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気が付けばすぐそこに 1

「え?つけられてる気がする?」

ある休日。
久しぶりに会った優紀に
最近気になってる事を相談してみた。


『気が付けばすぐそこに』   第1話


ダメ元で受けた美作商事に受かって
社会人2年目の春、総務課へと異動になった。

鬼のように厳しい先輩もいるけれど
おかげで仕事も覚えられてきて順調だった。

だけど最近、
帰り道なんかでふと背後に人の気配を感じる事がある。


「気のせいとかじゃなくて?」
「う、ん…。あたしも最初はそう思ってたんだけど
 あたしが止まると聞こえてた足音も止まったりするの」

「……マジ?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む優紀にコクンと頷く。

「誰か心当たりとかないの?
 つけられ始めたのが最近なら総務課とかに怪しい人いない?」
「総務課にはいない、けど。
 もしかして…って人なら実は1人いるんだよね」

「えっ!?そうなの?誰?
 誰がつくしをストーカーなんてしてるの?」
「いや…それがストーカーじゃないかもしれなくて…」
気まずくミルクティのストローをぐるぐるとかき混ぜながら
そう言えば、優紀は怪訝そうに首をかしげた。


それは1ヶ月ほど前の事。

各部署から発注のあった備品を持って行っていた時の事。
あとは秘書課へと行くだけなのに
ちょうど会議の後とかぶってしまい
エレベーターが混んでいてカートを押して乗り込むのは躊躇われた。

待っててもよかったんだけど
早く戻りたいし2階上がればいいだけならと、
カートから荷物を取り出すと階段へと走った。

無事に届け終えると
また階段を降りていく。
身軽になったからってわけじゃないけど
ついつい段飛ばしにピョンピョン降りてる途中に

普段は誰も使わない階段なのに
ふいに人の気配を感じて、
それに気をとられ、足を踏み外して転げ落ちた。

「いててて…」
咄嗟に体制を整えた事もあってか
腰を打ったりはしたけれど怪我はしてなさそう。

ラッキー!なんて思った瞬間
「…いてぇのはこっちだバカッ!
 とっととそこからどきやがれっっ!!」
と体の下から聞こえてくる低い声。

「えっ!?」
慌てて下を見れば
あたしは誰かを下敷きにして助かったらしい。

「ご、ごめんなさいっ!!」
すぐに降りて下敷きにしてしまった人を見れば
まず目についたのがクセのあるクルクルの髪の毛。

ゆらりと起き上がった大きな体、
射抜かれたみたいに鋭い視線。

そして
「テメェどこ見て歩いてやがるっ!!」
空気が揺れたんじゃないかって程の怒号が降ってきて
思わず肩を竦めたけれど

この人が怒るのは当たり前だ。

「ほんとにごめんなさい!
 怪我してないですか?どこか痛い所は?」
腕や足を触って痛めた所がないか確認してると

「……おい」
と話しかけられ顔を上げてみれば
さっきとは違うあたしをじっと見つめる視線があった。

「……?
 どっか痛い所ありました?医務室行きますか?」
不思議に想いながらも聞いてみれば

「いや、いい。…お前、名前は?」
「牧野です」

「美作の社員か?」
「はい」

「……」
「…あの?」
何かを考え込むように
しばらく思案顔を浮かべてから
もう一度あたしをじっと見ると

「…ふぅん。
 またな、牧野」
とニヤリと不敵に笑ってその人は上の階へと昇って行った。



「…で?
 それとつけられてるのとどう関係するの?」
話し終わったあたしに優紀はまた首をかしげる。

「あとで知ったんだけどね。
 あたしが下敷きにしちゃったその人…道明寺司だったの」

どっかで見た事あるとは思ったんだけど
その時はすぐに思い出せなくて、数日経ってたまたま雑誌の表紙に
載っていた写真を見た時は心臓が止まったかと思った。

「道明寺司って…あの道明寺HDの?」
恐る恐る聞いてくる優紀にコクンと頷く。

どうしてあんな所にいたかはわからないけれど
あれは間違いなく彼だった。

そしてあの人は確かに“またな”って言った。
それはまたあたしの前に現れるって意味だ。

「だから、つけられてるとしたら
 あたし…あの人に命でも狙われてるのかもしれない…」




 
いつも応援ありがとうございます♡

★とりあえず連載スタートしてみました( *´艸`)
   次回は7/30の0時を目標にカキカキ頑張りまーす♪★

気が付けばすぐそこに 2

★思いのほか、早く書けたので第2話アップします♪
   第1話をまだ読んでない方はそちらからどうぞです。
   とばした分この先どっかで息切れするかもですが(笑)
   まぁ、そん時はそん時って事でお許しください(* ̄∇ ̄*)★




「牧野?ん?あー…
 そういや総務課にいたか、そんな名前の奴」

執務室に戻ってあきらに聞いてみれば
さっき降ってきたちっこい女が総務課だという事がわかった。


『気が付けばすぐそこに』   第2話


オレの執務室は仮眠室だけは喫煙可にしてるが
あきらは自分がやめたからとそんな理由だけで
喫煙ルームをこのフロアからなくしやがって
ここから一番近いのが2つ下の会議室の隣ときたもんだ。

いつもならオレも我慢するが
あきらにかかってきた電話が長引そうで
タバコを吸うために降りる事にした。

ただ、行きは良かったが
帰りはその辺で会議でもやってたのか
さっきまで静かだったフロアはゴチャゴチャしてやがって
その中にはオレに気付いてざわつき始めた奴もいる。

そんな状況下で
エレベーターを待つのもうざったくて
仕方なく奥の階段を上って行く事にした。

そこに降ってきたのが牧野だ。

最初は殺してやろうと思った。

このオレ様を下敷きにしておいて
腰をさすりながらラッキー!とか言ってんだぞ?

だがオレに気付いて
猫みてぇに飛び降りたかと思えば
オレの足やら手を怪我がないか細かくチェックする
こいつを見ていてふと気付いた。

女に触れられてるのに平気な自分に。

その不思議な感覚に
じっと見ているうちに自然と声をかけていた。

きょとんとした顔でオレを見上げるこいつは
オレが誰か気付いているのかいねぇのか
そんな事はどうでもよさそうに
痛めた所はないかと本当に心配そうに聞いてくる。

漆黒の大きな瞳が印象的で
見つめていると吸い込まれそうになる。

__見つけた。この女だ。

それはオレの本能が告げた言葉。

今までどんな女だって服越しに触れられただけで
虫唾が走っていたこのオレがだ。

下敷きにされた上にこれだけベタベタ触られたって
不快感を微塵も感じねぇどころか心地よささえ感じてる。

それにあんな所で偶然出会うなんて
これを運命と呼ぶ以外に何て言えばいいんだ?



「まぁ、うちの社員が悪かったけどよ。
 …で?その牧野をどうしろって言うんだ?」
呆れたような顔で聞いてくるあきらは
またオレがその女を
どこか遠くへ飛ばせとか言うとでも思ってそうな顔だ。

「あいつはオレの運命の女だ。手ぇ出すなよ?」
「……は?」
オレの言葉がそんなに意外だったのか
しばらく放心していたあきらはその後
仕事の話もそこそこにオレを無理やり飲みに誘った。


いつもの店に着けば
「おいおい。司が女に惚れたってマジかよ」
「…別にどうでもよくない?」
いつの間に声をかけていたのか
総二郎と類まで集められていて、気がつけば久々にF4集合だ。

「で?どんな女だよ。
 司が惚れるなら超絶美人なんだろ?
 あきらお前、自分の会社にいて気付かなかったのか?」
ニヤニヤしする総二郎の隣で
「案外ちんちくりんだったりして」
と類がククッと笑う。

「…類。お前やっぱ鋭いな」
なんて苦笑いしながら
あきらは牧野のデータをテーブルへ投げた。

「……なぁ、あきら。
 これマジで言ってんのか?
 さっきの話じゃほぼ一目惚れなんだろ?…コレに?」
「おー。それがマジらしいわ」
そんなムカつく言葉を吐くこいつらを
まとめて殴ってやろうかと思えば

「へぇ…。でも俺、結構好きだよ。
 なんか小動物みたいじゃない?ねぇ、俺も狙ってい?」
なんて類からのあり得ねぇ発言に
「類っ!!ダメに決まってんだろ!
 テメェはもう見るな!絶対見るな!!」
慌ててデータを奪い取るオレ。

「…な?マジだろ?」
「あ、あぁ…みてぇだな」

こいつらには散々バカにされたが
誰に何と言われようが牧野はオレの運命の女だ。

そう信じて疑わなかったオレは
この運命の恋が険しい道のりになるなんて

この時はまだ夢にも思ってなかった。



 
いつも応援ありがとうございます♡

気が付けばすぐそこに 3

★予告無視して昨日に第2話アップしてます。
  まだ読んでない方はそちらからどうぞです(*´・∀・)つ★




オレと牧野の恋の最初の試練は

運命の出会いを果たしてから
次に会うまでに1ヶ月もかかった事だ。


『気が付けばすぐそこに』   第3話


もちろんオレとしては
すぐにでも告白に行くつもりでいた。

だが、運命の出会いを果たし浮かれていたオレは
今まで出張する事で不都合なんてなかったんだから
当たり前だと言われればそうなのかもしれねぇが
次の日からNYへ出張だった事をすっかり忘れていた。

クソッ!
こいつらと飲んでる場合じゃなかった!

そう思っても もうあとのまつりで。
結局 牧野に会えねぇままジェットに乗り込んだ。

出張中は仕方なく牧野の写真をこっそり入手させ
オレのケータイへと送らせる事でなんとか耐えていた。

毎日のように送られてくる写真は
通勤電車の中で大あくびしてる姿や
難しい顔してPCを睨んでる姿。
何かミスったのか上司に叱られてシュンとしてる姿。
コンビニでスイーツを真剣に品定めしてる姿まで。


朝ギリギリまで寝てられるようにと口実に
送り迎えをする車の中でイチャつきてぇ。

PCや仕事で
わかんねぇ事があるならオレが教えてやりてぇ。

お前を叱るクソ上司なんて左遷してやる。

スイーツが好きならいくらでも食わせてやる。


届いた写真を見る度に幸せな気分になる。

そのどれもがいちいち可愛く見えて
オレのケータイには牧野の写真が溜まっていく一方だ。

おかげで直接会ったのは
まだたった1回だっつーのにオレの想いは募っていく。


__もっと近づきたい。もっと知りたい。

牧野に恋したオレは
あいつの全てを自分の物にしたくて
他の誰かがあいつに触れたら殺すんじゃねぇかとさえ思う。


そんな想いを抱え、
1ヶ月後、帰国したその足であきらのオフィスへと向かう。

「なぁ、牧野呼んでくれよ」
「おま…。いきなり来たかと思えば仕事じゃねぇのかよ」
挨拶もそこそこにそう言えば
あきらは呆れきった表情を浮かべながらも内線を入れる。

総務課にいるのはわかってるんだから
直接出向いて、ついでに牧野を叱っていた上司に睨みきかすかと
考えなかったでもねぇが
まだ牧野にはオレの気持ちも伝えてねぇ。

真面目で慎重派で、恋愛には少々奥手。
そんなあいつの性格も調べあげたデータで知った。

オレは付き合うなら
全世界に牧野がオレの女だと
公言してやっても何の問題もねぇが

公衆の面前で告白だなんて
いくらオレが運命の相手でも
恥ずかしがって素直に返事が出来ねぇだろ?




「あ、あの…。
 呼ばれてるって伺ったんですが…」
10分後。1ヶ月ぶりの牧野が
少しオドオドしながら執務室へ入ってきた。

やべぇ。抱きしめてぇ。

「あぁ、牧野。急に悪かったな」
「いえ…。それでご用件は…」

「あー…私用で悪いんだけど。
 司がお前にどうしても会いたいって言うからさ?」
あきらにそう言われて初めてオレに気付いたらしい牧野は
ビクッと肩を揺らして泣きそうな顔でオレを見る。

…なんだ?
感動で声も出ないって事か?
それともこの1ヶ月お前も寂しかったのか?

本当なら今夜食事に誘って
そこで告白しようと思ってた。

オレたちの始まりの夜だ。
やっぱりロマンチックじゃねぇとダメだろ?

でも…そんな顔させちまうくらいなら
今この場で付き合ってから食事ってのもアリかもしんねぇ。

「牧野…待たせて悪かった。
 もう言葉なんていらねぇかもしんねぇけど…
 オレはけじめは大事にするタイプだ。だからオレと…」
そんなオレの言葉に被せるように

「この間は本当に申し訳ございませんでしたっ。
 2度と関わったりしないのでどうか命だけは…っ」
そんな訳わかんねぇ事を言いながら勢いよく頭を下げる。

「…っ!!2度と関わらねぇってなんだよそれ!?
 オレは一生お前と離れる気はねぇぞ!
 お前が逃げるって言うなら地獄までだって追いかけてやるからなっ!」
「ひえっ…」

オレの人生初の告白に
牧野の顔がサッと青くなった。


 
いつも応援ありがとうございます♡

気が付けばすぐそこに 4

「オレはけじめは大事にするタイプだ」

その言葉を聞いた瞬間、
あたしは道明寺さんがオトシマエをつける為に
わざわざ会社にまで乗り込んできたんだと思った。


『気が付けばすぐそこに』   第4話


“一生離れる気はねぇ”とか
“地獄まで追いかける”って…。

命だけじゃすまないって事?

死んだ方がマシだって思うくらい
これから一生 地獄を味わえって意味?

そんなの嫌だ!
それだったらいっそ一思いに楽になりたい…。

そんな事を考え真っ青になってると
美作専務が大きくため息をついて

「牧野…。お前たぶん何か勘違いしてるぞ。
 司はお前を苦しめようとは思ってないから安心しろ」
と困ったような笑顔を浮かべて慰めるみたいに肩をポンポンと叩く。

「あきらっ!てめっ。
 オレの牧野に触ってんじゃねぇよ!!」
そう怒鳴りながら美作専務の手をバシッと払う。

「いてぇな。
 フォローしてやってんだろうが」
払われた手を振りながらため息をつくと
「司さ。牧野に惚れたんだってよ」
とあたしにウインクをした。

「……は?」
言葉の意味を理解するのに何秒かかっただろう。

「ククッ…。
 オレも最初はそんな反応だったよ。
 そうだよな。やっぱそれが普通で司がおかしいよな」
ケラケラと一頻り笑うと

「とにかく司の話も聞いてやって?」
とまた肩をポンと叩こうとした手は空中で止めて
「おっと。次はマジで殴られかねないな」
と後ろで凄い顔して睨んでる道明寺さんに気付いて
クスッと笑うと執務室を出て行ってしまい
専務の執務室にあたしと道明寺さんが残された。

「……」
「……」

気まずくて息が詰まる。
チラッと道明寺さんを見てみれば

あたしの視線に気付いた道明寺さんは
照れたように少しだけ頬を赤くした。

「階段でぶつかった事は怒ってねぇ。
 むしろあれがあったからお前と出会えた。
 それにお前に怪我がなくてよかった。
 でも危ねぇからもう段飛ばしで階段降りたりすんなよ?」
なんて言いながら
そっと指の背であたしの頬に触れる。

「…好きだ。
 オレと結婚を前提に付き合ってくれ」
「…結、婚?」

「あぁ。オレはお前と出会ったのは運命だと思ってる。
 信じられねぇなら今から区役所行ったっていい」
「へっ!?…いやいやいや…」

まるで何年も付き合ったカップルで
こうなるのが当たり前だったみたいに
真剣な表情でまっすぐに伝えられた言葉だってけれど

あまりに突拍子がなさすぎて全く現実味がない。

だってあたし達の間にある出来事って
道明寺さんの事下敷きにしちゃった事だけだよ?

それのどこをどうすれば結婚なんて話になるの?

…あ!
もしかしてあの時、頭打ちつけてたとか??
うわぁ…絶対そうだよ。どうしよう。
区役所じゃなくて病院で調べてもらった方がいい気が…。

なんて事を考えながら
チラっと見上げてみれば道明寺さんは
「…今から行くか?区役所」
ん?と謎の甘さ全開の顔で首をかしげていて

そのあまりの自然さに
なんとなく頷きそうになって慌てて首を振った。

…あ、あぶないっ!!

「あの…」
「ん?」

「道明寺さんは、あたしのどこが…」
好きだというのか。
そう聞こうとした言葉も最後まで聞かずに
「全部だ」
なんて即答しちゃう。

「……全部?」
全部を知るほどあたし達の間には時間が流れてない。
それでもそんなあたしの疑問も気にしないみたいに

「あぁ。間違いなく全部だ。
 だからオレと付き合ってくれないか?」
また真剣な表情で言ってくる。

全部だなんてどうして言えるのかわからないけど
道明寺さんが冗談で言ってるとも思えない。

だけど…

「ごめんなさい。
 あたしと道明寺さんじゃ
 とても釣り合わないし、住む世界も違いすぎます。
 それに、あたしは道明寺さんの事何も知りません。
 だから…お付き合いは出来ません」
それだけ伝えて頭を下げると
逃げるように執務室をあとにした。




 
いつも応援ありがとうございます♡

気が付けばすぐそこに 5

道明寺さんに告白?されてから
1週間くらい経ったある日。

仕事の帰り道、
また背後に人の気配を感じて早足で歩いた。


『気が付けばすぐそこに』   第5話


マンションのエントランスに入ると
辺りも明るくなって少しホッとしたけれど
管理人さんも帰った後じゃ誰かがいるわけでもなく
エレベーターが降りてくるのが遅い気がして
そわそわしてしまう。

と、ふいに今通ってきたばかりの
エントランスの方からカツカツと足音が聞こえて
背中にヒヤりと汗が流れた。

階段へと逃げようか…
いやいや、でもただ誰か他の人が
帰ってきただけだったら不審なのはあたしだし。

そんな事を考えながら
振り向くに振り向けなくて
とりあえずポケットのケータイを握りしめる。

だけど

「牧野?」
聞こえた声と共に
肩に大きな手が降りてきた時には
ビックリしすぎて声をあげる事も出来なかった。

まるで石にでもなったかのように
固まったまま動けなかったあたしに
「…どうした?具合悪ぃのか?」
心配そうな声で覗き込むように前にまわってきたのは

「どう…みょうじ、さん?」
「おぅ。今帰りか?」

とりあえず知ってる人だった事に
体の力がふにゃっと抜けた。

そこにちょうど到着したエレベーター。
扉が開くと左手で扉を押さえて右手であたしの背中に手を添えて
「コケんなよ?」
なんて優しく言われるままに乗り込めば
あたしに続いて道明寺さんが乗り込んできてから気が付いた。

…道明寺さん、こんな所で何してるんだろう?

そんな疑問が浮かんだと同時に
道明寺さんあが押したのはあたしが押そうと思ってた4階のボタンで。

道明寺さんも同じ階に住んでる誰かに
偶然 用事があるんだと思い込もうにも、
最近立て続けに引っ越しが続いて
4階は一番奥のあたしの部屋以外今は誰も住んでない。

管理人さんからもリフォームの業者が入るから
少し音がするかもしれないけど、と説明を受けたけど
道明寺さんがその業者なはずがない。

「……」
「……」

チーン、とエレベーターが4階に到着すると
また自然と片手で扉を押さえながら
降りるように促される。

このまま降りていいのか。
それとも道明寺さんだけ降ろして
コレに乗って逃げるべき?

そんな事を考えてると

「降りねぇの?
 お前の部屋もここだろ?」
なんて教えた覚えもないのに
あたしの部屋がここにあると知ってるこの人は
不思議そうに首をかしげている。

「……道明寺さんは何しにこちらへ?」
答えを知りたいような知りたくないような。
それでもやっぱり聞いてみる。

「何しに…って。
 自分の家に帰ってきちゃ悪ぃか?」
「…自分の家?」

「おぅ。
 お前が住む世界が違うっつーから引っ越してきた。
 部屋があまりに狭ぇから壁ぶち抜いて広くすんのに
 ちょっと時間かかったけどな。今日からここに住むぞ。
 隣に住んでればオレの事も知ってもらえるし一石二鳥だろ?」

ポカンと開いた口が塞げないままのあたしも
お構いなしにそんな事を得意気に言ってる道明寺さん。

えっと…
これってやっぱり…。

「ストーカー…?」
口に出すつもりじゃなかったのに
思わずポロッと漏らした言葉。

「…ストーカーだと?」
少し低くなった声にヤバい、と思った。
これって逆上されて刺されたりするパターン?

だけど次に出てきた言葉は
「…まぁ現状付き合えてはいねぇし。
 その上で隠し撮りしたり付け回したり
 お前の事を調べてるって意味じゃ間違っちゃいねぇか…?
 でもいずれはお前だってオレを好きになるんだから問題ねぇよ」
なんてまさかのストーカー宣言しながら
「お。その顔も可愛いな」
とあたしに向けた道明寺さんのケータイがカシャッと鳴った。

…今、もしかしなくても写真撮られた?

「…け、けっ…」
衝撃のあまりうまく言葉が出せないあたし。

「け?……ハッ!結婚か!?
 オレと結婚する気になったか?」
なんてジャケットの胸ポケットから出したのは
“妻になる人”の欄だけが空白の婚姻届。

「違いますっ!
 警察…っ!そう、警察!呼びますよ!」
「警察?何か事件かよ?
 オレが警視総監に直接電話してやろうか?」
なんて次元が違いすぎるこの人に眩暈がして

「あ、あた…あたし
 絶対道明寺さんを好きになったりしませんから!」
それだけ言い捨てて自分の部屋へと逃げ込んだ。



 
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