春の嵐 前編

★思いつきのお話です。2人は付き合ってる設定で…よろしくです★





あいつと喧嘩して1週間。

そろそろ牧野不足が深刻化してきたオレに
あいつはとんでもねー爆弾を放り投げてきた。


『春の嵐』  前編



1週間前。



珍しく旅行用パンフレットを見ている牧野。
「なんだよ。どっか行きてぇの?」
こいつがどこかに行きたがるなんてめったにねぇ。
どこでも連れてってやろうと覗きこむオレ。

「え?あぁ。違う違う。今度ね、会社の慰安旅行があるんだよね♪
 だから自由時間に回れそうな所チェックしてるの」
のんきに答える牧野。

「お前…それ行くつもりなのか?」
「へ?当たり前じゃない。みんな行くんだもん」
「みんなって…当然男も含まれてんだろ?」

そっからは散々だった。
オレが他のヤローがいるなら行かせないと言えば
会社の行事にまで口を出すなだの、なんだの
あいつはブチ切れて帰っちまってそのまま音信不通。



そして今に至る。


♪~…♪~…
牧野からの着信に、オレはほくそ笑む。

あいつからかけてくるって事はあいつが折れて
慰安旅行には行かねぇって言うって事だ。

喧嘩した後、電話をかけてきた方が折れて、仲直り。

今までだったらそうだった。


「…なんだよ」
嬉しさを隠してあくまでも不機嫌に出る。
『どうしても慰安旅行行っちゃダメなの?』

妙に静かな牧野の声。
そんなに行きたかったのか?

でもオレとしては他のヤローがいるのに
泊まりなんて考えられねぇ。

「あぁ。許せねぇな」
『……わかった』

これで今回はオレの勝利だ。
そう思って思わず口角を上げたオレにあいつが続けた言葉は

『…道明寺のそういう所がもう我慢できない。
 あたしは遊びで旅行に行くんじゃない。
 これだって仕事の付き合いの一環なの。
 それが受け入れられないならしょうがないよね。
 あたし達、別れよう。』

そんな別れの言葉だった。



その数時間後、オレは総二郎達を呼びだす。

「急に呼び出すんじゃねぇよ。もう学生じゃねぇんだぞ、オレら」
「どうせ牧野と喧嘩してこじらせてんだろ?
 お前がさっさと謝っちまえばいいだけだろうが」

「…うるせぇよ」
普段ならここで文句を言い返すオレが頭を垂れてるのを見て3人が顔を見合わす。

「…ほんとに何かあったわけ?」と類言うと2人もソファに腰かける。


それからこいつらに全部話したオレ。

「慰安旅行くらいいいじゃねぇかよ。」
「気持ちはわからんでもないが、会社の行事に口出すのはまずいんじゃねぇ?
 お前だって女の秘書もつれて出張行ったりするだろう?」
「牧野が愛想尽かしてもしょうがないね」

と3人ともオレが悪いと言う。
お前らは風呂上りでいい匂いさせてる牧野の色気も
寝起きで無防備な牧野の可愛さも知らねぇからそんな事が言えるんだ。

あんな姿、他のヤローに見せてたまるかよ…。
あれは全部オレだけが知ってればいい姿なんだよ…。

そんな事を考えて、不貞腐れるオレに

「しょうがないな、もう。
 とりあえず明日、俺が牧野に話聞いてきてあげるから」
類がため息をつきながら言う。

「……それって2人っきりでかよ?」
軽く睨みながら言うオレに類の奴は

「だったら司も来れば?でも司がいるせいで
 牧野が興奮して、もっとこじれても俺は知らないよ?」
なんて恐ろしい事を言う。

「そうだな。牧野を落ち着かせるには類が一番だ」とあきら。
「お前だってどうにかして欲しいから呼んだんだろ?
 だったらここは類にまかせて大人しくしてろ」と総二郎。

「はぁぁぁ…。わーったよ」

こんな時にまで嫉妬を抑えられない程
お前に惚れてるっつーのに。

お前は慰安旅行と引き換えに
オレをあっさり切り捨てて平気なのかよ…。


その後酒を飲んでも飲んでも酔えねぇオレ。
この日ほど自分の酒の強さを恨んだことはねぇ。







★後編は明日の12:00に~。
 って言っても勘のいい方には展開はバレバレですかね~(^^;)★
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春の嵐 後編

翌日。

俺は牧野の仕事が終わる頃を見計らって
会社の前で出てくるのを待つ。


『春の嵐』  後編


会社から出てきた牧野が、俺の姿を見つけて走り寄ってくる。
「花沢類?どうしたの、こんな所で」
「牧野とご飯食べたいなと思ってさ」

俺がそう言うと、いつも急だよね、とか言いながらケラケラ笑っている。

なんていうか…
彼氏と別れた翌日にしては思ってたよりも元気じゃない?あんた。

牧野が好きそうな店をチョイスして
2人で食事を楽しむ。

「そういえば慰安旅行ってどこ行くの?」
「え?あぁ。あいつに聞いたの?
 熱海だよ。まぁあたしは今回パスする事になっちゃったけどね~」

さらっと言った言葉に俺が首をかしげる。

「何?あんた、結局は旅行行かないの?」
「あれ?聞いたんじゃないの?
 まぁ、すっ…ごくムカつくんだけどね。
 アイツがああいう奴だってわかってて付き合ってるワケだし。
 それにこの事話したら同期の子も
 女の子だけでまた行こうって言ってくれたし、もういいかなって」

牧野の行動が解せない。

司の嫉妬を受けとめて
慰安旅行を諦めたのであれば
なぜ別れ話なんて事になったのか。

他の所で司が地雷踏んだって事…?

「じゃあ司があんたにフラれたってのは何が原因?」

お手上げだとばかりに、疑問をそのまま牧野にぶつける。

すると
「え?あぁ、それね」とクスクス笑う牧野。

「花沢類、昨日って何月何日だったっけ?」
急にそんな突拍子もない質問をしてくる牧野。

「何日って…今日が2日だから4月1日でしょ?
 ……って、あぁ。なんだ、そっか」
口に出して気が付いた。

4月1日はエイプリルフールだ。
嘘をついても許される日。
別れ話は嘘って事か。

「うふふ。そう言う事♪
 ただアイツの言い分を受け入れるのも癪だったからさ。
 そのためにわざわざ電話するのも昨日まで待ってたんだからね!」
得意気に言っている牧野を見ながら

嘘だなんて夢にも思わずに、酒を煽っていた司を思い出して
ほんの少しだけ不憫に思う。

「司に言ってあげなくていいの?
 あいつエイプリルフールなんて一生気付かないと思うよ?」
そもそも司がそんな事を知ってるとも思わない。

「いいのいいの。たまには懲りればいいんだよ。」
そう言って頬を膨らませる牧野も
慰安旅行に本当はすごく行きたかったんだろう。

「本当にいいの?昨日はすごい荒れっぷりだったよ?
 今さら嘘だったなんて言ったら、あんた大変な事になるんじゃない?」
その俺の言葉に牧野の笑顔が固まる。

「え?そんなにひどかったの?」
牧野が心配そうに聞く。
「そりゃもう。酔えないからって強い酒ばっか飲んで総二郎とあきらにも絡んで…
 って事はあんた、司だけじゃなくてあの2人にも怒られるかもね」

「う~……どうしよう」と頭を抱える牧野に
オレはクスッと笑って提案をしてみる。
「いっそ俺と逃げちゃう?…熱海あたりに?」

すると牧野も
「ちゃんと匿ってくれるんでしょうね?」
なんて笑って聞いてくる。
「もちろん」
「じゃあアイツが許すって言うまで隠れてようかな~」
なんて牧野が言うと、


「慰安旅行の次は類と旅行だと?
 そんなのオレが許すわけねぇだろうが!」


後ろから地を這うような低い声が聞こえる。

「やっぱりついて来てたんだ?」
俺がそう言った時にはもう牧野は司に羽交い絞めにされていて。

「てめぇマジでふざんけんなっ!
 エイプリルフールかなんか知らねーけどなっ
 ついていい嘘と悪い嘘ってモンがあるだろうがっ!!」
「ぎゃああああ!離してっ!」
牧野はどうにか逃れようと暴れているが、司が離すわけがない。

「そういう事なら事前に俺たちには言っとけっつーの」
総二郎が牧野の額をピンっと弾く。
「オレなんか司に殴られてあざ出来てんだぜ、ホラ」
とあきらが二の腕を見せる。

「うぅ…ごめんなさい」
2人に素直に謝る牧野。

「こいつらよりまずオレに謝るのが先だろうがっ!」
そう青筋を何本も浮かべて怒鳴りながらも
死刑宣告にも似たあの言葉が嘘だとわかって
安堵を隠しきれない司は牧野の髪にキスを落としている。

「あっ、あんたは別よ!そもそもあんたが
 無駄に嫉妬深すぎるのが悪いんだからねっ!!」
「うるせぇっ!それだけオレ様の愛が深いって事じゃねぇか!
 お前は黙ってただ愛されてばいいんだよっ!!」
「な、な…何恥ずかしい事大声で言っちゃってんのよ!」
顔を赤くして固まる牧野。
「お前にはオレがどんだけお前を愛してるかっつーのを
 これから嫌ってほど教えてやるからな!?覚悟しやがれ!」

そう言うとより一層顔を真っ赤にして暴れる牧野を
担いで店を出て行った司。

「やれやれ…あいつらいつになったら落ち着くんだよ。」
「人騒がせにも程があるだろ、まったくよぉ」
総二郎とあきらがため息をついてオレの横に座る。

「あの2人はたぶん一生あんな感じだよ、きっと」
そんな俺が言葉に

「確かにあいつらが静かになった方が怖えーかもな」
「あぁ。騒いでくれる方がこっちもまだ対処しようがある」
そう言って2人は笑う。


あの後牧野がどんな目に合ったのかは知らないけれど。
2ヶ月後、2人で熱海旅行に行ったと
俺にお土産を渡してくる牧野は嬉しそうに笑っていた。







★あとがき★


せっかくエイプリルフールなので、
私好みの司を奈落に突き落とすおバカな話でも、と(笑)
昨日の時点で気づかれていた方もいらっしゃったのではないかと思います。

ほんとは1話にしたかったんですが
相変わらずの文章力でまとめきらずに2話になってしまいました(^^;)
前半は司視点、後半は類視点で
どっちのカテゴリに入れようか迷うところですが
とりあえずまだ空っぽだった司カテゴリに入れておきます。




管理人 koma

「迎えに行きます」 ~side司~

★つかつく短編「迎えに行きます」の司視点です★




NYに来て4年。
あいつを手に入れるためにがむしゃらに頑張ってきた。

ここまで長かった。
だけど…やっとお前を堂々と胸を張って迎えに行ける…。


『迎えに行きます』   ~ side 司 ~


帰国する前日まで仕事入れやがって。
オレだって帰国するにあたっていろいろ準備してぇ事だってあるんだっつぅの。
西田を脅して何とか時間を作らせたが
どこまで邪魔すれば気がすむんだ、あのババァ。

とりあえず明日何時頃に日本に着くか
牧野に連絡しておこうとケータイを取り出す。

それなのに…
「ったく。あいつまた電源落ちてやがるっ。
 明日俺が帰る日だって忘れてんじゃねぇだろうな…」

1分1秒でも早く会いてぇとか思ってんのはオレだけかよ…。

ため息を小さくついて
脱いだスーツをポイッとソファに投げ捨てる。

その時、ふと違和感を覚えた。

…何だ?
何がと言われてもわかんねぇがとにかくいつもと何かが違う。

部屋をぐるっと見渡して違和感の正体に気付いて
思わず上がりそうになる口角をそっと片手で押さえる。


___あいつだ。あいつがここいる…。


あり得ねぇと思う気持ちもあるが
1度気付いてしまえばこんなに感じるんだから間違いねぇ。

ただすぐに出てこない所を見ると
どっかに隠れてて、オレを驚かせようって魂胆か?

ナメんなよ?
オレは雪山でだってお前を見つけられるんだぞ?
こんなに近くにいてわかんねーわけがねぇだろ。


電話をかけながら帰ってきたからすぐに気付けなかったが
考えてみれば玄関の扉を開けた時からいつもとは違っていた。

空調は完璧なはずのこの部屋がいつもより暖かく感じたり。
電話が繋がらなかったわりにイラつきはなかった。


…つーか。
いつ出てくるつもりなんだ、あいつは。

面倒くせぇと思いつつ、この状況を楽しんでるオレもいる。

まぁいいや。そのうち「わ!」とか言って出てくんだろ?
それともいきなり後ろから可愛く抱き着いてきたりすんのか?


ダイニングに向かうとあいつが作ったんだろう。
じゃが肉だったか、そんな感じのおかずの他に数品並べてある。

つーか、こんなボンビー食並べてバレねぇと思ってんのか?
オレにこんなの食わそうとする奴なんかお前しかいねぇよ。

その中から適当に一口食ってみる。

「…なんだこれ。」
__何入ってんのかわかんねぇのに不思議とうめぇな。

そう続けるつもりだった言葉は背後でバタン!
とすげぇ音で開いたドアの音に遮られた。

やっと出て来たかと振り返るとそこには

「ふざけんなぁっ!!」
予想していたような久々の再会を喜ぶような顔でもなく
ブチ切れした牧野の顔と怒号。

「うおっ!?お前何してんだよ!?」
予想とはあまりに違う登場の仕方に
うっかり本気でビビっちまったじゃねぇかっ!


その後。

「…ったく。何がしてぇんだ、てめぇは」
着替えを済ませて戻ってきたオレの目の前には
頬を膨らませて不貞腐れる牧野。

どうやらこいつはオレが自分がいる事に気付いてて
その上飯がオレの口に合わなかったと思ってんのか
それが気に入らねぇらしい…っつーかヘコんでる?

ソファで膝を抱えて座ってるこいつを後ろから抱きしめる。

「しょうがねぇだろ。
 お前の気配に気づくなっつー方が無理なんだよ。
 それに飯だって不味いなんて言ってねぇだろ。
 何入ってんのかわかんねぇけど、
 お前が作ったもんはどうしてだか美味いんだよ」

そう言いながらオレはさっき着替えるついでに
ポケットに忍ばせておいた物をそっと取り出すと
振り向かせた牧野の唇にオレのそれを重ねながら
手を絡ませるふりをして左手の薬指にさりげなくはめてやる。

「せっかく会えたんだからいつまでもそんな顔してんな」
「…うん」
頬を赤くしてるのはキスの余韻で
たぶんこいつはまだ気づいてねぇ。

「で?オレは約束をちゃんと果たしたぞ。
 いい男になったんだから幸せにしてくれんだろ?
 つーかもう、コレはめたからキャンセルは出来ねぇけどな」
言いながらこいつの左手の薬指にキスを落としてやると
漸く自分の指にはめられた指輪に気が付いたこいつは

「えっ…!なんでっ?いつの間に!?」
なんて言いながら自分の指とオレを交互に見て驚いてやがる。

「サプライズっつーのはこうやんだよ、バーカ」
そう言ってキスをせがむようにん。と顔をつき出してやると
牧野は顔を赤くしてためらいがちに軽く触れてくる。


__まさかお前から迎えに来るとは思わなかった。


お前はいつでもこうやって
思いもよらない行動でオレを驚かせる天才だ。

悔しいからお前には言ってやらねーけどな。



~ fin ~


★あとがき★

「魔法の言葉」今度は司が出てこなくて
司不足に陥ったので(笑)
「迎えに行きます」の司視点をつまみ食いです。

司、つくしに気づいてましたね。
野性の勘、おそるべし。…っつーか怖えーよ(笑)
つくしレーダーの感度は
4年もの遠距離でも廃れておりませんでした。

サプライズ返しとは
抜け目がありませんね♪
西田さんを脅して作った時間で
坊っちゃんは指輪を準備してたのでした(^^)

つくし視点の時に「新婚編」も!と
おっしゃって頂き、そういえば結婚してる話って
ほとんどないな~っと気付きました。

そんなワケで妄想の種を植えましたので
芽が出たらまたアップするかもですが
その時はまたお付き合いください♪


つくし視点よりは甘く…なったかな?
楽しんで頂けていれば幸いです♪


管理人 koma



いつも応援ありがとうございます♡

Fall in…。

あの時、自分でも
どうして腕を伸ばして受け止めたのかわからない。

ただ…
「絶対に落とすな!」と誰かの声が聞こえた気がした。


『Fall in…』   ~司 短編~


「司っ!!」
総二郎の声に振り返れば
今降りてきた階段の上から女が降ってきてんのが見えた。

普段のオレならあんなのさらりと避けてたはずだ。
知らねぇ女が怪我しようがどうしようがどうでもいい。

それなのに、柄にもなく慌てて腕を伸ばして
その女を抱きとめてた。

「おいおい。司、大丈夫かよ」
とっさの事で思わず尻もちをつく形になったオレに
総二郎たちが駆け寄ってくる。
「で?こいつは大丈夫なのか?」
あきらの言葉につられて腕の中の女を見てみれば
「気持ちよさそうに寝てるね…」
類がクスッと笑う。

「……気分悪ぃ。帰る」

「おいっ。司っ!」
「……帰るって、あのままか?」
「お持ち帰り?」

あいつらが好き勝手言ってるのにも
返事もしないでオレは車に乗り込んだ。

__降ってきた女は抱きかかえたまま。


それにしても…
こいつホントに人間か?
いくらチビだっつっても軽すぎんだろ、おい。
何食ったらこんな体になるんだ。

自分とは違うサラサラで綺麗な黒髪をそっと撫でると
「ん…」
と少し身じろぎしてから

「……バカ男」
そう小さく呟いて涙を一粒こぼした。

女の涙なんてうぜぇとしか思わないのに
どうしてだかその涙は綺麗で…
でも同時に胸も苦しくなって
「泣くな…」
そう言いながら額にキスを落としていた。


邸に着くとタマが驚いたような顔をして駆け寄ってくる。
そりゃそうだろう。
このオレが女抱きかかえて帰ってくるなんてあり得ねぇ。

タマは女の頬に残る涙のあとをみて
「あまり泣かしちゃいけませんよ」
と心配そうに呟く。

…オレが泣かしたわけじゃねぇよ。

私室に入るとそっとベッドに寝かせる。

あどけない顔で寝息を立てるこいつから
離れんのが嫌で起こさねぇように頬にそっと触れる。

“バカ男”ってお前の彼氏か?
なんで泣いてた?そいつに何かされたのか?

確か、滋と三条のダチとか言ってたな…。
あー…名前。なんつってたっけ。思い出せねぇ…。

こいつの名前さえも思い出せねぇのに
どうしてだかその“バカ男”に無性に腹が立つ。

お前を泣かせるような男なんて
いっそ記憶ごと消してしまえばいいじゃねぇか。


明日、こいつが起きたら言ってみようか…

「そんなバカ男なんかやめて、オレにしとけ」って。







「それにしてもさっきの何だったんだ?」
「さぁ?それに牧野も大丈夫かよ。
 どっか打ったりしてねぇだろうな?誰だよあんなに飲ませたの」
「そんなの滋さんに決まってますわ。
 そんな事より!道明寺さんが受け止めて下さったから良かったものの
 階段でうっかり腕を放すなんて、先輩が怪我でもしたらどうするんですかっ」
「えへへー。ごめんごめん。気を付けます…。
 でも司、連れて帰っちゃったね…。記憶戻ったのかな?」
「…本能でしょ」



~ fin ~



★あとがき★

なんか不思議な感じがする短編でございましたが
司の記憶喪失ネタでした。

実は「The one」が終わったら
記憶喪失ネタを書いてみようかな、なんて思ってまして
連載用にと、種を植えてみたんですが
いまいち盛り上がらず…ボツです。


記憶がなくてもつくしが気になっちゃう司。
を書いてみたかったんですけどね~。


もちろん「バカ男」は記憶喪失の司なワケで
自分に嫉妬してる事も気づかずに
すでに独占欲が芽生えちゃってます。

目が覚めて、司にそんな事を言われたつくしは
どうするんでしょうね(^^)?


無理やり短編にしたので
ちょっと(いやかなり?)もやっと感が残るような気もしますが
楽しんで頂ければ幸いです♪


管理人 koma




いつも応援ありがとうございます♡

I'm back

…どこだ、ここ。
オレ何してたんだっけ…?

思い出せねぇが、
とにかく体は軽くて気分はいい……。


『I'm back』    ~司 短編~


自分の格好を見てみれば
ガウンに何故か裸足だった。

辺りを見渡せば
「……病院か」
自分が道明寺系列の病院の廊下に立っていると気付く。


そう言えばオレ、さっきまで車に乗ってなかったか?
そんで何かすげぇ衝撃があって…そこで意識が飛んだ気がする。

って事は事故って担ぎ込まれたのか。
いつの間に目が覚めて動き出してたんだ?

誰かいねぇのかと歩き出す。
幸い、事故ったわりにはどこも痛くなくて、動き回る事は苦じゃない。
裸足で歩いてるわりに床の感触はあまり感じなくて
ふわふわとした浮遊感まである。
歩くどころか今なら空だって飛べそうなくらい体は軽い。

そんな体でしばらく歩き回っていると
廊下の一角にあいつらが揃っているのが見えた。

「なんだよ。あんなとこにいたのか」
あいつらの方へ歩いて行くと
そこが集中治療室の前だと気付く。

…オレの他に事故に巻き込まれた奴がいるのか?

「おい。お前ら…」
十分聞こえる距離で声をかけたハズなのに
誰1人として集中治療室のガラスに張り付いたままこっちを向かない。

オレ様を無視するなんていい度胸してんじゃねぇか。

一番近くにいたあきらの頭めがけて足を振り上げる。

でも確実に入ったと思った蹴りは
空を切って反動で自分が床に転んでいた。

体が軽すぎて距離感ミスったか?
「…てぇ」
反射的にそう言ったものの体のどこにも痛みはなくて
わりと派手に転んだ気がしたのに
まだ誰1人としてオレに気が付かない。

なんだよ。その中に入ってる奴、そんなにやべーのか?

これならさすがに気付くだろうと
「おいっっっ!!」
これ以上ないくらい声を張り上げる。

すると類たちに囲まれていて見えなかった
いつか刺された時に、このオレに向かって
偉そうな口をきいてきた頭のおかしな女だけが
ビックリしたように振り向いてオレの方を見た。

その顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。

「…牧野?どうした?」
類がそいつの肩を優しく抱く。

そいつはまだオレの方を見て固まっている。

目が合ってるような合ってないような…。
それでもオレはそいつのでっかい瞳から目がそらせなくなっていて。
そのまま吸い込まれるんじゃねぇかってくらい見つめていた。

それと同時に頭の中に忘れていた
何よりも大事だったはずの女の顔が
浮かび上がって、目の前の女と重なった。

___っ!!

そうだ……牧野だ。

強く想いすぎて記憶から抜け落ちるなんて
どんだけバカなんだよ、オレは。

立ち上がってあいつの前に立つ。
「泣くな…」
そう言って涙を拭おうとしたオレの右手が
あいつの頬をすり抜けた。

「なんだ…これっ」
思わず手を引いて固まってると
集中治療室の中で電子音が鳴り響く。
その音に反応するように牧野がガラスに張り付いた。

「あんたねぇっ!!何回こんな思いさせれば気が済むのよ!」

牧野が怒鳴りながらガラスを叩いたかと思うと
ズルズルとその場にへたり込む。

牧野がズレ落ちた隙間から見えたその向こうには

……オレ?

なんだよ。どういう事だよこれ。

さっきすり抜けた右手をよく見れば少し透けているのに気付いた。
もしかして…オレ、死んだのか?

あいつを残して?
せっかくこうして思い出したってのに?
目の前で泣いてるのに、もう涙も拭ってやれねぇのか?

そう思ってるそばから
体がさらに軽くなっていく気がする。

あぁ…ダメだ。力が入らねぇ。
だんだん目開けてるのも辛くなってきて閉じかけた、その時。

「道明寺!!」
あいつがまた怒鳴り出した声にうっすら瞼を上げる。
「死んだりしたらほんとに許さないんだからっ!!
 今度こそあんたよりいい男見つけて幸せになってやるんだからね!」

…………あ?

お前、今なんつった?
オレよりいい男見つけて幸せになるだと?
ふざけんじゃねぇよ。

お前を幸せに出来るのは世界中でこのオレだけだろうがっっ!!







「……ん」
「司!?気が付いたのか!?」

目を開けたそこはいつもオレが入院する時に使う特別室で。
オレに気が付いたあきらの声に
あいつらがオレを覗き込んでくる。
が、そこに肝心のあいつがいねぇ。

「……牧野、どこ行った」
「おま…思い出したのか?」
と声を出した総二郎だけでなくみんなが目を丸くする。
「…いるよ?牧野、司が呼んでる」
クスッと笑った類が振り向いた方に首だけ回してみれば
ベッドから少し離れたところで涙目のままこっちを見てた。

さっきまでとは違う、鉛のように重い右手をなんとか動かす。
「…っ。届かねぇよ。こっち来い」
オレの声が聞こえてんのか聞こえてねぇのかあいつは突っ立ったままだ。

「ほらっ!つくし!!」
滋が牧野の腕を引っ張ってベッドのすぐ横まで連れてきて
「私たちはお邪魔でしょうから、外しましょう」
と三条がみんなを連れて出て行く。

重たい右手を限界まで上げるとあいつの頬に届いた。
「……オレよりいい男なんかこの世にいるわけねぇだろ。
 今度キョトキョトしやがったら許さねぇのはオレだからな」
オレが言うと同時にあふれ出した涙を親指で拭ってやる。

お前の涙を拭ってやれるこの場所を誰かに譲ってたまるかよ。
記憶がなくてフラフラしてたし、うっかり逝っちまうとこだったが
ちゃんとここに帰ってきたぜ。

「ただいま」
「…おかえり」

オレの言葉に牧野がやっと小さく笑って答えた。


~ fin ~





★あとがき★


「Fall in…」に続く、
司の記憶喪失 短編 第2弾??

これはシチュ的には好物だったんですが
お話を広げるとなると大変そうだったので
連載用としてはボツとなりました。

短編にしては長いんですけどね。
前後編にするには短く、
とことん中途半端(笑)

記憶を失った司の
臨死体験(…っていうので合ってる??)編です。

もうすぐ「The one」も終わるのに
次々とボツってる場合じゃないんだけどなぁ…。

でも妄想は楽しいので…ま、いっか(笑)


臨死体験が書きたかったのか、
記憶喪失が書きたかったのか、
どっちかわかんない感じになっちゃいましたが
楽しんで頂けていれば幸いです♪



管理人 koma




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