁ、何とか言えよ。
 いや、イエス以外は聞かねぇけど。
 頼むから…笑って頷いてくれねぇか?」
牧野の無言に堪えきれず抱きしめてみれば

「…心臓、すごくドキドキ言ってるけど大丈夫?」
なんて聞きたかった答えじゃねぇ言葉が聞こえる。

「大丈夫じゃねぇよ。
 いいから答えろよ。
 幸せにしてくれるんだろ?
 オレはお前と2人で幸せになりてぇんだよ」
これ以上 焦らされたらマジで心臓が壊れる。
そう思って抱きしめる腕に力を込めた頃

「しょうがないなぁ、もう。
 …よろしくお願いします」
なんてクスッと笑う声にやっとまともに息ができた。

「よし、行くぞ」
「へ!?行くってどこに?」

「婚約発表」
「はぁ!?」

「あんなくだらねぇ記事
 一気に塗り替えてやる!」
「そんな事しなくていいからっ」
ぎゃあぎゃあ騒ぐこいつを無視して車に乗せた数日後。

「あんたのせいで外もまともに歩けないっ!」
と強引に行った記者会見により
オレの婚約者として
世間に広く知られるようになり
頭を抱えるこいつとオレを取り囲み

「司の帰国と
 2人の婚約に、乾杯っ!」
とあいつらが揃って祝杯をあげてくれていた。


~ fin ~




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